児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

(東京都の迷惑防止条例より)で、路上で衣服の上から撮影してもこの条例違反にはなりません。また、録音だけを処罰する法令は特にありません。時光祥大(ときみつしょうた)弁護士(東京弁護士会所属)

 東京都条例では5条2号で盗撮を禁止していますが、該当しない場合に3号で包括的に「卑わいな言動」を禁止していて、判例によれば「卑わいな言動」=社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作で着衣でも該当しうるというので、「路上で衣服の上から撮影」する行為についても「卑わいな言動に当たることがある」というのが正解になります。

http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/ag10122121.html
粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
二 公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
三 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷決定平成20年11月10日
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集62巻10号2853頁
       裁判所時報1471号372頁
       判例タイムズ1302号110頁
       判例時報2050号158頁
       LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 ジュリスト1433号114頁
       法曹時報63巻10号2545頁
弁護人古田渉の上告趣意のうち,憲法31条,39条違反をいう点については,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和40年北海道条例第34号)2条の2第1項4号の「卑わいな言動」とは,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいうと解され,同条1項柱書きの「公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し,正当な理由がないのに,著しくしゅう恥させ,又は不安を覚えさせるような」と相まって,日常用語としてこれを合理的に解釈することが可能であり,所論のように不明確であるということはできないから,前提を欠き,その余は,単なる法令違反,事実誤認の主張であり,被告人本人の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論にかんがみ,職権で検討するに,原判決の認定及び記録によれば,本件の事実関係は,次のとおりである。
 すなわち,被告人は,正当な理由がないのに,平成18年7月21日午後7時ころ,旭川市内のショッピングセンター1階の出入口付近から女性靴売場にかけて,女性客(当時27歳)に対し,その後を少なくとも約5分間,40m余りにわたって付けねらい,背後の約1ないし3mの距離から,右手に所持したデジタルカメラ機能付きの携帯電話を自己の腰部付近まで下げて,細身のズボンを着用した同女の臀部を同カメラでねらい,約11回これを撮影した。
 以上のような事実関係によれば,被告人の本件撮影行為は,被害者がこれに気付いておらず,また,被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり,これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるものといえるから,上記条例10条1項,2条の2第1項4号に当たるというべきである。これと同旨の原判断は相当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官田原睦夫の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

https://top.tsite.jp/news/geinou01/o/36233135/?sc_int=tcore_news_geinou

    • 記者

特定の人を執拗に追い掛け付きまとい、本人には気付かれないように写真や音声を記録し、その写真や音声を不特定多数の人に勝手に公開する行為。これを仮に私たちがおこなったら、どのような罪に問われるのでしょうか?

    • 時光先生

では、単につきまとうだけでなく、写真撮影や録音をおこなった場合はどうでしょうか。写真撮影を処罰する法令として、各都道府県の迷惑防止条例がありますが、これは「公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体」の写真撮影を処罰するもの(東京都の迷惑防止条例より)で、路上で衣服の上から撮影してもこの条例違反にはなりません。また、録音だけを処罰する法令は特にありません。

というワケで、今回は“マスコミ取材”について、弁護士の時光祥大先生に色々とお話を伺いました。そもそもストーカー規制法とは、「恋愛感情」が発端になっていなければ適用される法律ではないとの事。また、迷惑防止条例においては衣服着用であれば条例違反に当たらないとの事。なんとなく当たり前に法律で守られていると思っていたことがまったく守られていない状況に驚きが隠せません。