児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

約11ヶ月離れた撮影行為も3項製造罪の包括一罪である。(名古屋高裁h22.10.6)

 ここは奥村説が一部通った。さすがに数個の強姦罪を科刑上一罪にするのは無理なのか。

第1法令適用の誤りの論旨について
1原判示第1,第2,第4及び第5の各罪の罪数について論旨は,①原判示第2及び第5(2個の3項児童ポルノ製造罪は包括一罪であり,同第1の強姦罪と同第2の3項児童ポルノ製造罪,同第4の強姦罪と同第5の3項児童ポルノ製造罪とは,それぞれ混合包括一罪又は観念的競合であるから,かすがい現象により,同第1,第2,第4及び第5は科刑上一罪であるのに,これらの罪を併合罪であるとした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
そこで,原審記録を調査して検討する。
原判示第1,第2,第4及び第5の各事実の要旨は次のとおりである。
すなわち,被告人は,平成年5月2日,被告人方において,被害児童が13歳未満の女子であることを知りながら,被害児童を姦淫し(原判示第1),その際,被害児童に性交に係る姿態等をとらせ,これをデジタルビデオカメラで撮影し,電磁的記録に係る記録媒体であるsdに記録させて描写し,もって児童ポルノを製造し(同第2),平成年4月1日,被告人方において、被害児童が13歳未満の女子であることを知りながら,被害児童を姦淫し(同第4),その際,被害児童に性交に係る姿態等をとらせ,これをデジタルビデオカメラで撮影し,電磁的記録に係る記録媒体であるsdに記録させて描写し,もって児童ポルノを製造した(同第5),というものである。
原判決は,その(法令の適用)において,原判示第1及び第4の各行為がそれぞれ刑法177条後段に,同第2及び第5の各行為がそれぞれ児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童買春法」という。)7条3項,2条3項に該当するとした。
被告人は,平成年ころ,被害児童に声をかけ・・・被害児童を裸にしてビデオ撮影したり,女性器等を触ったりするなど性的行為を繰り返すようになり,平成年5月2日から平成年5月18日までの間,・・・などと告げて,被告人方において,約20回から30回にわたり,被害児童を姦淫し,そのうち18回については,その状況をビデオ撮影することを繰り返す中で,原判示第1,第2,第4及び第5の各犯行に及んだものである。
このような犯行状況に照らすと,原判示第2及び第5の児童ポルノ製造の犯行は,犯行の時期が約11か月離れているとはいえ,いずれも,同一の被害児童に対し,悪魔を追い払うためなどと言って性交等に応じさせ,その状況をビデオ撮影することを繰り返す中での犯行であり,その罪数については,包括して一罪であると評価するのが相当である。
他方,原判示第1及び第4の強姦の各犯行は,姦淫行為を内容とするものであり,同第2及び第5の児童買春法7条3項に当たる児童ポルノ製造(以下「3項児童ポルノ製造」という。)の各犯行は,児童に性交に係る姿態等をとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に描写する行為を内容とするものであって,それぞれにおける行為者の動態は社会見解上別個のものであるから,原判示第1と第2,同第4と第5は,それぞれの行為に重なる部分があるとはいえ,刑法54条1項前段の観念的競合の関係にはなく,また,それぞれ別の観点から法益を保護するものであるから,包括して一罪として処罰することで足りるものでもない。
そうすると,原判示第2及び第5の各3項児童ポルノ製造罪を併合罪とした原判決には法令適用に誤りがあるが,本件においては,これを前提として形成された処断刑は,これらを包括一罪とした場合の処断刑と同じであるから,この誤りは判決に影響を及ぼさないというべきである。