単純所持罪になんらかの絞りを掛けないと、自画撮の児童も撮った瞬間に犯罪少年になりうることになります。
騙したり、脅したりというのも中にはあるんですが、大多数はそういう事情がない事件で、児童からいきなり送ってくるとか、児童が販売しているというのもあります。
H16改正で「姿態をとらせて製造」(3項製造罪)を作った時には想定していなかった類型ですが、3項製造罪を適用して処罰しているのですが、社会的法益を考慮すると児童も共犯になるので、被害者を処罰することになって何をやってるのかよくわかりません。
大人の方が悪いとかいうわけですが、任意に送って来た場合には、社会的法益を加味する限りは児童も処罰されることになります。
某地裁では、児童との共犯になるという判決が出ています。
某地裁H24
罪となるべき事実
被告人はa17が児童であることを知りながら、aと共謀の上 平成25年12月8日午後11時40分ころ、大阪市北区西天満所在の同女方において、aに上半身裸で乳房を露出した姿態をとらせた上 同女において 同女の携帯電話機のカメラ機能を利用して静止画像として自ら撮影して、平成25年12月8日午後11時46分ころその画像データを被告人が使用する携帯電話機にあてて電子メールの添付ファイルとしてそれそれ送信してそのころ 東京都千代田区の被告人方において 同画像データを 同携帯電話機に受信してこれを記憶させて蔵置して もって 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものをとらせ これを視覚により認識する事ができる方法により電磁的記録にかかる記憶媒体に描写し、当該児童にかかる児童ポルノを製造した
広島高裁は児童共犯説を追認しています。
広島高裁H26.5.1
なお,被告人の当審公判供述の趣旨等にも鑑み,職権で判断を加えると,原判決が認定,摘示した原判示第3の事実の内容は,前記(1)で摘示したとおりである。
要するに,原判決は,Aの原判示の姿態を撮影して,その画像データを被告人の携帯電話機に送信し,その携帯電話機の記録媒体に蔵置させるに至らせるという,児童ポルノ製造の犯罪の主要な実行行為に当たるものを行ったのはA自身であるという事実を摘示しているが,Aが共同正犯に当たるとは明示しておらず,被告人に関する法令の適用を示すに当たっても,刑法60条を特に摘示していない。
他方,原判決は,本件について間接正犯の関係が成立するという事実を示しているものでもなく,本件の関係証拠に照らしても,間接正犯の成立をうかがわせる事実関係があるとは認め難い。
しかし,原判決は,罪となるべき事実として,Aが上記の実行行為を自ら行ったという事実は摘示し,これらの行為は,被告人が,自らの意思を実現するため,Aとの意思の連絡の下,Aに行わせたものであるという趣旨と解される事実関係を摘示しているものと理解することが可能であるし,かつ,そうした事実関係を前提に犯情評価等を行っていると見ることができることなどに照らすと,原判決が,被告人とAとの共謀の存在を明示せず,法令の適用に刑法60条を挙示していないことが,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認ないし法令適用の誤りに当たるとは,いまだいい難いと考えられる。
裸の自画撮り」子どもに被害 言葉巧みに送信させ、ネット掲載
2014.06.14
子どもにスマートフォンなどで自ら裸の画像などを撮影させる「自画撮り」と呼ばれる児童ポルノ被害が増えている。児童ポルノの規制を強化する法案審議が国会で進む中、民間団体なども、子どもや保護者に防止策を伝える取り組みを始めている。(野倉早奈恵)警察庁のまとめによると、昨年は1644件の児童ポルノ事件が摘発され、わいせつ画像を撮影されるなどの被害を受けた子どもは646人。このうち「自画撮り」による被害は前年より63人多い270人で4割を占めた。小学生以下の子どもが20人含まれていた。
関東地方の高校2年の女子生徒(17)は昨年、スマートフォンの無料通話アプリの連絡先交換サイトで、自分の好きなバンドのファンだという「16歳女子」を名乗る人物と知り合った。
連絡を取り合ううちに、相手から「友情の証しに裸の写真を交換しよう」と誘われた。渋っていると相手から先に画像が送られてきたため信じてしまい、自身の裸の写真を送った。相手はその後、男であることを明かし、女子生徒の画像はネット上に掲載されてしまったという。
「全国webカウンセリング協議会」(東京)理事長の安川雅史さんは、「自画撮り」に関する相談を月30件程度受ける。「学校や住所を聞き出し、画像を脅しに使う加害者もいる。そもそも裸や下着姿は撮っても撮らせてもいけない」と話す。保護者や教員向けの講演で、子どもが興味を持つアプリやウェブサイトについて知り、使い方を親子で話し合うよう呼び掛ける。
NPO法人「人身取引被害者サポートセンターライトハウス」(同)は、高校生にも参加してもらい啓発漫画を制作中だ。無料通話アプリの連絡先交換サイトで知り合った男にだまされ、「自画撮り」画像がネット上に拡散されたケースなどを盛り込む。秋にも完成させる予定で、希望する小中学校、高校に配布する。代表の藤原志帆子さんは「身分や性別を偽るだけでなく、悩みの相談に応じるふりをして親しくなり画像を要求するなど手口が巧妙化している」と警告する。
国も対策に乗り出している。文部科学省は、児童・生徒向けに啓発パンフレットを作成。2014年版(高校生向け)には、交際相手に頼まれて送った裸の写真をポルノサイトにばらまかれたという事例などを掲載し、安易に画像をやりとりしないよう注意を促す。同省のホームページでも公開している。警察庁も3月、保護者向けのパンフレットを作成し、ホームページでも公開。携帯電話やスマホへのフィルタリング(閲覧制限)の徹底などを訴える。
藤原さんは「相談にくる子どもは一様に『まさか自分が被害に遭うなんて』という。加害者はネット事情に精通しており、変化する手口に対応した予防策を教育現場や家庭で分かりやすく伝えていく必要がある」と話す。
◆児童ポルノ「単純所持」禁止へ
今国会で成立する見通しの「児童買春・児童ポルノ禁止法改正案」は、性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを持つ「単純所持」を処罰対象としている。ネット上の画像をダウンロードし、保存することも含まれる。違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
単純所持の禁止を求めて署名活動などをしてきた日本ユニセフ協会の東郷良尚副会長は「単純所持が禁止されれば、新たな犯罪の抑止につながる。児童ポルノは許さないという国際社会へのメッセージにもなる」と話している。
■児童ポルノの被害防止パンフレット
文科省(http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/taisaku/index.htm)
警察庁(http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/no_cp/)