児童をして撮影送信させる不同意わいせつ罪・映像送信要求罪・性的姿態撮影罪・児童ポルノ製造罪について、上告棄却決定(最決R071201)

 理由は10行くらい。

一審 東京地裁r061129
原審 東京高裁t070704
上告棄却 最決r071201

上告理由
目次
上告理由第1 憲法違反~性的姿態撮影罪・映像送信要求罪の構成要件である「性器」「周辺部」の用語が不明確で、刑罰法規としての明確性を欠き、無効である(憲法21条、31条違反)(判示第2) 7
1 原判決 7
2 性的姿態撮影法上「性器」「周辺部」の定義が定まらないこと 8
3 16歳未満に対する映像送信要求罪(刑法182条3項2号)でも「性器」「周辺部」の定義が定まらないこと 9
4 医学書の「性器」の説明 9
5 国語辞典の「性器」の説明 10
広辞苑 10
明鏡国語辞典 10
新明解国語辞典 11
大辞泉 11
6 弁護人の主張する「性器」 11
①ある刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法三一条に違反するものと認めるべきかどうかは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによつてこれを決定すべきである(最判s50.9.10) 11
② 国語辞典では「生殖器」と説明されている 13
③ 不同意わいせつ罪の接触部位との比較 15
④ 「性器」の説明は性的姿態撮影。映像送信要求罪の定義に置かれているから、性器・非性器の境界線は物理的形状を重視して、目で見て分かるという観点から決められるべきである。 18
⑤ 男性・女性の統一的な解釈 18
⑥ 児童ポルノ罪・映像送信要求・性的姿態撮影罪の「性器」は共通の概念であるべきである。 19
⑦ 小括 19
7 裁判例 19
神戸地裁r7.3.12*5 19
②熊谷支部r7.4.15*6(控訴中) 20
8 まとめ 22
上告理由第2 憲法違反~映像送信要求罪(182条3項2号)の規定は、「その他の姿態」の用語が不明確で、刑罰法規としての明確性を欠き、無効である(判示第2 r6.7.24起訴状) 23
1 「その他の姿態」が無限定 23
2 第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)」の「わいせつ」が定義できないこと 26
3 原判決 28
5 まとめ 29
上告理由第3 法令違反・判例違反~不同意わいせつ罪の成立範囲。送信させ保存する行為は「わいせつ行為」ではない(R6.7.24起訴状) 31
1 原判決 31
2 わいせつの定義がないので議論しづらいが、馬渡(向井)解説*7・薄井論文*8の「手法」に沿って検討してみる 33
(1)送信させ・保存する行為の「性的な意味」とは 33
(2)撮影させる行為の「性的意味合い」の程度 35
馬渡(向井)解説 36
大塚仁ほか編・大コンメンタール刑法〔第3版〕(9)[亀山継夫=河村博]67頁 37
薄井論文 39
(3)学説 40
佐藤陽子 自己のわいせつな画像を撮影( ・送信)させる行為の「わいせつな行為」性について 山口厚ら「実務と理論の架橋」 40
②木村光江「強制わいせつ罪における『性的意図』」判例時報 736号18頁。*9 42
③橋爪隆・研修860号3頁 42
(4)高裁判例・裁判例 43
①名古屋地岡崎支部h30.4.19*10 43
②大阪高裁H22.6.18*11(神戸地裁H21.12.10*12) 44
③大阪高裁r02.10.2*13(奈良地裁葛城支部R02.3.30*14) 44
④大阪高裁R2.10.27*15(奈良地裁葛城支部R2.2.27*16) 45
⑤大津地裁R5.3.1 48
長崎地裁佐世保支部r6.2.21*17(強要) 50
⑦札幌高裁r5.1.19*18(札幌地裁R04.9.14*19 ) 51
(5)社会通念上の「撮影させる行為」の扱い=強要罪の裁判例 51
3 判例違反~裸体を送信させ・記録する行為はわいせつ行為ではないという高裁判例。 55
①広島高裁岡山支部H22.12.15*53 56
②東京高裁H28.2.19*54 57
③広島高裁岡山支部h30.8.29*55 58
④大阪高裁r2.10.2(奈良地裁葛城支部R02.3.30) 59
⑤大阪高裁R2.10.27*56(奈良地裁葛城支部R2.2.27) 60
3 高裁レベルでは、撮影させた行為をわいせつと評価したものはあっても、送信させた行為をわいせつと評価した判決はないこと 60
(1)大阪高裁r03.7.14 61
(2)大阪高裁r04.1.20も 64
①当初訴因 65
②検察官意見書R2.12.1 65
③原判決の罪となるべき事実 66
(3)札幌高裁r5.1.19*61(札幌地裁R04.9.14*62 ) 66
広島高裁岡山支部H22.12.15*63(岡山地裁H22.8.13) 67
東京高裁H28.2.19*64(新潟地裁高田支部H27.8.25) 67
4 原判決 68
佐藤陽子 自己のわいせつな画像を撮影( ・送信)させる行為の「わいせつな行為」性について 山口厚ら「実務と理論の架橋」 69
5 まとめ 70
上告理由第4 法令違反・判例違反~R6.7.24起訴状の公訴事実は、併合罪関係にある4罪を含み、単一性を欠くから、公訴棄却すべきである。 72
1 公訴事実は4罪を含む 72
2 4罪の重なり合い 74
(1)概観  74
※ 「姿態をとらせて」身分犯説 76
①上田哲「刑事関係 平成18.2.20小決 (最高裁判所判例解説 76
②山口裕之「最高裁刑事破棄判決等の実情(上)-平成18年度-」判例時報 第1980号 77
