児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

合成写真の見分け方

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041118-00000001-kyodo-soci
 合成すると、いろいろ不自然な点が出てきますね。

 児童ポルノについては、制定当時から、「顔は児童・体は大人という合成写真や一部CGの合成写真が出てきたら、児童ポルノか?」という議論があって、警察もそれなりの研究をしているようです。
 時々、証拠で出てきます。画素レベルで観察されています。この手法は切り貼り合成でも同じです。

単純に合成すると、不自然な輪郭(画素の不拡散)を生じ、色付けると質感が無くなる。それらを自然に見せようとしてぼかしを行うと、なめらかに見えるが、人工的な拡散となり、不自然さが拭いがたいものとなる。他方、画像処理ソフトの機能を最大限に使い、時間をかけてて丹念に(極端には1画素ごと)作成すれば、自然な画像に近づける可能性は高いとも言える。

 実際には、実在の児童のヌードモデルに不自由しない現実があって、「児童は実在することを要する」という高裁判決が多数出て、「合成児童ポルノ」が立件されることはありません。

有期刑、最長30年に延長 刑法改正案が衆院通過へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041118-00000030-kyodo-pol
一ヵ所だけ軽くなります。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16105008.htm
第二百四十条中「七年」を「六年」に改める。

これで、強盗致傷にも酌量減刑で執行猶予の可能性が出てきます。

改正前の刑法240条
第240条(強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は七年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

 大阪はひったくりが多いのですが、被害者をちょっと引っ張ると致傷になるので、強盗致傷罪も多いはずです。科刑状況としても、3年6月とか4年とかいう下限近くに1つのピークがあると思われます。
 強盗致傷事件は、やったことはありますけど、積極的には受任しません。

 改正まで待てば、「刑の変更(刑法6条)」で係属中の強盗致傷にも執行猶予がつくのかと思いきや、附則3条によれば、いま犯した強盗致傷罪の刑は変わらないようです。

附則
第三条 この法律の施行前にした第一条の規定による改正前の刑法(以下「旧法」という。)第二百四十条の罪に当たる行為の処罰については、なお従前の例による。

 法定刑しか変更されていないのだから、刑の変更に関する刑法6条を適用しないという趣旨だと思います。

刑法第6条(刑の変更)
犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる

おりしも

「重すぎる」と未遂適用 「被害者も猶予付きを」と大阪地裁
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2004111700067&genre=D1&area=O10

児童ポルノ単純製造罪の公訴事実

 新法でできた児童ポルノ単純製造罪の公訴事実を見ました。
 デジカメのメディアの製造とHDDの製造が包括一罪的に記載されていて、研修676「島戸検事 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20041031#p2をよく勉強しているなあという感想。

 奥村説は、メディアの製造罪とHDDの製造罪も併合罪なんじゃないかと考えています。

司法制度改革タウンミーティング イン 東京

http://www.moj.go.jp/oshirase4.html
http://www8.cao.go.jp/town/tokyo161218/index.html

南野 知惠子
佐藤 幸治
住田 裕子
平成13年11月「司法制度改革推進法」が成立し、14年3月「司法制度改革推進計画」が閣議決定され、現在、この計画に基づき[1]国民の期待に応える司法制度の構築(裁判の迅速化、司法ネットの構築など)、[2]人的基盤の拡充(法曹人口の拡大、法科大学院制度の創設など)、[3]国民的基盤の確立(裁判員制度の創設など)を3本柱として改革を進めています。
 今回の司法制度改革について、国民の皆様のご意見や疑問などをうかがうことにより、改革に対する理解を深めていただくとともに広く周知することを目的として東京都千代田区において「司法制度改革 タウンミーティング イン 東京」を開催します。

「対償供与の約束」は外形的形式的判断でいいか?

 騙したり、脅したりされた場合でも児童買春罪の対償供与の約束は認められるというのが高裁レベルの判断です。大阪高裁H15.9.18等

 最近見た事例では「被害者が情緒不安・多重人格」というのもありました。
 これが被害者でなく、被告人側の事情なら、飛び付いて責任無能力を主張するところ。
 別に、被告人がそれに乗じてということではないんですが、「真摯な承諾」があったとは言い難く、買春罪の行為類型から外れるような気がしました。