児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ製造罪・被害児童6歳 執行猶予 贖罪寄付

 起訴状には被害者氏名があったのですが、判決では抜けました。弁護人は「被害者はいない」という主張をしていますので、その影響を受けた。

 国内で行えば、強制わいせつ罪なんでしょうが、たまたま犯罪地が国外であったこと、被害児童の母親が営業として行っており告訴が出ないこと等、強制わいせつ罪は立件されませんでした。
 もともと半裸で暮らしているとのことで、大阪府警撮影の被害児童の写真も半裸でした(これまた児童ポルノ)。

 大阪府警は国外捜査を行い、警察庁長官賞を受賞したとのこと。


第176条(強制わいせつ)
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上七年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

大阪地方裁判所H14.4.26
判       決
 上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官加藤幸裕出席の上審理し,次のとおり判決する。

主        文
被告人を懲役  に処する。
この裁判確定の日から  年間刑の執行を猶予する。
ネガフィルム2本を没収する。
訴訟費用は被告人の負担とする。

理        由
(罪となるべき事実)
 被告人は,児童ポルノを販売する目的で,カンボディア王国時間の平成12年6月14日ころ,カンボディア王国プノンペン市ド地域ス区74番通り2154番所在の通称置屋において,当時6歳の児童をして,同児童が18歳に満たないことを知りながら,全裸又は半裸の姿で両脚を所かせカメラに向かって性器を露出させるなどし,その姿態を写真撮影した上,同日,同市カ地域モ通り番所在の写真現像所において,上記撮影に係る衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである写真70枚を撮影したフイルムを現像し,もって,児童ポルノを製造した。
(補足説明)
1 被告人は,販売目的がなかったと公判において主張するが,被告人の捜査段階での供述などによれば,(1)被告人は以前から児童の裸体写真等に強い関心があり,自分でも撮影することを思い立ったが,外国などでは相当高額で取引されていると知り,自分の趣味だけでなく売ることにすれば現在の収入よりも実入りがいいなどと考えるようになった,(2)インターネットのホームページを利用し,画像を送信する方法で取引することも考えたが,発覚しやすいと思うようになり,(3)ネガをスキャナーでパソコンに取り込んで自分用に保存し,ネガそのものを販売することに予定を変え,そのためにリバーサルフィルムを使用する土とにし,(4)平成11年2月のカンボディア旅行の際も知り合った日本人から「ロリコン写真を撮れる,高く売れる」などと聞かされ,平成12年3月に約26万円を出して撮影機材を購入し,(5)本件を含めて数回カンボディアなどに旅行しており,渡航滞在費用や機材購入費や児童やその親に渡す撮影報酬などで多額の金がかかり,貯金も乏しくなっているため,金が不足したり機会があればネガを売って,旅費などに充てたいと考えていたことが認められる。被告人のこの点の供述は具体的であり,連日にわたって多数の児童の姿態を本件事実を含め多数枚撮影していることや本件当時の被告人の生活経済状況等に照らしても,自然であって信用できる。
 被告人は,本件撮影の主目的は自分の趣味を満足させるためであると公判で供述し,また,販売の具体的な時期や相手方が決まっていなかったことも静められるが,これらの事情があったとしても被告人の、販売目的は否定されない。

2 弁護人は,(1)本件のような写真は「性欲を興奮させ又は刺激する」との要件を満たさない,(2)写真を焼き付けず現像までを行ったにすぎない本件行為は製造に当たらない,(3被害者及びその母親の承諾があり,犯罪成立を阻却する,などと種々の主張をしている。しかし,(1)本件写真は,判示のとおり,単なる裸体でなく両脚を開かせ性器を露出させた蕎骨な描写をしており,一般人の性欲を興奮させ又は刺激する内容といえる。(2)撮影行為それ自体で既に被撮影児童の心身に有害な影響を与えており,十分に可罰性が認められる。そして,撮影によって記録として作出されれば,現像や焼き付け等はその後行うことが比較的容易であり,
 現像あるいは焼き付け前でも流通が可能であっ七,児童一般の心身の成長に悪影響を及ぼす危険性もあるといえる。なお,本件では,現像まで行われているところ,撮影,現像及び焼き付けは製造の一連の過程というべきであり,撮影及び現像を製造行為と認定した。(3)本件児童は僅か6歳であり,真摯な承諾があったと評価することは困難であるし,児童ポルノの製造等が描写された児童の心身に有害な影響を与え児童一般の心身の成長に重大な影響を与えることに鑑みこれを処罰する法の趣旨に照らしても,犯罪成立を阻却するとは考えられない。弁護人のその他の主張も理由がないことが明らかである。

(量刑の理由)
 本件は,児童の裸体写真に強い関心を持っている被告人が,趣味に止まらず販売することも考え・東南アジアの幼い少女のポルノ写真を撮影し,、現像したところで検挙された国外犯の事案である。 被告人は,自らの趣味と合わせて経費を捻出するなどを考えていたとはいえ販売利得目的も持って,児童を自己の欲望の対象とし,
その児童や社会の一般児童に悪影響を及ぼす行為を敢えてしたものであり,再犯のおそれも否定できず,厳しい処罰を科することが必要である。
 ただし,被告人は,現在は自己の行為が児童に多大の迷惑を及ぼすものであることを理解し、今後は本件に類する行為をしないと約束し,反省の情が窺われ,50万円の購罪寄付もしていること,被告人にはさしたる前科がなく,父親も監督を約束していることなども考慮し,量刑した。

「逮捕されない方法」「逮捕されるでしょうか?」という相談について 著作権法違反・児童ポルノ・児童買春・不正アクセス

 刑事訴訟法上の逮捕の要件は
① 被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
② 明らかに逮捕の必要がないと認めるときでないこと
であって、
逮捕されないのは、①②のいずれかが欠ける場合である。

 著作権法違反にしても児童ポルノにしても児童買春にしても不正アクセスにしても、犯人が単独で行う犯罪ではなく、必ず、被害者や相手方・サーバー管理者等という他者が存在するから、罪を犯してしまえば、完全に痕跡を残さないで犯行するというのは無理である。罪を犯せば、逮捕の理由はそろってしまう。

 とすると、逮捕されないようにするには、②の逮捕の必要性を減殺するか、何もしないで待つ(生涯発覚しない可能性に賭ける)しかない。
 弁護士が説明できるのはここまでである。
 後は、運を天に任せるとか、祈るとか、占うとか、弁護士の専門外である。

 なお、一般的に、ネット犯罪は証拠の揮発性が高いから、証拠隠滅のおそれは容易に認定できる。逮捕の必要性が高い。警察に端緒を捕まれると、逮捕されないのは至難の業である。早期の弁護人選任が望ましい。


http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/bunken.htm
 なお、逮捕するためにはある程度の証拠が必要であって、犯行は行われたが、証拠が無ければ逮捕も起訴も処罰されないことになる。いまさらそれを狙うというのは困難であろう。(故意に証拠隠滅することは犯情を悪化させるのでやめて欲しい。) 祈るしかない。

刑事訴訟法
第199条〔逮捕状による逮捕〕
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
②裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
③検察官又は司法警察員は、第一項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。

盗撮行為の擬律〜軽犯罪法1条23号「窃視罪」・迷惑条例

 盗み撮る行為は、軽犯罪法では「窃視罪」というんですが、犯人が、撮影した画像を見ていなくても既遂。撮影時既遂説。

 迷惑条例はどうなんでしょうか?法律家には同一文言同一解釈という習性がありますから、同じだと思います。
 手鏡で見た場合は、撮影じゃないので、現実に見てないとだめなんでしょうが、被害者保護の趣旨とか、取り締まりの都合で、やや拡大解釈される可能性があります。

