児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「中3、姉になりすましAV志願 住基カードを入手し面接」の場合でも児童を保護します。

 中学生が性をひさぐなんて児童はよく考えてないわけでしょ。思慮浅薄に乗じた結果になっている。だから保護する。

 ところで職業安定法には年齢別はなくて有害業務への紹介などが処罰される。
 「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」の「有害」に該当するかには労働者の年齢が考慮され、年少者に対しては、有害性が広くなるといことですね。年齢不知の主張は「有害性の認識がなかった」という主張としてでてくる。
 

http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2006121402230.html?fr=rk
 少年育成課の調べでは、容疑者らは7月下旬〜8月下旬、杉並区や新宿区のAV制作会社に、都内の中学3年の女子生徒(14)と無職少女(17)の2人をAV女優として紹介した疑い。容疑者は、摘発を受けるまで18歳未満だと気付かなかったという。
 少女2人は容疑者らの雑誌広告に応募するため、7月中旬、区役所にそれぞれ20歳と19歳の姉になりすまして、住民基本台帳カードを入手。面接時にはそのカードを提示していた。
 女子生徒は1回で5万円を、無職少女は8回で70万円を出演料としてもらっていた。「遊ぶ金が欲しかった」と話している。

職業安定法
第63条
次の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
一 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

 有害性認定の裁判例をみると参考になります。

神戸地方裁H13.7.16
弁護人は,被告人両名が,前記個室マッサージ店「P」を営業するに当たり,兵庫県公安委員会に対し,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)に基づく届出をし,その届出どおりの接客サービスを実施しており,同店での接客サービスは他のいわゆるファッションマッサージ店とほぼ同様のものであると認識していたから,自己の前記業務が公衆道徳上有害な業務であると認識しておらず,そのような業務に就かせる目的はなかった旨主張し,被告人両名も当公判廷でこれに沿う供述をする。 しかしながら,前掲関係各証拠によれば,被告人両名は,前記「P」の経営者又は店長として,同店において,合計7室の個室を設置し,マッサージ嬢である女性従業員をして,各個室内で不特定多数の男性客を相手にお互い全裸になった上で手淫,口淫等の性交類似行為をする業務に従事させていたと認められるところ,前記業務自体が,婦女の人としての尊厳を害し,社会一般の通常の倫理,道徳観念に反して社会の善良な風俗を害するという点で,売春との間に実質的な違いは認められないこと,前記業務のような風営法所定の性風俗関連特殊営業は,同法1条所定の目的に照らすと,同法においても社会一般の道徳観念に反する行為であることが当然の前提とされており,職業安定法63条が専ら労働者保護を目的とする規定であることをも考慮すると,前記「P」における前記業務の実施自体が風営法所定の規制に違反しないとしても,前記業務が職業安定法上の「公衆道徳上有害な業務」に該当しないことにはならないこと等を総合考慮すれば,被告人両名の前記業務が職業安定法63条2号所定の「公衆道徳上有害な業務」に該当することは明らかというべきである。

 撮影した人は、児童淫行罪と児童ポルノ製造罪になりますが、観念的競合か併合罪かは考えて欲しいところです。