児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

どこが法の不備なのか?

 毎日新聞は現行法の穴を全部「単純所持罪」でふさげると思っているようですが、取材不足ですね。
 この種の事案については、脱衣場などカメラ設置したところで服を脱ぐようにしむける行為を「姿態をとらせ」として3項製造罪(姿態とらせて製造)として立件した例もあるので、それが現行法で処罰できないと言っているのが大阪府警の勉強不足ですね、
 また、盗撮の場合処罰できないのは、H16改正で意味不明の「姿態」要件をいれたために盗撮に製造罪を適用できなくしたせいなので、そこを取ればいいだけで、単純所持罪には直結しない。撮影行為は製造罪で処罰すべきです。(児童の裸体も含めて盗撮罪に反対しているのはマスコミだと聞いています。)

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080603ddm041040048000c.html
消せない:児童ポルノと性犯罪/2 学校で教諭が盗撮20年
 デジタル機器に詳しい教諭は視聴覚担当として重用された。授業で児童にパソコンの使い方を教え、行事では撮影係。その技術を悪用、盗撮と画像整理に興奮を覚えた。発覚1カ月前にも授業で児童に水鉄砲を使わせ、教室でぬれた服を着替えるよう指示。隠しカメラは隣室のビデオデッキに接続されていた。
 だが、捜査は行き詰まる。教諭は既にパソコンから画像を消し、他人に提供した形跡もない。現行法は自分で見るための単純所持は禁止されていない。単純製造罪は児童に性的なポーズを取らせた画像に限られ、適用できない。結局、軽犯罪法違反容疑などで書類送検、1万円未満の科料処分で終わった。捜査員は「法律の不備だ」と悔しそうに話す。
毎日新聞 2008年6月3日 東京朝刊

 なお、児童ポルノに被害者がいるというので世論を喚起しても、議員立法で被害者がないような体裁の法律を作ってしまったのは議員さんで、それで児童ポルノ罪が被害者なき犯罪になってしまったんだから、それは立法者に返ります。

死亡児童写真を掲載の元教諭 こんどは学校侵入で逮捕

 保護観察は効果出てないようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080603-00000929-san-soci
調べでは、容疑者は1日午後2時ごろ、世田谷区代沢の区立小学校の校庭に無断侵入した。デジタルカメラで複数の児童の写真を撮っていたのを保護者が不審に思い、学校職員に知らせ、容疑者を取り押さえた。同署はデジカメなどを押収し、詳しい動機を追及する。
 容疑者は平成17年、自身が運営するHP「クラブきっず」で、交通事故で死亡した子供の遺族が開設した別のHPの子供の写真16点などを無断で転載。東京地裁が昨年7月、児童ポルノ禁止法違反などの罪で、懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決を言い渡していた。