児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

条例違反で「性的欲求を満たしたかった」という供述

「性的欲求を満たしたかった」というのは、素人的には唐突な言い方に見えます。

http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/gunma/news/20060701ddlk10040010000c.html

わいせつ:競艇選手を逮捕 16歳の少女にみだらな行為容疑 /群馬
「性的欲求を満たしたかった」と容疑を認めている。
毎日新聞 2006年7月1日

 条文にもそんな文言はないのです。

http://www.pref.gunma.jp/a/05/d1w_reiki/33690101002800000000/41790101002600000000/41790101002600000000_j.html
群馬県青少年保護育成条例
第二十三条 何人も、青少年に対してみだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。

 ところが、条例の「みだらな性行為」の意味については、

福岡県青少年保護育成条例違反被告事件最高裁判所大法廷判決昭和60年10月23日
福岡県青少年保護育成条例11条1項の規定にいう「淫行」とは、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔しまたは困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交または性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交または性交類似行為をいうものと解すべきである。

判例があるので、
      単に自己の性的欲望を満足させるため
というのが構成要件になります。
 大阪でも条例の文言は違いますが要件になっています。

大阪府青少年健全育成条例の運用について」大阪府警例規
( 6) 本条第2号は、専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫するなどにより当該青少年に対し性的行為を行うことであり一般的には「専ら」でないことを柾々弁解するものと予想されるので、性的行為に至る経緯、状況等から「専ら」性的欲望を満足させる目的であつたか否か判断する必要がある。
ア「威迫し」とは、暴行又は脅迫に至らない程度の言語、動作、態度等により心理的威圧を加えて相手方に不安の念を抱かせ、自由な判断力を低下させることをいう。
イ「困惑させて」とは、借金の返済を厳しく迫つたり、雇用関係、職場における上司と部下の関係等の特殊な関係を利用して義理人情の機微につけ込むことなど、心理的な圧迫を加え、精神上の自由な判断力を低下させることをいう。

 というわけで、捜査機関は、弁解録取の時点からモロにそういう供述を採ろうとします。
 弁護人からみれば、否認するのであれば、こういうキーワードをを喋らしてはいけないし、認めるのであれば、このキーワードを意識して上申させることになります。