児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「同法34条1項6号の「児童に淫行をさせる行為」には行為者を相手方として淫行をさせる場合をも含むものと解すべきものの,その場合は,淫行をする行為に包摂される程度を超えて,児童に対し事実上の影響力を及ぼして淫行をするよう働き掛けるなどし,その結果児童をして淫行をするに至らせることが必要というべきである。ところが,原判決は,上記のとおり,被告人がB(以下「被害児童」ともいう )をして被告人 。を相手方として性交させた旨判示するのみで,雇用関係や身分関係等により児童を事実上支配していることを示したり,児童に対し

 この破棄理由を見かけるのは2回目です。

名古屋高裁H20.4.30
児童淫行罪は児童に淫行させる行為することが構成要件である 事実上の影響力を及ぼして淫行することに原因を与え 助長する行為をして 淫行させるに至ることが必要である
本件の公訴事実は 「物品を購入して被告人方に誘い入れて」の部分が事実上の影響を明らかにしたものである
ところが、原判決の犯罪事実には誘い込んだことを示さず他に事実上の影響力を認定していない その結果、青少年条例違反との区別が不明確になっている そうすると児童淫行罪の構成要件に該当すべき具体的事実を判示しているとはいえず、この点において理由不備がある 
職権判断
罪となるべき事実

家裁でいい加減な実務をやってたので受け継いでいる部分があると思います。
 控訴申立後の未決全部算入(法定通算)されるんですよ。だから起訴状とか判決書の記載方法もチェックしてもらってください。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=81107&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110228092803.pdf
事件番号 平成22(う)317
事件名 児童福祉法違反被告事件
裁判年月日 平成22年08月03日
裁判所名・部 東京高等裁判所 第12刑事部
結果 破棄自判
高裁判例集登載巻・号・頁 第63巻2号1頁

原審裁判所名 横浜地方裁判所 小田原支部
原審事件番号

判示事項 1 行為者を相手方として児童に淫行をさせる場合の児童福祉法34条1項6号に違反する罪の罪となるべき事実の摘示に理由不備の違法があるとされた事例
2 養父が児童をして自己を相手に性交させた行為が児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」に該当するとされた事例

裁判要旨 1 判決書の「罪となるべき事実」の項に,児童に対し事実上の影響力を及ぼして淫行するよう働き掛け,その結果児童をして淫行するに至らせたことを判示していない原判決には,行為者を相手方として児童に淫行をさせる場合の児童福祉法34条1項6号の罪の構成要件を満たす事実を漏れなく記載していない理由不備の違法がある。
2 児童が,それまでの経緯から,養父から性交されることに抵抗したり,それを実母に相談することができない心理状態にあり,養父もこのような事情を認識していた本件の事実関係(判文参照)の下では,養父が児童をして自己を相手に性交させた行為は,児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たる。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110228092803.pdf
以上の検討結果を前提にして,被告人が養父の立場を利用して本件性交に及んだものか否か判断する。
被害児童の検察官調書(原審甲2号証)によれば,被害児童は,小学2年生のときから被告人と生活し,被告人とDの婚姻に伴い被告人の養女となり,被告人に養育されてきたもので,平成20年5月当時は15歳の高校1年生であったことに加え,分担させられた家事をしなかったとき等に被告人から執拗な暴力を振るわれていたこと,小学4年生のころから被告人から陰茎を見せられたり,胸や陰部等を触られたり,性交させられていたが,抵抗すると暴力を振るわれるかもしれないと思って抵抗できなかったこと,被告人から,性交したことをDに言うとお前たちは生きていけないなどと言われて口止めされたこと,中学2年生のときに被告人から性交されてきたことをDに打ち明けたところ,Dと被告人が激しい言い合いになったこと,平成20年4月ころ,被告人に性交されたが,Dに言うと被告人とDがけんかになるかもしれず,Dのことやその後の生活のことが心配で打ち明けられなかったこと,本件性交の際にも,被告人から暴力を振るわれると思って抵抗しなかったこと等が認められる。
このように,本件性交の際,被害児童は,養父である被告人から性交されることに対して抵抗したり,Dに相談することすらできない心理状態にあったものであり,被告人もこのような事情を認識していたものといい得る。そうすると,被告人は,養父である立場を積極的に利用して被害児童と性交したものであり,本件性交は児童福祉法60条1項,34条1項6号にいう「淫行をさせる行為」に該当するというべきである。
. 以上の次第で,被告人には児童福祉法60条1項,34条1項6号の罪が成立する。
【法令の適用】
被告人の判示所為は児童福祉法60条1項,34条1項6号に該当するので,所定刑中懲役刑を選択し,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処し,刑法21条を適用して原審における未決勾留日数中90日をその刑に算入し,原審における訴訟費用は刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
【量刑の理由】
本件は,上記「罪となるべき事実」のとおりの児童福祉法違反の事案である。
被告人は,被害児童の養父であり,被害児童を保護し,その健全な育成に努めるべき立場にあったにもかかわらず,専ら自己の性欲を満足させるために本件犯行に及んだものである。被害児童は,当時15歳の高校1年生で,アルバイトをしていたものの生活のほとんどを被告人と実母に頼っていた上,被告人の暴力を恐れて抵抗することすらできない状況に置かれていたのであるが,被告人は,そのような被害児童の養父であるという立場を利用して,被害児童と性交したものである。自己中心的な犯行の動機に酌量の余地は全くないし,卑劣で,児童の健全な育成を著しく阻害する行為として厳しい非難を免れない。被害児童は,いまだ心身ともに未熟で,本件性交により被った肉体的,精神的苦痛は甚大であるし,信用できない供述に終始する被告人の身勝手な態度により2度も証人尋問を受けざるを得なくなったもので,その将来に及ぼす悪影響も心配される。被害児童が検察官調書(原審甲2号証)において,被告人のことは殺したいくらい嫌いだし,二度と会いたくない旨,その心情を吐露しているのももっとものことであり,まことに嘆かわしい。被告人は,被害児童と性交したこと自体は認めるものの,養父の立場を利用したという点を否認し,信用できない供述に終始しており,真摯な反省の情はうかがわれない。
弁護人は,被害児童が嘆願書(原審弁4号証)を作成し,被告人を宥恕している旨主張する。しかし,被告人から上記のような被害を受け,上記検察官調書において厳しい処罰感情ともいうべき心情を吐露していた被害児童が,特段の慰謝の措置等が講じられたわけでもないのに,3か月も経たないうちに突如被告人を宥恕するなどというのは不自然というほかはない。上記嘆願書の作成に被告人の不処罰を希望する親族の意向が働いていることは容易に推測できることであり,これをもって直ちに被告人に有利なものとして斟酌することはできない。弁護人の主張は採用できない。
このような事情によれば,被告人の刑事責任は重いというべきであり,被害児童と本件性交に及んだこと自体は認めていること,前科・前歴がなく,これまで会社を経営して家族を扶養してきたこと,被害児童のほかにも養育すべき子が3人おり,妻も被告人の更生に意を用いていること等の事情を考慮しても,本件は刑の執行を猶予すべき事案ではなく,被告人を主文のとおりの実刑に処するのが相当である。