参考文献
普通のカメラによる写真撮影行為につき、伊藤栄樹・軽犯罪法171頁、伊藤卓蔵・軽犯罪法71頁、警察庁刑事局判例中心特別刑法33頁
(過料9000円 懲戒免職 裁判官夏井高人)
【事件番号】気仙沼簡易裁判所判決/平成3年(ろ)第12号
【判決日付】平成3年11月5日
1 被告人の本件犯行は、スーパーマーケットの来客用女子便所内に入りこみ、隣の便所との間の仕切板の下側にある約六センチメートルの隙間から便所内の女性の排泄行為を撮影すべく、八ミリビデオカメラをセットして床に置き、その姿態を撮影録画したというものであり、被告人が直接肉眼で隣の便所内をのぞきこんだわけではない。しかしながら、軽犯罪法一条二三号は、プライバシーの権利の保護を目的とするものであるところ、実質的に見て、肉眼による場合とビテオカメラを用いた撮影録画による場合とで、プライバシーの侵害の有無に何らかわりはない。むしろ、肉眼による場合には、便所をのぞきこんだ犯人の記憶も希薄化し消滅することがあり得るのに奔し、便所内の女性の姿態等が録画されたビテオテープは、何度でもそれを再生することが可能であるばかりか、録画したテープを多数複製することが可能であるので、それによる被害が広がってゆくことがあり得るのであり、ビテオカメラによる撮影録画によるプライバシー侵害の程度は、肉眼によるのぞきこみ行為よりも著しいものというべきである。
他方、軽犯罪法一条二三号は、犯人の行為の動機及び行為の結果としての好奇心の満足等を犯罪構成要件とはしておらず、単に、のぞきこみ行為が存在し、それによって被害者のプライバシー侵害の結果が発生すれば、犯罪として既遂に達するものと解すべきである。ところで、本件では、被告人は、ビテオカメラで録画した内容を再生して見る前にスーパーマーケット従業員に犯行ヲ発見され、取り押さえられたため、その録画内容を見ないままであるが、隣の便所内の様子の録画行為それ自体によって被害者のプライバシー侵害が発生している以上、被告人の本件犯行は、既遂に達していると判断する。
 したがって、被告人の本件犯行は、軽犯罪法一条二三号所定の便所内をひそかにのぞきこむ行為の既遂罪に該当するものと判断する。
【参考文献】判例タイムズ773号271頁


大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
http://www.police.pref.osaka.jp/sogo/law/04_1.html
(卑わいな行為の禁止)
第6条
 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
二 人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着を見、又は撮影すること。
三 みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。
四 みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影すること。
五 前各号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさえるような卑わいな言動をすること。
第11条
 次の各号の一に該当する者は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一 第2条の規定に違反した者
二 第6条の規定に違反した者
2 常習として前項の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

軽犯罪法
第1条〔軽犯罪〕
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

大阪府警察少年警察活動規程

児童買春、児童ポルノについても規定があります。

(福祉犯に係る活動)
第52条 福祉犯(児童買春(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第2項に規定する児童買春をいう。)に係る犯罪、児童にその心身に有害な影響を与える行為をさせる犯罪その他の少年の福祉を害する犯罪であって警察庁長官が定めるものをいう。以下同じ。)を認知したときは、時機を失することなく、捜査を行うものとする。
2 前項の場合において、本部長又は署長は、少年警察部門以外の部門において行う福祉犯に係る事件の捜査であっても、少年警察部門の警察官又は少年補導職員が捜査し、又は調査している事件又は事案と密接な関係がある場合等においては、必要に応じ、少年警察部門において当該福祉犯に係る事件を捜査させるよう配意するものとする。
3 警察官等は、福祉犯の被害少年について、再被害に遭うことを防止するため、保謹著その他関係者に配慮を求め、及び関係機関への連絡その他の同種の犯罪の発生を防止するための必要な措置をとるものとする。


