罪数処理における「点と線」

罪数処理における「点と線」
「もともと自動車を運転する行為は,その形態が,通常,時間的継続と場所的移動を伴うものであるのに対し,その過程において人身事故を発生させる行為は,運転継続中における一時点一場所における事象であって,前記の自然的観察からするならば,両者は,酒に酔った状態で運転したことが事故を惹起した過失の内容をなすものかどうかにかかわりなく,社会的見解上別個のものと評価すべきであって,これを1個のものとみることはできない。(道路交通法違反、業務上過失致死被告事件最高大判昭和49年5月29日最高裁判所刑事判例集28巻4号114頁)
という言い回しがあって、併合罪だという、
点と線の関係では、併合罪というのが最高裁判例

捜査研究720号 最新判例解説 第3回
 前法務省刑事局付(長野地方裁判所判事補) 菅原 暁

児童福祉法第34条第1項第6号違反の児童に淫行をさせある罪と,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第7条第3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
最高裁判所第一小法廷決定 平21.10.21 判例時報2082.160 判例タイムズ1326.134
 第4検討
 1 近時の判例の動向等
 児童に淫行させる罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係については,本決定前には,本件の第二審のようにこれを観念的競合の関係と解する裁判例があった一方で(注3),本決定とは若干事案が異なるものの,例えば,「『性交を行いながら撮影機材を持って写真あるいは動画を撮る行為』については,一見すると,上半身で撮影する行為と下半身で淫行する行為が同一人物によるものであることから,1個の行為のように見えるが,社会的評価においては,淫行行為と製造行為という別個の行為であるから,観念的競合になるとはいえないのである。ちなみに,撮影機材を近くに設置して自分が行う淫行行為を撮影することも可能なのであって,淫行行為と撮影行為という二つの行為が同時的にたまたま併存しているにすぎないとみるのが相当である。」(注4)と判示した裁判例のように,両罪は併合罪の関係にあるとするものも存在していたところであり,最近では,併合罪説に立つ高裁判断が多数を占めつつある状況にあったとされる(注5)。
 本決定は,このように裁判例が分かれていた児童に淫行させる罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係について,近時の高裁判断と同様に併合罪と解することを明らかにしたものであり,その点で重要な意義を有する。
 2 観念的競合の判断基準
 ところで,刑法第54条第1項前段は,「1個の行為が2個以上の罪名に触れ(中略)るとき」を観念的競合として,「その最も重い刑により処断する。」と規定しているところ,児童をして淫行させながらその様子をデジタルビデオカメラで撮影する行為は,一見すると1個の行為のようにも思われる。そうすると,本決定がこれを「1個の行為」とは考えなかった理由は何なのか,複数の罪が観念的競合の関係にあるかどうかの判断基準が問題である。
 この点について判示しているのは,本決定が引用する最高裁昭和49年判決である。同判決は,酒酔い運転の事実と,運転中における酒酔いに基づくいわゆる運転中止義務違反を過失とする業務上過失致死の事実について,「法54条1項前段の規定は,1個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において,これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ,右規定にいう1個の行為とは,法的評価を離れ構成要件的観点を捨象した自然的観察の下で,行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。」と判示した上,酒酔い運転の罪とその運転中に行われた業務上過失致死の罪との罪数関係について,「もともと自動車を運転する行為は,その形態が,通常,時間的継続と場所的移動を伴うものであるのに対し,その過程において人身事故を発生させる行為は,運転継続中における一時点一場所における事象であって,前記の自然的観察からするならば,両者は,酒に酔った状態で運転したことが事故を惹起した過失の内容をなすものかどうかにかかわりなく,社会的見解上別個のものと評価すべきであって,これを1個のものとみることはできない。」として,両罪は併合罪の関係にあると結論づけたものである。
 したがって,上記昭和49年判決によれば,「法的評価を離れ構成要件的観点を捨象した自然的観察の下で,行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価をうける場合」に当たるかどうかにより,複数の罪が観念的競合の関係にあるかどうかが判断できるはずであるが,本件では,同じ基準によって,第二審が,「児童に淫行させる行為とその姿態を撮影する行為は,法的評価を離れ構成要件的観点を捨象した自然的観察の下で,行為者の動態が社会的見解上一個のものと評価されるものである」として,児童に淫行させる罪と児童ポルノ製造罪とは観念的競合の関係にあると判断する一方,本決定は,これらの行為が「一部重なる点はあるものの,両行為が通常伴う関係にあるとはいえないことや,両行為の性質等にかんがみると,それぞれにおける行為者の動態は社会的見解上別個のものといえる」として,両罪は併合罪の関係にあると判断している。
 このような結論の違いが生じたのは,本件の第二審が,児童に淫行させる行為と,これをデジタルビデオカメラで撮影する行為につき,本件犯行の際に,実際に行われた行為を前提として,時間的・場所的に重なり合っていることを重視したと思われるのに対し,本決定では,犯行の際の時間的・場所的な重なり合いだけでなく,両行為が通常伴う関係にあるかという点や両行為の性質等をも考慮したために生じたものではないかと考えられる。
 本決定のように,行為が通常伴う関係にあるかという点や行為の性質等を考慮して観念的競合の関係にあるかどうかを判断するとの考え方は,先に挙げた平成21年東京高裁判決における「淫行行為と撮影行為という二つの行為が同時的にたまたま併存しているにすぎない」との判示や,「児童ポルノ製造罪は,児童ポルノと評価されるものを撮影するなどして写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物として記録化すれば成立するのであって,撮影の対象として児童の淫行が必要というものではなく,したがって,製造行為に児童の淫行が常に随伴するというものではない。」とする他の裁判例(注6)において既に現れていた考え方と,その趣旨を同じくするものではないかと思われる。
 この意味で,本決定は,昭和49年判決の判断基準をあてはめる際の考慮要素を示した事例としての意義を有すると考えられる。
 3 関連する判例
 なお,昭和49年判決の基準をあてはめた重要な判例としては,本決定以前にも,最高裁判所昭和58年9月29日第一小法廷判決(刑集第37巻第7号1110頁) が存在する。同判決は,保税地域,税関空港等外国貨物に対する税関の実力的管理支配が及んでいる地域に,外国から船舶又は航空機により覚醒剤を持ち込み,これを携帯していわゆる通関線を突破し又は突破しようとした場合に成立する覚せい剤取締法第13条,第41条の輸入罪と,関税法第111条の無許可輸入罪の罪数について,両罪の既遂時期が異なる(無許可輪入罪の実行の着手時期が,覚せい剤輸入罪の既遂後であると解した場合には,両罪の実行行為は時間的な重なり合いがない)にもかかわらず,これらが観念的競合の関係にあるとしたものである。
 本決定を踏まえて上記昭和58年判決の事案を考えてみても,「1個の行為」かどうかは,時間的・場所的な重なり合いだけでなく,行為が通常伴う関係にあるかという点や行為の性質等をも考慮して判断されていると評価することができ,本決定も,従来の判例を踏まえ,時間的・場所的な重なり合いがあっても,児童に淫行させる罪と児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあると判断したものと考えられる。
 第5 おわりに
 以上のほか,児童に淫行させる罪と児童ポルノ製造罪にそれぞれ該当する各行為について,両行為が通常伴う関係にあるかや,両行為の性質等を考慮して,これらが刑法第54条第1項前段の「1個の行為」に当たらないとした本決定の判断は,他の犯罪の罪数関係の判断にも影響を及ぼすものと思われる。
 例えば,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第4条の児童買春罪や,児童に対する強姦や強制わいせつ罪は,自己を相手方として児童に淫行させる罪と同様,その行為態様に児童との性交等を含むものであり,そうした性交等を行いながら,その行為をカメラで撮影するなどして,児童ポルノ製造罪に当たる行為をも行った場合,時間的・場所的に重なり合っているとしても,二つの行為が「通常伴う関係にある」とはいえず,両行為の性質等も異なるものと考えられるから,本決定の考え方によれば,観念的競合ではなく,併合罪と評価されるのではないかと思われる(注7)。
 また,本決定は,前記のとおり,昭和49年判決において示された観念的競合に関する判断基準をあてはめる際の考慮要素を示したものとして,意義を有すると考えられるが,本決定を踏まえても,その判断基準は,個別の事案における罪数関係を一義的に明らかにできるというものとは言い難い。したがって,実務上は,裁判例の集積のない罪数関係の判断は,行為の時間的・場所的な重なり合いのみにとらわれず,行為が通常伴う関係にあるかという点や行為の性質等をも考慮に入れた慎重な検討が必要となるであろう。
(すがわら あきら)

