児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

Winnyユーザーへの求刑は軽すぎる?

 法定刑の上限だけを上げても量刑は上がりません。下限を引き上げないとだめなんです。
 罪刑法定主義。基本です。
 次回からは刑法の先生にも相談して学習してください。

http://blogs.itmedia.co.jp/kubota/2007/08/winny_e341.html
懲役1年という求刑は、これまでのWinnyユーザーの著作権侵害事件への求刑と変わりません。同じような犯罪には同じような刑罰が下されるべきでしょうが、以前書いたとおり、著作権法違反の刑事罰は今年7月から、10年以下の懲役刑もしくは1,000万円以下の罰金刑またはこれらの両方が科せられることになりました。本事件は罰則の引き上げが適用される前の事件ですが、それでも懲役刑は最高5年まで求刑することができたはずです。
ことWinnyなどを使った違法アップロード行為の場合、窃盗などの犯罪と異なり、犯罪行為者が経済的な利益を得ず、ネットワークの特性から大規模な損害を発生させてしまうのが特徴です。この場合、通常の事件の感覚で求刑を検討すると、被告人が得た収入の多寡が考慮の要素となってしまい、発生した法益の侵害に比べて軽すぎる求刑に繋がっているのではないでしょうか。検察には、インターネットを通じた著作権侵害の刑事責任について、正しく実態を評価するように希望します。

 どっかの事件では裁判所が「どうせ執行猶予なのに、弁護人ががたがた言うな」と言ってましたね。

 児童ポルノ・児童買春法違反についても、同じです。
 「規制強化した」とアナウンスしたいがために必要(量刑上の支障)もないのに法定刑の上限を上げても実際の量刑はかわりません。