児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

連続女児強制わいせつ 元警官に懲役15年判決 名古屋地裁=中部

 この強制わいせつ罪と3項製造罪は、観念的競合か併合罪か?
 弁護人が「姿態をとらせて」は実行行為だから観念的競合と主張したら、「姿態をとらせて」は実行行為じゃないから併合罪だとした判決がありました。
「姿態をとらせて」を除くと、3項製造罪の実行行為は「撮影行為」だけになるわけですが、従来から「撮影行為」は強制わいせつ罪の「わいせつ行為」ですから、姿態をとらせて」身分犯説でもまるまる重複しています。観念的競合になる。
 こういうところまで考えて立法しないと、捜査段階・起訴段階で、製造罪の立件をためらうことになります。しかも、無理して立件しても懲役3年なので、処断刑期に影響しない。これこそ性的虐待の記録行為であって最悪の児童ポルノ製造行為なのに3項製造罪が適用しづらい。こういうことがわからない人が作った法律です。

連続女児強制わいせつ 元警官に懲役15年判決 名古屋地裁=中部
2009.10.20 読売新聞
 判決によると、被告は2005年6月〜08年11月にかけて、名古屋市や愛知県岡崎市で、成人女性1人のほか、当時4〜9歳の女児9人を言葉巧みに誘い出し、駐車場や公園でわいせつな行為に及び、その様子を携帯電話のカメラで撮影するなどした。
 渡部裁判官は、「幼い女児であれば、捕まりにくいと考えた狡猾(こうかつ)な犯行だ」と量刑の理由を説明した。

記録閲覧のために判決日を特定すべく期日を追跡している事件について、期日変更をいちいち連絡してくれる書記官(某地裁)

 その判決までの判決書を閲覧しようとタイミングを見ています。
 判決が出てから、判決日・事件番号だけを教えてくれれば十分でございます。

<わいせつ容疑>落札した服着て下半身露出 出品者にメール

 弁護人も詳しくないし被告人も認めて罰金払っちゃうんですが、大阪高裁H15.918の頒布の定義に照らせば、公判請求されれば、果たして「物を頒布し」と言えるのかは疑問です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091020-00000135-mai-soci
容疑は今年8〜9月、山梨県大阪府などのいずれも30歳代の女性3人の携帯電話に、わいせつ画像を添付したメールを計5回送信した疑い。
 県警によると、容疑者は携帯電話のネットオークションサイトで、女性が出品したタンクトップなどの服を落札。アイシャドーや口紅で化粧をしたうえ、その服を着て下半身を露出させた画像をメールで出品者に送り返したという。メールのタイトルに「おはよう かっちゃんです」などと記していた。容疑を認めているという。

刑法第175条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/27642C03FB01140B49256E6700180854.pdf
事件名 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
裁判年月日 平成15年09月18日
裁判所名・部 大阪高等裁判所 第1刑事部
高裁判例集登載巻・号・頁 第56巻3号1頁
このような電磁的記録そのものは有体物に当たらないことは明らかである。そして,児童買春児童ポルノ禁止法7条の児童ポルノ販売,頒布罪における販売ないしは頒布は,不特定又は多数の人に対する有償の所有権の移転を伴う譲渡行為ないしそれ以外の方法による交付行為をいうものであるところ,本件において,上記B,C及びDは,それぞれ,被告人から教示されたホームページアドレス等を自己のパーソナルコンピューターにおいて入力することにより,被告人が開設した上記会社管理のサーバーコンピューター内のホームページにアクセスし,同サーバーコンピューターのディスクアレイに記憶,蔵置された本件の画像データをそれぞれ自己のパーソナルコンピューターにダウンロードし,ハードディスクないしはフロッピーディスクにその画像データを記憶,蔵置させて画像データを入手していることが認められるが,上記サーバーコンピューターのディスクアレイ上に記憶,蔵置された画像データそのものは上記Bらのダウンロードによってもその電磁的記録としては何らの変化は生じていないのであり,画像データの入手者であるBらに上記サーバーコンピューターに記憶,蔵置された電磁的記録そのものの占有支配が移転したと見る余地もなく,この点で原判示第2に認定された事実のもとでは児童ポルノの販売に該当する事実もないというべきである。