児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

大阪府青少年健全育成条例の年齢知情条項の解説が存在しない

 児童ポルノ・児童買春法が乳首にこだわるので、青少年条例との関係やややこしくなっています。
 児童買春罪は故意犯で、青少年条例は過失処罰可能ということなんですが、年齢を知らずに児童と対償供与の約束して自己の性的好奇心を満たす目的で乳房を触った場合は、青少年条例で過失処罰されて、年齢を知らずに児童と対償供与の約束して自己の性的好奇心を満たす目的で乳首だけを触った場合は、児童買春罪なので過失は不処罰ということになっています。条例と法律の谷間の問題ですが、あほらしいですよね。

http://www.pref.osaka.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k2010487001.html
大阪府青少年健全育成条例
第五十二条 第三十四条、第三十七条第二号若しくは第三号又は第三十八条第一号、第三号若しくは第四号の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第四十七条、第四十八条又は第四十九条第一号の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
(平二〇条例八五・追加、平二二条例六四・一部改正、平二三条例一〇・旧第五十三条繰上・一部改正)


(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第三十四条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第二項に該当するものを除く。)。
二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
三 性行為又はわいせつな行為を行うことの周旋を受け、青少年に対し当該周旋に係る性行為又はわいせつな行為を行うこと。
四 青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
(平三条例四二・旧第十八条繰下、平一五条例一八・旧第二十三条繰下・一部改正、平一七条例一一〇・旧第二十五条繰下、平二〇条例八五・旧第二十八条繰下、平二三条例一〇・旧第三十五条繰上・一部改正

 
 もともと過失処罰というのは、営業者の注意義務に対応してできたんですよね。
 乳房を触るときには年齢確認について高い注意義務が課せられているのに、乳首を触るときは注意義務が緩和されるというのはおかしいですよね。

追記2/19
 大阪府から資料をもらいました。全く議論になっていません。

大阪府青少年健全育成条例の一部を改正する条例(案)要綱
年齢知情特則(過失犯)の設定
第54条
法人の代表者文は法人法しくは人の代理人数が、その法人又は人の業務に関して第四十六から第五十二条までの違反行為そとしたときは行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑又は科料刑を科する。
[改正の理由]
青少年に対する禁止行為について規制をより実効的なものにするため、下記の行為については、営業者等が「当該青少年の年齢を知らないことを理由として処罰を免れない旨」を規定することとする。
取り締りの対象を4つの行為に限定しているのは、これらの行為は青少年の身体、健康に直接危害あるいは悪影響を及ぼし青少年の人権を不当に侵害するものであり、青少年の健全な成長を阻害するものであることから、新たに規制対象としたものである。
出会い喫茶等営業(第28条)
出会い喫茶等営業」 については、児童買春の温床になっているとの指摘もあり、青少年が客として利用した結果、営業所以外の場所で犯罪等に巻き込まれる危険性も高く、青少年の客としての利用等をより強〈規制する必要がある。そこで、過失犯処罰規定を新たに設け、営業者の側に客としての立場の青少年の年齢確認義務割前車させることとする。
■みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止(淫f予見定)(第35条)
「淫行規定」は青少年を性の欲望の対象として取り扱う大人の背徳的な行為を処罰する規定である。
しかしながら、府警本部によると、現行では年齢知情特則の規定がないため、「淫行の相手方の年齢を知らない等」の理由により事件として立件できない事例が多数報告されており、青少年の健全な育成を阻害するようなみだらな性行為やわいせつな行為等から青少年を保護するという条例の実効性を確保できない状況にある。 
本条例の淫行規定は、経済的対価を伴わない行為についても適用されるなど法律の隙間を埋めるものとして効果的であり、より実効性を高めるために過失犯処罰規定を設けることとする。
■青少年への勧誘行為の禁止(第38条第2号若しくは第3号)
 「勧誘」は特定の者に対して勧め誘うことである。
 青少年に対して性風俗営業の従業員等になるよう勧誘する若しくはホストクラフ等の客になるよう勧誘する行為は、青少年の身体に直接接触し、危害、悪影響を及ぼす形態のものもあることから、青少年を違法行為に関らせること等を防止するために過失犯処罰規定を設けることとする。
■場所の提供及び斡旋の禁止(第39条第1号、第3号若しくは第4号)
0本条例では、青少年の健全な成長を阻害する
 みだらな性行為やわいせつ行為②潰せい剤の使用③禁止薬物の使用などが行なわれることを知りながら、場所を提供したり斡旋したりすることを禁止している。
 これらの行為は単に青少年に性的被害をもたらすばかりではなく、覚せい剤の使用等によって殺人事件等の凶悪事件が起こる可能性もあることから、過失犯処罰規定を設けることとする。