児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

パンツ脱いだら高得点の「ゲーム」につき、強制わいせつ罪(176条後段)が成立するという弁護士

 強制わいせつ罪についてはわいせつ性とは別に犯人の性的傾向が要件になると解されるという見解があって、
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20130730#1375159686
で解説したとおり、判例(最決s45.1.29、広島高裁岡山支部H22.12.15)は性的傾向必要性で、寺とか保育園の行事の場合は性的傾向を認めがたいので、強制わいせつ罪(176条後段)は成立しません。

http://news.nicovideo.jp/watch/nw724389
寺の住職は「約20年前から行っており、子供は喜んでいると思っていた」と説明しているというが、子どもが楽しんでいたとしても、パンツを脱がせるようなゲームをさせることに、法的な問題はないだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。
●13歳未満の子どもは「わいせつ」の意味を正しく理解できない
「今回の件で、寺の住職の行為については、刑法176条の強制わいせつ罪(法定刑6月以上10年以下の懲役)の成否が問題になります。
176条は前段と後段の2つに分かれていて、前段は『13歳以上の男女に対し暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者』が対象ですが、後段は『13歳未満の男女に対しわいせつな行為をした者』となっています」
――つまり、13歳以上と未満で、扱いが変わる?
「そうですね。本件では、全裸になった児童は小学校低学年(13歳未満)ですから、後段に当てはまり、わいせつな行為をするだけで本罪は成立します。手段としての暴行または脅迫は必要でありません。
13歳未満の者は『わいせつ』行為の意味を正しく理解できず、有効な同意をする能力がないという理由にもとづく決まりです」
――それでは、児童が「ゲーム」に積極的に参加していても、成り立つ場合がある?
「そうですね。たとえ、児童が外形上『同意』しているような場合……つまり本件のようなゲームの場合でも、これにあたり得ます」
――服を脱がせるのは「わいせつ」になる可能性がある?
「裁判では、脅迫を加えて裸にする行為なども強制わいせつ罪にあたり得ると判示しているものがあります。したがって13歳未満の者に対しては、たとえゲームの中であっても、全裸にすることはわいせつ行為にあたり得るでしょう。
以上からすると、本件住職の行為は、刑法176条後段の強制わいせつ罪にあたる可能性があります」