児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

乙女(13)に対するA県におけるわいせつ行為・性交とB府における性交を包括してB府青少年条例違反一罪で処断した簡裁判決と、それを追認した高裁判決

 金沢支部判例もありますので、高裁レベルでも包括一罪になります。
 包括一罪ですから何回やっても処断刑期の上限は懲役2年又は罰金100万円になります。
 そうやって裁判所を牽制しておいて、4件で数十万円という罰金額に誘導しています。

甲簡裁平成25年10月1日
 上記の者に対するA県青少年健全育成条例違反,B府青少年健全育成条例違反被告事件について,当裁判所は,検察官出席の上審理し,次のとおり判決する。
         主    文
         理    由
(罪となるべき事実)
 被告人は,乙(当時13歳)が18歳未満の者であることを知りながら,単に自己の性的欲望を満たす目的で,同人と,
1 平成28年5月18日午前4時ころ,A県の同人方において接吻し,手指で同人の陰部をもてあそぶなどした上,自己の陰茎を同人の陰部に押し当てるなどし,
2 同年7月22日午前4時ころ,B府公園内において性交し,
3 同年8月1日午前4時ころ,A県敷地内に駐車した普通乗用自動車内において性交し,
4 同日午後7時ころ,A県駐車場に駐車した前記普通乗用自動車内において性交し,
もって青少年に対し,1についてはわいせつ行為をし,2ないし4については淫行をしたものである。

(証拠の標目)

(法令の適用)
 被告人の判示所為のうちA県内での所為(1,3,4)はA県青少年健全育成条例第48条1項2号,39条1項に,B府内での所為(2)はB府青少年健全育成条例38条1項1号,31条1項にそれぞれ該当するところ,これらは,いわゆる包括一罪として,刑法10条により重いB府青少年健全育成条例違反の罪の刑で処断することとし,所定刑中罰金刑を選択し,その所定金額の範囲内で被告人を罰金万円に処し,その罰金を完納することができないときは,刑法18条により金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置することとする。
(弁護人の主張に対する判断)
1 自首
 被告人は,本件について,捜査機関に発覚する前に捜査機関に申告していることは一件記録から明らかであって,自首を認める。
2 仮納付
 略式命令で罰金を科す場合,刑事訴訟法461条にいう付随の処分として仮納付を命じることができると解するのが相当である。したがって,本件公訴提起が違法であるということはできない。
3 包括ー罪
 本件は,45日間の期間中,継続した同一の犯意に基づいて,同一被害者に対して行われた4回の犯行であるところ,A県青少年健全育成条例,B府青少年健全育成条例に共通する青少年の健全な育成という法益は,本件被害者についてのものに特定され,被告人はこれを侵害したものであって,包括ー罪として処断するものである。
4 A県青少年健全育成条例違憲無効
 弁護人は,要するに,A県青少年健全育成条例39条1項,48条1項2号につき,そのわいせつ行為の範囲が不明確であり,処罰範囲が不当に広汎に過ぎるので違憲であると主張するところ,ある規定が違憲であるか否かは,具体的事件との関連において問題となるのであり,当該事件の具体的事情と関連させて検討されるべきものである。
 ここに,わいせつ行為とは,いたずらに性欲を刺激興奮せしめたり,その露骨な表現によって健全な常識のある一般社会人に対し,性的に差恥嫌悪の情をおこさせる行為であり,その内容が不明確とはいえず,本件の被告人の年齢,被害者の年齢,本件の動機,被告人と被害者との関係などの具体的事情からすれば,本件が処罰すべき行為に該当することは明らかであって,処罰範囲が不当に広汎であるとはいえない。
 結局,違憲の問題は生じないものというべきである。
(量刑の理由)
(求刑罰金万円)
(私選弁護人奥村徹

高等裁判所H26.2.26
2 控訴理由第2について
 論旨は訴訟手続の法令違反ないし法令適用の誤りの主張として,略式命令をする場合に付随の処分として仮納付の裁判をすることはできない旨いうのであるが,そのような解釈を採ることはできない。
3 控訴理由第3について
 論旨は法令適用の誤りの主張として,原判決が,A県青少年健全育成条例(以下「A県条例」という)違反及びB府条例違反の各罪を包括一罪とした上,重い同条例違反の罪の刑で処断した点について,被害者はA県在住であるから,A県条例の罪の刑で処断すべきである旨いうのであるが,独自の解釈を前提とするものであって,失当というほかない。