大阪府警察本部訓令第1号
大阪府警察少年警察活動規程を次のように定める。
平成15年1月31日
大阪府警察本部長
警視監 鎌原 俊二
大阪府警察少年警察活動親程
大阪府警察少年警察活動規程(平成13年大阪府警察本部訓令第30号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条一第6粂)
第2章 一般的活動
第1節 非行少年等の早期発見(第7条)
第2節 街頭補導(第8粂一策10条)
第3節 少年相談(第11粂・第12条)
第4節 少年の規範意識の啓発等(第13粂・第14粂)
第5節 有害環境の排除(第15粂・第16条)
第3章 少年の非行の防止のための活動
第1節 非行少年に関する通則(第17条一第27条)
第2節 犯罪少年事件の捜査(第28条一策33粂)
第3節 触法少年事案の調査(第34粂一第41条)
第4節 ぐ犯少年事案の調査(第42粂一第44粂)
第5節 不良行為少年の補導(第45粂・第46条)
第4章 少年の保護のための活動
第1節 被害少年の保護(第47粂一第49粂)
第2節 要保護少年の保護(第50条一第53粂)
第5章 記録(第54条一第57条)
第6章 逃走者の連戻し(第58条・第59条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号)によるほか、大阪府警察における少年の非行の防止及び保護を通じての少年の健全な育成を図るための警察活動(以下「少年警察活動」という。)に閲し必要な事項を定めるものとする。
(用語の定義)
第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)少年 少年法(昭和23年法律第168号)第2条第1項に規定する少年をいう。
(2)犯罪少年 少年法第3条第1項第1号に掲げる少年をいう。
(3)触抵少年 少年法第3条第1項第2号に掲げる少年をいう。
(4)ぐ犯少年 少年法第8粂第1項第3号に掲げる少年をいう。
(5)非行少年 犯罪少年、触法少年及びぐ犯少年をいう。
(6)不良行為少年 非行少年には該当しないが、飲酒、喫煙、深夜はいかいその他自己又は他人の徳性を害する行為(以下「不良行為」という。)をしている少年をいう。
(7)被害少年 犯罪その他少年の健全な育成を阻害する行為により被害を受けた少年をいう。
(8)要保護少年 児童虐待児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待をいう。以下同じ。〉 を受けた児童(満18歳に満たない者をいう。以下同じ。)、保護者のない少年その他の児童福祉法(昭和22年法律第164号)による福祉のための措置又はこれに痛する保護のための措置が必要と認められる少年(非行少年に該当する少年を除く。)をいう。
(9)保護者 少年法第2条第2項に規定する保護者をいう。
(少年警察活動の基本)
第3条 少年警察活動を行うに際しては、次に掲げる事項を基本とする。
(1)少年の健全な育成を期する精神をもって当たるとともに、少年の規範意識の向上及び立ち直りに資するよう配意すること。
(2)少年の心理、生理その他の特性について、深い理解をもって当たること。
(3)少年の非行、犯罪被害等の事実の究明はもとより、少年の性行及び環境を深く洞察し、非行、犯罪被害等の原因の解明に努め、少年ごとにその非行の防止及び保護を図る上で最も適切な処遇の方法を講ずるようにすること。
(4)少年その他の関係者が、少年事件の捜査等により知り得た秘密の潤えいについて不安を抱かないよう、秘密の保持に配意すること。
(5)少年の非行の防止及び保掛こ関する条約の採択、国際会議の開催その他の国際的な動向に十分配慮すること。
(関係機関等との連携等)
第4条 少年警察活動は、府、市町村、学校、家庭裁判所検察庁児童相談所その他の少年の健全な育成に関する業務を行う機関(以下「関係機関」という。)のほか、児童委貞、保護司その他の少年の健全な育成に関する活動を行うボランティア又は団体(以下「関係団体」という。)等と緊密に連携し、適切な役割分担の下に行うものとする。
2 警察官及び少年補導職員(以下「警察官等」という。)は、前項の場合において、少年警察ボランティア(公安委員会又は警察本部長(以下「本部長」という。)若しくは警察署長(以下「署長」という。)の委嘱を受けて少年の非行の防止又は保護のための活動に当たる者をいう。)がその役割を果たすことができるよう必要な指導及び支援を行うものとする。
(基礎資料の整備及び活用)
第5条 少年警察活動においては、常に少年の非行及び犯罪被害並びに少年に有害な環境の実態に関する資料その他の少年警察揺動に関する基礎的な資料を整備し、及び活用するように努めるものとする。
(所属長の責務)
第6桑 所属長は、所属職員に対し、第3条各号に掲げる少年警察活動の基本を理解するよう、適切かつ効果的な指導・教養を行うものとする。
2 少年警察活動の効果的な運営及び適正な実施が図られるよう、少年課長及び署長にあっては
少年課又は警察署少年係(防犯少年係を含む。以下同じ。)(以下「少年警察部門」という。)とその他の警察部門との、その他の所属長にあっては自所属と少年警察部門との緊密な連携を保たせるものとする。
第2章 一般的活動
第1節 非行少年等の早期発見
第7条 警察官等は、少年の非行の防止又は保護に資するため、街頭補導(道路、駅その他の公衆が出入りすることができる場所(以下「公共の場所」という。)又は風俗営業の営業所その他の少年の非行が行われやすい場所において、非行少年、不良行為少年、被害少年及び要保護少年を発見し、必要に応じその場で、第17条、第45糸1項、第47条又は第50条に規定する捨置をとる活動をいう。以下同じ。)及び少年相談(少年の非行の防止又は保誠に関する相談をいう。以下同じ。)を適切に実施するほか、あらゆる職紡の執行の機会をとらえ、非行少年、不良行為少年、被害少年及び要保護少年を早期に発見するよう努めるものとする。
第2節 街頭補導
(街頭補導の実施)
第8条 街頭補導については、あらかじめ日時、場所及び実施要領について計画を立て、班を編成して行う等効果的に実施するように努めるものとする。この場合においては、必要に応じ、関係機関、関係団体等と協働して行うよう配慮するものとする。
(街頭補導の種別)
第9条 街頭補導の種別は、次のとおりとする。
(1)通常補導 警ら、巡回連絡、交通取締りその他の日常の業務を通じて行うものをいう。
(2)特別補導 少年課長文は署長が日時及び場所を指定し、自所属の警察官又は少年補導職員をもって行うものをいう。
(3)集中補導 生活安全部長が日時及び場所を指定し、2以上の所属の少年警察部門の警察官又は少年補導職員をもって行うものをいう。
(4)一斉補導 生活安全部長が日時及び地域を指定し、2以上の所属の警察官又は少年補導職員をもって行うものをいう。
(5)合同補導 警察官又は少年補導職員が関係機関又は関係団体の職員等と合同で行うむのをいう。
(街頭補導上の留意事項)
第10条 警察官等は、街頭補導の実施に当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。
(j)警察手帳その他身分を証明するものを提示する等して自らの身分を明らかにするほか、相手方の権利を不当に害することのないように配意すること。
(2)少年に対し、事情の聴取、注意、助言、指導等を行う場合は、人目につかないように配意すること。
(3)公共の場所以外の場所で街頭補導を行うときは、当該場所の管理者の同意を得ること。
(4)合同補導を行う場合においては、少年の性別、行為、態度等に応じ、関係機関又は関係団体の職員等がそれぞれの特性及び役割を生かして、事情の聴取、注意、助言、指導等を行うよう配意すること。
第3節 少年相談
(少年相談の処理)
第11条 少年相談を受けたときは、大阪府警察広聴相談取扱規程(平成13年大阪府警察木部訓令第21号)に定めるところにより適切に処理するものとし、その受理に当たっては、警察施設において行うほか、必要に応じ、少年相談を申し出た者が気軽に出入りすることができ、又は落ち着いて相談することができる適当な場所に出向いて行うことを考慮するものとする。
(継続補導の実施)
第12条 少年相談に係る少年について、その非行の防止を図るため特に必要と認められる場合は、保護者の同意を得た上、家庭、学校、交友その他の環境について相当の改善が認められるまでの間、当該少年に対する継続的な助言、指導その他の補導(以下「継続補導」という。)を行うものとする。この場合において、継続補導の要否は、少年課長又は署長が指揮するものとす
る。
2 継続補導は、少年課の警察官又は少年補導職員が行うものとする。ただし、警察署少年係の警察官が継続補導を行うことが適切であると認められる場合は、少年課の警察官又は少年補導職員の指導の下に、警察署少年係の警察官が行うものとする。
3 少年警察部門の警察官及び少年補導職員は、継続補導の適切な実施のため必要と認められる場合は、保護者の同意を得た上で、関係機関又は関係団体の職員等その他適当と認められる者と協働して継続補導を行うものとする。
4 前3項に定めるもののほか、継続補導の実施に閲し必要な事項は、生活安全部長が別に定める。
第4節 少年の規範意識の啓発等
(少年の社会参加活動等の実施)
第13条 少年の規範意識の向上又は社会の一点としての意識のかん養に資するため、広く少年の参加を得て行うボランティア活動等の社会奉仕を体験させるための活動、柔道、剣道等のスポーツ活動等(以下「少年の社会参加活動等」という。)を実施するものとする。
2 少年の社会参加活動等については、関係機関、関係団体等との適切な役割分担の下に、少年警察活動に関する知見、警察官等の能力その他警察業務の専門性を生かして、効果的な実施に努めるものとする。
(情報の発信)
第14条 少年の規範意識を啓発し、少年の非行の防止及び保掛二関する府民の理解を深め、並びに関係機関又は関係団体が行う少年の健全な育成のための活動等を促進し、及び支援するため、少年の非行及び犯罪被害の実態並びに少年警察活動の状況等に関する情報を積樋的に発信するものとする。この場合においては、少年、供述者、学校の教員、少年の雇用主若しくはこれに代わるべき者又は関係機関若しくは関係団体を対象とした別に定める犯罪防止教室等の実施、関係機関又は関係団体との協議会の開催、関係機関又は関係団体が開催する講習会等への協力その他の適切な方法により、少年警察活動に関する知見が少年の健全な育成に反映されるよう、効果的な実施に努めるものとする。
第5節 有害環境の排除
(有害環境の発見時の措置)
第15粂 少年の心身に有害な影響を与えると認められる図書頬、がん具頬、広告物、営業その他の環境(以下「有害環境」という。)を発見したときは、法令の特別の定めによるほか、当該有害環境について関係のある機関に通報する等当該有害環境を排除するための適切な措置を講ずるものとする。
(有害環境の排除等のための自主的活動に対する配慮)
第16森 広報啓発その他の地域における民間公益活動、酒煩販売業者等の事業者による顧客の年齢確認その他の民間の自主的な活動等有害環境を排除し、又は少年に対する有害環境の影響を防止するための活動に対しては、その求めに応じ、必要な支援又は協力を行うよう配慮するものとする。
第3章 少年の非行の防止のための活動
第1節 非行少年に関する通則
(非行少年に係る活動)
第17条 非行少年については、犯罪少年に係る事件(以下「犯罪少年事件」という。)の捜査並びに触法少年に係る事案(以下「触法少年事案」という。)及びぐ犯少年に係る事案(以下「ぐ犯少年事案」という。)の調査を行うほか、当該少年の適切な処遇に資するため必要な範囲において、時機を失することなく、当該少年又はその保近著に対する助言そ甲他必要な措置を講ずるものとする。
(非行少年に係る事案の捜査又は調査の担当部門)
第18条 犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査については、少年の特性に配意しつつ、個々の少年の適切な処遇に努めなければならないことにかんがみ、少年警察部門の警察官又は少年補導職員が行うものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する犯罪少年事件の捜査及び触法少年事案の調査については、この限りでない。
(l)成人の被疑者を主とする事件に閑適する犯罪少年事件
(2)捜査上複雑かつ重要な犯罪少年事件であって、少年警察部門以外の部門の警察官に捜査させることが適当であると認められるもの
(3)道路交通関係法令に違反する犯罪少年事件又は触法少年事案
(4)交通事故に係る刑法(明治40年法律第45号)第208条の2又は第211条第1項の罪に該当する犯罪少年事件又は触法少年事案
(5)出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)その他の特殊な法令に違反する犯罪少年事件又は触法少年事案
2 本部長は、前項ただし書の規定により、少年課以外の警察本部(以下「本部」という。)の所属の警察官に犯罪少年事件の捜査又は触法少年事案の調査を行わせるときは、少年の適切な処遇を図るため、当該所属に少年課と常に緊密な連携を保たせるほか、必要があると認めるときは、少年の取調べ又は調査を少年課の警察官に行わせることについても配意するものとする。
3 署長は、第1項ただし書の規定により、少年係以外の係の警察官に犯罪少年事件の捜査又は触法少年事案の調査を行わせるときは、少年の適切な処遇を図るため、当該係に少年係と常に
緊密な連携を保たせるほか、少年の取調べ又は調査を少年係の警察官に行わせるよう配意するものとする。
(非行少年に係る事案の指揮)
第19条 署長は、犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査に関しては、大阪府警察捜査指揮規程(昭和32年大阪府警察本部訓令第15号)別表第3に掲げる事項のほか、次の事項を指揮するものとする。
(1)逮捕、留置その他の強制の措置(以下「強制措置」という。)及びその解除の要否を決定すること。
(2)送致(送付を含む。以下同じ。)又は通告その他の措置を決定すること。
(3〕送致又は通告に際して付すべき処遇上の意見(以下「処遇意見」という。)を決定すること。
