児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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「性暴力被害者の法的支援~性的自己決定権・性的人格権の確立に向けて」における児童ポルノ罪

 児童ポルノ・児童買春罪に過失処罰規定があるような記載ですが、使用関係がある場合のみです。使用関係がある場合無過失で免責になる余地は極めて少ないので、「まもなく 18歳になる女児が, 自ら18歳以上であると主張して,写真撮影等のモデルになりたいと応募してきた場合等に,撮影した者を罪に問うのは酷ではないか等という議論があり,設けられたと言われています。」という場合でも過失ありということで処罰されます。免責されないんだからこんな議論はなかったんじゃないかなあ。
 法文を丸写ししにしておいた方が正確でした。
 判例盛り込もうとしたら、罪数の判例しかないし

児童ポルノ禁止法等(角崎恭子弁護士〕
①児童ボルノ禁止法(児童買春・児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)児童ポルノ禁止法は, 1999(平成11)年に定められましたが,その各規定は,条文としては読みにくいものが多いため,概略について説明します。
(1) 「児童買舂」の定義等2条1項に定める「児童」とは, 「18歳未満の者」を言い, 同条2項「児童買春」とは, 「児童又はその周旋者・保護者(親権者等) ・児童を支配下に置く者に対し,対価を供与し,又はその約束をして,児童に対し,性交等(性交若しくは性交類似行為,又は,性器を触る, 自己の性器を触らせること)をすること」を言います。
この条文の特徴は, 「児童買春」の定義の中に,狭義の性交だけでなく,その類似行為等が含まれる点です。
4条では, 「児童買春」をした者は, 5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処することが, 5条では, 「児童買春周旋」をした者は, 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又はこれの併科に処することが定められています。
(2) 「児菫ポルノ製造等」の定義等2条3項に定める「児童ポルノ」とは, 「写真,電磁的記録媒体等であって,次の①から③のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの」を言います。
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為にかかる児童の姿態
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為にかかる児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部,臂部又は胸部)が露出又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するもの上記の「児童ポルノ」については,所持しているだけで処罰されます。
罰則は7条に規定されており,下記のとおりの処罰規定が設けられています。
①単純所持: l年以下の懲役又は100万円以下の罰金
②提供:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(提供とは,写真又は記録媒体の交付, インターネットを介した送信等を指します。)
③提供目的製造等:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(製造等には,製造(複製保存を含む(最高裁平成18年2月20日決定)) ・所持・運搬・輸入・輸出・電磁的記録の保管が含まれます。)
④非提供目的製造等:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
⑤盗撮による児童ポルノ製造:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
⑥不特定多数への提供等:5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又は併科(不特定多数への提供とは,児童ポルノを不特定多数の者に提供し,又は,公然と陳列する場合を言い, インターネット上へのアップロードや,児童ポルノを閲覧できるURLの表示も, 「公然陳列」に当たります(最高裁平成24年7月9日決定)。)
