児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

取締りの阻害要因

「全国協働捜査方式」で、今後は大阪の人が北海道警に逮捕勾留されるということは減ると思いますが、効率が上がる分、検挙数・検挙率が上がると思います。

捜査研究NO.717 (2011.3.5)
新たな違法情報の取締り方策について~全国協働捜査方式~
警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課課長補佐 森浩之
イ取締りの阻害要因
違法情報は,インターネット上で公開されること自体が違法であり,それは全国の地域で閲覧可能である。したがって.違法情報にアクセスした時点で.犯罪を認知することとなり.刑事訴訟法第189条第2項「司法警察職員は.犯罪があると思料するときは,犯人及び証拠を捜査するものとする。」の定めにより捜査することが求められる。他方,警察法上の「土地管結」の面では,管轄区域内における捜査については,犯罪地の如何にかかわらず,常に行うことができるとされている(警察庁刑事局編「犯罪捜査共助規則」)。したがって,違法情報は,「どこでも」「誰でも」すぐに捜査ができる事件情報ということである。
しかし,IHCから通報される違法情報のほとんどは、地域を特定する書き込みがないため,発信元に関する捜査の結果を待たなければいずれの都道府県警察が主となって捜査すべきものなのかが判然としない。また積極的に発信元の捜査を行っても. 書き込みの発信地が自県から遠く離れた地域である場合も少なからずあり捜査経済上非効率な面が多くあった。「どこの都道府県警察でも捜査ができる」ということが.逆に"譲り合い”や”競合"不経済"等投資の非効率を生み.ひいては各都道府県警察の捜査着手を躊躇させ取締りの低調を紹いていた。
このように. 捜査権、土地管轄共に明確に存在はしていても管轄責任が不明確というねじれ現象が捜査の非効率を生み取締りを阻害する大きな要因となっていたのである.