児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「鹿児島から和歌山の11歳に、「ライン」を通じて、わいせつな行為を教えた疑い」という「鹿児島県」青少年条例違反被疑事件

 テレホンセックスとか、チャットHという行為です。
 和歌山県と鹿児島県とにまたがる行為なので、両県の青少年条例が適用可能ですが、被害が和歌山県で発生しているので、和歌山県条例を優先すべきです。 
 和歌山県条例と鹿児島県条例は法文も解説も何かを丸写しにしたようにそっくりですが、教える行為の罰則は、鹿児島(1年)の方が重くなっています。
 問題点としては
① 1項のわいせつ行為(懲役2年)との区別が不明確なこと
② わいせつの定義が刑法176と同様とされていて、定義が失われていること。青少年健全育成の見地から独自の定義が求められること
③ わいせつの定義から昭和60年10月23日最高裁判決(福岡県青少年健全育成条例違反事件)がいう真剣交際の場合を除外する必要があること
④ 解説によれば、両条例とも13歳以上への適用を予定しているようで、11歳の場合は、強制わいせつ罪(176条後段)だけが適用されると思われること。
を指摘することができます。

和歌山県青少年健全育成条例の解説
(いん行又はわいせつ行為の禁止)
第26条
1何人も、青少年に対し、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を見せ、又はその方法を教えてはならない。

2 「わいせつ行為」とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめたり、その露骨な表現によって性的差恥嫌悪の情を起こさせる行為をいう。
3 「してはならない」とは、青少年を相手として、いん行又はわいせつ行為を行うことを一切禁止するもので、相手方となる青少年の同意、承諾の有無及び対償の授受の有無を問わない。
4 「見せ」とは、自己又は他人のいん行又はわいせつな行為を直接青少年に見せることをいい、映画、テレビ、図書等の媒体を通じて間接的に見せることは含まない。
5 「教え」 とは、いん行又はわいせつ行為の相手方とならないが、当該行為の方法を直接的、具体的に教示することをいい、単なるわい談の一般的な教示は含まない。
例えば、文書、図画、写真、ビデオ等を視聴させる行為等がこれにあたる。
6 現行法上、13歳以上の男女に対する暴行脅迫及び対償を伴わない姦淫(いん行)及びわいせつ行為については何ら規制がないので、この条例により規制しようとするものである。

【罰則】
第2項(見せ又は教示)違反

  • 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金

鹿児島県青少年保護育成条例の解説H19
(いん行等の禁止)
第22条
1何人も, 青少年に対していん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も, 青少年に対して前項の行為を教え, 又は見せてはならない。
解説
1 13歳以上の者に対する姦いん,わいせつ行為については,暴行,脅迫を伴わない限り現行法上何らの規制もなく,青少年の保護育成上の盲点となっており,精神的,肉体的に未成熟で感受性が強く,思慮分別の未熟な青少年に対し,いん行若しくはわいせつ行為をし,又はこれらの行為を教えたり,見せたりすることを契機として青少年が堕落し,売春等の一層深刻な事態に発展するケースが多い。
本条は,このような行為から青少年を保護し,希望ある青少年の人生を踏みにじる反社会的,反倫理的な行為を防止してその健全な育成を図るとともに,行為者の社会的責任を追及しようとするものである。
3 「わいせつ行為」とは,いたずらに性欲を刺激し,又は興奮させ,露骨な表現によって健全な常識ある一般社会人に対し,性的に選恥嫌悪の情を起こさせ善良な性的道徳観念に反する行為をいい,刑法の「わいせつ」と同意義である。
4 「教える」とは,いん行又はわいせつ行為の棺手方とはならないが,当該行為の方法等を教示することであり,単なるわい談等の一般的,漠然としたものでなく具体的,直接的に教えることである。
5 「見せる」 とは,自己又は他人のいん行又はわいせつ行為を直接青少年に見せることをいい,図書,映画,有線テレビ等の媒体を通して見せることは,本条第2項の規定には該当しない。
6 青少年の性行為に係る関連法令において,
(1) 刑法では,暴行,脅迫等をもってする性行為等については処罰の対象としているが, 13歳以上の者に対し暴行,脅迫等を伴わずいん行又はわいせつ行為を行うことは,処罰の対象とならない
罰則
2 第2項違反(青少年にいん行又はわいせつ行為を教え,又は見せた者)は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

http://www.wakayamashimpo.co.jp/2018/07/20180711_80266.html
ラインで女児にわいせつ教示 20歳の男逮捕
18年07月11日 18時55分[事件・事故]
和歌山県警少年課は10日、鹿児島市星ケ峯の自称飲食店員を鹿児島県青少年保護育成条例違反(淫行等の禁止)容疑で逮捕した。

同課によると、容疑者は4月16日、和歌山県内の小学生女児(当時11)に対し、18歳未満と知りながら、鹿児島市内の自宅のインターネット端末から、女児のタブレット端末に無料通信アプリ「ライン」を通じて、わいせつな行為を教えた疑い。
容疑者が自身のラインのアカウントを動画サイトに載せ、女児が連絡して2人は知り合った。女児が周囲の友人に被害を伝えたことから事件が発覚した。宮園容疑者は容疑を認めているという。
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http://www.tv-wakayama.co.jp/news/detail.php?id=49277
わいせつな行為教示した容疑で逮捕
2018-07-10(火) 18:57
インターネットを通じて知り合った県内在住の小学生の女の子に、わいせつな行為を教示したとして、鹿児島市の自称飲食店員の男が、今日、鹿児島県の青少年保護育成条例違反の疑いで県警少年課に逮捕されました。
逮捕されたのは鹿児島県鹿児島市の自称飲食店店員、容疑者20歳です。
警察の調べによりますと容疑者は、今年4月16日、インターネットを通じて知り合った県内在住の小学生の女の子に鹿児島市の自宅から無料通話アプリを使ってわいせつな行為を教示した疑いです。容疑者は、去年冬頃から、女の子と無料通アプリでのやり取りを行っていたということです。警察の調べに対し宮園容疑者は「間違いありません」と容疑を認めています。