児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

埼玉県青少年健全育成条例の一部を改正しました(入れ墨の禁止)

 あっさり改正されました。
 これで彫り師による医師法違反を青少年条例で軽く処罰してくれることが期待されます。

http://www.pref.saitama.lg.jp/site/jourei/
改正の概要

(1)入れ墨を施す行為の禁止
  ア 青少年に入れ墨を施す
  イ 青少年に入れ墨を受けさせる
  ウ 青少年に入れ墨を施し又は受けさせる行為のあっせん
(2)場所提供の禁止
  ア 青少年に入れ墨を施すための場所の提供
  イ 青少年に入れ墨を施すための場所のあっせん
(3)罰則
  ア 入れ墨を施す行為の禁止違反 … 50万円以下の罰金
  イ 場所提供の禁止違反     … 30万円以下の罰金


 パブコメの結果です。
 「彫り師によるのがほとんどだとすると、医師法では、相手方が青少年かどうかを問わず入れ墨を業とすることを懲役3年禁止しているので、青少年条例は効かない」というコメントに対して、「青少年健全育成条例では、医師であるか否かに関わらず青少年に対し入れ墨を施す行為を禁止します。」という見解が示されました。
 「頭わるいんか!」という程度の誤解かとも思えますが、それに加えて、相手方が青少年である限り医師が医業として入れ墨をする行為(医師法により適法)も条例で禁止されるという県の考え方が示されていて、法律と条例の関係をよく考えてないこともわかります。

http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/535829.pdf

コメント
 青少年条例による入れ墨の規制については、趣旨は理解できるが、医師法との関係で問題があると思う。
 すなわち、入れ墨師・彫り師による場合は、入れ墨=医業で、既存の医師法17条違反で3年以下の懲役となるので、青少年条例で最高2年で処罰する規定を設けても、条例は効かない。無理に条例を適用すると、わざと軽く処罰するように見えるし、科刑上一罪の範囲に一事不再理効が働くので、前後の入れ墨行為を医師法違反として処罰できなくなる。

県の考え方
:案の修正はしないが、実施段階で参考としていく
青少年健全育成条例では、医師であるか否かに関わらず青少年に対し入れ墨を施す行為を禁止します。
 御意見につきましては、実施段階で参考とさせていただきます。


コメント

年齢知情条項について
 果たして、素人の彫り師が簡単な入れ墨を行う場合に、年齢確認義務を科すことができるのであろうか。
 入れ墨行為について年齢知情条項を適用することにしても、適用される場面はない。そういう点は検討されたのであろうか。

県の考え方
 青少年健全育成条例で禁止している多くの行為は、相手の年齢を知らないことを理由に処罰を免れることはできず、入れ墨についても例外とは考えておりません。