児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

最決H24.7.9

 棄却されました。

決定
上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件について,平成21年10月23日大阪高等裁判所が言い渡した判決に対し,被告人から上告の申立てがあったので,当裁判所は,次のとおり決定する。
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人柴崎祥仁ほかの上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
よって,同法414条,386条1項3号により,裁判官大橋正春,同寺田逸郎の各反対意見かあるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
裁判官大橋正春の反対意見は,次のとおりである。
・・・・・・・・・・・・
しかし,そのことを強調し,URL情報を単に情報として示した行為も,「公然と陳列した」に含まれると解することは,刑罰法規の解釈として罪刑法定主3義の原則をあまりにも踏み外すもので,許されるものではなく看過できない。
被告人の行為については児童ポルノ公然陳列罪を助長するものとして幇助犯の成立が考えられるのであり,その余地につき検討すべきであって,あえて無理な法律解釈をして正犯として処罰することはないと考えられる。
裁判官寺田逸郎は,裁判官大橋正春の反対意見に同調する。
平成24年7月9日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官

控訴審判決

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20100606#1275756317
阪高裁H21.10.23
第3 法令適用の誤りの主張について
論旨は,要するに,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ処罰法」という)7条4項の「公然陳列」には,単に児童ポルノに係るURL(インターネット上に存在する情報資源の場所を指し示す,「http : //」などで始まる,アルファベットや数字,記号等からなる記述)を明らかにする行為は含まれないし,当然。URLですらない文字列を公開する行為は含まれないのであるから,そのような行為について児童ポルノ公然陳列罪の成立を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 そこで,記録を調査するなどして検討する。
1 被告人らは,共犯者がインターネット上に開設したホームページ(正しくは。ウェブページというべきであるから,以下そのようにいう)に,第三者である「S」が他のウェブページに掲載して公然陳列した児童ポルノ(原判示の2個の児童ポルノ画像に係る電磁的記録が記録されたハードディスクのことであるが,以下,当該児童ポルノの画像がパソコンの画面上に表示されたものを含めて「本件児童ポルノ」という)のURLを,その「bbs」の部分を「(ビービーエス)」と改変した上で掲載したものである。そこで,本件においては,他人がウェブページに掲載した児童ポルノのURLを5明らかにする情報を他のウェブページに掲載する行為が児童ポルノの公然陳列に該当するか,該当するとすれば,それはいかなる場合かが問題となる。
2 まず,児童ポルノそのものではないが,刑法175条にいうわいせつ物を「公然と陳列した」とは,その物のわいせっな内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいう(最高裁判所第三小法廷平成13年7月16日決定・刑集55巻5号317頁参照)ところ,このような「公然陳列」の定義は,児童ポルノ処罰法7条4項にいう児童ポルノを公然と陳列した場合についても妥当すると解される。
3 原判決は,「「公然と陳列した」とは,児童ポルノ画像の内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいうと解される」として,被告人らの行為が,本件児童ポルノ画像をそのような状態に置いたといえるかについて検討し,まず,「閲覧者において,簡易な操作で容易に画像を閲覧することが可能であれば。「認識できる状態に置いた」といえ,この簡易性の判断にあたっては,閲覧者に必要とされる作業の個数及びその作業自体の容易性を総合して決すべきであると解される」とした上で,本件における閲覧者の操作は簡易なものであるといえ,閲覧者の行為を要すること自体は,被告人らの行為が「公然と陳列した」ということを妨げない旨説示している。