(注1)平成20年法律第71号による改正前の少年法第37条の規定は,同改正により削除されたため,現行法では,児童に淫行させる罪と児童ポルノ製造罪の関係にかかわらず,その管轄は地方裁判所にある。
 【平成20年法律第71号による改正前の少年法第37条
  (公の提起)
  第37条 次に掲げる成人の事件については,公訴は,家庭裁判所にこれを提起しなければならない。
   一~三 (略)
   四 児童福祉法第60条及び第62条第5号の罪
   五 (略)
  2 前項に掲げる罪とその他の罪が刑法(明治40年法律第45号)第54条第1項に規定する関係にある事件については,前項に掲げる罪の刑をもつて処断すべきときに限り,前項の規定を適用する。
 【平成20年法律第71号附則】
   (施行期日)
  1 この法律は,公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし,第5条の2第1項の改定規定(「この項及び第31条の2において」を削る部分に限る。)及び第9条の2の改正規定は,公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。[平成20年12月15日施行]
   (経過措置)
  2 この法律の施行の日前にこの法律による改正前の少年法第37条第1項の規定により公訴の提起があった成人の刑事事件については,この法律による改正後の少年法,裁判所法(昭和22年法律第59号)及び刑事訴訟法 (昭和23年法律第131号)の規定にかかわらず,なお従前の例による。沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和46年法律第129号)第26条第4項の規定により家庭裁判所が権限を有する成人の刑事事件についても,同様とする。
(注2)第一審判決からは必ずしも明らかではないが,第二審判決によると,弁護人は,第一段階から管轄違いの主張をしていたようである。
(注3)東京高等裁判所平成17年12月26日判決(高等裁判所刑事裁判速報集平成17年247頁)には,「本件児童ポルノ製造罪のなかには,それ自体児童淫行罪に該当すると思われるものがある。(中略) 同罪と当該児童ポルノ製造罪とは観念的競合の関係にあり」と判示した部分があり,児童に淫行させる罪と児童ポルノ製造罪とが観念的競合の関係にあるものと解しているようにも思われる。
(注4)東京高等裁判所平成21年10月14日判決(高等裁判所刑事裁判速報集平成21年136頁)
(注5)判夕1326号134頁掲載の本決定の解説
(注6)東京高等裁判所平成21年 (う) 第744号同21年7月6日判決 (公刊物未登載)
(注7)東京高等裁判所平成19年11月6日判決 (研修716号111頁参照) は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第4条の児童買春罪と,その機会に犯した同法第7条第2項の児童ポルノ製造罪とは併合罪の関係にあると判断しているが,その理由においては「児童買春罪のみを犯し,2項製造罪には及ばないことも,逆に,2項製造罪のみを犯し,児童買春には及ばないことも共に十分可能なのである。(中略) 『買春』と『製造』はむしろ異質な行為であって,行為者の動態としての一個性は認めがたいというべきであろう。」と判示しており,本決定と同様の判断手法を採っていると考えられる。なお,同判決は,児童買春罪と2項製造罪は,その実行行為が部分的にも重なり合う関係にないとした上で,「このことは,児童に対する強姦や強制わいせつの状況を撮影した場合に,強姦行為や強制わいせつ行為が2項製造罪の実行行為の一部とはいえないのと同様である。」とも,併せて判示している。
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16歳未満の者に対する映像送信要求罪が伴う場合の、不同意わいせつ罪(176条3項)の着手時期