⑦不特定多数への提供目的製造等:5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又は併科
⑧不特定多数への提供目的輸出入:5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金又は併科(3)注意点児童ポルノ禁止法には, 「児童の年齢を知らなかったとしても処罰を免れない(9条)。」という規定がありますが, 「18歳未満であると知らなかったことが無過失の場合はこの限りでない。」という規定も, 同時に設けられています。
この規定は,例えば, まもなく 18歳になる女児が, 自ら18歳以上であると主張して,写真撮影等のモデルになりたいと応募してきた場合等に,撮影した者を罪に問うのは酷ではないか等という議論があり,設けられたと言われています。
ただ,無過失というためには,少なくとも年齢が分かる公的な書類等で,児童の年齢を確認したこと等が要求されると考えられます。
また,第3章の5で解説する児童福祉法違反と児童ポルノ禁止法には,重なり合う部分も多くありますが,両方の法律に違反した場合は,併合罪として重く処罰されます(最高裁平成21年10月21日決定)。
2つの罪が併合罪として処断される場合には,その最も重い刑の長期(刑期の上限)に,その2分の1を加えたものが長期とされますので(刑法47条本文),法定刑の上限があがることになります。

[001/002] 145 - 衆 - 法務委員会 - 12号
平成11年05月14日
○笹川委員 今の発議者の答弁の中で、マフィアその他がわかりにくいというお話があったので、私は、そういうことが起こり得るんですということを申し上げただけの話であります。
 例えば、「過失がないときは、この限りでない。」九条にありますね。いかなることがあっても処罰を免れないんだけれども、過失がないときというのをお尋ねしようと思ったんだけれども、時間の関係でなるたけ早くやめたいと思ったから。では、IDカードを見せなさい、ドライバーライセンスを見せなさいと言って年齢が確認できたらいいですよ。こんなことをしてはいけないんだけれども、仮にそうしたときに、できないでしょうから、幾つと聞いたときに、いや、十八と言った、だからおれは「この限りでない。」に入ると思うけれども、相手は、そんなこと言わなかった、私は正真正銘十四歳でしたと言われたときに、私は、申し上げたようなことがアメリカでもあったし、日本でも起こり得ますと。
 だから、国外犯の処罰というのはやはり難しい面がありますよということは、皆さんの勉強会の中でそういう話が出ましたかということをお聞きしただけであります。
○林(芳)参議院議員 お答えを申し上げます。
 私も先生がおっしゃることは、男性でございますのでというわけでもありませんが、よくわかるつもりでございまして、その意味で、この九条を置いておりまして、児童を使用する者以外は、この反対解釈として、過失の場合は認められないということ、除かれるということに一応して、これは国外犯にも適用がございますので、御懸念のところは、その辺のラインで、あとは運用のところできちっとやってもらわなければいけないというふうに考えておるところでございます。
○福岡委員 そうしますと、今その判例に従うということですから、実際的には、法的な意味で従属制があるとか親権に服するとかということよりもっと広い概念だということですね。事実上支配をしているというような関係に立つ者がそういうことをしたということですね。わかりました。
 それで、次にそれに関連しまして、第九条の規定全体を見てみますと、私は、本来、第五条ないし八条の罪というものは故意犯だと思うんですよ。故意犯を前提として、その年齢を知らなかった、十八歳未満であるということを知らなかったということに過失がある場合は処罰をするという、いわゆる過失犯を設定した規定だというふうに全体として認識するわけですけれども、それで間違いないでしょうか。
○林(芳)参議院議員 お答え申し上げます。
 結論から申し上げますと、委員の御指摘のとおりでございますが、五条から八条までに規定する犯罪は故意犯でありますから、児童である、この場合は十八歳未満でございますが、その認識がなければ処罰ができないというのがこの原則でございますけれども、児童を使用する者については年齢に関する調査確認義務があるというふうに考えられますので、このような者については、児童の年齢を知らないということを理由にしてのみ処罰を免れさせるのは妥当でないという判断をいたしまして、これらの者については、認識がないことについて過失があれば処罰するということにいたしたところでございます。
