こういう公訴事実があると、まず、3号ポルノに該当する事実が記載されていないことに気付く。「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」は社会通念で判断されるとされるから、下着の中をのぞき込んで犯人だけが見ている状況は含まないと解釈されるところ、「陰茎を手で直接触る姿態」では、陰茎が露出されているのか、全裸・半裸なのかがわからない。
同時に、性的姿態撮影罪の関係でも、解釈上露出した性的部位の撮影か下着の撮影が要件となっているから(こちらは撮影さえできれば犯人にも見えていない場合も含むであろう)、「陰茎を手で直接触る姿態」では要件を満たさない。
公訴事実
第2
正当な理由がないのに、前記第1の日時場所において、前記Aに、被告人が前記Aの陰茎を手で直接触る姿態をとらせ、これを被告人が使用するスマートフォンで動画撮影し、その動画データ111点を同スマートフォンの内蔵記録装置に記録して保存し、もって13歳以上16歳未満の者を対象としてその性的姿態等を撮影するとともに、他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し
たものである。
罪名及び罰条
性的姿態撮影
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項4号、1号イ、ロ
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反
同法7条4項、2条3項2号、3号2条1項1号イ「で人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」が対象となっていることから、[人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)]は下着で覆われていないという解釈になる。
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
第一条 この法律は、性的な姿態を撮影する行為、これにより生成された記録を提供する行為等を処罰するとともに、性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収を可能とし、あわせて、押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等の措置をすることによって、性的な姿態を撮影する行為等による被害の発生及び拡大を防止することを目的とする。
第二章 性的な姿態を撮影する行為等の処罰
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為