次に,原判決は,「本件児童ポルノ画像は,「S」により,すでに,インターネット上の掲示板に蔵置されており,他のホームページからのリンクを辿ったり,検索エンジンによって検索したりして閲覧することが可能であったと考えられることから,被告人らの行為は,認識可能性を新たに設定したとはいえないのではないかが問題となる」とした上で,本件児童ポルノ画像の掲載された掲示板にホームページのリンクを辿って辿りつくのは必ずしも容易でなく,検索エンジンから上記「S」の掲示板を発見することも容易であったとはみられないことや,本件改変URLの記載は,より多くのインターネット利用者が本件児童ポルノ画像を閲覧することを誘引するものであったことを指摘して,「被告人「K」の行為は,いわば,本件児童ポルノ画像を閲覧する道筋を増やすものであり,本件児童ポルノ画像の認識可能性を新たに設定したものといえる」と説示している。さらに,原判決は,「被告人らは,本件児童ポルノ画像のデータを改変したり削除したりするなどの影響を及ぼしうる地位にはなく,そのURLを改変した文字列等をホームページに記載したのみであるから,被告人「K」の行為は,ホームページの所在場所を紹介したに過ぎず,不特定又は多数の者が認識できる状態に置いたことにはならないのではないかが問題となる」とした上で,児童ポルノ画像を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くにあたり,自ら児童ポルノ画像を支配していることは,必ずしもその不可欠の要素とは解されないが,「公然と陳列した」というもともとの語義を考慮すれば,あらゆる認識可能性の設定行為が当然に「公然と陳列した」にあたるということはできず,そのようにいうには,被告人の行為と,児童ポルノ画像との間に,自ら児童ポルノ画像を掲示板に記憶,蔵置したのと同様の直接性,密接性,自動性が必要であると解されるところ,本件においては,それらの要件が充足されているなどとして,結局,被告人「K」の行為は,児童ポルノ画像を不特定又は多数の者が認識できる状態に置いたといえる旨説示している。
1 所論は,被告人らは,本件児童ポルノの内容が掲載されたウェブページのURLを推測させる文字列を自己のウェブページに掲載しただけであり,いわば犯罪の行われている場所を教えたにすぎず,このような行為は,児童ポルノが保存され-7-たハードディスクの「陳列」,つまり「(人に見せるために)物品を並べる」という言葉の解釈から考えられる行為とあまりにかけ離れており,このような行為をもって児童ポルノの公然陳列とすることは,条文とかけ離れた構成要件を創設し,または,罪刑法定主義の観点から許されない類推解釈を行っていることにほかならない旨主張する。また,所論は,児童ポルノそのものについてではないが,学説上,わいせつ画像が掲載されたウェブページヘのハイパーリンク(文書内に埋め込まれた,他の文書や画像などの位置情報であり,マウスでクリックすると関連付けられたリンク先にジャンプすることができるもの)を設定する行為については公然陳列に該当しないという見解や,ハイパーリンクを設定する行為のうち一定のものについて公然陳列に該当するという見解があるが,ハイパーリンクを設定しないでそのウェブページのURLを他のウェブページ上で明らかにする行為について公然陳列に該当するとの見解は見当たらないところ,原判決の判断は,これらの学説の状況を踏まえない不当なものである旨主張する。そして,所論は,ハイパーリンクを設定する行為のうち一定のものについて公然陳列に該当するという見解のうち,ある見解は,「わいせつ情報への認識可能性の設定」という「陳列」の定義とその日常用語的理解のギャップを埋めるためには,行為とわいせつ情報との密接性が要求されるべきであるなどとして,「密接性」を要件としており,また,他の見解は,ハイパーリンクが,そのわいせつ画像に直接つながる場合と,その後,何回かの行為の介入がなければ閲覧可能な状態にならない場合があるが,前者の場合のみが公然陳列に該当するというべきであるなどとして,「自動性」「直接性」を要件とする(ここで,「自動性」とは,ハイパーリン-8−クによりクリック一つでわいせつ画像につながる場合でなければならないなどとするものであり,「直接性」とは,ハイパーリンクがわいせつ画像に直接つながる場合でなければならないなどとするものであると解される)ところ,原判決は,上記各見解に依拠していると思われるが,これらの要件の意味するところを正しく理解せず,したがって,それらの要件を正しく検討していないのであって,本件においてはそれらの要件も充足されているとはいえない旨主張する。
5 以上を踏まえて検討する。
(1)前述のとおり,原判決は,本件児童ポルノは,他のホームページからのリンクを辿ったり,検索エンジンによって検索したりして閲覧することが可能であったと考えられることから,被告人らの行為は,それに対する認識可能性を新たに設定したとはいえないのではないかが問題になるとして,るる検討した上,この点を肯定しているのであるが,その理由として,本件児童ポルノ(画像)の掲載された掲示板をホームページのリンクを辿って辿りつくのは必ずしも容易でなく,検索エンジンから上記「S」の掲示板を発見することも容易であったとはみられないことを挙げている点については,客観的に確かな証拠があるのか,疑問がないではない。また,(所論も指摘するとおり)原判決が直接性,自動性,密接性の意義をどのように理解しているのかなどの点については必ずしもよく分からないところがある。
