児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

感じてみよう、買われる子どもの気持ち(7/12)

 日本人の国外犯検挙は毎年1人ですが、向こうではどうなってるんですかね。

http://www.c-rights.org/2008/06/712.html
感じてみよう、買われる子どもの気持ち(7/12)
C-Rights(2008年6月 5日 16:41) | 個別ページ
「子ども買春・子どもポルノをなくそう!」第2回学習会
〜ワークショップ〜
 カンボジアの子どもの性的搾取(CSEC)の現状と、それに対する取り組みを報告します。さらにワークショップをとおして、買春の相手として性的搾取の被害にあったカンボジアの子どもの気持ちを体験してもらいます。
 子ども買春、子どもポルノ問題に関心のある皆さま、ぜひご参加ください!

 国内には被害者支援の団体がないんです。

少年法37条の削除に関する国会審議

 これだけですね。参考人のコメントもない。
 「家裁の専属管轄だ!」って大見得切っていた割には極めてあっさり放棄。
 弁護士もあまり知らないことですが、量刑の支障ですよね。
 児童淫行罪と製造罪の罪数処理も小さな論点になって、児童淫行罪の機会の製造罪が多用されると思います。
 略式手続が適用になって、量刑はどう動くかに注目しています。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000416920080530014.htm
第14号 平成20年5月30日(金曜日)
神崎 武法君
法務省刑事局長)    大野恒太郎君
○神崎委員 子供が被害者になった成人の犯罪の管轄の問題ですけれども、これを地方裁判所に変更することにいたしましたけれども、これはなぜこのように変更することとしたのかお伺いをします。
○大野政府参考人 現行の少年法は、少年法三十七条一項に掲げる児童福祉法違反等の少年の福祉を害する成人の刑事事件につきましては、家庭裁判所が管轄権を有するものとしているわけであります。

 この理由でありますけれども、こういう成人の刑事事件は、少年事件を専門に扱って少年に理解のある家庭裁判所が取り扱うのが適当であるというのが一つ目の理由、それから二つ目の理由は、こうした事件は少年事件の調査の過程で発覚することが多く、証拠関係も少年事件と大部分が共通することから家裁が扱うのが便宜である、こういうことで、家裁の管轄権に属せしめられたと考えられているわけであります。

 しかし、実際のところ、刑事事件担当の裁判官も少年に対する理解を十分に有しておりまして、適切な対応が可能でありますし、また、少年保護事件と少年の福祉を害する成人の刑事事件の証拠関係が共通であるからといっても、少年保護事件の証拠が自動的に刑事事件の証拠になるわけではありません。

 さらに、今のような家裁管轄の状況ですと、当該の成人につきまして、家裁が管轄を有する少年法三十七条一項に掲げる事件とそれ以外の地裁が管轄を有する事件がいわゆる併合罪の関係にある場合に、家裁と地裁に別々に訴えを提起することになりまして、それによって審理期間が不当に長くなったり、あるいは併合して一括して審理された場合とは異なる刑が言い渡されるという不都合があるわけであります。

 また、家裁管轄の成人の刑事事件につきましては、家庭裁判所に起訴されるということで、簡易裁判所で出されることになる略式命令による処理ができないという不都合もあるわけです。

 そこで、今回、少年法三十七条を削除いたしまして、同条一項に掲げられた少年の福祉に係る成人の刑事事件につきましても、ほかの事件と同様に地方裁判所等で取り扱うこととしたものであります。

結局、被害児童救済は進まない

 「裸の写真が永久に流れる」というのは大人でも辛いと思うんですが、現行法では、児童ポルノの流通(提供・陳列)にはたいした被害はない(被害者の個性は問題にしない)という体裁であり、判例もそういう解釈が定着した。写っている児童1人1人が被害者だという検察官もいないし、そう主張した弁護人には「それは屁理屈」だと判決される。稀にそう書いた地裁判決もあるが高裁で覆される。
 しかも、児童ポルノ・児童買春の被害者は、条文上存在するが、実際には姿が見えない。国や自治体は救済しないし、国内のNPOも声高に規制を求めた割には全く救済に動かない。謝罪に向かった弁護人は被害者からそういう状況をさんざん聞かされる。
 だから、被害児童は救済されないんですよ。
 単純所持罪とか二次元を規制しても、救済する気がないんだから、救済されない。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080607ddm041040078000c.html
「あの写真を見た人かも」。少女はすれ違う男性と目が合う度に息が詰まる。見知らぬ男にレイプされ写真を撮られた。男はかばんに現金をねじ込み「これで援助交際だ。通報したら写真をばらまく」と脅した。思い切って警察に行くと「お金が欲しかったんじゃないの」と言われた。学校に行けなくなった。