○福岡委員 そうしますと、この規定の仕方を見ると、何か、裁かれる被告人側の者が過失がないことについて立証責任を負うというようにも読めるんですよ。要するに、原則として、知らないことは処罰される、ただし、知らないことについて過失がない場合には免れるというような感じになりますから。ところが、実際は刑事訴訟法の大原則は、すべて構成要件的なもの、過失もいわゆる構成要件ですから、それについては検察側の立証の義務があるということははっきりした事実ですね。したがって、その点をやはり変更しているというわけじゃないでしょうか。そこのところだけ明確にしていただきたいんです。
○林(芳)参議院議員 お答え申し上げます。
 これも委員のおっしゃるとおりでございまして、このような規定には児童福祉法六十条三項というのもございますが、本条はこれに倣ったものでございます。これは解釈上、学説等いろいろあるようでございますが、我々といたしましては、憲法の三十一条に規定されております検察官の立証ということの原則にのっとりまして、検察官が過失を立証すべきであるというふうに考えております。



○佐々木(秀)委員 つまり、私がお尋ねをしたような事柄については、別の法律ないしは別の措置によって保護の措置を考えるべきである、こういうお考えだということでよろしいですね。
 それから、私が予定した質問は大分先ほど同僚委員からの御質問があり、それと重複している部分もありますので、もうお答えいただいたところについては割愛をさせていただきたいと思いますが、ただ、先ほども年齢についてのお話がありました。例えば、本法では児童については十八歳未満にしているわけですけれども、しかし、先ほども御指摘がありましたけれども、もう十五歳、十六歳などというと、例えば身体的には大人と変わりない、大人よりも立派な体をしている女性もたくさんいるわけです。諸外国の例で言うと、ドイツでは十四歳、フランスでは十五歳、ベルギーでは十六歳となっていると聞いております。それからまた、先ほども御指摘がありましたけれども、我が国では女性の婚姻適齢が十六歳になっているなどということもある。
 それで、これは先ほど福岡委員からも御指摘があったところですけれども、いわゆる第九条の、児童の年齢についての情を知っているかどうかということについてです。児童を使用する者が、児童の年齢を知らないことを理由にして、第五条から第八条までの規定による処罰を免れることはできない、ただし、過失がないときはこの限りではない、こうなっているわけです。今のような子供たちの身体の発育状況などからいうと、これは情を知るという、九条関係でいうと、使う場合に、一々戸籍抄本あるいは戸籍謄本などを出せというところまでは、恐らくどんな企業でも余りやってないんだろうと思うんです。まともな企業でもですよ。
 そうすると、そうでなくて、特に風俗だとか何かで使うような場合に、それを聞かない、それで本人の年齢を聞いて、本人の年齢についての偽りの申告、それを受けたという場合に、それをさらに突っ込んで確かめないままにというようなことが過失に当たるのかどうか、これは先ほどの御指摘にもあったけれども、なかなか難しいんじゃないかと思うんですね。
 それと、その外国の事例での年齢の問題などと比べると、これは経過の中でもいろいろ私どもも議論に参加したところだったんですが、十八歳という年齢はちょっと高過ぎるんじゃないかという意見がかなりあったんです。しかし、これで、十八歳で決めたということについて、簡単で結構ですから、そこを決断されたという事情について
○円参議院議員 先ほど福岡委員にもお答えしたんですけれども、一定の年齢に満たない者に対し特別の保護を与えることを定めた児童の権利に関する条約というものがございます。その対象となる児童は十八歳に満たない者とすることをこの条約では原則としておりまして、また我が国におきましては、児童が健やかに成長するように各般の制度を整備するとともに、児童に淫行させる行為等、児童買春に関連する行為をも処罰の対象とする法律に児童福祉法がございますが、同法の対象となる児童も十八歳に満たない者でございます。そして、これは女性の婚姻による例外を認めておりません。これらの条約や法律の目的とこの法律の目的から考えて、対象とするものの範囲も同一にすべきものと私どもは考えまして、十八歳未満の者をこの法律による児童としたわけでございます。先生がおっしゃるような議論はさまざまございましたけれども、そういうわけでございます。
○佐々木(秀)委員 一応そのように伺っておきます。
 それから、先ほど来他の委員からも御指摘がありましたように、これが刑法との関係で、特に児童に対する性的な犯罪、処罰も重くなっているというようなこと、あるいは犯罪類型としても構成要件的にぴたっといくのかどうかなというようなことから、これが濫用されるおそれはないんだろうかというようなことがありますね。