高松高裁では、「このような事実関係の下において、本件の被告人のAに対する要求行為は、Aの性的自由の侵害を生じさせる客観的な危険性が認められるものであり、不同意わいせつ罪の実行行為に当たるとみることができる。」ということで、要求行為を不同意わいせつ罪(176条3項)の実行行為としています。

不同意わいせつ、16歳未満の者に対する映像送信要求、性的姿態等撮影、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、不同意性交等被告事件
松山地判令和6年9月24日D1-Law.com判例体系〔28330040〕

(罪となるべき事実)
 被告人は、A(当時14歳。氏名は別紙記載のとおり。)が16歳未満の者であり、かつ、自らが前記Aの生まれた日より5年以上前の日に生まれた者であることを知りながら
第1 正当な理由がないのに、令和5年10月24日午後7時34分頃から同日午後7時41分頃までの間、愛媛県(以下略)被告人方において、前記Aに対し、自己が使用する携帯電話機のアプリケーションソフト「B」のメッセージ機能を利用し、「あそこの見せあいってできます?」「写真ですねー」などと記載したメッセージを送信し、その頃、同人にこれらを閲覧させ、もって性的な部位を露出した姿態をとってその映像を送信することを要求し、同日午後10時24分頃、同人に、その陰茎を露出した姿態をとらせ、これを同人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影させ、同日午後10時27分頃、その画像データ1点を同携帯電話機から前記「B」を利用して被告人が使用する携帯電話機に送信させ、その頃、同画像データ1点をC株式会社が管理する日本国内に設置されたサーバコンピュータ内に記録、保存させ、もって16歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、13歳以上16歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影する行為をするとともに、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した。

(法令の適用)
罰条
  判示第1の所為 不同意わいせつの点 刑法176条3項、1項(令和5年法律第66号附則3条前段により「拘禁刑」を「懲役」とする。)
  16歳未満の者に対する映像送信要求の点 刑法182条3項2号(令和5年法律第66号附則3条前段により「拘禁刑」を「懲役」とする。)
  性的姿態等撮影の点 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項4号(1号イ)(同法附則2条前段により「拘禁刑」を「懲役」とする。)
児童ポルノ製造の点 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項(2条3項3号)
科刑上一罪の処理
  判示第1 刑法54条1項前段、10条(1個の行為が4個の罪名に触れる場合であるから、1罪として最も重い不同意わいせつ罪の刑で処断)

高松高裁r7.2.13
第2 訴訟手続の法令違反の主張について
   論旨は、原判示第1の不同意わいせつ罪、性的姿態等撮影罪及び児童ポルノ製造罪と16歳未満の者に対する映像送信要求罪は、併合罪の関係にあるにもかかわらず、検察官は16歳未満の者に対する映像送信要求罪についても1個の公訴事実として起訴したのであるから、原審裁判所としては訴因の特定を欠くものとして公訴棄却の判決をすべきであるのに、これを看過した原審の訴訟手続には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるというのである。
   しかしながら、原判示第1の各罪について公訴を提起した令和6年2月15日付け起訴状記載の公訴事実第1は、前記各罪を構成する犯罪行為についてその犯行日時を明確にして他の犯罪事実と識別し得る程度に特定しており、訴因の特定を欠くものとはいえない。
   訴訟手続の法令違反に関する論旨は理由がない。
第3 法令適用の誤りの主張について
 1 原判示第1の事実について
   論旨は、原判示第1の所為のうち、16歳未満の者に対する映像送信要求罪は、その他の不同意わいせつ罪、性的姿態等撮影罪及び児童ポルノ製造罪と併合罪の関係にあるにもかかわらず、観念的競合の関係にあるとした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり、仮に併合罪関係にはないとしても、16歳未満の者に対する映像送信要求罪は、不同意わいせつを目的にその手段として行われたものであり、不同意わいせつ罪と牽連犯の関係にあるから、観念的競合の関係にあるとした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというのである。
   そこで検討すると、原判示第1の不同意わいせつ罪は、当時30歳の被告人が、SNS上に性交相手を募集する内容の投稿をしていた当時14歳のAに対し、ダイレクトメッセージを送って自らがその相手となることを持ち掛けて待合せ場所を決めるなどした後、Aの陰茎を露出して写真を撮影してその画像を被告人に送ることを要求するメッセージを送信し、Aにこれを了承させ、その約3時間後に、Aに陰茎を露出させてそれを撮影させ、画像データを被告人に送信させたことにより行われたものである。このように原判示第1は、刑法176条3項のわいせつな行為としてAの行為を利用したものであるが、被告人は、前記のような状況にあったAに対し、自らの勃起した陰茎の写真を送るなどしながらAにも勃起した陰茎の写真を撮影して送信するよう求めるなどの性的意味合いの強い具体的な要求をし、すぐさまAに了承させ、Aに要求どおりの行為をさせており、このような事実関係の下において、本件の被告人のAに対する要求行為は、Aの性的自由の侵害を生じさせる客観的な危険性が認められるものであり、不同意わいせつ罪の実行行為に当たるとみることができる。
   そうすると、原判示第1の不同意わいせつ罪における実行行為に当たる、Aに対し陰茎を露出した姿態をとってその写真を撮影して送信することを要求した被告人の行為と、16歳未満の者に対する映像送信要求罪の実行行為に当たる要求行為は、同時に行われ、重なり合うものであり、それぞれにおける被告人の動態は社会的見解上1個のものといえるから(最高裁昭和47年(あ)第1896号同49年5月29日大法廷判決・刑集28巻4号114頁、最高裁平成19年(あ)第619号同21年10月21日第一小法廷決定・刑集63巻8号1070頁参照)、原判示第1の16歳未満の者に対する映像送信要求罪と、不同意わいせつ罪及びこれと観念的競合の関係にある他の2罪は、刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあるというべきである。原判決第1の事実について法令適用の誤りをいう論旨は理由がない。

