児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

研修資料「教職員による不祥事の根絶」

 今日も、元教員の児童買春罪が報道されていましたが、こういうのは有効な
んだろうか?

研修資料「教職員による不祥事の根絶」(92KB)(PDF文書)
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/kyouiku/hotline/04file/fukumukiritu/ke
nshushiryo.pdf
事例1「わいせつ行為」
〔事案の概要〕
A教諭は,市内のホテルにおいて,性風俗店から派遣された女性が18歳未満
と知りながら,現金を渡していかがわしい行為を行った。約5か月後,警察官
が勤務校を訪れ,校長に事件の概要を説明し,職員室内の本人の机等を捜索し
た。本人は同日,児童買春・児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕された。
〔処分内容〕
懲戒免職(地方公務員法第33条 信用失墜行為の禁止)
〔事件による影響等〕
(逮捕当日)
・勤務校や市教委,県教委へ新聞・テレビ各社からの取材が殺到,翌日にかけ
てテレビニュース,新聞で実名報道された。
・午後,全校児童に事件を説明後下校させ,夜,全校規模の保護者説明会を開
催した。保護者からは「早く平常の学校生活に戻れるよう全教職員で取り組ん
でほしい。」「いったい子どもにどのように説明したらいいのか。」などの要
望や厳しい意見が出された。
(逮捕翌日)
・前日に引き続き,全校規模の保護者説明会を開催した。
教育委員会スクールカウンセラーの配置を決定した。
・ 緊急校長会が開催され,服務規律について徹底が図られた。
〔当該者の心情等〕
(事案に至るまで)
「雑誌などを見て,興味を持っていた。(性風俗店を利用することは)だれで
もやっていることだと思っていた。」
(逮捕されて)
「教員,社会人として間違ったこと,許されないことをしてしまった。家族に
も子どもたちにも合わせる顔がありません。」
「担任している子どもたちの悲しむ顔が目に浮かび,眠れませんでした・・
・。」
〔ポイント〕
法令遵守は当然ですが,それに加え教職員にはどのようなことが求められ
ているでしょうか。
○ 教育に携わる公務員として,児童生徒や保護者,住民からの信頼を裏切ら
ないようにするためには,平素からどのようなことに気をつけておくべきでし
ょうか。

懲戒処分の指針
2 わいせつな行為等
(2)児童生徒以外に対するわいせつな行為等
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし,又は職場における上司・
部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しく
はわいせつな行為をした職員は,免職又は停職とする。
イ わいせつな行為を行った職員(アを除く。)は,免職,停職又は減給とす
る。
ウ 相手の意に反することを認識の上で,セクシュアル・ハラスメントに該当
する行為を繰り返した職員は,停職又は減給とする。ただし,特に悪質な場合
は,免職又は停職とする。
エ 相手の意に反することを認識の上で,セクシュアル・ハラスメントに該当
する行為を行った職員は,減給又は戒告とする。


事例2「わいせつ行為」
〔事案の概要〕
B教諭は,進路指導をしていた女子生徒と携帯電話のメールで連絡を取り合う
ようになり,飲食をさせたり衣服等を買い与えたりするなどして関係を深めて
いった。当該女子生徒が進路先として強い興味を持っていた分野の企業を見学
に行こうなどと言って旅行に誘い出し,旅行先で生徒と飲酒をした上,ホテル
において,同室に宿泊した生徒に対し,その意に反してわいせつな行為を行っ
た。
〔処分内容〕
懲戒免職(地方公務員法第33条 信用失墜行為の禁止)
〔事件による影響等〕
・ 懲戒処分発表後,勤務校や県教委へ新聞・テレビ各社からの取材が殺到
し,翌日にかけてテレビニュースや新聞で実名報道された。
・ B教諭は,校長とともに何度も保護者に謝罪を行ったが,理解は得られな
かった。
〔被害者の心情等〕
「同室に宿泊することを当日になって知り,当初は困惑したが,相手が信頼し
ている先生だったから大丈夫だと思っていた。」
「抵抗したのに,執拗にわいせつな行為をされ,激しく恐怖を感じた。」
〔当該者の心情等〕
(事案に至るまで)
「生徒に対し,好奇心や下心があった。生徒も自分に気があると思ってい
た。」
「携帯電話のメールで連絡を取り合っており,他人には絶対に見つからないと
思っていた。」
(事案の後)
「翌日からメールの受信を拒否されたことから,生徒にショックを与えたので
はないかという気持ちになり,発覚することを覚悟した。」
「お互い了解し合っていると勘違いし,心が浮ついてしまった。実名報道
れ,妻や娘にもいたたまれない思いをさせてしまった。ここまでのことになる
とは・・・。」

〔ポイント〕
○ 児童生徒や保護者とメール交換をしている状況はありませんか。
○ 児童生徒や保護者と必要以上に個人的な接触を持っている状況はありませ
んか。
○ 教育に携わる公務員として,児童生徒や保護者,住民からの信頼を裏切ら
ないようにするためには,平素からどのようなことに気をつけておくべきでし
ょうか。

懲戒処分の指針
2 わいせつな行為等
(1)児童生徒に対するわいせつな行為等
ア 児童生徒に対してわいせつな行為を行った職員は,免職とする。
イ 児童生徒に対してセクシュアル・ハラスメントに該当する行為を行った職
員は,停職,減給又は戒告とする。ただし,
セクシュアル・ハラスメントに該当する行為を執拗に繰り返すなど,特に悪質
な場合は,免職とする。

不祥事未然防止のためのチェックポイント
[わいせつ行為・セクシュアルハラスメント
1 自分が教育公務員であるという自覚を常に持っていますか。
2 児童生徒に指導する際,つい身体に触れることがありませんか。
3 児童生徒と二人きりになる場面が目立ちませんか。
4 特定の児童生徒を特別扱いしていませんか。
5 児童生徒や保護者と携帯メールでのやり取りをしていませんか。
6 児童生徒からの相談を受ける体制がありますか。
7 職場で男女の噂が立つようなことはありませんか。
8 軽い気持ちで性的な話題を持ち出すことはありませんか。
9 酒の席で女性をそばに無理やり座らせたり,デュエットを強要したりするこ
とはありませんか。
10 この程度のことは相手も許容するだろうという思い込みをしていません
か。