 例えば、児童ポルノの販売目的の所持だとか製造だとか運搬、これが禁止をされ、違反をすると処罰をされるということになるわけですが、そういうことが、例えば憲法二十一条二項の検閲の禁止に触れないか。つまり、原稿の作成だとか印刷段階だとかあるいは映画だとかビデオの撮影段階がこの販売目的の所持、製造、運搬禁止ということに触れないとは限らないのではないか。そうすると、今言ったような後者の段階でも強制捜査の機会が生じるのではないかというようなおそれが指摘をされたりするわけですね。そういうことから、第三条では「国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。」こう書いてあるわけですね。
 そこで、これはむしろ法務省にお聞きをした方がいいのかと思いますけれども、私が今挙げたような例のほかに、ここで心配されている国民の権利の不当な侵害のおそれというのはどんなような事例が考えられるのか、そして、それに対する歯どめとして、この法律で賄えるのかどうか。先ほど、第九条関係では、過失の立証責任は捜査官の方にあるだろう、検察側にあるだろうというお話もあったんだけれども、私が述べたようなことからして、果たして立証可能なのかどうか、そんなことも含めて刑事局長にお尋ねをしたいと思います。
○松尾政府委員 まず、憲法の問題といいますか、重要な問題である検閲になるのかどうかという、ここのところからお答えしたいと思います。
 最高裁判例で、昭和五十九年十二月十二日に、検閲についての判例がございます。その判決での文言でございますが、検閲というのは何かということでございます。これは「行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す」、これが検閲だ、こう判示しているわけでございます。
 この法案の第七条では、確かに頒布等の目的で児童ポルノの製造、所持、運搬等をした者について処罰するという規定になっております。これは「対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査」するというものでないことは、この法案の文言からも明らかでございます。判決に言う検閲の概念には該当しないということがまず言えるかと思います。
 それから二番目に、この法案が成立した際の運用等で、例えばその濫用のおそれとか、あるいは概念の混同等が生じて混乱することがないのかという御趣旨かと思いますが、例えば、本法案では、既存の刑法あるいは児童福祉法その他の用いている文言と同じ文言がございます。同じ文言は、当然のことでございますが、従来の解釈あるいは判例によってその内容が逐次明らかにされてきている部分につきましては、その判例の流れといいますかそういうことが実務に定着しておりますので、その趣旨を体して、あるいはその趣旨を尊重しながら運用するということに当然なろうかと思います。
 ただ、この法案では、若干のところにつきまして従来よりも処罰範囲を広げたことがございます。この法文上の文言あるいはその趣旨につきましては発議者の方から何回かにわたっていろいろな観点からの御説明がございました。我々捜査当局といたしましては、国会におけるそうした法文についての御論議、あるいは参議院も通じてでございますが、委員会でいろいろ交わされましたことについて、その趣旨にのっとりまして慎重に適用してまいりたいと思っているところでございます。
○吉川(春)参議院議員 お答えいたします。
 これは故意犯ですので、やはり年齢が十八歳未満であるということの認識も必要といたします。
 同時に、ただ、五条から八条については、児童を使用する者については、児童の年齢に関する調査確認の義務があると考えられますので、これらの者が五条から八条までに規定する行為をした場合については、十八歳未満の者であるとの認識がなくても、認識がないことについて過失があれば処罰する、こういう法律の組み立てになっておりまして、したがって、原則として年齢について知らなくてはならない、これがこの法律の原則です。
○木島委員 そう読まざるを得ないのですね、これは。これは検察・法務といえども、この条文を読んだらそう読まざるを得ない、故意犯ですからね。しかし、そうなると、ほとんど脱法で捕まえることができなくなるのじゃないかという私の心配なんですね。まあ、そう聞いておきます。
 ではその次に、それではこの法律の組み立て方で、第四条の児童買春罪、これだけは、児童を使用する者は年齢を知らないことを理由として罪を免れることができないという、要するに、年齢の不知は許さずという立場から除外したのですね。何で第四条だけを除外してしまったのでしょうか。
○吉川(春)参議院議員 第四条を除外したというより、第四条が原則なんですね。
