児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「意見に対する道の考え方 本規制は、13歳未満の青少年に自画撮り画像の提供を求める行為の内、強制わいせつ未遂に該当しない行為を規制するものであるため、国法との関係に問題はないと考えております。」

 北海道庁によると、13歳未満の青少年に対して裸画像を求めるのは、強制わいせつ罪(176条後段)未遂にならないそうです。


http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/dms/ss/pubcom_soan.pdf


素案
第2 改正の概要
児童ポルノ等の提供を求める行為を禁止するための改正
(1)改正の理由
青少年がだまされたり、脅されたりして、自身の裸の画像をスマートフォン等で撮影させられた上、電子メールやSNS等で送信させられる、いわゆる「自画撮り被害」が増加していますが、現行法令では青少年に対して自画撮り画像を求める行為を禁止する規定がなく、青少年の画像提供を未然に防止することが十分にできていません。
このため、不当な手段等により青少年に対して自画撮り画像を求める行為を新たに罰則付きで規制するための改正を検討しています。
(2)改正の内容
青少年に対し、次のいずれかの不当な手段等により児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいいます。)の提供を求める行為を罰則付きで禁止します。
① 18歳未満の青少年に対して、
・拒まれたにも関わらず、更に求める。
・威迫して求める。
・欺いて求める。
・困惑させて求める。
・対償を供与し、若しくはその供与の約束をして求める。
② 13歳未満の青少年に対して求める。

奥村が送った意見
13歳未満の青少年に対して求める。行為を罰金で処罰することについて他人に裸体画像を撮影送信させる行為は強制わいせつ罪のわいせつ行為と評価されている
  裁判例
東京地裁H18.3.24
松山地裁西条支部H29.1.16
高松地裁丸亀支部H29.5.2
高松地裁H28.6.2
札幌地裁H29.8.15
岡山地裁H29.7.25
 札幌地裁H29.8.15は9歳児童に平穏に乳房陰部露出させる姿態とらせて撮影させた行為を強制わいせつ罪(176条後段)
 としている。脅迫はない。
 これが強制わいせつ罪(176条後段)だとすると、13歳未満の青少年に対して求める行為は強制わいせつ罪(176条後段)未遂(法定刑懲役6月~10年)であって、既に国法で厳重に対応されていることになる。
 この行為について青少年条例で罰金で処罰するというのは、条例の守備範囲を越えるし、懲役10年の刑を罰金にして軽く処罰することになって妥当性にも欠ける。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/dms/ss/bosyuukekka.pdf
(別記第2号様式 道民意見提出手続の意見募集結果)
令和元年6月5日 ~ 令和元年7月5日
北海道青少年健全育成条例の一部を改正する条例(素案)についての意見募集結果
意 見 の 概 要
13 歳未満の青少年に自画撮り画像を求める行為は、強制わいせつ未遂に該当し、既に国法で厳重に対応されている。

意見に対する道の考え方※
本規制は、13 歳未満の青少年に自画撮り画像の提供を求める行為の内、強制わいせつ未遂に該当しない行為を規制するものであるため、国法との関係に問題はないと考えております。

追記 2019/09/05
パブコメ後に、常習要求罪が加えられました。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/339189
道は子どもにわいせつな画像や動画を撮影させて送信させる「自画撮り被害」防止に向け、送信要求を繰り返す常習者に対し、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科す規定を道青少年健全育成条例改正案に盛り込む方針を固めた。「自画撮り犯罪」に絡む常習行為を処罰する規定を設けるのは全国初。道は来年1月施行を目指し、9月10日からの道議会第3回定例会で方針を示す。
 条例改正案を巡っては、13歳未満の子どもにわいせつな画像を要求するだけで、13歳以上18歳未満については脅迫や見返りに現金を渡すなどの悪質な手口での要求に対し、それぞれ30万円以下の罰金を科す方針が既に明らかになっている。道はこれらの行為に関し、複数回行うなど「常習性がある」と判断した場合、さらに重い6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科す考え。厳しい規定を設けることで、犯罪抑止につなげる狙いだ。
 東京都や兵庫県など19都府県(3月末時点)は18歳未満に対する悪質な手口での要求に罰金や科料を科しているが、繰り返す行為を厳罰化した自治体はなかった。現行法では自画撮り画像の要求行為を規制する法律はない。