 東京高裁の事例では、「陰茎を露出した姿態をとらせてその姿態を撮影させて被告人が使用する携帯電話機宛てに送信させ、被告人において閲覧するなどの利用が可能な状態に置いたものであることを指摘し、一連の行為がわいせつ行為に当たる。」という原判決を追認しているし、映像送信要求罪と、不同意わいせつ罪(176条3項)等とが牽連犯とされているので、要求時点では不同意わいせつ罪の着手を認めていません

東京地裁r06.11.29
第2
 被告人は、B(当時歳)が16歳未満の者であり、かつ、自らが B の生まれた日より5年以上前の日に生まれた者であることを知りながら、正当な理由がないのに、令和6年月日午前7時18分頃、被告人方において、アプリケーションソフト「」のメッセージ機能を利用して、 B に対し、同人からの同人の陰茎が勃起してる旨のメッセージを受け、「見せなさい」と記載したメッセージを送信して、その頃、同人にこれを閲読させ、もって性的な部位を露出した姿態をとってその映像を送信するよう要求し、
同日午前7時18分頃から同日午前7時19分頃までの間に、内の同人方居室において、同人に陰茎を露出した姿態をとらせ、これを同人が使用する携帯電話機で撮影させた上、その静止画データ1点を同携帯電話機から前記「LINE」を利用して被告人が使用する携帯電話機に宛てて送信させ、その頃、当時の株式会社が日本国内に設置して管理している電磁的記録媒体であるサーバコンピュータ内に記録させて保存し、もってわいせつな行為をするとともに、性的姿態等を撮影し、衣服の一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造したものである。

(争点に対する判断)
2 弁護人の主張(1)について
  令和6年7月24日付け追起訴状の公訴事実には、罰条として記載された各法条の構成要件に該当する事実が、日時場所等を特定して具体的に記載されており、個々の訴因を特定するのに十分な記載があるといえる。弁護人は、検察官が併合罪関係にあり、単一性を欠く事実について1個の訴因として訴追しているとも主張するが、法令の解釈適用は裁判所の専権であり、公訴事実に含まれる訴因の罪数関係は、裁判所において判断すれば足りる事柄である。前記起訴状の公訴事実に係る訴因は特定されている以上、その公訴提起の手続に違法はない。したがって、弁護人の主張(1)は採用できない。

4 弁護人の主張(3)について
 (1) 同主張①について
   16歳未満の者に対する映像送信要求罪は、16歳未満の者に対する性被害を未然に防止し、その性的自由の保護を徹底する観点から、16歳未満の者が性被害に遭わない環境にあること(性的保護状態)を保護法益としているもので、同罪と不同意わいせつ罪は、その保護法益を異にする。したがって、16歳未満の者に対する映像送信要求罪に該当する行為が行われ、引き続き、当該16歳未満の者に対する不同意わいせつ行為が行われた場合、両罪が成立するものと解するのが相当である。したがって、弁護人の主張(3)①は採用できない。
 (2) 同主張②について
   被告人は、自分とは別の場所にいる被害者に対し、被害者に陰茎を露出した姿態をとらせてその姿態を撮影させ、被害者にその画像データを被告人の使用する携帯電話機に送信させている。被害者に性的な姿態をとらせて撮影させる行為は性的な意味合いが強く、同行為がわいせつ行為に該当することは明らかであるが、そのようにして撮影された画像を、被告人の使用する携帯電話機に送信させ、被告人において性的対象として閲覧するなどの利用が可能な状態に置く行為は、被害者の性的自由に対する侵害の程度をより高める行為であり、同行為がわいせつ行為に該当することも明らかである。したがって、弁護人の主張(3)②は採用できないo
・・・

