児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

前橋地検は併合罪説

 追起訴というから併合罪説。
 検事に「観念的競合だろ?」と言えば、東京高裁の判決が1個出てくるはずだ。仙台・名古屋・大阪・高松・広島の観念的競合説の判決との優劣がみものだ。高裁の序列か、裁判長の名前で決めるのかもしれない。福岡高裁管内でも観念的競合説の判決を見つけている。

女児にわいせつ、起訴内容認める 前橋地裁初公判 /群馬県
2012.03.27 朝日新聞
 女児への強制わいせつと監禁の罪に問われている被告の初公判が26日、前橋地裁(佐伯良子裁判官)であり、被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
 起訴状によると、被告は昨年7月と12月、伊勢崎市の公園で女児を公衆トイレに閉じこめ、下半身を触るなどのわいせつ行為をしたとされる。検察側は、被告が携帯電話で撮影していたとして、児童ポルノ禁止法違反(製造)の罪で追起訴する方針を示した。

 札幌高検管内の傾向からすれば、釧路は観念的競合説だと思うんだ。強制わいせつ罪(176条後段)に訴因変更で3項製造罪を追加した事件もあるし。
 こういう判例状況で、観念的競合説の原判決に対しては、「併合罪だ」なんていうと不利益主張だと怒られるから、「製造罪は強制わいせつ罪に吸収される」という主張をすれば、裁判所を罪数処理で悩ますことができる。

元警官に懲役6年判決=北海道
2012.03.20 読売新聞 
 整体に訪れた十勝地方の少女ら3人にわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつなどの罪に問われた元警察官で整体業被告の判決が19日、釧路地裁帯広支部であった。西村英樹裁判官は「被害者らの人格をじゅうりんし、動機に酌量の余地は全くない」などとして、求刑通り懲役6年を言い渡した。
 判決によると、被告は2010年から11年にかけて、札幌市内にある自宅などに「合宿治療」などと称して少女らを宿泊させ、睡眠導入剤などを飲ませて抵抗できない状態にさせ、体を触ったり、写真を撮影するなどした。

 仮に釧路の事件が観念的競合説であって、訴因変更で追加されている場合は、併合罪説の東京高裁を引用すれば、訴因変更が違法・無効になるから減軽される可能性がある。
 ちなみに併合罪の主張が不利益主張だというのは、考えが浅く、併合罪の主張を不利益主張としない判例児童ポルノに関して2つある。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091026090437.pdf
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090709090953.pdf