児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

条例淫行罪が地裁、児童淫行罪が家裁に起訴された事例(静岡地家裁)

 条例淫行罪は1罪だと通常は略式・罰金だから、公判請求された時点で、余罪とかロリコン傾向とかが考慮されている。当然、その公判でもそれが考慮される。
 他方、児童淫行罪でも、当然考慮される。
 併合の利益の観点から、こういう事情(ロリコン加重)の二重評価は避けなければならない。

元生徒にわいせつ行為 43歳中学教諭を起訴 静岡地検=静岡
2006.07.06 読売新聞社
 静岡地検は5日、県青少年環境整備条例違反(淫行(いんこう))の罪で静岡地裁に起訴した。
 被告は、教員の立場を利用し、別の教え子の少女にみだらな行為をさせたとして、児童福祉法違反の罪で静岡家裁に起訴されており、同法違反の罪については、少年法の規定に基づき同家裁で公判が開かれる。

 両方に執行猶予がつかなければ、片方が執行猶予でも、両方実刑になるという過酷な裁判である。
 つまり
  A裁判所 懲役a年 執行猶予×年
  B裁判所 懲役b年 執行猶予×年
なら直ちには服役しないが
  A裁判所 懲役a年 執行猶予×年
  B裁判所 懲役b年 実刑
だと、結局、a+b年服役することになる。 
 執行猶予がつくと、刑期は長めになるので、A裁判所の温情は仇となる。A裁判所の刑期も、実刑としての刑期でなければならない。
 これを防ぐには、A裁判所とB裁判所の間で、事実上、他方の事件を意識してもらうしかない。
 そのためには、弁護人は並行事件の進行を報告したりして、判決日をずらしたり進行も考えてもらう。

阪高裁H18児童福祉法違反
弁護人は,別途,地方裁判所における×被告事件について被告人を懲役3年に処する旨の一審判決が言い渡されており,その×被告事件の一審判決は被告人のこの種の事犯の常習性や犯罪傾向に着目して被告人の刑事費任は重いと指摘しているところ,本件児童福祉法違反被告事件の一審判決においても,被告人は認定された犯罪行為のみならずその属性である常習性や犯罪傾向によって刑を加重されているのであるから,量刑上不当な二重評価がなされているとして一審判決の量刑が不当である旨主張する。
そこで検討すると,なるほど上記のような常習性や犯罪傾向を刑の加重要素とすること自体は正当であるが,同一の被告人に対して,同時期に行われた類似の犯罪について,同一の事情を二重に評価してそれぞれの刑を加重することには自ずと限界があるというべきである。
本件一審判決の量刑の理由の説示中,被告人にこの種の事犯の常習性ないしは犯罪傾向が看取され,規範意識も鈍麻している旨指摘している部分は,先行してなされた×被告事件の一審判決の説示とその内容のみならず表現までもがほぼ同一である上,被告人に対して,先行して,×の罪により懲役3年に処する旨の判決が言い渡されたという事情については何ら触れられていない。
このような一審判決の措辞からは不当な二重評価を回避したことが明らかとはいい難い。そうすると,一審判決が同一の量刑事情を二重に評価している旨の弁護人の主張を排斥することは困難であるというべきである。


師弟関係によって支配した場合の量刑をみると、罪数は少ないが、量刑は厳しい。否応無しにという関係だから。

広島家裁福山 懲役2年執行猶予4年 01罪15才
静岡家裁浜松 懲役4年06月実刑 01罪15才
大阪家裁 懲役1年06月執行猶予3年 03罪14才
大阪家裁 懲役1年06月執行猶予3年 01罪
水戸家裁 懲役3年実刑 01罪15才
釧路家裁 懲役2年06月実刑 01罪14才
さいたま家裁 懲役3年執行猶予5年 01罪11才
千葉家裁松戸 懲役1年02月実刑 01罪17才
千葉家裁 懲役1年06月執行猶予4年 01罪13才
東京家裁八王子 懲役1年08月実刑 01罪14才
千葉家裁松戸 懲役1年02月実刑 01罪17才