 事件から2年。画像がネット上に出ていないか確かめたいが、怖くてできない。男が逮捕されたという連絡もまだない。「安心して眠れる夜が早く来ればいいのに」=おわり(この連載は、磯崎由美、曽田拓、田辺一城、堀井恵里子が担当しました)

 被害者が永続する被害を訴えても、連載は終わってしまうようです。
 時々思い出したように法改正しても、それにあわせて記事書いても、こういう状況は改善されないですよね。

 なお、現行法でも児童ポルノ画像の「削除義務がない」なんて日本の裁判所も言わないですね。明文規定がないけど、作為に注目したり条理に根拠を求めたり工夫して「削除義務違反」を処罰しています。その辺を調べた神奈川県警や兵庫県警や愛知県警に取材して欲しいものです。プロバイダも「児童ポルノは合法だから削除できない」なんていえないわけです。
 毎日新聞がお手本にする外国でも削除されてないのに、日本の裁判所は工夫している。そこは評価して欲しいですね。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080607ddm041040078000c.html
児童ポルノを公然陳列した者は処罰されるが、プロバイダーには削除する義務はない。センターは07年に1609件の通報を受け、うち526件を削除依頼した。だが応じたのは339件だけだった。海外サーバーを使ったものは他国に要請し、消去を待つしかない。国分明男センター長は「違法サイト運営者はある国を追放されると、別の国で同じことをする」と指摘する。

 先ほど条文をいただきました。
 

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案
(青少年有害情報の発信が行われた場合における特定サーバー管理考の努力義務)
第二十一条.特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して他人により青少年有害情報の発信が行われたことを知ったとき又は自ら青少年有害情報の発信を行おうとするときは、当該青少年有害情報について、インターネットを利用して青少年による閲覧ができないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」 という。) をとるよう努めなければならない。

第二条
3この法律において「青少年有害情報」とは 'インターネットを利用して公衆の閲覧 (視聴を含む。以下同じ。 )に供されている情報であって青少年の健全な成長を著しく阻害するものをいう。
4前項の青少年有害情報を例示すると、次のとおりである。
一 犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為を直接的かつ明示的に請け負い 仲介し 若しくは誘引し又は自殺を直接的かつ明示的に誘引する情報
二 人の性行為又は性器等のわいせつな描写その他の著しく性欲を興奮させ又は刺激する情報
三 殺人、処刑 '虐待等の場面の陰惨な描写その他の著しく残虐な内容の情報

11 この法律において「特定サーバー管理者」とはインターネットを利用した公衆による情報の閲覧の用に供されるサーバー (以下「特定サーバー」という。 )を用いて、他人の求めに応じ情報をインターネットを利用して公衆による閲覧ができる状態に置きこれに閲覧をさせる役務を提供する者をいう

 ちなみに、自動公衆送信装置設置者の努力義務というのがあって、罰則はないんですが、警察庁によればその違反は「公然陳列罪の幇助」と説明されています(警察学論集)。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第31条の8(街頭における広告及び宣伝の規制等)
5 その自動公衆送信装置の全部又は一部を映像伝達用設備として映像送信型性風俗特殊営業を営む者に提供している当該自動公衆送信装置の設置者(次条において「自動公衆送信装置設置者」という。)は、その自動公衆送信装置の記録媒体に映像送信型性風俗特殊営業を営む者がわいせつな映像又は児童ポルノ映像(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第二条第三項各号に規定する児童の姿態に該当するものの映像をいう。次条第二項において同じ。)を記録したことを知つたときは、当該映像の送信を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第31条の9(指示等)
映像送信型性風俗特殊営業を営む者又はその代理人等が、当該営業に関し、この法律又はこの法律に基づく命令若しくは条例の規定に違反したときは、当該違反行為が行われた時における事務所の所在地を管轄する公安委員会は、当該映像送信型性風俗特殊営業を営む者に対し、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示をすることができる。
2 映像送信型性風俗特殊営業を営む者が客にわいせつな映像又は児童ポルノ映像を見せた場合において、当該映像送信型性風俗特殊営業を営む者に係る自動公衆送信装置設置者が前条第五項の規定を遵守していないと認めるときは、当該自動公衆送信装置設置者の事務所の所在地を管轄する公安委員会は、当該自動公衆送信装置設置者に対し、同項の規定が遵守されることを確保するため必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
3 公安委員会は、電気通信事業者たる自動公衆送信装置設置者に対して前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ総務大臣と協議しなければならない。

 同様に考えるとほら、法案の努力義務を根拠に、サーバー管理者を公然陳列罪に問うことは容易になってるじゃないですか。そういうとこは国会答弁とかで確認しておかないとダメですよ。議員立法ですから、後で聞きたいと思っても立案者の議員いませんよ。

