ファイル共有ソフトによる事件については、警察庁のP2P観測システムで定点観測していて、特定のファイルについて、発信者(中継者)を蓄積しています。取締月間などの一斉検挙のときに、定点観測結果に基づいて、どこかの警察署が捜査を開始して、家宅捜索を行い、その時にソフトを稼働させている場合に現行犯逮捕し、そうでない場合には、押収した機材を分析して、証拠が得られれば、過去のファイル共有行為について立件していくというのが、現在の捜査態勢です。
最寄りの警察に相談をした程度では、相談の事実はその警察署にしか記録されていません。
とすると、その警察署が捜索・押収をかけたり、逮捕することは無いというという効果にとどまり、他の警察署(他府県警)が捜索に来る可能性はそのままだということになります。
p2p利用の犯罪については、多くの警察が管轄を取り得るので、こういう現状になっています。
自首として受け付けられて、起訴猶予や罰金になれば、それなりに安心できるのですが、そうでない場合には、確定的な安心感は得られません。
何罪についても同じですが、犯行後公訴時効までのこういう不安定な状況を解消する手段はなかなかありません。
また、ファイル共有の場合の時効の起算点については、継続犯だとして「実行行為終了後」ということになりますが、いったん放流してしまうと、止められませんので、いつの段階で「実行行為終了後」になるのかについて、はっきりとしたことが言えません。判例もありません。
参考文献
『P2P観測システム』について Keisatsu jiho. 65(11) [2010.11]
P2P観測システムの運用状況 Keisatsu koron. 65(7) [2010.7]