児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

上告事件

 上告するには、上告理由が必要です。
 適法な上告理由がないことが明かだと決定で棄却されるんです。
 件数少ないから、奥村弁護士の占有率が2/8ですね。恥ずかしい事件だし、無念な結果です。

  「決定で棄却」4
  「取下」3
というのは、ほとんどの場合、まともな上告理由が立てられていないということです。

上告審における児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反の終局人員(H16.7時点)
H13 第三小法廷 決定 棄却 東京地裁 東京高裁
H14 第二小法廷 判決 棄却 大阪地裁 大阪高裁(奥村弁護士
H14 第二小法廷 取下    松山家裁 高松高裁
H15 第一小法廷 決定 棄却 浜松支部 東京高裁
H15 第三小法廷 決定 棄却 札幌地裁 札幌高裁
H15 第二小法廷 取下    富山地裁 高裁金沢支部
H16 第三小法廷 取下    名古屋地裁 名古屋高裁
H16 第三小法廷 決定 棄却 奈良地裁 大阪高裁(奥村弁護士

 上告で相談される方、上告理由はありますか?
 しかも、控訴審判決にそれが出てないとダメですから、控訴審から上告理由を仕込んでおく必要があります。この意味では控訴審が主戦場。頼むのなら控訴審から。

 「判例違反」は仕込まなくても控訴審判決が判例違反ならいいわけですが、児童ポルノ・児童買春に関しては、最高裁は判決1本しか出してない。高裁判決もほとんど公刊されていないから、普通の弁護人には「判例」が判らないから、判例違反も主張しづらい。

 だから「奥村弁護士に頼めば、判例持ってるから・・・」というのも早合点ですよ。控訴審判決が間違ってないと破棄されないですから。判例なら、実費で譲る。
 しかも、実刑事案でも児童ポルノ・児童買春の刑期は比較的短いですから、上告で費やす月日を考慮すると、服役した方が早く社会復帰できる可能性もある。

第405条〔上告のできる判決、上告申立理由〕 
高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
二 最高裁判所判例と相反する判断をしたこと。
三 最高裁判所判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所判例と相反する判断をしたこと。

第411条〔同前〕
上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
一 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。
二 刑の量定が甚しく不当であること。
三 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
四 再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。
五 判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。
第406条〔上告審としての事件受理〕
最高裁判所は、前条の規定により上告をすることができる場合以外の場合であつても、法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件については、その判決確定前に限り、裁判所の規則の定めるところにより、自ら上告審としてその事件を受理することができる。


弁論なしに棄却

第408条〔弁論を経ない上告棄却の判決〕
上告裁判所は、上告趣意書その他の書類によつて、上告の申立の理由がないことが明らかであると認めるときは、弁論を経ないで、判決で上告を棄却することができる。

決定で棄却

第386条〔同前〕
左の場合には、控訴裁判所は、決定で控訴を棄却しなければならない。
一 第三百七十六条第一項に定める期間内に控訴趣意書を差し出さないとき。
二 控訴趣意書がこの法律若しくは裁判所の規則で定める方式に違反しているとき、又は控訴趣意書にこの法律若しくは裁判所の規則の定めるところに従い必要な疎明資料若しくは保証書を添附しないとき。
三 控訴趣意書に記載された控訴の申立の理由が、明らかに第三百七十七条乃至第三百八十二条及び第三百八十三条に規定する事由に該当しないとき。
②前条第二項の規定は、前項の決定についてこれを準用する。
〔昭二八法一七二第一項改正〕