第20条 少年課及び警察署に少年事件選別主任者及び少年事件選別補助者を置く。
2 少年事件選別主任者は、少年課にあっては少年課課長補佐を、警察署にあっては生活安全課長(生活安全刑事課長を含む。)をもって充てる。
3 少年事件選別補助者は、少年課にあっては少年課係長を、警察署にあっては少年係長(防犯少年係長を含む。)をもって充てる。
4 少年事件選別主任者は、第26条第4項の規定により意見を聴かれた場合において、同条第3項各号に掲げる事項を勘案の上、同条第l項の措置区分の選別及び同条第2項の処遇意見の決定に関して意見を述べるほか、少年の適切な処遇を図るための事務を行うものとし、少年事件選別補助者は、少年事件選別主任者の行う事務を補助するものとする。
(年齢の確認)
第21条 犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査を行うに当たっては、刑法、少年接及び児童福祉法の適用に過誤のないようにするため、行為時における当該少年の正確な年齢を確認し、及び捜査又は調査の過程において常に現在の正確な年齢を確認するものとする。
(捜査又は調査上明らかにすべき事項)
第22条 犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査を行うに当たっては、次に掲げる事項について明らかにするものとする。
(1) 事案の存否及び態様
(2)事案の原因及び動機
(3)当該少年の性格、経歴、行状及び教育程度
(4)当該少年の家庭、学校、職場及び交友の関係
(5)当該少年の居住地の環境
(6)当該少年の非行の防止及び立ち直りに協力することができると認められるボランティアの有無
(7)前各号に掲げるもののほか、必要と認められる事項
(捜査又は調査上の留意事項)
第23条 犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査を行うに当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1)送致又は通告の措置をとるべきか密かの決定、非行少年の処遇並びに当該少年の健全な育成及び立ち直りに賛するために必要な限度の捜査又は調査にとどめ、みだりに関係者のプライバシーを侵害することのないようにすること。
(2)近親者その他少年について事情を知っていると認められる者の協力を求めること。
(3)先入観にとらわれ、又は推測にわたることなく、正確な資料を収集すること。
(4)少年の健全な育成及び被害者の心情に配意し、迅速な捜査又は調査に努めること。
(発表上の留意事項)
第24条 犯罪少年事件、触法少年事案文はぐ犯少年事案(以下「非行少年事案」という。)に関し、新聞その他の報道機関への発表は、当該事件又は事案を主管する部長若しくは署長又はこれらの者が指定する暑が行うものとする。
2 前項に規定する場合においては、当該少年の氏名及び住所並びに学校名、会社名その他の当該少年を推知することができるような事項又は当該少年の写真を発表し、又は提供してはならない。
(呼出し又は面接上の留意事項)
第25条 犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査を行うに当たって、当該少年を呼び出し、又は当該少年と面接(犯罪少年の取調べを含む。以下この粂において同じ。)をする場合は、当該少年の保護者又はこれに代わるべき者(以下「保護者等」という。)に連絡するものとする。ただし、連絡することにより、当該少年とその保護者との信頼関係を損なうおそれがある場合、逃亡又は証拠隠滅のおそれがある場合その他連絡することが
不適当であると認められる場合は、この限りでない。
2 犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査を行うに当たって、当該少年を呼び出す場合においては、当該少年が無用な不安を抱かないようにするため、次に掲げる事項に留意するものとする。
(l)学校又は職場に直接呼出しの連絡をすることは、できる限り避けること。
(2)授業中又は就業中に呼び出すことは、できる限り避けること。
(3)制服を着用した警察官が呼出しに行くことは、できる限り避けること。
(4)警察施設に呼び出すよりも、警察施設以外の施設に呼び出し、又は警察官等が自ら家庭、学校、職場等へ出向くことが適当であると認められる場合は、その方法によること。
(5)呼出しは、できる限りその用件を明らかにした書面により行い、かつ、保護者の納得を得て行うように努めるとともに、必要に応じ、近親者の同道を依頼する等、協力と信頼を得られるように努めること。
3 犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査を行うに当たって、当該少年と面接をする場合においては、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1)できる限り授業中若しくは就業中又は夜間の遅い時刻を避けるとともに、長時間にわたることのないようにすること。
(2)事務室その他一般人の出入りが多く、他人の耳目に触れるおそれがある場所を避け、少年が落ち着いて話せるような適当な場所を選定し、又は設備すること。
(3)やむを得ない場合を除き、少年に同道した保護者その他適切な者を立ち会わせること。
(4)少年の年齢、性別、性格、職業等に応じて、分かりやすい言葉を用いること。
(5)少年の話のよい聞き手となり、虚言、反抗等に対しても、一方的にこれを押さえつけようとせず、その原因を理解することに努めるとともに、少年の内省を促し、その立ち直りに資するように努めること。
(6)面接を終える際には、少年及び保護者等の懸念の有無を確かめ、必要に応じ、助言その他の措置を講じて、少年及び保護者等の不安を除去し、信頼を得られるように努めること。
4 犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査を行うに当たって、当該少年の保護者を呼び出す場合においては、当該保諺者が当該少年に係る事件又は事案に関して警察から呼び出されたことが周囲の者に分からないように配意するものとする。
5 犯罪少年事件の捜査並びに触法少年事案及びぐ犯少年事案の調査を行うに当たって、当該事件又は事案の被害者その他の参考人として少年を呼び出し、又は少年と面接をする場合においては、第1項から第3項までに規定する事項に配意するほか、呼出し又は面接に伴う心理的な負担を軽減するように努める等当該少年の心情に配意するものとする。
(措置区分の選別及び処遇意見)
第26条 非行少年事案について、送致又は通告の措置をとるべきか否か、並びに犯罪少年事件の送致をする場合においては通常送致又は簡易送致のいずれによるべきか、及び送致又は通告をする場合においてはいずれの機関に行うべきかを的確に選別するものとする。
2 非行少年事案の送致(簡易送致をする場合を除く。)又は通告をする場合においては、最も適切と認められる処遇意見を付するものとする。
3 第1項の規定により措置区分を選別し、及び前項の規定により処遇意見を決定するに当たっては、次に掲げる事項を勘案して行うものとする。この場合において、第3号に掲げる事項については、捜査又は調査の結果から客観的に判断するものとし、通常送致又は簡易送致の選別に当たっては、罪種、被害の程度等の形式的な要件のみで判断することなく、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況、居住地の環境等から再犯のおそれ等を総合的に判断するものとする。
(1)事案の態様
(2)非行の原因及び動機
(3)少年の再非行のおそれ
(4)少年の保護者の実情、少年の非行の防止及び立ち直りに関する保護者の方針及び意向並びに関係機関及び関係団体の意見
(5)前各号に掲げるもののほか、必要と認められる事項
4 第1項の規定により措置区分を選別し、及び第2項の規定により処遇意見を決定しようとする場合においては、少年事件処遇検討結果票(別記様式第1号)を作成の上、少年事件選別主
任者の意見を聴くものとする。ただし、道路交通関係法令達反に係る犯罪少年及び触法少年並びに交通事故に係る刑法第208条の2又は第211粂第1項の罪に係る犯罪少年及び触接少年については、適切な処遇を図るため特に必要と認められる少年を除き、この限りでない。
(送致又は通告に際しての留意事項)
第27条 非行少年事案の送致又は通告に当たっては、必要に応じ、少年及びその保護者等に対して、送致又は通告の趣旨について説明し、及び今後特に留意すべき事項について助言するものとする。
2 前項の場合において、在宅のまま、送致又は通告をする少年について、将来における非行のおそれが大きいと認められるときは、送致又は通告をする機関に対し、速やかに少年法又は児童福祉法の規定による措置がとられるよう連絡するものとする。
第2節 犯罪少年事件の捜査
(強制措置の制限)
第28条 犯罪少年セあっても、できる限り強制措置を避けるものとする。
2 署長は、犯罪少年の強制措置を決定する場合においては、当該少年の年齢、性格及び非行歴、犯罪の態様等から当該少年に及ぼす精神的影響を勘案して判断するものとする。
3 犯罪少年の強制措置を執行する場合においては、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1)少年を留直する場合は、少年接第49条第1項及び:披疑者留置規則(昭和32年国家公安委員会規則第4号)第12条第2項の規定に基づき、成人と分離し、かつ、原則として各別に収容すること。
(2)少年を留置したときは、原則として、速やかにその保護者等に連絡すること。
(3)執行する時期、場所、方法等について慎重に配意し、少年の心情を傷つけることのないようにすること。
(身体の拘束を受けていない犯罪少年の指紋の採取等)
第29条 身体の拘束を受けていない犯罪少年についての指紋及び掌紋の採取並びに写真の撮影は、犯罪捜査のため必要やむを得ない場合で、本人の承諾を得たときに限り行うものとし、あわせて、少年の心情を傷つけることのないよう、その時期、場所、方法等について慎重に配意するものとする。
親告罪等に関する措置)
第30条 親告罪である少年の犯罪について、被害者その他の告訴することができる者(以下「被害者等」という。)が告訴しないことが明らかになった場合においても、将来における非行の防止上必要があると認めるときは、犯罪少年として送致をすることをも考慮して所要の措置をとるものとする。この場合においては、みだりに被害者等を呼び出す等被害者等の心情に反する措置をとることは避けるようにするとともに、送致する機関によってもみだりに呼び出されることのないよう当該機関に連絡することに留意するものとする。
2 刑法第92条第1項に規定する罪又は同法第105条、第244条第1項(同法第251条及び第255において準用する場合を含む。)若しくは第257条第1項の規定により刑を免除される罪に当たる少年の犯罪についても、前項と同様とする。
(余罪の捜査)
第31条 犯罪少年に関する余罪の捜査に当たっては、迅速・的確に行うほか、当該少年の内省を促し、その立ち直りを図るとともに、将来における非行のおそれの判断に資するよう配意するものとする。
(事件に関する書類の作成等)
32条 捜査の結果、犯罪少年であることが判明した場合においては、当該少年の犯行の原因及び動機並びに犯行前後の状況等犯罪事実の存否及び犯罪の情状を立証するために必要な事項については犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2卓。以下「規範」という。)第177粂から第182条までに定めるところにより当該少年又は当該少年に係る事件の参考人の供述調書その他の捜査書類を、その他の事項については身上調査票(規範別記様式第18号)を作成するものとする。
2 犯罪少年事件の送致(道路交通関係法令避反に係る事件及び交通事故に係る刑法第208条の2又は第211条第1項の罪に係る事件の送致並びに簡易送致を除く。)をするときは、少年事件処分結果通知書(大阪府警察指紋等取扱規程(平成10年大阪府警察本部訓令第29号)別記様式第6号)を添付するものとする。
(所持させておくことが不適当な物件の措置)
第33条 犯罪少年事件の捜査を行うに当たって、法令の規定により当該少年が所持する物件を押収する場合を除き、その非行の防止上所持させておくことが適当でないと認められる物件を当該少年が所持していることを発見したときは、所有者その他の権利者に返還させ、保護者等に預けさせ、当該少年に廃棄させる等当該少年が当該物件を所持しないように注意、助言等をするものとする。この場合においては、受領書(別記様式第2号)を徴する等その措置を明らかしておくものとする。
第3節 触法少年事案の調査
触法少年発見時の報告等)
第34条 警察官等は、触法少年を発見したときは、触法少年・ぐ犯少年・要保護少年発見報告書(別記様式第3号)を作成し、所属長に速やかに報告するもめとする。
2 本部の所属長は、前項の規定による報告を受けた場合は、当該報告に係る触法少年を発見した場所を管轄する警察署の署長に、速やかに当該少年に係る触法少年・ぐ犯少年・要保護少年発見報告書を送付し、事後の措置を引き継ぐものとする。
(通告)
第35条 触法少年児童相談所又は福祉事務所(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第14条に規定する福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)に通告するときは、児童通告書(規範別記様式第20号)を作成し、要保護児童措置結果通知書(別記様式第4号)に必要事項を記載してこれを添付して行うものとする。この場合において、当該触法少年に閲し刑罰法令に触れる行為が多数あって、かつ、必要があると認められるときは、触法事実一覧表(別記様式第5号)も添付するものとする。
2 前項の場合において、児童通告書を作成するいとまがないと認められるときは、口頭又は電話によって通告することができる。この場合においては、通告後遅滞なく児童通告票を作成し、要保誠児童指定結果通知書を添付して送付するものとする。
