児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

貨幣損傷等取締法の「貨幣」には日本銀行券は含まれない

 常識だと思っていましたが、法テラスも間違えるようなので条文を挙げておきます。

法テラス(広報)@houterasu_4_10: 【サポートダイヤル情報】手品で使おうと思い、100円玉に穴を開けました。処罰されることがあるのでしょうか?◆趣味や娯楽の目的であっても、硬貨や紙幣を加工すると、貨幣損傷等取締法違反として、罪に問われる可能性があります。相談窓口のご案内:0…

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法テラス(広報)@houterasu_4_10 · 23 時間 23 時間前
【お詫び】2/9に配信したツイートに誤りがございました。「硬貨や紙幣を加工すると貨幣損傷等取締法違反として」とありますが、この法の対象は貨幣(硬貨)であり、紙幣は含まれません。正しくは「硬貨を加工すると貨幣損傷等取締法違反として」です。大変申し訳ございませんでした。

貨幣損傷等取締法
(昭和二十二年十二月四日法律第百四十八号)
最終改正:昭和六二年六月一日法律第四二号
○1  貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
○2  貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
○3  第一項又は前項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律
(昭和六十二年六月一日法律第四十二号)
(趣旨)
第一条  この法律は、通貨の額面価格の単位等について定めるとともに、貨幣の製造及び発行、貨幣の種類等に関し必要な事項を定めるものとする。
(通貨の額面価格の単位等)
第二条  通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は一円の整数倍とする。
2  一円未満の金額の計算単位は、銭及び厘とする。この場合において、銭は円の百分の一をいい、厘は銭の十分の一をいう。
3  第一項に規定する通貨とは、貨幣及び日本銀行法 (平成九年法律第八十九号)第四十六条第一項 の規定により日本銀行が発行する銀行券をいう。
(貨幣の種類)
第五条  貨幣の種類は、五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類とする。
2  国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣の種類は、前項に規定する貨幣の種類のほか、一万円、五千円及び千円の三種類とする。
3  前項に規定する国家的な記念事業として発行する貨幣(以下この項及び第十条第一項において「記念貨幣」という。)の発行枚数は、記念貨幣ごとに政令で定める。

安西「特別刑法7」p239
〔問題〕
貨幣損傷等取締法における貨幣とは、どういうものか。また、同法は、どのような行為を処罰するか。
〔解説〕
 貨幣損傷等取締法(昭和二二年法律一四八号)は、貨幣の損傷・鋳つぶし、およびこれらの目的をもってする貨幣の収集を禁止し、その違反者を処罰するもので、かつては補助貨幣損傷等取締法とよばれていた法律が、昭和六二年法律四二号をもって改正されたものである。
通用の(単に事実上流通するのとは異なり、法律による強制通用力がある状態をいう〉貨幣・紙幣・銀行券を総称して通貨といっているが(刑一四八条二君、これらのうち、政府発行の貨幣代用の証券である紙幣は、現在わが国には存在しない。
 そこで、かつての貨幣法(明治三〇年法律二八号〉に代り、現在の通貨の額面価格の単位、貨幣の製造・発行、貨幣等の種類に関し必要な事項を定めている『通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律』〈昭和六二年法律四二号。以下、新貨幣法と略称する)では、通貨とは、貨幣および日本銀行法〈昭和一七年法律六七号)二九条一項の規定により日本銀行が発行する銀行券をいうものとされる(ニ条三項〉。
 日本銀行発行の銀行券は、現在、もつばら、一万円券・五千円券・千円券・五百円券・百円券の五種が通用している(日本銀行券の形式《昭和五九年大蔵省告示七六号》ほか)。この銀行券も、貨幣代用の証券にちがいないから、通貨の基本は、結局のところ、政府発行の硬貨としての貨幣ということになる。
 貨幣の製造および発行の権能は、政府のみに属し(新貨幣法四条〉、その種類は、五百円・百円・五十円・十円・五円・一円の六種類であるが(同法五条一項)、このほかに、国家的な記念事業として発行する記念貨幣というものがあり、これは、一万円・五千円・千円の三種類とされる(同法五条二項・三項〉。
貨幣の素材・品位・量目・形式は、政令で定められる(同法六条。五百円の臨時補助貨幣の形式等に関する政令《昭和五六年政令二四五号》ほか参照〉。なお、「オリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣の発行に関する法律」〈昭和三九年法律六二号〉の規定により政府が発行した千円貨幣、「天皇陛下御在位六〇年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律(昭和六一年法律三八号〉の規定により政府が発行した十万円と一万円の貨幣も、この新貨幣法の規定により政府が発行した貨幣とみなされる(同法附則八条)。以下にその内容を解説する貨幣損傷等取締法の客体である貨幣は、右に述べたような貨幣をいうのである。