児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

刑法改正の余波

 窃盗罪などに罰金刑を設ける改正の余波として、大阪高裁の窃盗事件(原判決後に改正刑法が施行された事件)で職権破棄が相次いでいるということです。公務執行妨害罪でも同様でしょう。
 せこい話ですが、受刑者には重大問題で、未決勾留の法定通算がもらえるということです。ラッキーな奴ら。
 司法統計では、今年は窃盗罪の破棄率が高かったことになるでしょうがこういう事情です。
 一審判決前に改正があったのに新法が適用されていない場合は380条の控訴理由です。
 最近、窃盗罪で実刑になった場合には、こういうことも考慮して控訴を検討してください。

刑訴法第383条〔同前−再審事由等〕
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その事由があることを疎明する資料を添附しなければならない。
一 再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。
二 判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。

条解刑事訴訟法
3)刑の廃止・変更または大赦
刑の変更とは、刑法6条にいうものである.同条との関係上被告人の利益に変更のあった場合に限られる。
この控訴理由が認められるときは原判決を破棄し(397)、軽い新法を適用して判決すべきである。

 罰金刑が選択できるようになった場合は、刑法6条により、新法の方が軽い。

旧法の有期懲役刑を有期懲役および罰金の併科刑に改めた場合、両者の軽重は、まず懲役刑の長期を比較して定め、それが同じであるときは罰金を併科した新法が重いものとする。(大判大11・9・12)

http://www.moj.go.jp/HOUAN/houan35.html
平成18年2月24日 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案
可決成立日 18.4.25
公布日 18.5.8 法律第36号
官報掲載日 18.5.8(号外第106号)
施行日 18.5.28

http://www.moj.go.jp/HOUAN/KEIHO-KEISO/refer02.html
(刑法の一部改正)
第 一条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
 第十八条第六項を次のように改める。
 6  罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置一日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に一日未満の端数を生じるときは、これを一日とする。)とする。
 第十八条第七項及び第八項を削る。
 第九十五条第一項中「又は禁錮」を「若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」に改める。
 第二百十一条第一項中「五十万円」を「百万円」に改める。
 第二百三十五条中「懲役」の下に「又は五十万円以下の罰金」を加える。
刑事訴訟法の一部改正)
第 二条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
 第四百六十一条中「五十万円」を「百万円」に改める。
   附 則
(施行期日)
第 一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(経過措置)
第 二条 次に掲げる罰金又は科料の執行(労役場留置の執行を含む。)については、第一条の規定による改正後の刑法第十八条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 一  この法律の施行前にした行為について科せられた罰金又は科料
 二  刑法第四十八条第二項の規定により併合罪として処断された罪にこの法律の施行前に犯したものと施行後に犯したものがある場合において、これらの罪に当たる行為について科せられた罰金
(裁判所法の一部改正)
第 三条 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
 第三十三条第一項第二号中「、刑法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪又は同法」を「又は刑法第百八十六条、」に、「第三十一条の三第一項第三号」を「第三十一条の三第一項第四号」に改める。