 それで、第五条から八条については、児童を使用する者ということになっておりまして、児童を使用するという者は、雇用関係にあるだけではなくて、もう少し広く解釈いたしますけれども、こういう性的な犠牲にならないように、児童に対して注意義務を持たなくてはならない、こういうような人について特に厳しく処罰することにしたということでありまして、原則は第四条です。
 そして、今は非常に子供たちの成長も早いから、十五、六歳なのか十九歳なのかという認識がなかなかつきにくいというのはお説のとおりでございますけれども、同時に、こういう場合には、例えば未必の故意が認められる場合もあるでありましょうし、しかし、年齢のことについて認識が不可能という場合にはやはり処罰をしない。これが立法政策といいますか、私たちはそういうことを選択をいたしました。
 今後、この法律が初めて日本で施行されることになるわけでございまして、これによって大半の処罰が免れるような実態になるというようなことがあれば、またその次の段階として考えなくてはならないと思いますけれども、私たちは、あくまで年齢の認識が必要だということを基本に置いて故意犯として組み立ててきた、こういうことです。
○木島委員 確かに、この法体系は第四条が基本、児童買春については基本条文なんですね。第四条は児童買春罪です。
 第五条は周旋です。それから、二項は業とした者です。第六条も周旋です。そして、二項は勧誘を業とした者ですから、確かに、使用するということを想定される場合が非常に高いことは事実です。ですから、そういう場合は、知らないことは許さないというのは非常にいいと思うのですね。七条以降もそうですが。だからといって、四条の児童買春罪の基本法について、私は、知らないことを許すというのは理屈が通らないと思うのですね。
 というのは、最近、高校生のアルバイトもふえているのですよ。高校生、どんどんアルバイトに入るわけです。そうすると、使用関係に入っていく高校生は非常に多いのですよ。そういう、たまたまある会社なり業にアルバイトとして入った高校生、高校生は大体十八歳未満ですからね。そうすると、使用関係が生まれるその使用者なり支店長が、地位を利用しなくたっていいですね、お金を渡して性行為に入ったら四条が適用なんですが、その支店長なり使用人が、その子の年齢、おれは知らぬ、十八歳以上だと思ったという弁解を許さなくたっていいんじゃないかな。想定できる。
 四条の場合でも、使用関係に入った女の子が被害者になることは大いに今の日本の社会状況の中で想定されるから、四条は外さなくてもいいんではないかなと思うので、要するに重くするという意味ですよ。年齢の不知は許さないという基本のところでいいんじゃないかなと思うのですが、これ、私、頑張り過ぎますと修正問題になってしまうので、この辺でやめますが、何か御答弁あったら……。
○大森参議院議員 被害者の年齢等が規定されている条文というのはほかにもございます。そのときにその年齢だと思わなかったという否認の弁解というのはよく出てくることでありまして、これをとめることはできません。その場合に、どういう立証ができるかということであると思います。
 それで、やはり原則は故意犯でありまして、児童を使用する者については、別の過失推定のような規定を置いたわけです。これは児童福祉法の規定と同じような内容と理解しておりますけれども、使用する者と言い得るためには、児童の年齢確認義務を課すことが相当と認められる関係のある者、その確認義務を尽くさなかったために児童の年齢を知らなくとも処罰されるのもやむを得ないと見られる者という、この基準から判断されるとしておりますけれども、例えば児童福祉法でも、こういう場合には児童保護のために、特に原則故意犯の一部例外的なものを認めたわけでありまして、これを広く広げるべきではないと思います。
 今回の、どこにこの使用する者の部分を当てはめるかにつきまして、買春者というのは、通常一回性の行為というものが予定されますので、ここからは除外いたしました。確かに、年齢が十八歳未満、十七歳ぐらいになると、故意の内容というものが、十七歳だから、例えば二十歳と思ったと見る場合もあると思います。要するに、その弁解が信用できるかどうかということで、あくまで立証の問題だと思います。

○木島委員 もう論争をこれで私は打ち切りますが、一つだけ披露したいのがあるのです。神奈川県青少年保護育成条例であります。
 この条例は、第十九条で、みだらな性行為、わいせつな性行為の禁止規定があります。「何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」「「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、」本件で言う性交のようなものです。「同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為」。わいせつな行為でしょうね。
