児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

個人情報流出:市民1万人分、ウィニー感染 winny

 やってしまいましたね。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050415k0000m040137000c.html
流出した1万1255人分の名簿は、03年1月から実施した市民アンケート用で、旧湯沢市在住の18歳以上から抽出し氏名と住所が記載されていた。備考欄には「入院中」「4月まで関東方面」「居所不明」など対象者の動向を日付とともに記していた。

 winnyを起動すること自体は、たとえ著作物ファイルや児童ポルノを中継していても、故意犯の成否については、合法だと判示されていますので、職員のどんな行為を非難するかが難しいですね。
 過失責任についても、ある程度ウイルス作者に責任転嫁できますね。

http://courtdomino2.courts.go.jp/Kshanrei.nsf/webview/75F4203576AA0A5D49256F77000E906B/?OpenDocument
◆H16.11.30 京都地方裁判所 平成15(わ)2018 著作権法違反被告事件
事件番号  :平成15(わ)2018
事件名   :著作権法違反被告事件
裁判年月日 :H16.11.30
裁判所名  :京都地方裁判所
部     :第2刑事部
原審裁判所名:京都地方裁判所
 しかし,そのような場合であっても,上記の経由点となる第三者は,当該情報をダウンロードしようとする受信者の送信要求を受けて,これに応じるなど,いかなる意識的な行為もすることがなく,そもそも,当該情報がダウンロードされる際,自己のパソコンを経由したことすら認識することはないのである。このように,上記第三者は,Winnyを自己のパソコンにインストールするか,Winnyを起動するかという場面においては意識的に行動しているけれども,Winnyを利用して情報をダウンロードしようとした者が,その送信要求をしたのに応じて,これをアップロードしているパソコンからデータが送信されるに際し,その送受信が自己のパソコンを経由する場面においては,何ら自己の意思に基づいて行動することはないのであるから,有意識的に当該情報を中継しているなどとは到底評価することはできない。

 弁護人はこんな判示を求めたのではなく、利用者にもある程度責任分担・責任転嫁すべきと主張したんですが、まあ、裁判所が反対されたのでこういう判断になっています。


 比較のために挙げておくと、児童ポルノの購入行為(取得行為)は違法と評価されています。ファイル共有ソフトの使用者は単なる「通過点」だっていうんです。

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20050318/1111133874
買主の買い受け行為にも法益侵害,違法性があるとはいえるが,売主の販売行為の違法性,法益侵害性が強度の可罰性,当罰性を有するのと比較して,前者の法益侵害,違法性の可罰性,当罰性は微弱である