児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

インターネット協会、違法・有害サイトの通報窓口を開設

 違法・有害といっても、名誉毀損とか著作権侵害とかは除かれています。公共危険に重点があるのかもしれません。

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=NN001Y504%2031052006
 インターネット協会は31日、違法・有害サイト情報を一般から受け付ける「インターネット・ホットラインセンター」を6月1日に開設すると発表した。幅広い情報を匿名で通報できるようにすることで、有害情報への対策を効率的にできるようにする。
 児童ポルノ、規制薬物の広告、爆弾製造方法、殺人などの違法行為の請け負いなどの情報を、専用サイト(http://www.internethotline.jp/)で受け付ける。携帯電話からも接続できる。

http://www.internethotline.jp/
インターネット・ホットラインセンター
2006年6月より運用開始します。

http://www.internethotline.jp/faq/faq_illegal.html
漫画やアニメも児童ポルノに該当するのですか?
ガイドライン案でいう「児童ポルノ」の定義は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第2条で定義される児童ポルノと同じく、実在の児童の姿態を描写したものを指し、「実在しない児童」を描写」したものについては対象となりません。

児童ポルノかどうかを外見から判断するのは無理では?
捜査権を持たない民間のホットラインセンターでは、画像等に描写されている対象者の外見や、付随する情報(対象の年齢に関する情報等)、対象情報が掲載されているウェブサイト等に掲載されている他の情報(他の画像等の内容等)から18歳未満か否かを判断することが妥当と考えています。なお、ホットラインセンターにおける違法情報該当性の判断手続によって、当該情報が違法であることが確定する訳ではありません。

・ わいせつの基準はモザイクの有無ではないのでは?
ホットラインセンターにおいて対象とする違法情報については、ガイドライン案第3の2に記載しているようにインターネット上における流通が社会問題化している明らかな違法情報を対象としており、わいせつ物公然陳列について言えば、思想・芸術性とのバランスが問題となるようなケースはないと考えております。


知的財産権を侵害する情報は違法じゃないのですか?
知的財産権侵害情報(著作権侵害情報及び商標権侵害情報)については、既にプロバイダ責任制限法及び同法関係ガイドラインに基づき、権利を侵害されたと主張する人は、当該情報の送信防止措置の申出をプロバイダに対して直接行うか、または信頼性確認団体を通じて行う仕組みが整備されていることから、ホットラインセンターへの通報対象となる違法情報の範囲には含めないこととしています。なお、実際に利用者から知的財産権侵害に係る通報があった場合には、専門的な対応を行っている権利者団体等に対して情報提供することとします。

http://www.iajapan.org/hotline/center/20060531public.html
「ホットライン運用ガイドライン案」等に寄せられた主な御意見及びこれに対するホットラインセンター設立準備会の考え方について

1 「ホットライン運用ガイドライン案」の修正

 「ホットライン運用ガイドライン案」(以下「ガイドライン案」といいます)等に対し、皆様から電子メールや郵送、FAXによって402通の御意見を頂きました。意見募集の対象としたガイドライン案の「第3 プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する違法情報の送信防止措置依頼」及び「第4 プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する公序良俗に反する情報に関する対応依頼」に対する御意見のほかに、ガイドライン案のその他の箇所に対する御意見も多く寄せられました。いただいた御意見を踏まえ、ガイドライン

  第3 プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する違法情報の送信防止措置依頼
3 違法情報該当性の判断基準
(2) 構成要件該当性を判断する上での判断基準
② 児童ポルノ公然陳列


について、
ガイドラインにおける「児童ポルノ」とは、児童ポルノ法第2条の定義と同じく、実在する児童の姿態を描写したものであり、「実在しない児童」を描写したものについては、児童ポルノには該当しない。


という注釈を追加することといたしました(別添ガイドライン参照)。
 また、「ホットラインセンター(仮称)」の名称に関する御意見は寄せられませんでしたので、ホットラインセンター設立準備会(以下「準備会」といいます)にて検討し、「インターネット・ホットラインセンター」(以下「ホットラインセンター」といいます)という名称にすることとしました。


2 ガイドライン案への御意見とそれに対するホットラインセンター設立準備会の考え方

(1) プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する違法情報の送信防止措置依頼(ガイドライン案第3)について
ア 対象とする違法情報の範囲(ガイドライン案第3の2)について
 <頂いた御意見>
 対象とする違法情報の範囲について、知的財産権を侵害する情報についても対象とすべきである。
 <準備会の考え方>
 知的財産権侵害情報(著作権侵害情報及び商標権侵害情報)については、既にプロバイダ責任制限法及び同法関係ガイドラインに基づき、権利を侵害されたと主張する人は、当該情報の送信防止措置の申出をプロバイダに対して直接行うか、または信頼性確認団体を通じて行う仕組みが整備されていることから、ホットラインセンターへの通報対象となる違法情報の範囲には含めないこととしています。
 なお、実際に利用者から知的財産権侵害に係る通報があった場合には、専門的な対応を行っている権利者団体等に対して情報提供することとします。


イ 違法情報該当性の判断基準(ガイドライン案第3の3)についてて
 (ア) わいせつ物公然陳列
<頂いた御意見>
 過去の判例ではわいせつの基準はモザイクの有無ではなく、表現された性的描写と思想・芸術性のバランスで判断がなされているところであり、性器が確認できるというだけでわいせつ物公然陳列の構成要件に該当する情報と判断するのは不適当である。
<準備会の考え方>
 ホットラインセンターにおいて対象とする違法情報については、ガイドライン案第3の2に記載しているようにインターネット上における流通が社会問題化している明らかな違法情報を対象としており、わいせつ物公然陳列について言えば、アダルトサイト等におけるわいせつ画像が対象となるので、思想・芸術性とのバランスが問題となるようなことはないと考えております。
 (イ) 児童ポルノ公然陳列
 <頂いた御意見>
①  漫画、アニメ、ゲームといった創作物における画像はガイドラインの対象外とすべきである。
②  18歳未満かどうかを外見で判断することは適当ではない。

 <準備会の考え方>
①  ガイドライン案でいう「児童ポルノ」の定義は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第2条で定義される児童ポルノと同じく、実在の児童の姿態を描写したものを指し、「実在しない児童」を描写したものについては対象となりません。
②  捜査権を持たない民間のホットラインセンターでは、画像等に描写されている対象者の外見や、付随する情報(対象の年齢に関する情報等)、対象情報が掲載されているウェブサイト等に掲載されている他の情報(他の画像等の内容等)から18歳未満か否かを判断することが妥当と考えています。
 なお、ホットラインセンターにおける違法情報該当性の判断手続によって、当該情報が違法であることが確定する訳ではありません。

 削除義務については名古屋高裁が検討中です。