(一時保護)
第36条 通告した触法少年について、児童福祉法第33条の規定により児童相談所長から一時保護の委託を受けたときは、大阪府警察要保誠者保護規程(昭和36年大阪府警察本部訓令第24号。以下「保謹規程」という。)に定めるところにより一時保護をするものとする。
(審判に必要な物件等の措置)
第37条 触法少年事案の調査を行うに当たって、当該少年が少年法第24条の2第1項各号のいずれかに該当する物件その・他の家庭裁判所の審判に必要と認められる物件を所持していることを発見したときは、当該少年の同意を得た上、当該物件を一時預かるものとする。この場合においては、預り書(別記様式第6号)を作成するほか、当該少年の保護者に係る申述書(別記様式第7号)を作成する等その措置を明らかにしておくものとする。
2 前項に規定する物件を触法少年以外の者が所持している場合で、事案の処理上特に必要と認められるときは、当該物件を所持している者の協力を得て提出を受けるようにするものとする。この場合においては、任意提出書(別記様式第8号)を徹するものとする。
3 第1項の規定により預かった物件又は前項の規定により提出を受けた物件が家庭裁判所の審判に必要でないことが明らかになった場合において、所有者その他の権利者が判明しているときは、当該権利者に返還するものとする。この場合においては、受領書を徹するものとする。
4 第1項の規定により預かった物件及び第2項の規定により提出を受けた物件(前項の規定により権利者に返還した物件を除く。)については、預り書又は任意提出書を児童通告書に添付して、これを通告する機関に引き継ぐものとする。
(事案に関する書頼の作成等)
第38条 触法少年事案について、通告する機関における処遇に資し、又は補導の適正を期するため、必要があると認められる場今においては、当該少年から答申書を徴するとともに、当該事案の参考人から答申書その他必要な書類を徹し、又は当該参考人に係る申述書その他必要な書類を作成するものとする。
(ぐ犯罪の嫌疑がある事案の措置)
第39条 犯罪の嫌疑がある事案について、当該事案が触法少年事案であると断定できない場合においては、事案の真相を明らかにするための捜査を尽くすものとする。
強制捜査の後に触法少年の事案であることが判明した場合の措置)
第40条 逮捕した少年の行為が14歳末満の時に行われたものであることが明らかになったときは、当該少年を直ちに釈放しなければならない。この場合においても、逮描手続尊及び弁解録取書を作成し、逮捕に伴う手続の過程を明確にするほか、釈放の理由を捜査報告書等により明らかにしておくとともに、当該逮捕手続書には、既に釈放した旨を記載するものとする。
2 捜索等により証拠品を差し押さえた後、当該捜索等に係る事案が触法少年事案であることが判明したときには、直ちに当該証拠品を還付しなければならない。この場合において、還付した物件が第37粂第1項に規定する物件であるときは、同条に定めるところにより措置をとるものとする。
3 既に逮捕状、捜索差押許可状等の令状の発布を得ている事件が捜査の過程において触法少年事案であることが判明したときは、速やかに当該令状を発布した裁判官に返還するものとする。
(準用)
第41粂 第12条の規定は通告すべき者に該当しない触法少年について、第33条の規定は触法少年事案の調査を行うに当たって第37粂第1項に規定する物件以外の物件で少年の非行の防止上所持させておくことが適当でないと認められるものを当該触法少年が所持していることを発見した場合について準用する。
第4節 ぐ犯少年事案の調査
(送致及び通告)
第42条 ぐ犯少年の送致又は通告は、規範第216条に定めるところにより行うものとする。この場合において、家庭裁判所への通告は、通告書.(別記様式第9号)により行うものとする。
(緊急の措置)
第43条 ぐ犯少年として家庭裁判所の審判に付すべきであると認められる少年が緊急に保護しなければならない状態にあって、その補導上必要があると認められる場合は、電話その他の方法により直ちに家庭裁判所に必要な事項を連絡するものとする。この場合においては、事後速やかに通告書により通告するものとする。
2 少年法第13条第2項の規定により同行状を執行する場合において、夜間その他やむを得ない
理由により直ちに指定された場所に同行できないときは、保謹規程第9条に定めるところにより、当該同行状に係る少年を一時収容するものとする。
(準用)
第44条 第12条の規定は14歳未満であって、かつ、通告すべき者に該当しないぐ氾少年について、第33条の規定はぐ犯少年の調査を行うに当たって少年の非行の防止上所持させておくことが適当でないと認められる物件を当該ぐ犯少年が所持していることを発見した場合について、第34条の規定はぐ犯少年を発見した場合について、第36条の規定は通告したぐ犯少年について、第38条の規定はぐ犯少年事薬について準用する。
第5節 不良行為少年の補導
(不良行為少年発見時の報告等)
第45条 警察官等は、不良行為少年を発見したときは、当該少年に対し、不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言又は指導その他の補導を行うものとする。
2 前項の場合において、当該少年の保護者、当該少年が在学する学校の教員又は当該少年の雇用主若しくはこれに代わるべき者に連絡する必要があると認めるときは、少年補導票(別記様
式第10号)を作成し、所属長に速やかに報告するものとする。
3 少年課長以外の本部の所属長は、前項の規定により報告を受けた場合は、当該報告に係る不良行為少年を発見した場所を管轄する署長に、速やかに当該少年た係る少年補導票を送付し、事後の措置を引き継ぐものとする。
4 少年課長及び署長は、第2項の規定により報告を受け、又は前項の規定により送付を受けた少年補導票により、少年事件選別主任者(執務時間外にあっては、当直管理責任者)に保護者への連絡(少年が在学する学校の教貞又は少年の雇用主若しくはこれに代わるべき者に連絡する場合は、保護者及び教員又は雇用主若しくはこれに代わるべき者への連絡)の要否を判断させ、必要な措置をとらせるものとする。
(準用)
第46条 第12条の規定は不良行為少年について、第24粂の規定は不良行為少年に係る事案に閲し報道機関に発表する場合について、第25条第1項から第3項までの規定は不良行為少年の補導を行うに当たって当該少年を呼び出し、又は当該少年と面接をする場合について準用する。
第4章 少年の保護のための活動
第1節 被害少年の保護
(被害少年発見時の支援)
第47条 警察官等は、被害少年を発見したときは、現場における適切な助言、関係機関の紹介、再被害を防止するための助言又は指導その他の当該少年の保護を図るための必要な支援を行うものとする。
(継続的支援の実施)
第48条 被害少年について、その精神的打撃の軽減等当該少年の保護を図る.ため特に必要と認められる場合は、床謹者の同意を得た上、カウンセリングの実施等による当該少年に対する継続的な支援(以下「継続的支援」という。)を行うものとする。この場合において、継続的支援の安否は、少年課長又は署長が指揮するものとする。
2 継続的支援は、少年警察部門の警察官又は少年補導職員が行うものとする。
3 継続的支援を行うに当たっては、臨床心理学、精神医学等の専門家の助言を受ける等して、当該少年の特性に留意するとともに、継続的支援の適切な実施のため必要と認められる場合は、保護者の同意を得た上、関係機関又は関係団体の職員等その他適当と認められる者と協働して行うものとする。
4 前3項に定めるもののほか、継続的支援の実施に閲し必要な事項は、生活安全部長が別に定める。
(準用)
第49条 第24条の規定は被害少年に係る事案に閲し報道機関に発表する場合について、第25条第1項から第3項までの規定は被害少年の保護を図るに当たって当該少年を呼び出し、又は当該少年と面接をする場合について準用する。・
第2節 要保護少年の保護
(通告を行わない安保護少年の保護)
第50粂 警察官等は、児童相談所又は福祉事務所への通告を行わない要保護少年について、保護者等への注意又は助言その他の当該少年の保護を図るための必要な措置をとるものとする。
児童虐待を受けている児童に対する措置)
第51条 警察官等は、児童虐待を受けている児童(そのおそれのある児童を含む。)について、児童相談所その他の関係機関との緊密な連携の下に必要な措置をとるものとする。
(福祉犯に係る活動)
第52条 福祉犯(児童買春(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第2項に規定する児童買春をいう。)に係る犯罪、児童にその心身に有害な影響を与える行為をさせる犯罪その他の少年の福祉を害する犯罪であって警察庁長官が定めるものをいう。以下同じ。)を認知したときは、時機を失することなく、捜査を行うものとする。
2 前項の場合において、本部長又は署長は、少年警察部門以外の部門において行う福祉犯に係る事件の捜査であっても、少年警察部門の警察官又は少年補導職員が捜査し、又は調査している事件又は事案と密接な関係がある場合等においては、必要に応じ、少年警察部門において当該福祉犯に係る事件を捜査させるよう配意するものとする。
3 警察官等は、福祉犯の被害少年について、再被害に遭うことを防止するため、保謹著その他関係者に配慮を求め、及び関係機関への連絡その他の同種の犯罪の発生を防止するための必要な措置をとるものとする。
(準用)
第53条 第34条の規定は要保護少年を発見した場合において、第35条(第1項後段を除く。)の規定は要保護少年について、第36条の規定は通告した要保護少年について準用する。
第5章 記録
(少年事案指揮簿)
第54条 少年警察部門に少年事案指揮薄(別記様式第11号)を備え付け、次に掲げる少年に係る事案の処理状況を記載しておくものとする。
(1)触法少年、ぐ犯少年及び要保護少年
(2)継続補導を行う少年相談に係る少年
(3)継続補導を行う不良行為少年
(4)継続的支援を行う被害少年
(少年カード)
第55条 少年警察部門の警察官及び少年補導職員は、非行少年(道路交通関係法令達反に係る非行少年及び交通事故に係る刑法第208条の2又は第211条第1項の罪に係る非行少年を除く。)を取り扱った場合は、少年カード(別記様式第12号)及び少年カード索引小票(別記様式第13号)を作成するものとする。
2 署長は、作成した少年カードに係る少年の居住地が他の警察署の管轄区域内であるとき、又は当該少年が他の警察署の管轄区域内に転居したときは、その居住地を管轄する警察署の署長に当該少年カードを送付するものとする。この場合において、当該少年の居住地が他の都道府県警察の管轄区域内であるときは、少年課長を通じて送付するものとする。
3 署長は、第1項の規定により作成した少年カード索引小票を速やかに少年課長に送付するものとする。
(ぐ犯等少年票)
第56条 少年警察部門の警察官及び少年補導職員は、ぐ犯少年又は要保証少年を取り扱った場合は、ぐ犯等少年票(別記様式第14号)を作成するものとする。
2 署長は、前項の規定により作成したぐ犯等少年票を速やかに少年課長に送付するものとする。
3 少年課長は、前項の規定により送付を受けたぐ犯等少年票から必要な資料を収集した上、当該ぐ犯等少年票を保管するものとする。
(少年補導票)
第57条 署長は、第45条第4項の規定により必要な措置をとらせた後、速やかに少年補導票を少年課長に送付するものとする。
2 少年課長は、前項の規定により送付を受けた少年禰導票から必要な資料を収集した上、当該少年補導票を少年の居住地を管轄する警察署の署長に送付するものとする。
3 署長は、前項の規定により送付を受けた少年補導票に係る少年が他の警察署の管轄区域内に転居したときは、その居住地を管轄する警察署の署長に当該少年補導票を送付するものとする。
この場合において、当該少年の居住地が他の都道府県警察の管轄区域内であるときは、少年課長を通じて送付するものとする。
第6章 逃走者の連戻し
(連戻しの援助要求を受けた場合の措置)
第58条 生活安全部長は、少年院法(昭和23年法律第169号)第14条(同法第17条第2項において準用する場合を含む。)の規定により少年院若しくは少年鑑別所(以下「少年院等」という。)の長から逃走者の連戻しに関する援助の請求(以下「援助請求」という。)を受け、又は他の都道府県警察から援助請求の伝達を受けた場合は、逃走者の立ち回りの予想される場所を管轄する警察署の署長その他必要と認める所属の長(以下「立ち回り先管轄署長等」という。)にその旨を手配するものとする。
2 生活安全部長は、少年院等の長から連戻しに関する援助請求を受けた場合において、逃走者の立ち回りの予想される場所が他の都道府県警察の管轄区域内であるときは、当該都道府県警察に対して当該援助請求の伝達をするものとする。
3 署長は、少年院等の長から援助請求を受けた場合は、必要な措置をとるとともに、速やかに生活安全部長(少年課)に報告するものとする。ただし、急を要する場合は、立ち回り先管轄署長等に直接手配した後、報告するものとする。
4 生活安全部長は、少年院等の長から援助請求を受け、若しくは他の都道府県警察から援助請求の伝達を受けたとき、又は前項の規定により援助請求を受けた旨の報告を受けたときは、少年院等逃走者手配受理渾(別記様式第15号)に所要事項を記職し、その経過を明らかにしてお
くものとする。
(連戻しの着手)
第59条 警察官は、連戻しに着手した場合は、道戻着手報告書(別記様式第16号)を作成し、所属長に報告するものとする。
2 本部の所属長(少年課長を除く。)は、前項の規定による報告を受けた場合は、速やかに当該報告に係る連戻着手報告書を少年課長に送付するものとする。
3 速戻しに着手した少年の身柄は、当該少年が逃走した少年院等の職員に速やかに引き渡すものとする。ただし、連れ戻すべき場所が遠隔の地にある等やむを得ない場合は、最寄りの少年院等の職員に引き渡すことができる。
4 前項の場合において、夜間その他やむを得ないときは、保護規程第19条に定めるところにより当該少年を一時収容するものとする。
5 連房状によらないで連戻しに着手した少年を引き渡す場合は、連戻着手報告書の謄本を当該少年の身柄を引き渡した少年院等の職員に交付するものとする。
附 則

