児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

2014年12月17日のツイート

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律の罰則部分が施行されました

 罰則は12/17、プロバイダ責任については12/27から施行されました。
 処罰されるのは12/17以降の行為(提供、陳列)です。

(私事性的画像記録提供等)
第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
5 第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。
 (特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の特例)
第四条 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第三条第二項及び第三条の二第一号の場合のほか、特定電気通信役務提供者(同法第二条第三号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。以下この条において同じ。)は、特定電気通信(同条第一号に規定する特定電気通信をいう。以下この条において同じ。)による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者(同条第四号に規定する発信者をいう。以下この条において同じ。)に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれにも該当するときは、賠償の責めに任じない。
 一 特定電気通信による情報であって私事性的画像記録に係るものの流通によって自己の名誉又は私生活の平穏(以下この号において「名誉等」という。)を侵害されたとする者(撮影対象者(当該撮影対象者が死亡している場合にあっては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)に限る。)から、当該名誉等を侵害したとする情報(以下この号及び次号において「私事性的画像侵害情報」という。)、名誉等が侵害された旨、名誉等が侵害されたとする理由及び当該私事性的画像侵害情報が私事性的画像記録に係るものである旨(次号において「私事性的画像侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し私事性的画像侵害情報の送信を防止する措置(以下「私事性的画像侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があったとき。
 二 当該特定電気通信役務提供者が、当該私事性的画像侵害情報の発信者に対し当該私事性的画像侵害情報等を示して当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会したとき。
 三 当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の規定は公布の日から起算して二十日を経過した日から、第四条の規定は公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DBC6C6.htm
衆議院審議終了年月日/衆議院審議結果 平成26年11月18日 / 可決
衆議院審議時会派態度 全会一致
衆議院審議時賛成会派 自由民主党; 民主党・無所属クラブ; 維新の党; 公明党; 次世代の党; みんなの党; 日本共産党; 生活の党; 社会民主党・市民連合
衆議院審議時反対会派
参議院予備審査議案受理年月日 平成26年11月18日
参議院予備付託年月日/参議院予備付託委員会 /
参議院議案受理年月日 平成26年11月18日
参議院付託年月日/参議院付託委員会 平成26年11月18日 / 総務
参議院審査終了年月日/参議院審査結果 平成26年11月18日 / 可決
参議院審議終了年月日/参議院審議結果 平成26年11月19日 / 可決
公布年月日/法律番号 平成26年11月27日 / 126

青少年条例違反の被害青少年が弁護士に依頼して民事訴訟した場合の収支

 青少年条例違反の場合、裁判所の認容額は1回5〜30万円です(高知地裁、大阪地裁、高松高裁)
 弁護士に依頼すると、着手金・報酬金おのおの最低30万円くらいですから、合計60万円くらいの費用がかかります。
 とすると、認容額もそれ以上でないと元が取れません。

 淫行の民事訴訟事案としては
1 淫行2件で訴額150万(認容額30万)という判決
2 淫行5件で、訴額300万(認容額150万)という判決
3 淫行8件で、120万円の和解事例(訴額500万)
4 淫行10件で、訴額300万(認容額50万)という判決
というのありますが、1と4は元が取れていないと思われます。

 いずれも刑事事件が先行していて、だいたいは訴訟前に「予想される認容額を超える示談金額」が提示されて、上乗せを求めて民事訴訟を提起したものですが、裁判所の認容額が低いので、その作戦は上手くいかないようです。
 当たり前の話ですが、訴訟前に「訴訟した場合に予想される認容額を超える示談金額」が提示された場合には、それをもらった方が、ソロバン勘定では有利になります。訴訟に持ち込んだもののマイナスになってしまうことを防ぐには、被害者側はその辺に詳しい弁護士に相談することがポイントです。
 奥村は専ら加害者側の代理人になりますので、被害者に直接こういうことをいうと反発を買いますので申し上げないのですが、裁判所はこうなっています。

 犯人側の代理人も、同じくらいの費用になるはずですが、刑事事件の延長線として、実費のみで対応しています。民事訴訟の証拠は、だいたい刑事事件の証拠を流用しますので、刑事事件の方でしっかり主張立証しておけば、新規の立証もありません。

2014年12月15日のツイート