 これが処罰されるのですが、神奈川県条例の大変ユニークな、画期的な条文は、第三十七条七項で、この十九条一項もしくは二項、今言った青少年に対するみだらな性行為罪、わいせつ行為罪を、その「行為をした者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、前各項の規定による処罰を免れることができない。 ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。」といって、使用関係がなくても、神奈川県条例の場合は年齢の不知は許さない、そういう弁解を許さないという条文を置いているので、これは神奈川県、なかなか大したものだなというふうに思っておりますので、ひとつ三年後の見直しのときにはこんな条文もこの法に盛り込めればいいなと私は思います。
 では、一点だけ聞きましょうか。この条例と本法との整合性の問題について御答弁願いたい。
○吉川(春)参議院議員 神奈川県条例の三十七条七項は、確かに本法の四条についても年齢の不知は許さない、こういう立場をとったと思います。今度この法案ができましても、確かにこの部分はまだ処罰として条例としては残るわけです。それは県の条例ですので、県の御判断によって、この法律との整合性のために条例の改正という手続をおとりになるのかあるいはそのまま残されるのかは県の判断だと思いますけれども、私は、立法政策として一つの方法であるということは認めたいと思います。
 同時に、先ほど来、木島議員の御意見ですけれども、児童の虐待、そういうことを許さないという強い意思を示すためということであれば、例えばポルノグラフィーの所持そのものを処罰した方がいいんじゃないかとか、そういうのもあったのですけれども、それも自社さ案からは削ったという議論がありましたけれども、ともかくこの法案をスタートしてみて、そして不都合があれば見直すということで、第一歩という形でそういう立場をとったということを御理解いただきたいと思います。
○吉川(春)参議院議員 ですから、この法律と重なる部分は効力を失うけれども、それからはみ出す部分については当然残るのであって、それをどうするかについては各地方公共団体の御判断である、この立場でございます。
・・・・・・・
[002/002] 145 - 参 - 法務委員会 - 8号
平成11年04月27日
高野博師君 第九条は、「児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。」。この条文を置いた趣旨は何でしょうか。
○委員以外の議員(林芳正君) お答え申し上げます。
 九条は、先生の御指摘のとおり知情のことを書いておりますが、この法案の第五条から第八条までに規定する各種の犯罪はいずれも故意犯でございます。ですから、児童であるという認識、すなわち定義のように十八歳未満の者であるという認識がなければ処罰ができない、これが故意犯の原則でございます。
 しかしながら、児童を使用する者については児童の年齢に関する調査や確認義務があるというふうに考えられまして、このような者について児童の年齢を知らないことのみを理由に処罰を免れさせる旨は妥当ではないという判断をいたしまして、これらの者については、当該児童が十八歳未満の者であることの認識がない場合においてもその認識がないことについて過失があれば処罰をするということを規定したものでございます。
高野博師君 それでは最後に、第九条の「児童を使用する者」とはどういうことか。児童福祉法第六十条にも同様の規定がありますが、そこで言う「児童を使用する者」と同じ内容と考えていいのでしょうか。
○委員以外の議員(林芳正君) まさに先生御指摘のとおり同様の定義だということでございますが、今先生がおっしゃられたように、「児童を使用する者」については、児童福祉法第六十条の第三項に同様の規定がありまして、これに倣ったのがこの法案のこの言葉でございます。
 児童福祉法の同規定におきます「児童を使用する者」の意義については、判例上、児童と雇用契約関係にある者に限らず、児童との身分的もしくは組織的関連において児童の行為を利用し得る地位にある者、またあるいは特にその年齢の確認を義務づけることが社会通念上相当と認められる程度の密接な結びつきを当該児童との間に有する者などという判例になっております。こういうことでございまして、本案における「児童を使用する者」の意義は、先生御指摘のとおりこれと同じものでございます。