児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

成人刑事事件の廃止

 何気なく諮問に加わっています。
 日弁連は反対。
 奥村は賛成。意味無いから。
 児童淫行罪のハメ撮り事案で、罪数処理で管轄違を主張するという控訴理由が減りますけどね。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=300090009&OBJCD=&GROUP
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1030&btnDownload=yes&hdnSeqno=0000031783
4 成人の刑事事件の管轄の移管等
(1) 家庭裁判所が管轄する成人の刑事事件(児童福祉法違反,労働基準法違反等)について,第一審の裁判権を,家庭裁判所から地方裁判所又は簡易裁判所に移管するようにするものです。

 理由については
植村立郎「司法改革期における少年法に関する若干の考察ー少年法37条の削除についてー」判例タイムズ1197
で説明されています。

 個人的には、家裁の専属管轄として大過なかった児童福祉法違反事件の、きわきわの行為を児童ポルノ・児童買春罪として不用意に地裁管轄としてしまったので、家裁の存在意義が薄れたり、罪数で管轄が揺れ動いたり、家裁・地裁にまたがって起訴されて量刑に不都合が生じたりというのが、改正の動機だと思います。
 議員立法のダメダメなところ。現場が混乱して、使いようによっては有意義であった折角の「成人の刑事事件」という制度を殺してしまった。

「製造罪と性犯罪・福祉犯が観念的競合なった件数」という検察統計は嘘か?

 最近は3項製造罪(姿態とらせて製造)と強制わいせつも観念的競合となることが観測されています。
 以前、刑事確定訴訟記録法で見た判決で見かけたので、件数を確認しようと思って、情報公開でそういう統計をもらった。年数件あるという。
 次に、判決書を確認しようと、さらなる情報公開で、「その観念的競合の事件の原庁はどこか」と聞くと、法務省曰く「実はその統計は誤りで、観念的競合の事件はなかった」という。こちらの手元に観念的競合の判決があるのに。
 さらに、ある事件の控訴審で、児童買春罪・青少年条例違反と3項製造罪は観念的競合という主張の立証で上記の統計を出したら、高検の検事は「件数は信用性に欠ける」と不同意にした。公文書なのに。観念的競合の判決は証拠採用されているのに。
 ミスだから隠そうとしているのならまだわかりますが、若い検事さんが、今年になってもバンバン観念的競合で起訴してきていますよね。

函館地裁H19 児童買春罪と3項製造罪は観念的競合
札幌高裁h19 児童買春罪と3項製造罪は観念的競合
富山地裁高岡支部H19 児童買春罪と5項製造罪は観念的競合
東京高裁H17 児童淫行罪と3項製造罪は観念的競合
札幌家裁小樽支部H18 児童淫行罪と3項製造罪は観念的競合
札幌高裁H19 児童淫行罪と3項製造罪は観念的競合
横浜家裁横須賀支部H17 3項製造罪と児童淫行罪は観念的競合
長野家裁H18 3項製造罪と児童淫行罪は観念的競合
東京家裁h16 販売目的製造と児童淫行罪を観念的競合
横浜地裁H17 青少年条例違反(淫行)と提供目的製造罪を観念的競合
奈良家裁H16 販売目的製造と児童淫行罪を観念的競合
名古屋家裁岡崎支部h18 児童淫行罪と3項製造罪は観念的競合
長野地裁H19 強制わいせつ罪と3項製造罪は観念的競合
札幌地裁H19 強制わいせつ罪と3項製造罪は観念的競合

 児童淫行罪・強制わいせつの事件番号と、児童ポルノ・児童買春の事件番号を付き合わせれば、まだまだ出てくるんじゃないかと思っています。
 これをちょっと併合罪に押し戻すのが一苦労。