児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春→児童ポルノ製造・所持・販売の罪数

連日、重い事件が報道されています。

少女スカウト逮捕、アダルトビデオに出演させる - 読売新聞 - 社会
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040421-00000306-yom-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040421-00000160-jij-soci


 検事さんも知らないようですが、被害者1名の場合でも、児童買春罪・児童ポルノ製造罪・所持罪・販売罪が併合罪になるというのが判例です。東京高裁H15.6.4、名古屋高裁金沢支部H14.3.28 等
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/tokyo/tokyo.htm

 大阪高裁H14.9.12なんて、販売罪も1回1罪で併合罪だという。

 検事も弁護士も裁判官も、ポルノなんだから、「包括一罪とか、牽連犯とかでまとめて一罪(懲役3年)」だと思ってませんか?
 併合罪だと、処断刑の上限は懲役4年6月ですよ。
 再犯加重なんかあると、さらに加重されるし、改正で法定刑が5年以上になると、執行猶予の期待なんか飛んでしまいます。
 特に暴力団関係者の弁護やっている方は注意して下さい。 


 起訴検事さんは、間違っても、訴因変更で余罪を追加しないで下さいよ。控訴されると余罪落ちてしまいますよ。弁護人は、一審判決までは、知ってても指摘しないですよ。

 面倒ですが、公訴事実は、いちいち、
  被告人は
  第1 ・・・もって児童買春し
  第2 ・・・もって、児童ポルノを製造し
  第3 ・・・もって、児童ポルノを販売目的で所持し、
  第4 ・・・もって、児童ポルノを販売した
  ものである。
と書いて頂けると、奥村弁護人の場合は、内心では「二重丸」を付けながら、口先では「全部牽連犯か包括一罪でしょ。常識ですね。検事さんは、法律勉強しなおさないとあかんなぁ〜」といいます。
 捜査研究628号P94大橋検事は、そういうメッセージだと思います。
「これは,児童ポルノの製造罪や販売罪等に関する新判例である。児童ごとに一罪が成立することを理由とした「販売目的共通一罪説」や「児童ごと包括一罪説」という見解を明確に否定した新判例ともいえる。」と言われてますが、結果的に奥村説(私見)が採用されています。

 なお、わいせつ図画兼児童ポルノの場合、わいせつ図画を起訴すると、わいせつ図画の包括一罪性で架橋されて、児童ポルノ罪も一罪になるんだって。被告人は起訴された方が得かもしれない。

「○○罪の量刑」について

「○○罪の量刑」という検索を掛けている方がよくありますが、日本の刑法は、法定刑の幅が広いので(例えば、殺人罪の場合懲役3年〜死刑)、単に罪名と宣告刑を調べても、あまり参考になりません、むしろ、判例集の同種事例や、各弁護士会の量刑アンケートを参考にされた方がお役に立つと思います。
 それはどこに行けば読めるかというと、市販はされていないと思うので、弁護士会か弁護士に依頼されるのがいいと思います。
 もっとも、著作権法違反とか児童ポルノ・児童買春とか児童福祉法違反とか、淫行条例とかは、事例が少ないです。


 本日、大阪弁護士会の調査が届いたので、大阪版を紹介します。

罪名別に、このような項目で集計されて一覧表になっています。

罪名
判決時の身体拘束の有無
人定事項(年齢職業住所)
被害状況被害弁償等の事情
公訴事実の認否
前科有無
判決に影響を与えた事由 +−
求刑
判決
執行猶予
判決宣告裁判体(係属部)
言渡日
私選・国選


大阪弁護士会刑弁情報2004.3月号別冊より
「本書の利用について」
本書は平成15年度に大阪弁諸士会全会員に量刑調査を行った結果を報告するものです。調査事例は大阪地方裁判所内で言い渡された判決で、できるだけ最新のものをという方針で平成15、16年に判決のあった事件を中心にしていますが、言い渡された判決の一部であることはご理解ください。掲載順序は、刑法犯と特別法犯と分け、刑法犯は条文とおりに、特別刑法犯は五十音順に掲載しました。各犯罪においては、一罪と数罪とに分け、それぞれ軽い量刑の事件から掲載しました。数罪の場合には、いずれの犯罪類型にも掲載しました(その限りで重複があります)。なお、特別法氾の一部については、同種犯罪ということで刑法犯に続けて掲載したものや、法令名の長いものは略して掲載したものもありますので、ご注意ください。また、覚せい剤取締法違反と道路交通法違反については、さらに違反内容によって分類しました(目次をご参照ください)。もし本書の内容や調査方法等について、お気づきの点がございましたら、大阪弁護士会刑事弁護委員会ないしは同委員会広報・情報収集部会までご連絡いただけましたら幸甚です。

1公務の執行を妨害する罪(1件)
2放火及び失火の罪(1件)
3住居を侵す罪(7件)
4文書偽造の罪(5件)
5わいせつ、姦淫及び重婚の罪(13件)
(1)わいせつ物頒布等(2件)
(2)強制わいせつ(2件)
(3)強姦(1件)
(4)強制わいせつ等致死傷(2件)
(5)大阪府迷惑防止条例違反(2件)
(5)児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反(2件)‥・
(6)売春防止法違反(2件)
6汚職の罪(1件)
7殺人の罪(8件)
8傷害の罪(19件)
(1)傷害(16件)
(2)傷害致死(1件)
(3)暴力行為等処罰法違反(2件)
9過失傷害の罪(20件)
(1)業務上過失致傷(12件)
(2)業務上過失致死(6件)
(3)危険運転致死傷(2件)
10信用及び業務に対する罪(1件)
11窃盗及び強盗の罪(34件)
(1)窃盗(30件)
(2)常習累犯窃盗(1件)
(3)強盗(1件)
(4)強盗致死(2件)
12詐欺及び恐喝の罪(20件)
(1)詐欺(14件)
(2)背任(1件)
(2)恐喝(5件)
13横領(3件)
(1)横領(2件)
(2)遺失物等横領(1件)
14盗品等に関する罪(1件)
15毀棄及び隠匿の罪(1件)
第2章刑法犯以外
1覚せい剤取締法違反(43件)
(1)自己使用(27件)
(2)所持(3件)
(3)自己使用及び所持(13件)
2関税法違反(3件)
3競馬法違反(1件)
4軽犯罪法違反(1件)
5銃砲刀剣類所持等取締法違反(3件)
6出入国管理及び難民認定法違反(17件)
7大麻取締法違反(6件)
8道路交通法違反(27件)
(1)無免許(10件)
(2)酒気帯び、酒酔い(13件)
(3)速度違反(1件)
(4)その他(3件)
9毒物及び劇物取締法違反(2件)
10麻薬及び向精神薬取締法違反(2件)
11モーターボート競走法違反(1件)