児童ポルノと性犯罪/4 再犯防止の取り組み

 児童ポルノ・児童買春の実刑率が低いのは、法定刑が甘いから。それは立法者が被害を甘く見ていて、裁判所も条文からそう読み取っているから。
 裁判所は児童ポルノ罪でも「被害者の処罰感情」を重視して量刑しているのですが、児童ポルノの画面の児童は被害訴えてないし。法令適用でも被害者の個性を重視しないで包括一罪。裁判所の姿勢は石のように固い。
 マスコミはそっちの問題点を書かない。法律は難しいからか?常識で考えてもわかりそうだが。
 立法者も裁判所もそう考えているから、犯人にだけ加害の意識が生まれるわけがない。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080606ddm041040044000c.html
児童ポルノ事件は実刑になることはあまりない。このため罪の意識が希薄で、再犯を繰り返して重大事件につながることも少なくない。

 奈良県の小1女児誘拐殺害事件(04年11月)を機に、法務省は性犯罪の再犯防止プログラムを作成し、06年度から全国18施設で実施している。最長8カ月をかけて思考や行動のゆがみを自覚し、自己制御を身につける。

 埼玉県川越市の川越少年刑務所。受刑者8人がテーブルを囲み、それぞれの事件を振り返る。児童ポルノを見るうちに強制わいせつ事件を起こした者や自分の犯行を撮影し販売していた者もいる。

 児童ポルノ製造と強制わいせつ罪・強姦罪(暴力的性犯罪)は犯人と行為としては一部重なるんですが、児童ポルノ製造罪って「暴力的性犯罪」じゃないので、性犯罪の再犯防止プログラムの対象ではありません。
 児童淫行罪も児童買春罪も児童ポルノ罪も性犯罪の再犯防止プログラムの対象ではありません。再犯防止の取り組みはありません。国の方針で対象外。
 奈良県の小1女児誘拐殺害事件をきっかけにしてとりあえず試行中。

 思いつきの架空の事例ですが、一連の連続性犯罪+児童ポルノ製造販売で「強姦で地裁で9年 児童淫行罪で家裁15年」になったような受刑者は、9年だけ性犯罪の再犯防止プログラムの対象。しかも形式的に適用すると、児童淫行罪の15年が執行終えてからの9年間。治療は早いほうがいいし、長くでも治るまでが理想的なんじゃないか?

刑訴法第474条〔刑の執行の順序〕
二以上の主刑の執行は、罰金及び科料を除いては、その重いものを先にする。但し、検察官は、重い刑の執行を停止して、他の刑の執行をさせることができる。

豊中警察署は地理がわかりにくい

 さっき、道ばたで若い弁護士さんから道聞かれました。当番弁護?
 タクシーも迷います。駅から歩く弁護士も迷います。
http://map.yahoo.co.jp/pl?type=scroll&lat=34.77462806&lon=135.47590694&sc=7&mode=map&pointer=on

 豊中南のように最近の警察署は国道沿いに立地するんですが、
http://map.yahoo.co.jp/pl?type=scroll&lat=34.74216611&lon=135.47860806&sc=7&mode=map&pointer=on
 豊中署は住宅地に埋没してるんですよね。ご近所は安心。

本庁への集約進む 東北・地裁の民事執行

 そんなこと言い出せば、民事訴訟なんかも、裁判所の事務処理は本庁に集約する方が便利ですよね。刑事訴訟もか。
 いずれ弁護士会や法テラスの支部だけ残ったりするのかも知れません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000002-khk-soci
 多くの地裁本庁は、インターネットで競売物件情報を公示するシステムを導入しており、「本庁のネットへの集約で、支部の物件の売却率が10%程度向上した」(仙台地裁)などの効果も出ているという。
 民事執行業務専門の職員がいる本庁と異なり、支部では職員が訴訟、調停などの業務も兼務している。集約化で支部職員を訴訟などの業務に集中させられるメリットも、地裁にはある。
 郡部などへの弁護士派遣に取り組み、支部への裁判官の常駐を求めている弁護士会は集約に否定的な立場を取る。機能を強化した本庁に一部職員が集められ、結果的に支部職員の削減が進んでいるからだ。
 東北弁護士会連合会で弁護士過疎対策法律相談事業委員長を務める内田正之弁護士(仙台市)は「効率化優先の集約は、司法過疎解消の理念に逆行する」と話している。

