児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

法務省刑事局公安課参事官今林寛幸「漫画本が刑法175条にいう「わいせつ図面」に当たるとされた事例」研修716号P31

 今林さんが「児童ポルノを規制対象とするのは.それが児童を性の対象とする風潮を助長することになるのみならず,描写の対象となった児童の人権を害すると考えたことによる」というのは逆ですよね。正解は「児童ポルノを規制対象とするのは.それが描写の対象となった児童の人権を害するのみならず,児童を性の対象とする風潮を助長することになると考えたことによる」と言うべきです。
 保護法益が曖昧なのでこんな並べ替えで保護法益を転換することができます。

第5 わいせつ図面等をめぐる近時の動向
1 本判決は,わいせつな漫画本に関する事例であったが.近年では児童ポルノに関する規制に国内外の関心が集まっており,その中でも実在しない児童を題材とした漫画その他のポルノに関する規制が課題のーつとなっている。
2 平成11年「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が制定されて,児童ポルノに関する規制が講じられ.平成16年には同法が改正されて.規制が強化された。
しかし同法が児童ポルノを規制対象とするのは.それが児童を性の対象とする風潮を助長することになるのみならず,描写の対象となった児童の人権を害すると考えたことによるとの整理であったことから.現時点では,実在しない児童を描写した漫画等のポルノについては,描写対象となった児童の人権を侵害したとは言えず,同法2条3項の「児童ポルノ」に該当しないと解されている。