被害児童数人の児童ポルノ製造罪を包括一罪だとして訴因変更による被害児童の追加を肯定した大阪高裁の判例がありますけどね。
速報番号3449号
暴力行為等処罰に関する法律1条の多衆の威力を示して行う暴行の罪は,被害者ごとに犯罪が成立し,その罪数関係は併合罪になるとした事例。
(2) (1)を前提として,多衆の威力を示して2名の被害者に対して暴行を加えたとする暴力行為等処罰に関する法律違反事件において,同じ機会に被告人が行った別の被害者に対する暴行の事実につき,検察官の訴因変更請求を許可した原審決定を違法とし,原判決には刑事訴訟法378条3号後段の審判の請求を受けない事件について判決した違法があるとして,これを破棄した事例。
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公訴事実のうち,被告人が実際振るったとされる暴行は, V 1とV2に対するものであった。その後,検察官は,同年11月19日付け訴因変更請求書において,被告人らが,同日時場所でV3に対して振るったとされる暴行も公訴事実に付加した。
第1回公判期日において,弁護人から,事実上の確認としてこれらの罪数関係について明らかにするよう求釈明があり,検察官は「実体法上のー罪である」と釈明し,これを受けて弁護人が訴因変更請求に異議がないとの意見を述べ,裁判所は訴因変更許可の決定をした。
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検討すると,確かに,同罪は,暴行罪の加重類型として,共同暴行罪などとともに,飽くまでも個人的法益に対する罪と位置付けられており,暴行の被害者が複数である場合には,被害者ごとに併合罪の関係で成立するというほかない。(共同暴行罪に関する最高裁昭和52年(あ)第1431号同53年2月16日第二小法廷決定・刑集32巻1号47頁参照)。もとより,犯行態様が特殊な場合などには,包括ー罪や観念的競合となる場合はあり得るであろうが, V 3に対する暴行はそのような特殊な場合ではない。