再び児童ポルノ個人的法益説を東京高裁へ

 最近、児童ポルノ罪の科刑上一罪の範囲が広がってきているような気がするのです。
 製造・提供事件の訴因特定の問題として主張しています。
 たぶん、ダメなんですよ。東京高裁H20でも児童ポルノには被害者がいないということを確認してみます。

東京高等裁判所 御中

弁護人 弁護士 奥 村  徹   

控訴趣意書(追加)
控訴理由第6 訴訟手続の法令違反〜訴因不特定
1 はじめに 児童ポルノ罪の訴因特定の問題 3
2 児童ポルノ罪の保護法益 4
(1) 参議院法制局の説明*2 5
(2) 学説 5
西田典之・鎮目征樹*4  5
②木村光江*5*6*7*8 5
園田寿*9*10*11 5
④大塚仁 6
加藤久雄  6
⑥伊東研祐*12 6
⑦永井善之*13 6
(3) 法務省公安課長の見解*14 6
(4)個人的法益を強調する裁判例 6
①大阪高裁H12.10.24 6
②大阪高裁H14.9.12*15(京都地裁H14.4.24) 7
③東京高裁H15.6.4 7
横浜地裁H15.12.15 8
名古屋地裁H17.12.22*16 9
名古屋高裁H18.5.30*17 10
(5)H16改正 11
3 児童ポルノ罪の構造からも説明する。 11
4 個人的法益に対する罪の訴因特定に関する判例 14
5 構成要件からの考察 19
6 児童ポルノ法12条1項 32
7 特定の方法 33
8 被害者の特定の必要性(刑訴法157条の4) 37
9 被害者の特定について(一般論) 37
(1)一般論 37
(2)児童ポルノの場合 38
10 まとめ 46

 同じ裁判長が担当した東京高裁H15.6.4より個人的法益性が進むのか退くのかに注目です。

刑事訴訟では、各被撮影者の年齢が18歳未満であると,100パーセントの確率で断言することはできないけど児童ポルノですよ。

 若い弁護士さんからの質問でした。
 合理的疑いを容れる余地があれば児童ポルノ性が否定されます。
 真実はわからないんですけど、見た感じが医学的に児童なら、被告人も反証できないので児童ということにしています。

平成12年10月24日 大阪高
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図書販売目的所持被告事件
判決理由

 判示事項1について
 (1) 各被撮影者が人間ではない可能性
 所論は,本件各ビデオテープないし本件各写真の各被撮影者が何人であるかは特定されておらず,それらが人間であることについてすら合理的な疑いを容れる余地がある,という。
 しかし,捜査報告書,写真撮影報告書,Xの警察官調書及び被告人の警察官調書など,原判決が挙示する関係証拠によれば,本件各ビデオテープにおいては,本件各写真の被撮影者である少女が性交又は性交類似の行為を行っている模様や全裸になって陰部を拡げている模様などが撮影されていることが認められるから,本件各ビデオテープの被撮影者が実在する人であることは明らかである。
 (2) 各被撮影者が児童ではない可能性
 所論は,本件各写真からは,各被撮影者の体格や発育状況をかろうじて識別できるものの,一般に,身長や乳房の発育状況などには個人差があり,思春期遅発症や小人症が存在することなどを考慮すると,体格や発育状況は,実際の年齢とは必ずしも一致しない。したがって,乳幼児を除けば,写真によるだけでは,その被撮影者が,医学的見地から見て,100パーセントの確率で18歳未満の者であると断言することはできない。医師A作成の鑑定書によれば,本件各写真の被撮影者の年齢が,18歳以上である可能性があると指摘されている。したがって,本件各ビデオテープの各被撮影者が18歳未満の児童であることについて合理的な疑いを容れる余地がある,という。
 しかし,上記関係証拠,ことに捜査報告書ないし写真撮影報告書中の本件各写真から窺われる各被撮影者の容貌,体格,発育状況などに照らすと,本件各ビデオテープの各被撮影者はいずれも児童であると認められる。なるほど,当審証人である医師Aの証言及び同人作成の前記鑑定書によれば,本件各写真の被撮影者が思春期遅発症や小人症である可能性を医学的に否定することはできず,各被撮影者の年齢が18歳未満であると,100パーセントの確率で断言することはできないという。
しかし,もとより,刑事訴訟における証明は,医学等の自然科学における証明とは異なり,裁判官に合理的な疑いを容れない程度に確実であるとの心証を抱かせれば足りるものであるところ,医師Aの当審証言によれば,本件各写真の各被撮影者が思春期遅発症や小人症などであることを窺わせる徴候はないというのであるから,上記の証言及び鑑定書によっても,本件各写真,ひいては本件各ビデオテープの各被撮影者が18歳未満の者であることに合理的な疑いを容れる余地はないというべきである。

 これ、包括一罪です。