科刑上一罪の処理  
判示第2について、刑法54条1項前段、後段、10条(不同意わいせつ、性的姿態等撮影及び児童ポルノ製造は、1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合であり、16歳未満の者に対する映像送信要求と、不同意わいせつ、性的姿態等撮影及び児童ポルノ製造は、手段結果の関係があるので、結局以上を一罪として最も重い不同意わいせつ罪の刑で処断)
           なお、弁護人は、被害者に、性的姿態を撮影した画像データを被告人の使用する携帯電話機に送信させる行為が、わいせつ行為には当たらないことを前提に、判示第2の各罪は併合罪の関係に立つ旨主張するが、同行為もわいせつ行為に当たることは、(争点に対する判断)4において説示したとおりである。そうすると、本件の不同意わいせつ、性的姿態等撮影及び児童ポルノの製造には重なり合いが認められ、これらは、社会的見解上1個の行為といえるから、観念的競合の関係に立ち、これらの手段として行われた16歳未満の者に対する映像送信要求とは、牽連犯の関係に立つというべきである。

東京高裁r07.7.4
3原判示第2の事実に関する不法な公訴受理の主張について
論旨(弁護人)は、原判示第2に関し、原判決が、①映像送信要求、②不同意わいせつ、③性的姿態等撮影及び④児童ポルノ製造を一つの公訴事実として記載した起訴状による公訴を棄却しなかったことについて、各罪は、行為の重なり合いがないか一部が重なるにとどまるから併合罪の関係に立つとして、公訴事実は単一性を欠き、訴因が不特定であるから、公訴は棄却されるべきであり、それをしなかった原審は、不法に公訴を受理したものである、という。
しかし、原判示第2に係る令和6年7月24日付け追起訴状記載の公訴事実の記載を見るに、論旨と同趣旨の原審弁護人の主張に対する原判断のとおり、検察官が①から④までの各罪について罪となるべき事実としてそれぞれいかなる事実を主張しているかは、その日時、場所、方法等の記載により十分に特定されている。
したがって、その公訴提起の手続に違法があるとはいえず、原審が不法に公訴を受理したとはいえない。
・・・・
(2)論旨(弁護人)は、次に、原判決が原判示第2の不同意わいせつ罪及び性的姿態等撮影罪の成立を認めたことに関し、データを送信させ記録保存する行為はわいせつ行為ではなく性的姿態等撮影罪の成立範囲は、撮影に着手してから撮影するまでであって、記録保存までは含まないのに、原判決は、画像データを被告人が使用する携帯電話機宛てにLINEアプリを使用して送信させ、事業者のサーバコンピュータ内に記録させて保存した行為を含めて両罪の成立を認めており、法令適用の誤りがある、という。
このうち、不同意わいせつ罪については、原判決は、所論と同趣旨をいう原審弁護人の主張に対し、被告人は、別の場所にいる被害児童に対し、陰茎を露出した姿態をとらせてその姿態を撮影させて被告人が使用する携帯電話機宛てに送信させ、被告人において閲覧するなどの利用が可能な状態に置いたものであることを指摘し、一連の行為がわいせつ行為に当たる旨判示している。
行為者が、性的な部位を露出した姿態をとらせ、自身が所持するカメラ等の機器で撮影した場合、その画像は直ちに記録保存されて閲覧するなどの利用が可能となるのに対し、
㋐別の場所にいる者に撮影させた上で、
㋑その画像を送信させて事業者のサーバコンピュータ内に記録させて保存した
本件では、㋑の行為が加わることで被告人において閲覧鑑賞するなどの利用が可能な状態となったのであるから、その一連の行為全体が性的な意味合いを有し、被害児童に対するわいせつ行為に当たるとした原判決の判断は、相当である。
次に、性的姿態等撮影罪は、「撮影する行為」を対象とするものであるから、本件のように撮影対象者を利用して行う場合についても上記㋑の行為はその要素ではない。
原判決も、㋑の行為が性的姿態等撮影罪に該当する旨の判示をしたものではなく、被害児童に原判示の撮影をさせた行為が同罪に当たるとしたものと理解され、したがって、法令適用の誤りはない。

児童を使用する者の年齢年齢義務

 使用者は児童淫行罪、客は児童買春罪を問われます。
 使用者の年齢確認義務は厳しく、「自称する年令を軽信せず、児童の戸籍謄本または抄本などによつて生年月日を調査し、あるいは親元の照会をして年令を確かめるとか、一般に確実性のある調査確認の方法を一応尽すことが必要と考えられる。」とか言われています。

児童福祉法
第三十四条 
1何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六 児童に淫いん行をさせる行為
第六十条 
① 第三十四条第一項第六号の規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、十年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
④ 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7556cd81791700cabfb67ec5418e0fcceb646b0e

