児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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神奈川県青少年保護育成条例の真剣交際

https://news.yahoo.co.jp/articles/04cfadacc7d6c15fa9ebdd92bb95dd472d2f164c
逮捕容疑は、昨年11月14日夜、横浜市港南区のホテルで、市内に住む高校1年の女子生徒(15)にみだらな行為をし、その様子を携帯電話のカメラで撮影した、としている。「(女子生徒とは)結婚を前提とした関係で、欲望を満たすためではない」と供述、容疑を否認しているという。
 署によると、2人は会員制交流サイト(SNS)を介して知り合った。2人は同12月に同区内の駅前で口論となり、署が事情を聞く中で今回の容疑が浮上した。

こういう被疑事実になるので、こういう弁解が出てきますが、

被疑事実・公訴事実の記載例
a(16歳)が、18歳に満たない青少年であることを知りながら結婚を前提とせず単に自己の欲情をみたす為にのみ同女と性交して、もって青少年に対してみだらな性行為をした

 神奈川県条例の「みだらな性行為」の解釈は、条例で「健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交」と定義しても、結局は

「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、
①青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、
②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。(最大判S60.10.23)

という判例の解釈によるので、交際の事実を示せば、「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交」は外れやすいと思います。


神奈川県青少年保護育成条例
みだらな性行為、わいせつな行為の禁止)
第31条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
3 第1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。

神奈川県青少年保護育成条例の解説 平成25年3月
(みだらな性行為、わいせつな行為の禁止)
第31条
1 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
3 第1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な上記を有する一般社会人に対し、性的しゅう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。
[趣旨〕
本条は、青少年に対してみだらな性行為又はわいせつな行為をすることを禁止したものである。また、ごれらの行為を教えたり、見せたりすることを禁止したものである。
※罰則
第1項違反2年以下の懲役又は100万円以下の罰金(第53条第1項)
第2項違反1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(第53条第2項第2号)
[解説]
本条は、青少年を対象としだ性行為等のうち、健全な育成を阻害するおそれがあるものとして社会通念上非難を受けるべきものを対象としているが、その行為の認定にあたっては動機、手段及び態様のほか、当該行為が青少年に与えた影響等、諸般の事情を十分に考慮して、客観的、総合的に判断されるべきものである。
I 第1項関係
1 「みだらな性行為」の意義については、第3項で規定されている。その解釈は、象徴的には「人格的交流のない性交」を言うものであり、具体的には、次のものが例として挙げられる。
① 青少年を誘惑し、威迫し、欺岡し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行うもの
② 青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないようなもの
③ 行きずりの青少年を相手方とするもの、あるいは多数人を相手方とし、又はこれらを互いに相手方とするもの等
2 「わいせつな行為」についても第3項で規定されているが、その解釈は前記①、②、③と同様な態様による性交類似行為等であり、具体的には、いわゆる素股や尺八等はもちろん、陰部を手などで触れる(又は触れさせる)行為、また、単なる性欲の目的を達するためにのみ行う接吻、乳房を撫でること等が該当する。
なお、本条は青少年に対する行為そのものを禁止する規定であり、刑法第174条に規定する公然わいせつ罪とは異なり、行為の公然性は不要である。
3本項の例としては、成人が、結婚の意思もないのに、青少年を言葉巧みに誘って、単に自己の情欲を満たすために性交した場合や青少年の性器等を手でもてあそぶなどした場合などがこれに当たるが、結婚を前提とした真に双方の合意ある男女聞の性行為は、該当しないものである。