児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

自画撮り要求行為の熊本県少年保護育成条例について、検事正から、「少年の年齢を知らないことを理由として」, 「処罰を免れることができない。」旨の規定を適用することは問題だという意見がでています。

 
 結局 国法の製造罪が故意犯なのに、その未遂・予備が過失でも処罰されるという条例になっています。

平成30年10月1 1日
熊本地方検察庁検事正様
熊本県知事
熊本県少年保護育成条例の一部改正に伴う意見について~ (協議)
日頃から、県政の推進について格別の御理解と御支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、本県では、熊本県少年保護育成条例において、少年に自画撮り画像を要求する行為の禁止規定を罰則付きで新設する予定でおり、今般この規定内容を明確にするため、条文を改める作業を進めております。
つきましては、当該条例の改正案に対する貴職の御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

熊本地検企第88号
平成30年11月5日
熊本県知事殿
熊本地方検察庁検事正
罰則のある条例の一部改正に伴う事前協議について(回答)
平成30年10月11日付けく安第268号をもって協議依頼のあった熊本県
年保護育成条例の一部改正案について,その内容の検討結果を下記のとおり回答します。

1 結論
本条例改正案は,以下の点を除き問題ない。
2 問題点
条例案第21条第6項は,少年に自分の裸体をスマートフオン等で撮影させ,その画像をメール等で送るよう要求する行為(以下, 「自画撮り要求行為」という。)について, 「少年の年齢を知らないことを理由として」, 「処罰を免れることができない。」旨の規定であるが
(1) 自画撮り要求行為については,相手が少年であることを認識できない場合も多いと考えられ,そのような場合にまで処罰をすることは過剰である
(2) 自画撮り要求行為がなされ,相手側が自己の裸体等の画像を送信した場合には,児童ポルノの製造又は単純所持として処罰されることとなるが,児童ポルノの製造については,児童の年齢を知らないことを理由として処罰を免れることができない旨の規定が適用されるものの,児童ポルノの単純所持については,同規定は適用されておらず,児童ポルノの単純所持の前段階である自画撮り要求行為について,本規定を適用することは相当ではない
と思料される。