去年9〜10月にかけて当時17歳だった少女の年齢を確認せずに雇い、豊島区のホテルで50代の客とみだらな行為をさせた疑いなどがもたれています。

 警視庁によりますと、少女は採用時の年齢確認で知人の学生証を提示していて、容疑者は「本当はだめだけど特別ね」と言い、面接した日からそのまま働かせていました。

判例
◎ (昭和30年10月18日東京高裁)
児童を接客婦として住み込ませようとする場合には、その周旋人はもとより、児童本人その親等も右周旋人の示唆等により、雇主に対し年令を偽り、満18歳以上であるように装うことは、世上一般的に行われ希有の事実でないのであるから、単に、児童の体格風貌等が18歳以上に見え、右の者等において18歳以上であると告げたからといつて、さらに戸籍抄本等につき正確な年令の調査をすることなく、その児童に淫行させた場合には、児童福祉法第34条1項6号の違反が成立し、同法第60条3項但書の児童の年令を知らないことについて過失のない場合には当らない。
◎ (昭和30年11月8日最高裁(小))
接客婦として児童を雇入れるにあたり、単に本人の供述または身体の外観的発育状況のみによつて、同女が満18歳以上に達しているものと判断し、さらに客観的な資料として戸籍抄本、食糧通帳もしくは父兄等について正確な調査を講じ、児童の年令を確認する措置をとつた形跡の認められない限り、児童を使用する者が児童の年令を知らなかつたことについて過失がないということはできない。
◎ (昭和33年9月3日東京高裁)
児童を雇入れるに際して、年令等について本人らにこれを尋ねただけで、本人の年令の自称を漫然と受入れ、同女に売淫させていた場合には、児童福祉法第60条3項但書にいう「過失がないとき」に当らない。
◎ (昭和34年12月10日長崎家裁
児童福祉法第60条3項但書にいう児童の年令を知らないことにつき、過失がないといえるためには、使用者が児童を雇入れる際、児童本人や仲介者などの自称する年令を軽信せず、児童の戸籍謄本または抄本などによつて生年月日を調査し、あるいは親元の照会をして年令を確かめるとか、一般に確実性のある調査確認の方法を一応尽すことが必要と考えられる。
◎ (昭和41年7月19日東京高裁)
社交クラブの経営者が若い婦女子を雇入れるにあたつては、本人若しくは周旋人の供述とか本人の身体の発育状態のみに頼ることなく、本人の戸籍を調べ、父兄に問合わせる等確実な調査方法を講じて本人の年令を確認すべき注意義務を負う。
◎ (昭和27年7月17日福岡高裁
児童福祉法第60条3項にいう児童の年令を知らないことについて過失がなかつた立証責任は、被告人側が負うべきものである
◎「過失のないとき」とは、具体的事案ごとに提出された客観的資料の種類、その提出の際の状況、及びその確認方法の有無、難易等を総合的に検討して、社会通念に照らし、通常可能な調査が適切に尽くされているといえるか否かによって決せられることになる(昭和46年11月大阪高裁)。

刑法・特別刑法の「性器」とは

 児童ポルノだと陰裂含む、刑法だと生殖器

熊谷支部r7.4.15
 4 弁護人の主張④(性器に接触しているか否か)について
   陰裂は、性器である左右の大陰唇の外端が向かい合う所であるから性器の一部と言いうるところ、陰裂が社会通念上強い性的意味合いを有すること、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、児童の権利を擁護するという児童買春、児童ポルノ処罰法の目的(同法1条)等にも照らせば、「性器」は陰裂の内側の器官に限るとする弁護人の主張は採用できず、陰裂自体も「性器」に当たると解するのが相当である。そして、判示第6、第7及び第9の各事実において弁護人が性器接触を争う画像データ(甲29・別表番号1、甲30・9頁、甲43・別表番号9)に描写された別紙A又は別紙Bの姿態は、被告人が別紙A又は別紙Bの陰裂の内側には触れていないものの、その左手が着衣を脱いで露出した別紙A又は別紙Bの陰裂部分に直接触れていると認められるから、判示第6及び第9の各事実には児童ポルノ製造罪が、判示第7事実には児童ポルノ公然陳列罪がそれぞれ成立する。
 5 弁護人の主張⑤(「陰部」、「性器」及び「胸部」の定義が不明確であるか否か)について
   同項2号の「性器」該当性は、具体的事案において一般人が社会通念に照らして判断可能であるから、「性器」の概念が刑罰法規として不明確で罪刑法定主義に違反する旨の弁護人の主張は採用できない。
   また、「陰部」に「性器」が含まれ、「胸部」に「乳首」が含まれることは社会通念上明らかであるから、判示第6、第9、第15、第17、第19、第21及び第23の各事実に罪となるべき事実の記載として欠けるところもない。

神戸地裁r07.3.12
(2) ②に対する判断(映像送信要求罪処罰規定の明確性)
「わいせつ」(刑法182条3項柱書) な行為にあたるか否かは、当該行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度等を総合考慮し、社会通念に照らして判断されるものであり、わいせつな行為の内容が不明確であるとはいえない。
「その他の姿態」(同項2号)は、同項の文言 (「膣又は肛門に身体の一部(中略) 性的な部位を露出した姿態」 (同項2号)、「当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。」 (同項柱書) ) や、 映像送信要求罪が性犯罪の前段階を処罰するため設けられたものであることに照らせば、一般人の理解において、当該姿態をとらせてその映像を送信すれば、重大な性的自由・性的自己決定権の侵害が生じる場合、 つまり、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立するような場合に映像送信要求罪の適用を受けるものと判断できる。
そのため、 「その他の姿態」 が不明確であるとはいえない。

「性器」は、一般人であれば、その文言自体から、おおむね生殖器であると理解することができ、 不明確であるとはいえない。
したがって、 映像送信要求罪の規定は、明確性の原則に反せず、 憲法31条に違反しないから、 弁護人の主張は採用できない。

東京高裁r7.7.4
4原判示第2の事実に関する法令適用の誤りの主張について
(1)論旨(弁護人)は、原判決が原判示第2の性的姿態等撮影罪の成立を認めたことに関し、同罪の構成要件規定である性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影処罰法」という。)2条1項1号イは、「性器」の定義がなく、処罰範囲が定まらないため、刑罰法規としての明確性を欠いていて憲法31条に違反し、表現行為への過度に広範な規制として憲法21条にも違反するから、無効であるとして、同条項を適用して性的姿態等撮影罪の成立を認めた原判決には、法令適用の誤りがある、という。
しかし、同条項は、「性器」という語を、「人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臂部又は胸部をいう。
以下このイにおいて同じ。)‐又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」として、人の性的な部位を定義する中で用いているものであり、同部位に該当するか否かは、「性器」を定義する規定がなくとも一般人において十分読み取ることが可能であって、同条項が所論のように明確性を欠くとはいえず、憲法31条に違反するものではない。
また、これが表現行為に対する過度に広汎な規制であるともいえず、憲法21条に違反するものでもない。
・・・・・・・・・・


