児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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神奈川県青少年保護育成条例のわいせつ行為の定義はおかしい。

 「「わいせつな行為」についても、第3項で規定されているが、その解釈は(2)の最高裁判例で示されたものと同様である。」というのであれば、「健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交以外の性的行為」と定義しないとダメですね。
 「たずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為」という法文と解説とが対応していません。

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jorei/jorei.htm#sect19
(みだらな性行為、わいせつな行為の禁止)
第19条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。

2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

3 第1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。

神奈川県青少年保護育成条例の解説(平成21年4月)
(6)社会情勢は著しく変化し、昭和50年代になると、少女売春等青少年の性に関する非行が氾濫し、大きな社会問題となってきた白このような問題は一部の好ましくない大人の身勝手な行為により、青少年の健全育成を阻害するものであり、青少年の福祉を守るうえから十分配慮しなければならない。
「青少年に対するみだらな性行為・わいせつな行為」は、刑法・売春防止法児童福祉法などいずれの法令によっても取締まることができず、条例でも訓示規定となっていることから、処罰することができなかったため、昭和53年10月に条例の一部改正を行い、「みだらな性行為・わいせつな行為」の構成要件を明確にし、「みだらな性行為・わいせつな行為」 (第9条)については罰則規定を設けた。

〔要旨〕
本条は、青少年に対してみだらな性行為又はわいせつな行為をすることを禁止したものである。
また、これらの行為を教えたり、見せたりすることを禁止したものである。
〔解説〕
1 本条は、青少年を対象とした性行為等のうち、健全な育成を阻害するおそれがあるものとして社会通念上非難を受けるべきものを対象としているが、その行為の認定にあたっては動機、手段及び態様のほか、当該行為が青少年に与えた影響等、諸般の事情を十分に考慮して、客観的、総合的に判断されるべきものである。
2 第1項関係
(1) 「何人も」とは、条例第5条の解説のとおりである。
(2) 「みだらな性行為」の意義については第3項で規定されている。その解釈は、象徴的には「人格的交流のない性交」を言うものであり、これをさらに詳しくいうと次の場合を指すものである。
(昭和60年10月23日最高裁判所大法廷判決)
? 青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為
? 青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
? 行きずりの青少年を相手方とする性交、あるいは多数人を相手方とし、又はこれらを互いに相手方とする乱交など
(3) 「わいせつな行為」についても、第3項で規定されているが、その解釈は(2)の最高裁判例で示されたものと同様である。具体的には、いわゆる素股や尺八等はもちろん、陰部を手などで触れる(又は触れさせる)行為、また、単なる性欲の目的を達するためにのみ行う接吻、乳房を撫でること等が該当する。
なお、本条は青少年に対する行為そのものを禁止するものであり、刑法第174条に規定する公然わいせつ罪とは異なり、行為の公然性は不要である。
(4) 本項の例としては、成人が、結婚の意思もないのに、青少年を言葉巧みに誘って、単に自己の情欲を満たすために性交した場合や青少年の性器等を手でもてあそぶなどした場合などがこれに当たるが、結婚を前提とした真に双方の合意ある男女聞の性行為は、該当しないものである。