(2)しかし,問題は,まず「児童ポルノを公然陳列した(その内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置いた)」という言葉の意義をどう理解すべきかである。確かに,「陳列」ないし「置く」という言葉には,創設的な行為という意味合いが含まれていると考えられるから,児童ポルノの公然陳列についても,その物の児童ポルノとしての内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に初めて設定することを意味するというのが素直な解釈であると考えられる。しかし,そのことは,他人がいったん公然陳列した児童ポルノを更に公然陳列することがおよそ不可能であるということを意味するわけではない。「陳列」ないし「置く」という言葉が本来意味するところに,そこまで絶対的な意義があるとは解されないからである。ことに,昨今,インターネットを初めとする情報通信手段の発展に伴い,従来よりも児童ポルノを不特定又は多数の者に認識させる行為は容易になり,しかも著しく多くの者に児童ポルノを認識させることが可能になっているのであって,このような状況に即して「公然陳列」の意義を合目的的に解釈することは,もとより相当な法解釈というべきである。そして,他人がウェブページに掲載した児童ポルノのURLを明らかにする情報を他のウェブページに掲載する行為が,新たな法益侵害の危険性という点と,行為態様の類似性という点からみて,自らウェブページに児童ポルノを掲載したのと同視することができる場合には,そのような行為は,児童ポルノ公然陳列としての実質的な当罰性を備えており,また,それを罰することによって国民の権利を不当に侵害することもないと考,えられるのであるから,そのような行為を児童ポルノ公然陳列として処罰することには十分な合理性が認められるというべきである。
(3)そこでどのような場合がそれに該当するかが問題になる。まず,新たな法益侵害の危険性という点についてみると,他人がウェブページに掲載した児童ポルノヘのハイパーリンクを他のウェブページに設定する行為であっても,あるいは,他人がウェブページに掲載した児童ポルノのURLを他のウェブページに掲載する行為であっても,それらのウェブページの閲覧者が当該児童ポルノを閲覧するのに特に複雑困難な操作を要するものではないと考えられるから,これらの行為は,当該児童ポルノが特定のウェブページに掲載されていることさえ知らなかった不特定多数の者に対してもその存在を知らしめるとともに,その閲覧を容易にするものであって,新たに児童ポルノを不特定多数の者に認識させる危険性において,自らウェブページに児童ポルノを掲載する行為と大きな差はないというべきである。そして, URLに改変が施されているとしても,正しいURLを容易に認識することができるとすれば,これもまた同じということができる。もっとも,あるウェブページに児童ポルノが掲載されている場合と,他人のウェブページに掲載された児童ポルノヘのハイパーリンクが他のウェブページに設定されている場合,同様の児童ポルノのURLが他のウェブページに掲載されている場合,さらには,当該URLが改変されている場合については,その順序に従い,ウェブページの閲覧者が児童ポルノを閲覧するために必要とされる操作が多くなり,閲覧者が当該児童ポルノを閲覧するまでに至る危険性もその分減少すると考えられる。しかし,そのような場合であっても,当該情報等(上記ハイパーリンク, URL及び改変されたURL等)を掲載する行為又はそれに付随する行為(当該ウェブページだけでなく,それと同じウェブサイトの別のウェブページも含めた,当該情報を掲載するに当たっての具体的な文言やそれらのウェブページの体裁等)によっては,上記危険性が減少しないこともあり得るから,そのような行為を全体としてみて,閲覧者に対して児童ポルノの閲覧を積極的に誘引するものかどうかという点も,児童ポルノの「公然陳列」に該当するか否かの判断につき重要な要素になると考えられる。
(4)次に,行為態様の類似性という点についてみると,自らウェブページに児童ポルノを掲載する行為と,他人がウェブページに掲載した児童ポルノヘのハイパーリンクを他のウェブページに設定する行為,さらには,そのような児童ポルノのURLを他のウェブページに掲載する行為は,確かに,インターネットの技術的仕組みのみからすれば,それぞれに性質の異なる行為である。しかし,重要なのは。(一定の場合に)インターネットを通じてだれもが簡単に児童ポルノを閲覧できてしまうなどという現象面なのであって,そこにどのような技術的仕組みが用いられているかではない。そして,他人がウェブページに掲載した児童ポルノヘのハイパーリンクを他のウェブページに設定する行為や,そのような児童ポルノのURLを他のウェブページに掲載する行為は,インターネットに接続されたパソコン等の簡単な操作(カーソルをモニクー上の特定の場所に置いてクリックしたり,ウェブブラウザのアドレス欄に文字列を入力して実行したりすること)によって容易に児童ポルノを閲覧することができるようにする行為ということができるのであるから,上記のような現象面からみれば,そのような行為は,自ら児童ポルノを掲載する行為との間に類似性を有しているということができる。
(5)所論は,他人がウェブページに掲載した児童ポルノヘのハイパーリンクを他のウェブページに設定する行為については,児童ポルノ公然陳列に該当するかどうか議論の対象となり得ても,そのようなハイパーリンクを設定しない行為については,児童ポルノ公然陳列に該当することを法は予定していない旨主張する。しかし,本件の被告人らもまさにそうであったように,インターネットを通じて児童ポルノを不特定又は多数の者に認識させようとする者らの中には,犯罪として処罰されることを免れるための手段として,ハイパーリンクを設定せず,あるいはURLを一部改変するなどの方策を講じている者がいると考えられるのであって,そのような者らの行為を不可罰とすることが,インターネットを初めとする情報通信手段の健全な発展に資するとは到底いい難い。