(4)論旨(弁護人)は、さらに、原判決が原判示第2の映像送信要求罪の成立を認めたことに関し、刑法1.82条3項柱書及び2号(以下「本条項」という。)は、3項柱書中の「わいせつ」並びに2号中の「性器」及び「その他の姿態」の各用語が不明確で、刑罰法規としての明確性を欠いていて憲法31条に違反し、表現行為である画像送信要求行為への過度に広汎な規制として憲法21条にも違反するから、無効であるとして、本条項を適用して映像送信要求罪の成立を認めた原判決には、法令適用の誤りがある、という。
・・・・・・・・
次に、「性器」について、本条項は、性的姿態撮影処罰法2条1項1号イと同様に、その語を「性的な部位」を定義する中で用いているものであり、明確性が問題となるのは、「性器」それ自体ではなく「性的な部位」であるところ、(1)におけると同様、これが所論のように明確性を欠くとはいえない。

監禁と不同意わいせつ致死を併合罪とした事例(旭川地裁r7.3.7)

 判示第1と第2は行為がかなり重なっているから観念的競合だよね。

第一七六条(不同意わいせつ)
1 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。

裁判年月日 平成24年11月 1日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平24(う)1344号
事件名 監禁,強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
裁判結果 控訴棄却 上訴等 確定 文献番号 2012WLJPCA11019004
 (2) 罪数関係について
   ア 監禁罪と強制わいせつ罪の罪数関係について
 所論は,原判示の各監禁罪と各強制わいせつ罪について,いずれも,①性的意図をもって被害児童を監禁する行為は,被害児童の性的自由を害して被告人の性的欲求を満足させる行為であるから,監禁行為とわいせつ行為は一体の行為として評価され,観念的競合の関係にある,②仮に,観念的競合の関係にはないとしても,監禁罪と強制わいせつ罪は手段と結果の関係にあるから牽連犯の関係にある旨主張する。
 そこで検討すると,被告人は,各被害児童に対し,いずれも,わいせつ行為をする目的で公衆トイレ内に誘い込んだ後,内鍵を施錠したり(原判示第4),ドアの前に立ちふさがるなどして(同第1),陰部を触る等のわいせつ行為をしたものであるが,わいせつ行為に及んでいること自体がドア前に立ちはだかることとなって監禁行為は継続しているし,わいせつ行為が終了した直後にその場から逃走して被害児童を解放している。そうすると,刑法176条後段に触れる行為と同法220条に触れる行為とはほとんど重なり合っているといえる上,社会的評価において,トイレのドアの前に立ちふさがるなどして脱出不能にする動態と,このような姿勢をとりながらわいせつな行為をする動態は,被害児童をトイレに閉じこめてわいせつな行為をするという単一の意思に基づく一体的な動態というべきであるから,原判示の各監禁罪と各強制わいせつ罪は,いずれも観念的競合の関係にあるものと解される。

■28331135

旭川地方裁判所
令和07年03月07日

 上記の者に対する監禁、殺人、不同意わいせつ致死被告事件について、当裁判所は、検察官平野賢及び同緒方陽子、国選弁護人多々納玲子(主任)及び同小室光子各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
主文
被告人を懲役23年に処する。
未決勾留日数中200日をその刑に算入する。

理由
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、
第1 B(以下「B」という。)が写った画像データを無断で使用した別紙記載の者(当時17歳。以下「A」という。)を監禁しようと考え、B、●●●(以下「X」という。)及び●●●(以下「Y」という。)と共謀の上、令和6年4月18日午後9時頃から同日午後11時37分頃までの間に、Aに対し、電話で、「どう落とし前つけんの、誰にけんか売ってんの。」などと語気鋭く言うなどした上、北海道C市(以下略)道の駅Cにおいて、Aを同所に停車中の軽四輪乗用自動車に乗り込ませ、同自動車を発進させて、同日午後11時37分頃から同月19日午前3時29分頃までの間、走行中の同自動車内でAの動静を監視するなどして同所からD市(以下略)E橋に至るまで同自動車を走行させるなどし、Aが同自動車内等から脱出することを著しく困難にし、もってAを不法に監禁し
第2 前記第1のとおりAを前記自動車に乗車させて北海道C市内から前記E橋に至るまで同自動車を走行させ、その間に、D市内のF店等において、Aに馬乗りになってその顔面を殴打するなどの暴行を加えるなどしてAを監禁したものであるが、Bと共謀の上、令和6年4月19日午前3時29分頃から同日午前3時48分頃までの間に、前記E橋付近において、Aに対し、Aが前記暴行を伴う一連の虐待に起因する心理的反応により同意しない意思を全うすることが困難な状態にあることに乗じ、その着衣を脱ぐよう命じてAを全裸にさせ、Aに土下座して謝罪させている状況を携帯電話機で動画撮影した上、前記E橋において、Aの腰部を蹴るなどの暴行を加え、Aを前記E橋の欄干に座らせて謝罪させている状況を携帯電話機で動画撮影するなどのわいせつな行為をし、その頃、同所において、殺意をもって、前記一連の暴行等により被告人及びBを極度に畏怖するなどしているAを前記欄干に再度座らせ、Aに対し、「落ちろ。」「死ねや。」などと言うなどしてAを前記E橋からその直下を流れるG川に落下させ、よって、同日頃、Aを溺水による窒息により死亡させて殺害した
ものである。

