児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

守屋典子「NYにおけるSART(性暴力対応チーム)調査報告〜性犯罪被害者のエンパワメント・証拠の確保と被害届提出率の上昇について」 警察学論集62-12

 SVUの話かと思いました。
 日本の病院の例も紹介されています。

1 性犯罪被害者の「泣き寝入り」防止の必要性
守屋典子
私はこれまで被害者支援活動などを通じて多数の性犯罪被害者から相談を受けてきた。被害者の年齢層は幼児から成人女性に至るまで幅広い年齢層に及ぶ。人生を破壊されるような重く深刻な被害を受けているにもかかわらず、告訴や被害届の提出ができなかった被害者も少なくない。自分が性的被害を受けたことを他人に知られるのが怖い、被害屈を提出したり告訴したりすると加害者の逆恨みをかうのではないか、自分が非難されたり中傷されたりするのではないか等の理由により、なかなか警察に届けることができないのである。また、被害者が勇気を振り絞って警察に届け出ても、証拠がないとか和姦として扱われてしまうなどで、立件きれないケースも少なくない。
加害者が相応の処罰を受けることは、被害者の被害回復に不可欠なステップである。したがって、性犯罪が立件されないという状況は、被害者の被害回復を妨げる上、加害者は何の責任も関われず、何事もなかったかのように従来どおりの生活を続け、犯罪を繰り返すという結果をもたらす。これは被害者のみならず、社会にとっても重大な問題である。
私は、性犯罪被害者が、いわば「泣き寝入り」を強いられるような現状をなくすためには、性被害に対する意識改革と、被害者に対するエンパワメント、証拠の確保が必要と考えてきた。そんな中、アメリカでSARTという方法が実践され、被害届の提出率が上がるとともに、有罪率も上がっているという情報を得、さっそく全米でSARTがもっとも進んでいるといわれているニューヨーク(NY)に調査に飛んだ。