 量刑的にはこんなところです。
 修復不能です。
 縁を切るとか、隔離するとかするくらいしかありません。



追記
判例タイムズに掲載されました。
行為者を相手方として児童に淫行をさせる場合の児童福祉法34条1項6号に違反する罪の罪となるべき事実の摘示に理由不備の違法があるとされた事例(判タ1342号249頁)

1 行為者を相手方として児童に淫行をさせる場合の児童福祉法34条1項6号に違反する罪の罪となるべき事実の摘示に理由不備の違法があるとされた事例
2 養父が児童をして自己を相手に性行させた行為が児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」に該当するとされた事例
解説
3 有罪判決には「罪となるべき事実」を記載しなければならず(刑訴法335条1項),その記載としては,いかなる構成要件に該当するのか判定するに足りる程度に具体的に明示する必要がある(最一小判HB24.2.10刑集3巻2号155頁)。原判決は.「事実認定の補足説明」の項において,被告人が養女に対し事実上の影響力を及ぼしていた旨判示しているが,本判決は,このことをもって「罪となるべき事実」への記載を省略することが許されるものではないと判示する。原判決の記載では,青少年保護育成条例違反の罪(みだらな性行為の禁止)との区別がつかず,児童淫行罪の構成要件を漏れなく記載しているとはいえないであろう。罪となるべき事実の記載からどの構成要件に該当するか明らかでない場合には,理由不備又は理由齟齬の違法となると解される(藤永幸治ほか編「大コンメンタール刑事訴訟法(5)Ⅱ」 103頁〔中谷雄二郎))。
他方.「罪となるべき事実」への記載は,いかなる構成要件に該当するか確認できる程度で足りる(前掲最一小判昭24.2.10)。本判決は,控訴審での訴因変更を経て,原判決が認定した,養女の氏名の前に「養女である」を「満18歳に満たない児童であることを知りながら」の次に「養父の立場を利用して」を加入したものを罪となるべき事実としているが,この程度の記載で児童に対する事実上の影響力を及ぼしていたことの判示として足りるであろう。
この点,参考になる裁判例として,アダルト雑誌の出版会社の専属カメラマンであった被告人が,編集責任者と共謀の上,被害児童が16歳の高校生であるにもかかわらず,その年齢確認を尽くさずにアダルト雑誌のモデルとして採用しホテル内で自己を相手方として性交等をさせて淫行をさせる行為をしたという児童淫行罪の事案において,被告人が被害児童に対して淫行に至る事実上の影響力を与えた事実の摘示を欠いた原判決には理由不備の違法があるとの主張に対し.「本件においては,被害児童に対する事実上の影響力として最も重要な点は,モデルとして雇い入れたところにあり,原判決が,その点を明示した上で,原判示の日時にホテル内で被告人を相手に性交等をさせたことを摘示している以上,本件の事実関係の下における児童淫行罪の罪となるべき事実の記載として許容できる」と判示した東京高判平21.7.6 LLIがある。

 東京高判平21.7.6は奥村弁護士事件です。