③東京高裁H21.10.14*68 79
④ 仙台高裁秋田支部h27.6.30*69(秋田地裁本荘支部h27.2.6*70) 81
(2) 不同意わいせつ罪の成立範囲は「撮影させ」までである。 81
広島高裁岡山支部H22.12.15(岡山地裁H22.8.13) 82
東京高裁H28.2.19(新潟地裁高田支部H27.8.25) 82
(3) 要求罪は、要求した時点で既遂となり、それ以前もそれ以降も児童ポルノ製造以外の他罪とは重ならない。 83
(4) 性的姿態撮影罪は、撮影した時点で既遂となり、その時点で一瞬不同意わいせつ罪・児童ポルノ罪と重なるが、それ以前もそれ以降も不同意わいせつ罪・児童ポルノ罪とは重ならない。映像送信要求罪とは接点がない。 85
(5)小括 86
3 一個の行為(54条1項)とは 86
大法廷s49.5.29**71 86
最高裁判例解説刑事篇昭和49年度77頁 昭和46年(あ)第1590号業務上過失傷害、道路交通法違反被告事件昭和49年5月29日 高木典雄 86
4 裁判官の論稿は併合罪。 86
5 高裁判例によれば、児童に裸の画像を送らせる行為と、児童ポルノ製造行為とは2個の行為であって、牽連犯ではなく併合罪である。(判例違反) 87
広島高裁岡山支部h22.12.15(牽連犯否定) 88
東京高裁h28.2.19*72(新潟地裁高田支部H27.8.25) 88
名古屋高裁金沢支部h27.7.23*73(高岡支部事件) 89
名古屋高裁金沢支部h27.7.23*74(福井地裁事件) 90
6 「併合罪であるから、1個の行為として記載した公訴事実は、単一性を欠いて訴因不特定により、無効である。公訴棄却になる」という主張は不利益主張ではないこと 92
(1) 公訴の適法性の要素である、「訴因の単一性」の判断には、罪数処理を判断する必要があること 92
(2) 文献 95
①刑事控訴審の理論と実務第2版 P103 95
②大コンメンタール刑訴法3版P24(担当原田國男) 96
③佐藤文哉・最高裁判所判例解説 刑事篇(昭和53年度) 304頁 98
(3) 判例では、併合罪主張も主張として被告人に実質的に有利になる場合には不利益主張とはならない。 99
①不利益主張とは 99
② 本件でも併合罪主張による結果は被告人の利益であること 100
③ 被告人控訴事件について併合罪であることを前提理由として、破棄した最高裁判例 100
④ 併合罪主張を不利益主張としない高裁判例 107
⑤不利益主張となる場合 108
7 4罪の罪数処理について裁判例は混乱している。 109
(1) 4罪観念的競合説 109
松山地裁R6.9.24*81 109
東京地裁r6.10.5*82の判示第4の7 110
さいたま地裁熊谷支部R6.5.14*83 110
岡山地裁R6.9.25*84 110
岡山地裁r7.7.15*85 111
山中 純子性的グルーミングと面会要求等罪の新設 東海法学 第66号(2024) 112
(2)牽連犯説 113
津地裁r6.3.4*86 113
東京地裁r6.11.29 113
広島高裁岡山支部h22.12.15(牽連犯否定) 114
東京高裁h28.2.19(牽連犯否定) 114
金沢支部h27.7.23(高岡の事件)(牽連犯否定) 115
金沢支部h27.7.23(福井の事件)(牽連犯否定) 116
(3)牽連犯になったり観念的競合になったり説 118
東京地裁r6.10.5*87 118
8 一罪説の実際上の不都合=どの部分が何罪になるのかが判然としない。 119
9 まとめ 120
上告理由第5 法令違反・判例違反~男湯の男児の裸画像は「性欲を興奮させ又は刺激するもの」に当たらない。(判示第4 R6.8.22追起訴状公訴事実第2(5項製造罪)) 122
1 公訴事実・1審判決 122
2 「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の解説 123
(1)立法者の説明 123
(2) 国会会議録H11.5.14 124
(3)医学写真 126
① 標準小児科学 第5版 126
②小児泌尿器科学書 127
③新女性医学大系18「思春期医学」 127
(4)「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の判断方法~京都地裁h12.7.17*89*90 127
(5)警察庁生活安全局少年課 執務資料「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」解説 128
3 「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の判断方法 129
(1)立法者 129
(2)京都地裁h12.7.17 131
(3)無罪事例(横浜地裁H28.7.20*91) 131
(4)公衆浴場の男子脱衣場における男児の存在は当然であり、一般人基準で「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ではなく、社会的に許容されていること 136
(5)男湯の女児問題(大阪高裁h24.7.12) 138
(6)浴場の女児・男児問題を解消するために性的姿態撮影罪が創設された 139
4 児童ポルノ該当性は当該画像のみから判断される。 140
5 高裁判例(高松高裁h22.9.7*96 松山地裁h22,3,30*97) 142
松山地裁h22.3.30 142
高松高裁h22.9.7は 143
6 本件の画像は、いずれも、公衆浴場の男子脱衣場で男児が脱衣しているという普通の情景であること 143
7 まとめ 144
上告理由第6 量刑不当 146