他人がウェブページに掲載した児童ポルノハイパーリンクを他のウェブページに設定する行為が児童ポルノ公然陳列に該当しないという見解はもとより,児童ポルノ公然陳列に該当するためにはハイパーリンクの設定を必要不可欠とする見解もまた,児童ポルノ公然陳列の成立範囲を過度に限定的にするものであり,採用することはできないというべきである。そして,所論のいう直接性,密接性,自動性についてみても,まず,直接性,自動性は,(原判決の理解はともかく,`それらをいう学説によれば)要するに,ハイパーリンクの設定を不可欠の要素とするもののようであるから,そのこと自体に照らして相当でない。また,密接性は,前述した行為態様の類似性に解消されるというべきである。そうすると,本件においてこれらの要件が充足されているかどうかを検討する必要はないということになるから,原判決のその点に関する理解や検討が誤っている旨いう所論は前提を欠いており,採用できないというべきである。
(6)以上にみたところからすれば,他人がウェブページに掲載した児童ポルノのURLを明らかにする情報を他のウェブページに掲載する行為は,当該ウェブページの閲覧者がその情報を用いれば特段複雑困難な操作を経ることなく当該児童ポルノを閲覧することができ,かつ,その行為又はそれに付随する行為が全体としてその閲覧者に対して当該児童ポルノの閲覧を積極的に誘引するものである場合には,当該児童ポルノが特定のウェブページに掲載されていることさえ知らなかった不特定多数の者に対しても,その存在を知らしめるとともに,その閲覧を容易にするものであって,新たな法益侵害の危険性という点においても,行為態様の類似性という点においても,自らウェブページに児童ポルノを掲載したのと同視することができるのであるから,児童ポルノ公然陳列に該当するというべきである。
(なお,「他人がウェブページに掲載した児童ポルノのURLを明らかにする情報」とは,その情報それ自体によって当該URLが明らかになるものを意味すると解すべきであり,例えば,その情報が「児童ポルノのURLは,・・という書籍の・・頁に掲載されている」などというものである場合には,「児童ポルノのURLを明らかにする情報」とはいえない。一方,他人がウェブページに掲載した児童ポルノヘのハイパーリンクを他のウェブページに設定する行為は,その行為又はそれに付随する行為が当該ウェブページの閲覧者に対し当該児童ポルノの閲覧を積極的に誘引するものである場合には,児童ポルノ公然陳列に該当する。また,「当該児童ポルノの閲覧を積極的に誘引するもの」かどうかは,形式的にではなく実質的に考えるべきであり,例えば,「見ないでください」などとの付記があるからといって,それだけで直ちに「積極的に誘引するもの」でないということはできない。
さらに,ヤフーやグーグルなどの検索エンジン児童ポルノヘのハイパーリンクを設定することがあることについては,そのような児童ポルノヘのハイパーリンクは,検索エンジンの利用者が児童ポルノに関連する検索語句を入力して実行することなどによって初めて設定されるものであるから,検索エンジンを開設・運営するなどの行為が児童ポルノ公然陳列の正犯に該当することはなく,幇助に該当するかが問題になるにすぎないが,通常は,上記の積極的な誘引性を欠くと考えられるから,幇助にも該当しない。)
上記のような考え方に対しては,児童ポルノ公然陳列罪の成立範囲が不明確になるという批判が考え得る。しかし,上記にいう操作の容易性や誘引の積極性といった点は,情報通信技術の更なる発展にも即して,社会通念に照らして合理的に判断され得るものであり,このような批判をもって上記の考え方を妥当でないということはできない。そして,このような考え方は,「陳列」ないし「置く」という言葉の意義を十分に踏まえたものであり,所論のいうように,条文とかけ離れた構成要件を創設し,あるいは罪刑法定主義の観点から許されない類推解釈を行って不当に犯罪の成立範囲を拡大することにもならないというべきである。
平成21年10月23日
大阪高等裁判所第6刑事部

報道

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120711-00001116-yom-soci
児童ポルノ画像を掲載したウェブサイトのアドレスを別のサイトで紹介した行為が、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)に当たるかが争われた事件の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は9日の決定で被告の上告を棄却した。
 懲役8月、執行猶予3年、罰金30万円の1、2審判決が確定する。
 決定は裁判官5人のうち3人の多数意見。弁護士出身の大橋正春裁判官と裁判官出身の寺田逸郎裁判官は反対意見で、「児童ポルノの所在地を情報として示すだけでは公然陳列に当たらない」と、ほう助罪の成立の余地を指摘し、審理を高裁に差し戻すべきだとした。

LEX/DBやTKCに掲載されるようです。

文献番号】 25481896
【文献種別】 決定/最高裁判所第三小法廷(上告審)
【裁判年月日】 平成24年 7月 9日
【事件番号】 平成21年(あ)第2082号
【事件名】 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
【裁判結果】 上告棄却
【上訴等】 確定
【裁判官】 岡部喜代子 田原睦夫 大谷剛彦 寺田逸郎 大橋正春
【少数意見等】 大橋正春(反対意見) 寺田逸郎(反対意見)