条例淫行罪の解説書

 条例の買春禁止規定と児童買春罪は、微妙に重なっていて、どちらが適用されるのか、具体的事例に応じて、現場を悩ませます。

大阪府文化部青少年課解説書H7「大阪府青少年健全育成条例」(H3改正)
大阪府青少年健全育成条例
第4章 青少年の健全な成長を阻害する行為の禁止
(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第25 条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1)青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
(2)専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
(3)性行為又はわいせつな行為を行うことの周旋を受け、青少年に対し当該周旋に係る性行為又はわいせつな行為を行うこと。
(4)青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

<解 説>
1現代社会においては、「高校生売春」など青少年の性を欲望の対象として取り扱う大人の背徳的行為が跡を断たない。その影響で、青少年の間に性の乱れが大きな問題になるとともに、このような行為を契機として、家出や覚せい剤中毒、職業的売春婦などに転落していく青少年も数多く見受けられる。本条は、このような実態に鑑み、青少年の性をもてあそぶ心ない大人から青少年を保護するとともに、青少年に正しい性意識を持たせる一助とするため設けられたものである。また、運用に当たって、プライバシーその他の人権を不当に侵害することのないよう、その構成要件の明確化に努め、取り締まり対象行為を、その動機や手段において、社会的に非難を浴びるような典型的な四つの性的行為に限定したところである。
2 本条中、「性行為」とは、性交のほか性交類似行為も含まれる(S47.11.・28児童福祉法にいう淫行に関しての最高裁決定、S40.1.12新潟家裁長岡支部決定)。また、「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激興著せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識のある一般社会人に対し、性的に羞恥嫌悪の情をおこさせる行為をいう(S39.4.22東京高裁判決)。
3 本条に違反した者に対しては、第29条の罰則が適用され、本条例中、最もも重い「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科される。
<参考法令>
刑法第176条(強制わいせつ罪)
同第177条 (強姦罪
同素178条(準強制わいせつ罪、準強姦罪
同第182条(淫行勧誘罪)
児童福祉法34条条6号(禁止行為)
売春防止法第3条 (売春の禁止)   

