児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

プロレス技は「特殊の遊興的接客業」か?

http://www.bengo4.com/topics/1456/の記事では、労働問題にくわしい河野祥多弁護士は「特殊の遊興的接客業」の定義をしないまま、JKプロレスが「特殊の遊興的接客業」に該当すると結論づけられていますが、
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20110518#1305697778
に詳細を挙げていますが、結局、ノーパン喫茶の通達に定義が出ています。ドットコムの労働問題にくわしい河野祥多弁護士にも見つけられないような通達まで掘り下げないと構成要件該当性が判断できないようなことを一般人に判断させるのは酷だと思います。

警視庁防犯部 福祉犯罪質疑回答集 昭和59年2月 
3 いわゆる「ノーパン喫茶」における労基法63条(危険有害業務の就業制限)適用の可否

 18歳未満の年少少女をいわゆるノーパン喫茶において、ウェイ卜レスとして就業させている店があるが、労働基準法第63条(危険有害業務の就業制限)を適用して取締りができないか。

 どのような営業形態か、ノーパンの程度等個々に検討して判断しなければならないが、労働省のこれについての、公式見解や、裁判例を紹介するので参考にしていただきたい。
1 労働省の公式見解
基監発第20号
年労発第34号
昭和56年8月11日
都道府県労働基準局長
各婦人少年室長
              労働省労働基準局監督課長
              労働省婦人少年局年少労働課長
いわゆるノーパン喫茶におけるウェイトレスの業務に対する労働基準法第63条の適用について
昨年来、いわゆるノーパン喫茶が全国各地で営業を開始し、社会的な話題となっているところであるが、最近、そのウェイトレスが年少者である場合に、ウェイトレスの行っている業務が労働基準法第63条に規定する年少者の就業制限業務、「女子年少者労働基準規則第8条第44号(酒席に侍する業務)又は同条第45号(特殊の遊興的接客業における業務)」に該当するかどうかという照会が各地の警察本部又は警察署から都道府県労働基準局及び婦人少年室あてになされているところである。
この問題については、別添のとおり見解を取りまとめたので、当面、警察本部等からの照会に対してはこれにより回答する等適切に対処願いたい。
1※「酒席に侍する業務」の該当性

いわゆるノーパン喫茶において年少者がウェイ卜レスとして働いている場合、ウェイトレスの業務が女子年少者労働基準規則第8条44号の「酒席に侍する業務」に該当することはあるか。

(1)女子年少者労働基準規則第8条44号の「酒席に侍する業務」における「酒席」とは、客の飲食、歓談等の席で酒等のアルコール類が供されるものをいい、「侍する」とは、酒席において一般に離し出される慰安歓楽的雰囲気を維持し盛り上げるため客の傍ら文は近くにいる状態をいうものと解される。
具体的には、酒席において、客の傍らにいて客と慰安歓楽的な会話を交わすこと、客の飲食の手助けをするととなどは「酒席に侍する業務」に該当するが、単に酒席にアルコール類を運ぶことだけではこれに該当しないと解される。
(2) ノーパン喫茶においても、アルコール類が客に提供されており、かっ、ウェイトレスが1にという「侍する」業務を行っている場合には、「酒席に侍する業務」に該当することとなる。
※「特殊の遊興的接客業における業務」の該当性

いわゆるノーパン喫茶において年少者がウェイ卜レスとして働いている場合、ウェイトレスの業務が女子年少者労働基準規則第8条45号の「特殊の遊興的接客業における業務」に該当することはあるか。

(1)女子年少者労働基準規則第8条45号の「特殊の遊興的接客業における業務」とは、「接客業」であって「特殊の遊興的」なものにおける「客に接する業務」(昭22・11・11発婦2号)をいうものと解される。
このうち「接客業」とは、労働基準法第8条14号の「接客業」と同義であり、料理店や飲食店とは異なって、個々の客に対し、飲食の手助けをする、談笑の相手となる、歌や踊りを共とするなどの「積極的なもてなし」行為を行うことを営業の主体とするものをいうと解される(風俗営業等取締法違反被告事件大阪高裁昭46・3・10判決参照)。
(2) ? いわゆるノーパン喫茶が「接客業」に該当するかどうかについては、喫茶店は、労働基準法の適用上は一般的には「飲食点」に該当するものであるが、ノーパン喫茶の場合には、ウェイトレスの服装、ウェイトレスの行うサービス等により種々の形態のものがあるようであり、ウェイトレスの服装、ウェイトレスの行うサービスなどにより、個々の客に対する「積極的なもてなし」といい得る行為を行うことを営業の主体としている場合は、「接客業」に該当することとなる。
? ノーパン喫茶が「特殊の遊興的」なものであるかどうかについては、ノーパン喫茶は、一般的には、客に性的な慰安歓楽を与えることを一つの目的とするものであり、「特殊の遊興的」なものであると解される。

さらに通達があります。

労働基準法解釈総覧 第11版(平成16年、労働調査会) P515
「特殊の遊興的接客業における業務」とは、カフェー、バー、ダンスホール及びこれに準ずる場所において客に接する業務をいう。
(昭22・11・11 発婦2号、昭63・3・14 基発150号)

【特殊の遊興的接客業務の範囲】
 昭和22年11月11日発婦第2号通達法第62条関係に「特殊の遊興的接客業における業務」とは、「カフェー、バー、ダンスホール及びこれに準ずる場所において客に接する業務」としているが、「これに準ずる場所」とは風俗関連営業全般を対象とするものではなく、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第7号及び第8号並びに第4項第3号及び第4号にいうものまで含まないこと。
(昭24・6・7 基収1594号、昭63・3・14 基発150号)

http://www.bengo4.com/topics/1456/
「プロレス技は接触する肌の面積が大きい」 なぜ「JKリフレ」は摘発されたのか?
「これは、年少者に有害業務をさせることを規制する内容で、今回逮捕されたJKリフレの経営者はこのルールに違反したとされています」
法律では、どんな業務がダメだとされているのだろうか?
「この危険有害業務の一例として、『特殊の遊興的接客業』(年少者労働基準規則8条45号)があがっています。これは、労働基準監督署によると、『バー、キャバレー、クラブ等における業務』と説明され、年少者を就かせることは禁止されています。
具体的に何をすれば、特殊の遊興的接客業に当たるかについては、個別の事例ごとに判断されることになります」
それによると、プロレス技はNGなのだろうか? また、簡易マッサージと比べて何が違うのだろうか。
「プロレス技をかけるというサービスについては、露出した肌の割合や、利用者と接触する肌の面積、部位などが考慮されたでしょうね。

プロレス技、特に寝技になると、簡易マッサージよりも接触する肌の面積が大きいです。さらに、ふとももなど接触する肌の部位も、簡易マッサージの場合より性的な要素を含んでいます。

こうした点が、逮捕につながった大きな事情になっているかと思われます」

河野弁護士はこのように考察したうえで、「18歳未満の労働については他にも、児童福祉法風営法、青少年保護育成条例等など、多くの規制があります。年少者を雇う際には、こうした規制にも十分に注意する必要があります」と警告していた。