児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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北海道青少年健全育成条例における青少年は一度婚姻すると青少年には戻らない。

 他の地域では青少年に戻るんですよ。
 この「婚姻擬制ないこと」は構成要件要素なので、検察官に立証責任があるのではないかという論点があります。

北海道青少年健全育成条例
第14条
この章以下(第5章を除く。)において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 青少年18歳未満の者(婚姻により成年に達したものとみなされる者を除く。)をいう。
・・・
北海道青少年健全育成条例の解説h26
【解説】
1 第1号関係
(1) 本条例で青少年を「18歳未満の者」としたのは、これまで、学齢の始期以前の者は、社会環境による影響が極めて少ないと思われるため条例の対象外としてきた経緯があったが、近年、都市化の進展や家庭生活の変化に伴い、保護者等による深夜営業施設への乳幼児の同伴などが問題となっていることから、青少年の下限年齢を撤廃し、本条例でいう青少年の範囲としたものである。
(2)「婚姻により成年に達したものとみなされる者」とは、法律婚民法第731条、第737条、第739条)をした未成年者(16歳以上18歳未満の女子:民法第753条)をいう。
未成年でも婚姻をしたときは、私法上はこれによって成年に達した者とみなされ、成年擬制の効果は、離婚によってもくつがえられない。

 茨城県では、離婚で青少年に戻る。

茨城県青少年の健全育成等に関する条例の解説h22
「配偶者のある女子を除く」一女子は,民法により16 歳に達すれば婚姻することができ,これによって成年に達したものとみなされる趣旨から,現に配偶者のある女子は,この条例で定義する「青少年」から除外される。なお,一度は婚姻しても離婚した女子は,民法上は引き続き成年とみなされるが,現に配偶者がいないことから,この条例で定義する「青少年」に該当する。

 秋田県では、婚姻してても青少年なので、婚姻中の性行為、離婚後の性行為も含めて青少年条例違反となりうる。
 青少年というのは被害者の属性の問題なのに、地域によって違うのはおかしいなあ。

秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例
(定義)
第六条 この章以下において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 青少年 六歳以上十八歳未満の者をいう。
・・・
秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例の解説(S53年11月)
〔解説〕
ー第一号の青少年を、「六歳以上十八歳未満の者」と規定したのは、六歳未満の者は、有害環境の影響を受けることが比較的少なく 保護者の注意で十分監護しうると思われ、最高を十八歳未満としたのは、児童福祉法風俗営業等取締法、労働基準法を考慮して定めた基準であって、この年令以上になれば精神的にも肉体的にも安定性が増し、成人に準じてその自主的判断に委せた方がよいことを考慮にいれたものである。
ただし、高等学校在学中に十八歳に達する者がいるが、この場合においては、在学中であることを考慮し他の生徒と同様に育成されることが望ましいことはいうまでもない。
文、民法第七百五十六条で定める「婚姻により成人に達したものとみなされる者」を除外していないのは、児童福祉法風俗営業等取締法、労働基準法未成年者喫煙禁止法未成年者飲酒禁止法等も、青少年を保護する趣旨の規定において婚姻をしている女子を除外していないことと、民法の規定は、婚姻した未成年者の利益を図るために私法上成年者と同じ能力を与えるという趣旨に過ぎず、十六歳及び十七歳の女子で婚姻している者も、身体的、精神的にはまだ成熟に達しているとはいえないことなどから、この条例で保護することが必要である点を考慮したものである。

熊本県は婚姻した女子のみが「少年」から除外されるという

熊本県少年保護育成条例の解説h18
(定義)
第4条この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 少年小学校就学の始期から満18歳に逮するまでの者(婚姻した女性を除く。)をいう
〔解説]
1 第1号関係
(1) 少年を「小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者」と規定したのは、小学校就学の始期までの者は、有害環境の影響を受けることが比較的少なく保護者の注意で十分監護し得ると思われ、最高を18歳未満としたのは、児童福祉法及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営適正化法」という。)を考慮して定めた基準であって、この年齢以上になれば、精神的にも肉体的にも安定性が増し、成年者に準じてその自主的判断に任せたほうがよいことを考慮にいれたものである。
(2) 「婚姻した女性を除く」と規定したのは、女性の場合、16歳以上18歳未満でも法的に婚姻可能であり、その婚姻によって成年者と同様の能力を有すると認められているため、少年の範疇から除いたものである。
・・・
(免責)
第26条この条例に違反した者が少年であるときは、この条例の罰則は、少年に対しては適用しない。
〔要旨〕
本条は、この条例の目的から少年に対しては、あくまで正常な少年に立ちかえるよう善導し、立派な社会人になってもらうことがねらいであるため、罰則を適用しないこととしたものであ
る。
[解説]
1 「適用しない」 とは、この条例で規定している罰則は適用されないが、他の法令違反の場合については、それぞれ該当法令に基づく処置がとられることはいうまでもない。
2 条例第4条第1号の「少年」の定義で除外された「婚姻した女性」すなわち、16歳以上1 8歳未満の女性で婚姻している者については、本条の「少年」に含まれないので、罰則の適用があると解される。