児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノのDVD映像、「有害」指定関連誌に転載

 最初から「単なるコピーは製造罪に当たらない」というのはデマです。
 「児童ポルノを直接撮影せず、転載の形で2次利用した場合でも、刑事責任を問えると判断した。」なんて、警視庁はいまごろ何判断しているのだろうかと思います。奈良県警なんてバンバン摘発してます。警察の認識がこれだから、一般国民もそれ以下であって、全然なくならない。

 新たに有体物として児童ポルノを生み出せば「製造」であって、撮影であろうと印刷であろうと転載であろうと、変わりません。一部にボカシを入れても、児童ポルノ性は失われません。

 いわゆる「援交もの」を扱うと厳しい処分が予想されます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061023-00000304-yom-soci
 関連誌には、「発禁映像収録」などと違法性を認識したとみられる宣伝文句が掲載されており、同課では、児童ポルノを直接撮影せず、転載の形で2次利用した場合でも、刑事責任を問えると判断した。発行元についても近く同容疑で書類送検する。
 逮捕されたのは、元同誌編集長(6月15日付で退社)。同法には法人の刑事責任を問う規定があり、同課は、発行元にもこの規定を適用することにした。違法画像の転載を巡り、出版社自体の刑事責任まで追及されるのは、極めて異例だ。

 ここまで書かれたらタイトルがわかってしまいますね。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061023i304.htm?from=main3
このDVDを巡っては、大阪府警や神奈川県警などの合同捜査本部が、昨年2月から3月にかけ、制作者3人を児童福祉法違反容疑などで逮捕している。

第7条(児童ポルノ提供等)
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

阪高裁 平成14年9月10日
③上記撮影及び現像行為については,本件の場合には,リバーサルフィルムでなくネガフィルムが使用されていたため,撮影後フイルムが未現像の段階は勿論,フイルムが現像された後の段階でも,視覚により認識が可能とはいえず,焼付けがなされ,写真となって初めて認識可能になるから,未だ児童ポルノ製造罪は成立しないのに有罪の認定をした点においてまた,児童ポルノの撮影によりその製造罪が成立するとすれば,その後の現像までの行為は不可罰的事後行為と解されるのに,現像行為を含めて児童ポルノ製造罪にあたるとして有罪の認定をした点において(控訴理由第3),原判決は児童ポルノ法7条2項の解釈,適用を誤ったものであり,以上①ないし③は判決に影響を及ぼすことが明らかである,というのである。
しかしながら,・・・③については,児童ポルノとは,「写真,ビデオテープその他の物」であって「視覚により認識することができる方法により描写したもの」であることを要するが,有体物を記録媒体とする物であれば,必ずしもその物から直接児童の姿態を視覚により認識できる必要はなく,一定の操作等を経ることで視覚により認識できれば足りるから,写真の場合は現像ないし焼付け等の工程を経てこれが可能になる未現像フイルムや現像済みネガフィルム(以下,撮影済み及び現像済みネガフィルムを「ネガ」という。)は,これに当たると解するべきであるから,本件の場合,児童ポルノ製造罪は撮影により既遂になると解するのが相当である。また,上記第1記載の児童ポルノの頒布,販売目的等による製造等を処罰することにした趣旨からみて,新たに児童ポルノを作り出すものと評価できる行為はいずれも製造に当たると解するのが相当であるところ,これを写真についてみてみると,上記のとおり児童ポルノ製造罪は撮影によって既遂となるが,現像,焼付けもまたそれぞれ製造に当たるものと解され,各段階で頒布,販売等の目的でこれを行った者には児童ポルノ製造罪の適用があり,ただ,先の行為を行った者が犯意を継続して彼の行為を行った場合には包括一罪となるものと解される。従って,本件では現像行為は不可罰的事後行為とはならないから,現像行為を製造とした原判決には法令適用の誤りはない(もっとも,原判決は撮影,現像を単純一罪とするものか包括一罪とするものか定かではないが,単純一罪とするものであるとしても判決に影響しない。)。

追記
 なお、奥村もこの裏BUBUKA、バックナンバーで1冊買いました。
 担当している児童ポルノ事件で対象になっていたDVDが公然と売られているという立証に使えるかなと思って。
 「援交シリーズ」の各DVDが、写真とDVDで紹介されていました。

追記
 相当修正しても児童ポルノの要件を満たします。
 わいせつ性は軽減します。
 わいせつ性がないとすれば、卸業者に何万冊も売ったのは、販売行為ごとの併合罪ですから、販売の日時を特定しないと訴因不特定になります。
 逆から言えば、販売の日時が特定されない場合は起訴できません。

http://www.asahi.com/national/update/1023/TKY200610230384.html
容疑者は昨年8月中旬〜同9月下旬に、自らが編集長を務める「裏BUBKADVD」05年11月号を作る際、13歳と15歳の女子中学生のわいせつな画像が収録された違法DVDから映像を転載し、販売目的で約1万6000冊を制作した疑い。転載した画像は、目などに一部修整を加えていたが、同課は、修整後の画像も児童ポルノにあたると判断した。