 

 淫行・買春で不起訴になった弁解

 起訴猶予になり、捜査弁護で終わった事件。

 この弁解はお勧めしません。

 児童買春で執行猶予中の方が、自宅でA子(16)との条例違反の淫行の容疑で逮捕された。
 ところが、毎日児童・非児童を問わず、女性を泊めているそうで、弁護人にも「逮捕容疑のA子(16)というのが、いつの誰のことかわからない。刑事に年齢認識を聞かれるが、誰のことか思い出せない。」といいます。

 弁護活動の詳細は省きますが、結局、被疑者には23日間この弁解でがんばってもらって、起訴猶予になりました。

 有罪だと実刑必至ですからがんばったのでしょう。

 執行猶予判決後も疑わしい行為をしていたので、警察に目をつけられたということでしょう。

 執行猶予は残り3年以上残っています。自重自戒して、慎重に暮らしてほしいものです。
 絶対、マークされてる。

 アイコラ犯罪

 「アイコラ」「有名人合成画像」
 実質は、肖像権とかパブリシティ権の刑法的保護の問題なんだから、名誉毀損罪では、迂遠な感じがします。
 そのうち、業界の強い要請で、「肖像権浸害罪」「アイコラ罪」ができるかもしれません。

http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/tyosaku/aikora.htm
2 名誉毀損
(1)警察公論2003.2 P67浦田検事 盗撮と名誉毀損
合成画像と名誉毀損
近年,女性の裸体や性交場面を写した画像に他の女性の顔面写真を合成し,インターネット等を使って頒布する行為が横行しているが,こうした事案についても名誉毀損罪は成立するであろうか。
 合成画像と名誉毀損罪の関係については,男女が性交している等のわいせつな写真及び被害者の顔写真並びに被害者が不特定の男性と性交を重ねている淫乱な女性である旨の文書等を掲載したビラ等を頒布した事案について,名誉毀損罪の成立を認めた例(横浜地判平5 .8 .4 判タ831・244),人気女性アイドルの顔写真に他人のわいせつな姿態の全裸写真等をすげ替え,あたかも同女らが全裸等になったがごとくに見せかけた合成写真に解説を付けるなどして雑誌に掲載した事案について,名誉毀損罪の成立を認めた例(東京簡判平13.2 .2 1) などがあり, 下級審の一般的傾向として,積極的に名誉毀損罪の成立を認めようとの姿勢が窺える。もっとも,前者の事例では,「被害者が淫乱な女性である」との事実を摘示した文書が添付されている上,合成写真を合成写真ではないかのように装って摘示しているのに対し,後者の事例では,いわゆる「アイコラ」と言って,合成写真であることを殊更強調して摘示している点において相違があり, こうした事実関係の相違が名誉毀損罪の成立を認めるための法的構成にいかに影響するかを検討しておく必要がある。
①一見明白に合成画像であると判別できない場合
②一見明白に合成画像であると判別できる場合
これに対し,一見明白に合成画像であると判別できる場合については, やや問題が複雑となる。なぜなら,一見明白に合成画像であると判別できるようなかたちで性交場面や裸体を写した画像と合成しても,「被害者がこのような性交を行っている」とか「被害者の裸体はこのようなものである」といった事実が摘示されたとは言い切れないのではないかとの疑問があり得るからである。
 
(2)現代刑事法2001.11 P28 罪刑法定主義と実質的構成要件解釈 前田雅英
 そして、個人の顔写真と他人の身体画像(わいせつ画像)を合成して摘示する行為については、裁判所も刑法230条を構成すると判示している(横浜地判平5年8月4日判タ831号244貢(4))。学説上も、このような合成画像の摘示が名誉毀損罪を構成することには異論がない。
 

【事件番号】横浜地方裁判所判決/平成5年(わ)第469号,平成5年(わ)第638号
【判決日付】平成5年8月4日
【判示事項】二〇歳以上も年下の未婚女性に恋を打ち明け、振られた腹いせに、被害者が淫乱な女性である旨の文書や男女性交のわいせつ写真と被害者の顔写真を組み合わせたものなどを多数回にわたり公衆の目に触れるガードレール、電柱などに掲示し、被害者の名誉を毀損した被告人に実刑を言渡した事例
       主   文
 被告人を懲役一年六月に処する。
 未決勾留日数中三〇日を右刑に算入する。
       理   由
(罪となるべき事実)
被告人は
第一 別表第一記載のとおり、平成四年六月三〇日午後九時三三分ころから同日午後九時五七分ころまでの間前後五回にわたり、神奈川県藤沢市辻堂元町六丁目四番三号先路上ほか四か所において、いずれもその場に設置されていたガードレール等に、前記甲野春子(当時二三歳)が淫乱な女性である旨の文章を掲載したビラ五枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き
第二 別表第二記載のとおり、同年一○月五日午後九時三六分ころ及び同日午後九時四五分ころの前後二回にわたり、同市辻堂元町六丁目四番二号先路上ほか一か所において、いずれもその場に設置されていた電柱等に、前同様のビラ二枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き
第三 別表第三記載のとおり、同年一O月一五日午後九時五〇分ころ及び同日午後一〇時二〇分ころの前後二回にわたり、同市辻堂元町六丁目四番三号先路上ほか一か所において、いずれもその場に設置されていたガードレール等に、前同様のビラ二枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き
第四 別表第四記載のとおり、同五年一月一日午後五時四六分ころから同日午後六時一〇分ころまでの間、前後八回にわたり、同県座間市栗原中央三丁目二番三号先路上ほか七か所において、いずれもその場に設置されていた住民表示街区案内板等に、男女が性交している等のわいせつな写真及び前記甲野の顔写真並びに同女が不特定の男性と性交を重ねている淫乱な女性である旨の文書等を掲載したビラ八枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き
第五 別表第五記載のとおり、同五年二月一日午後一時三〇分ころから同日午後九時三〇分ころまでの間、前後七回にわたり、同県平塚市浅間町一番地の六所在の平塚八幡宮ほか六か所において、男女が性交している等のわいせつな写真及び前記甲野春子の顔写真並びに同女が不特定の男性と性交を重ねている淫乱な女性である旨の文章を掲載した絵馬ようのもの四枚及びビラ六枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き
第六 別表第六記載のとおり、同年二月一九日午後九時ころ及び同日午後九時四〇分ころの前後二回にわたり、同県大和市下鶴間二、五四〇番地所在の諏訪神社ほか一か所において、いずれもその場に設置されていた絵馬掛けに掛けてあった絵馬等に、前同様のビラ六枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置きもって、公然事実を摘示して右甲野の名誉を毀損したものである。
 
 
東京簡判平13.2 .2 1
罰金50万円
公 訴 事 実
被告人Aは、東京都新宿区 所在の 甲 出版株式会社の代表取締役で、同社が発行する月刊誌「   a   」の発行人、同Bは、同誌の編集責任者であるが、両名共謀の上、平成12年9月2日ころ発売の同誌12号において、同誌表紙に「大特集、20世紀最後の超人気アイドル  C  をまっぱだかにさせてもらいます。」等との見出しを掲げ、別紙一覧表記載のとおり、D子ほか12名の顔写真に他人の陰毛露出の卑猥な姿態の全裸写真等をすげ替え、あたかも同人らが全裸等になったが如くに見せかけた合成写真に「 C きっての巨漢。ハメコラが豊富って事ですね。キリッとした顔にはお似合いだっての!」などと解説を付けるなどして掲載し、そのころ、同誌約18万5000部を全国一般書店、コンビニエンスストア等の店頭に陳列させて不特定かつ多数人が閲覧できる状態におき、もって公然と内容虚偽の事実を摘示し、上記D子ほか12名の名誉を毀損したものである。

データが児童ポルノであって、ディスクアレイが児童ポルノなのではない。憲法21条違反・29条・35条違反

 この事件の控訴理由から、刑法各論のお勉強に使えそうな論点を紹介します。
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/020924chiba.htm
 極めて抽象的な議論ですが、データを児童ポルノとした裁判例は多いんです。


1 はじめに
 児童ポルノ画像のweb掲載の場合、児童ポルノ該当性が認められるのでは、データ(媒体を含まない)であって、HDDやデイスクアレイではない。
 媒体が児童ポルノとなるとすると、HDD上の適法なデータも、サーバー上の適法なデータも児童ポルノとして違法を宣言され没収されることになり、財産権侵害(第三者没収手続もないから31条にも違反する)であるとともに、適法な表現行為を妨害する点で、過度に広汎な表現の自由の侵害である。

