児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

別居中の配偶者のLINEにアクセスする行為

 O弁護士は行為を許容されるようですが、証拠排除に関する裁判例を総合すると、同居中に放置してある携帯電話を盗み見た程度では、民事上の証拠能力には影響ないと思いますが、不正アクセス禁止法不正アクセスをして入手したデータはダメだと思います。

http://www.bengo4.com/rikon/1020/1150/b_239928/
O弁護士 2014年03月17日 20時27分
私は不正アクセスで罰せられるのでしょうか?
罰せられません。
不貞では一般的な証拠で、良く出されます。

O弁護士2014年03月18日 14時34分
全く違法性が無いとは言いませんが、不貞の違法性の方が大きいかと思います。

不正アクセス行為の禁止等に関する法律
第2条
4  この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一  アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
不正アクセス行為の禁止)
第三条  何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
(罰則)
第十一条  第三条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

東京地方裁判所平成10年5月29日
夫が妻の不倫相手を被告として提起した損害賠償請求訴訟において、夫が陳述書の原稿ないし手元控えとして作成した大学ノートが、妻によって持ち出され被告から証書として証拠申出された場合、信義誠実の原則に反するとして証拠申出が却下された事例
判例タイムズ1004号260頁
判例タイムズ臨時増刊1036号241頁

二 請求原因四の事実(春子の被告との不倫)について
1証拠について
 被告訴訟代理人は、原告本人の反対尋問において、何度か、原告本人の作成した大学ノートに書かれてあった内容を引き合いにして質問を行ったので、当裁判所は、そのような書証が提出されていないことに疑問を抱き、被告訴訟代理人に対し その大学ノートとは何か」と質問したところ、被告訴松代理人は、後に提出する予定の書証の写しとして、乙四の大学ノートを提示したうえ、後に提出する書証として原告本人に提出し、これに対し、原告訴訟代理人は、そのような窃取したような文書は証拠として提出することに異議があると主張しているので、判断する。
 わが民事訴訟法は、刑事訴訟法と異なり、証拠能力については規定しておらず、すべての証拠は証拠能力を付与されるかのごとくであるか、当該証拠の収集の仕方に社会的にみて相当性を欠くなどの反社会性が高い事情がある場合には、民事訴訟法二条の趣旨に徴し、当該証拠の申出は却下すべきものと解するのが相当である。
 これを乙四の大学ノートについてみると、同文日の記載内容・体裁、甲六の原告の陳述書の記載内容との比較対照の結果、原告本人の、述を総合すると、乙四は、原告本人が甲六の陳述書の原稿として弁護士に処し差し出したものか又はその手元控えてあることが明らかであり、そのような 日は、依頼者と弁護士との間でのみ交わされる文目であり、第三者の目に触れないことを旨とするものである。乙四は、おそらく春子が原告と別居後に原告方に入り、これを密に入手して、被告を介して、被告訴訟代理人に預託したものと推認される。そうすると、乙四は、その文書の密行性という性質及び入手の方法において、書証として提出することに強い反社会性かあり、民事訴訟法二条の掲げる信義誠実の原則に反するものであり、そのような証拠の申出は違法であり、却下を免れないというべきである。特に、乙四には、これを子細にみると、被告に有利な点もあれば、不利な点もあり、被告は、突然として、後出の書証として、提示し、そのうち有利な点をあげつらって、反対尋問を行おうとしたものであって、許容し難い行為である。

名古屋地方裁判所平成3年8月9日
妻から夫の不倫相手に対する慰謝料請求事件において、夫の賃貸していたマンションの郵便受けから妻が無断で持ち出した信書が書証として提出された場合において、無断持ち出しの違法性はその証拠能力に影響を及ぼさない程度のものであったとされた事例
判例時報1408号105頁
被告は 違法収集証拠であるから、違法収集証拠排除の原則を適用し証拠として採用すべきでない旨主張する。原告の主張の法律的根拠は必ずしも明らかではないところ、民事訴訟法は、いわゆる証拠能力に関して何ら規定するところがなく、当事者が挙証の用に供する証拠は、それが著しく反社会的な手段を用いて採集されたものである等、その証拠能力自体が否定されてもやむを得ないような場合を除いて、その証拠能力を肯定すべきものである この点を検討するに、たしかに、《証拠略》によれば、甲第一の一、二は原告が前記戊田マンションの郵便受けの中から太郎に無断で持ち出して開披し、隠匿していた信書であることが認められ、夫婦間の一般的承諾のもとに行われる行為の範囲を逸脱して取得した証拠であることが伺われなくもないが、前記認定のとおり、太郎は、被告との関係を原告に隠そうとしていなかったこと、太郎は現在も被告らと共に鰻屋を営んでおり、原告と同居していることがみとめられる(原告本人)のであるから、右証拠収集の方法、態様は、民事訴訟において証拠能力を否定するまでの違法性を帯びるものであるということはできないと考える。)

東京地方裁判所判決平成18年6月30日
4 被告の証拠排除申立について
 被告は,原告が本件において提出した証拠は違法収集証拠であるから,証拠として採用するべきではない旨主張するので,ここで,検討する。
 すなわち,被告は,携帯電話における被告とA間のメールの送受信を記録した原告提出に係る証拠(甲6,7,9ないし11,12(枝番を含む。))について,これらは,原告がAに対して暴力を振るうなど同人の意に反して奪取した携帯電話に基づく証拠であって,いわゆる違法収集証拠に当たるから,これらの証拠の証拠能力は否定されるべきであると主張する。
 民事訴訟法は,いわゆる証拠能力に関して規定を置かず,当事者が挙証の用に供する証拠については,一般的に,証拠価値はともかくとしても,その証拠能力については,これを肯定すべきものと解されている。しかし,その証拠が,著しく反社会的な手段を用い,人の精神的,肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって収集されたものであるなど,それ自体違法の評価を受ける場合は,その証拠能力も否定されるものと解すべきである。
 そして,使用者の同意なくして携帯電話からメールを収集する行為は,通常,使用者の人格権の侵害となり得ることは明らかであるから,その証拠能力の適否の判定に当たっては,その手段方法や態様等が著しく反社会的と認められるか否かを基準として,考察するのが相当である。
 これを本件についてみるに,原告は,Aの鞄や衣装ケースから携帯電話を抜き出したり(原告本人),洗顔中,着用しているジーンズの後ろポケットから携帯電話を背後から抜き取り(原告本人,証人A),これを奪い返そうとしたAともみ合いになり,その際,原告は,Aの顔面や脚部を数回,殴打するなどの暴行を加えた(証人A)というのであるが,その暴行の程度を証明する診断書や写真等の客観的な証拠は提出されておらず,Aの証言を除いて,これを認めるに足りる証拠はない。
 そうすると,原告が,Aの意に反して,本件法廷に提出された証拠(甲6,7,9,ないし12(枝番を含む。))を収集したことは認められるとしても,このことをもって,Aの人格権を著しく害する反社会的な手段方法や態様において,これを収集したものとまでいうことは困難であるから,前記各証拠が証拠能力を有しないものとすることは相当ではない。