2 データの児童ポルノ
 原判決がディスクアレイを児童ポルノとしたことは、最高裁決定H13.7.16を踏襲するものであると解されるが、同決定ははわいせつ画像のweb掲載について、サーバーのHDDのわいせつ物該当性を論じ、データそのもののわいせつ物該当性については、判断していない。否定も肯定もしていない。
わいせつ物公然陳列被告事件*1
【事件番号】最高裁判所第3小法廷決定/平成11年(あ)第1221号
【判決日付】平成13年7月16日
 まず,被告人がわいせつな画像データを記憶,蔵置させたホストコンピュータのハードディスクは,刑法175条が定めるわいせつ物に当たるというべきであるから,これと同旨の原判決の判断は正当である。
 むしろ同決定は、データが陳列者にわたっている点について不可罰とするとも判示しておらず、データそのもののわいせつ物該当性は肯定するものであると解される。
 児童ポルノにおいても同様である。

3 児童ポルノ法改正案
 同法改正案では、電磁的記録をメールで送信する行為が処罰されている。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案要綱
二 児童ポルノの定義
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の1から3までのいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいうこと。(第二条第三項関係)

四 児童ポルノ提供等
 1 次に掲げる者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処すること。(第七条第一項から第三項まで関係)
  ア 児童ポルノを提供した者
  イ 電気通信回線を通じて二の1から3までのいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者
 2 次に掲げる者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すること。(第七条第四項から第六項まで関係)
  ア 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者
  イ 電気通信回線を通じて二の1から3までのいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者

4 データを児童ポルノ・わいせつ物とする下級審判決例
(1) わいせつ画像データについて
① 岡山地裁H9.12.15
【事件番号】岡山地方裁判所判決/平成9年(わ)第220号
【判決日付】平成9年12月15日
【判示事項】二 わいせつ画像データそのものが刑法一七五条のわいせつ図画に当たるとした事例
【参照条文】刑法175
【参考文献】判例タイムズ972号280頁
      判例時報1641号158頁

二 わいせつ図画の存在について
 刑法一七五条に言う「公然の陳列」とは不特定又は多数の者が観覧しうる状態に置くことと解するべきである。
 本件において被告人らかサーバーコンピューターのディスクアレイ内に記憶・蔵置させた物は上方として画像テータであり、有体物ではないか、インターネットにより、これをハソコンの画面で画像として見ることができる。そして、ここにおいて陳列されたわいせつ図画は、サーバーコンピュー夕ーではなく、情報としての画像テータであると解するべきである。有体物としてのコンピューターはなんらわいせつ性のない物であり、これをわいせつ物であるということはあまりに不自然かつ技巧的である。また、わいせつな映像のビデオテープやわいせつな音声を録音した録音テープがわいせつ物であることは確定した判例であるが、これらの場合も、有体物としてのビデオテープや録音テープがわいせつであるわけではなく、それらに内蔵されている情報としての映像や音声がわいせつであるにすぎない。科学技術が飛躍的に進歩し、刑法制定当時には予想すらできなかった情報通信機器が次々と開発されている今日において、わいせつ図画を含むわいせつ物を有体物に限定する根拠はないばかりでなく、情報としてのデータをもわいせつ物の概念に含ませることは、刑法の解釈としても許されるものと解するべきである。

② 横浜地裁川崎支部H12.11.24
(弁護人の主張に対する判断)
1 弁護人は、罪刑法定主義の原則から、わいせつ図画とは有体物たる「物」でなければならず、被告人は情報を送信しただけで、「物」としてのわいせつ図画を販売したことに当たらないから無罪である旨、及び、刑法は「電磁的記録」を定義してこれを処罰する場合には特に構成要件を設けているのに本件画像情報については構成要件を掲げていないのであるから処罰しない趣旨であり無罪である旨主張するので、本件が刑法175条に該当し、有罪であることを説明しておくこととする。

2 刑法175条は、「わいせつな文書、図画その他の物」の「頒布」「販売」「公然陳列」「販売目的所持」を処罰するものと規定し、「図画」とは「物」すなわち有体物でなければならないと解されてきたことは弁護人の主張するとおりである。ただし、刑法175条の立法趣旨は、わいせつ物が社会に氾濫することによって、人の性に関する良識を麻痺させ、健全な性風俗、性道徳、性秩序が乱れることを防止することにある。立法当時、わいせつ文書等刑法175条の対象は、文書、図画、写真等の有体物上に表現され視認しうる物に限られていたが、その後、音響・映像機器、電子機器の発達に伴ない、カセットテープ、映画フィルム、ビデオテープ、コンパクトディスク等についてもそこに内蔵されるわいせつ情報に着目してわいせつ物と考えられるようになってきた。更に、現在ではインターネットの発達は著しく、本件のようにインターネットを利用したわいせつ画像の伝達も可能になっている。

3 そして、判示被告人の所為は、わいせつ画像を被告人のパソコンから、インターネットを通じて会費を支払った会員のパソコンに送信し、わいせつ画像を閲覧可能にしたものである。自らのパソコンにあるわいせつ画像と同一のわいせつ画像を有料会員のパソコン上にも表出可能にしたものであって、インターネットを通じ、わいせつ画像情報の入ったファイルを送付したものである。ファイルは一定の内容を保ったまま送付されるのであって、固定性を有し、販売概念を曖昧にするものではない。しかも、その画像ファイルは、購入者のパソコンのハードディスク等に保存し、或いはこれをプリントアウトして文書化したり、或いは更に転送したり、CD−Rに焼き付けたりして、他に広めることも可能であって、同法174条の場合とは趣を異にしていて、175条の適用が相当な場面である。また、今日ではインターネットを通じてさまざまなファイルの売買が日常的に行われており、本件を「わいせつな文書、図画その他の物」の範囲を従来の解釈より拡張してわいせつ画像販売として刑法175条に当たるとしても、予想不可能で不意打ちに当たるとは到底思われない。公然陳列についてではあるが、情報に着目して本条を適用した判例もある(岡山地方裁判所平成9・12・15)し、本件と同種の事案についてわいせつ図画販売に当たるとした判例もある(横浜地方裁判所川崎支部平成12・7・6)。本件について刑法175条を適用しても、罪刑法定主義に反するものではない。

4 弁護人が主張する電磁的記録を別途処罰する趣旨を規定した同法161条の2のような規定が無いことから、これを除くと解釈しなければならないわけではない。刑法上、電磁的記録について別途の規定を置いているのは、情報が保護の対象又は侵害の客体となる犯罪類型についてであって、本罪のように情報自体が法益侵害の直接の手段となる犯罪類型について、電磁的記録についての規定がないからといって限定して解釈しなければならないものではない。

5 以上のとおりであって、本件は刑法175条のわいせつ図画販売に当たることが認められる。
 したがって、弁護人の主張は理由がない。

③ 報道
【神奈川県】 2003年7月24日(木)  カメラ付き携帯電話で撮影したわいせつ画像をメール相手の男に携帯電話で送ったとして県警少年課などは23日、埼玉県蓮田市の無職の女(25)をわいせつ図画頒布違反の容疑で横浜地検書類送検した。同課によると、携帯電話のメール機能を利用したわいせつ画像の送信に同容疑を適用するのは県内で初。 調べでは女は4月3日、パソコンのインターネットをダウンロードして開いたわいせつ画像を携帯電話のカメラで撮影し、画像を東京都内の会社員の男(43)の携帯電話にメールで送った疑い。 男とは「出会い系サイト」を通じてメールをやりとりするようになった。面識はなく、画像は自分の体だと偽っていたという。 今年4月、男が18歳未満の女子とわいせつな行為をしたとして、県育成条例違反の疑いで検挙されたことから発覚した。「男をからかってみたかった」などと供述しているという。【木村光則】
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(2) 児童ポルノ画像データについて
① 前橋地裁H131227調書判決
 製造罪の客体は画像データである。

② 東京地裁H13.6.15
 画像情報が児童ポルノであるとしている。


③ 金沢地裁H12わ91
 画像データを児童ポルノとしている。


④ 千葉地裁H14わ1573.
 データを児童ポルノかつわいせつ物とした事例

⑤ 名古屋簡裁 h13い01465
  画像情報を児童ポルノとしている


⑥ 宇都宮地裁栃木支部H15.2.26(調書判決)
 製造罪の客体は、画像データであるとされている。

⑦ 奈良地裁H14.11.26
奈良地裁平成14年わ第254号
被告人は
1 平成13年11月21日ころ,先に株式会社MS銀行S支店の被告人名義の口座に代金5,000円を振り込んだMに対して,自己のホ−ムページアドレス及びパスワードをメールで送