(法令の適用)
1 構成要件及び法定刑を示す規定
  被告人の判示第1の所為は刑法60条、220条に、判示第2の所為のうち、殺人の点は同法60条、199条に、不同意わいせつ致死の点は同法60条、181条1項、176条1項1号、7号にそれぞれ該当する。
2 科刑上一罪の処理
  判示第2の殺人と不同意わいせつ致死は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから、刑法54条1項前段、10条により1罪として重い殺人罪の刑で処断する。
3 刑種の選択
  判示第2の罪について有期懲役刑を選択する。
4 併合罪の処理
  刑法45条前段の併合罪であるから、同法47条本文、10条により重い判示第2の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をする。
5 宣告刑の決定
  以上の刑期の範囲内で被告人を懲役23年に処する。
6 未決勾留日数の算入
  刑法21条を適用して未決勾留日数中200日をその刑に算入する。
7 訴訟費用の不負担
  訴訟費用は、刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させない。
(量刑の理由)
 本件は、被告人が、Bや少年X、少女Yと共謀して、女子高校生の被害者を呼び出して自動車に乗り込ませ、深夜から未明にかけて、被害者の居住する北海道C市内の道の駅からD市内の渓谷Hまで連行して監禁した後、Bと共謀して、Hの吊り橋E橋付近において、全裸にさせた被害者を動画撮影するなどのわいせつな行為をし、さらに、殺意をもって、吊り橋の欄干に座らせた被害者に対し、「落ちろ。」「死ねや。」と言うなどして、吊り橋の直下を流れるG川に落下させて溺死させた、監禁、殺人、不同意わいせつ致死の事案である。

交際中の中学生(12歳・13歳)の性行為について、避妊しなかった点、撮影保存の点を不法行為とした事例(東京地裁r7.2.28) (訴額605万円、認容額11万円)

交際中の中学生(12歳・13歳)の性行為について、避妊しなかった点、撮影保存の点を不法行為とした事例(東京地裁r7.2.28) (訴額605万円、認容額11万円)
 600万円って、レイプされた場合の認容額ですよね。12歳だからか

裁判年月日 令和 7年 2月28日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 令6(ワ)15872号
事件名 損害賠償請求事件
文献番号 2025WLJPCA02286007
主文

 1 被告未成年者は、原告に対し、11万1500円及びこれに対する令和6年6月27日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
 3 原告と被告未成年者との訴訟費用は、これを60分し、その1を被告未成年者の負担とし、その余を原告の負担とし、原告と被告父及び被告母との訴訟費用は全部原告の負担とする。
 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
 
 
事実及び理由
第1 請求
 被告らは、原告に対し、連帯して、605万1650円およびこれに対する令和6年6月27日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は、被告未成年者が、未成年者である原告に対し、避妊具を用いることなく性交渉に及び、原告の膣内に射精し、また、原告の陰部の画像等を撮影していわゆる児童ポルノを製造し、これを所持したことで、原告が精神的苦痛を受けたなどとして、さらに、被告父及び被告母(以下、併せて「被告父母」という。)が、被告未成年者の上記各行為について、監督義務を怠ったとして、原告が、被告らに対し、民法709条に基づき、連帯して、慰謝料等合計605万1650円及びこれに対する不法行為の日の後であり、訴状送達の日の翌日である令和6年6月27日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
・・・・・
第3 争点に対する判断
 1 争点1(本件各行為の不法行為該当性)について
  (1) 本件行為①について
   ア まず、原告は、本件行為①に関し、被告未成年者が、いずれの性交渉に際しても、原告の膣内に射精をしていた旨主張する。
 しかしながら、前記第2の1(2)記載の令和6年2月19日頃に行われた性交渉の際を除き、被告未成年者が、原告と性交渉をした際に、その膣内に射精をしたと認めるに足りる的確な証拠はない。
   イ 次に、本件当時、原告と被告未成年者とが交際関係にあったこと、両者はいずれも同じ中学校に通い、同じ部活動に所属する同級生であったこと、両者の間で複数回性交渉が行われていたことは、前記第2の1(1)のとおりである。また、本件行為①について、一方的に被告未成年者が、原告に対し、これを強要し、原告がこれに応じざるを得なかったと認めるに足りる的確な証拠もない。それゆえ、本件行為①に関し、原告と被告未成年者との間に、主従関係や優劣関係は認められないというべきである。
 以上に加え、被告未成年者が避妊具を用いずに本件行為①に及んでいたことにつき、原告がこれを拒絶していたと認めるに足りる的確な証拠はないし、本件行為①が行われていた間に、原告が、上記学校や上記部活動を欠席したり、被告未成年者を遠ざけたりしたと認めるに足りる的確な証拠もない。かえって、前記第2の1(4)のとおり、原告は、自らウェブサイト上で経口避妊薬を購入し、服用しながら、なお被告未成年者との上記関係を継続していたものと認められる。これらの事情を併せ鑑みれば、原告も同意の上で、上記関係を継続していたものと認めるのが相当である。
 なお、前記第2の1(1)のとおり、原告は、本件当時13歳又は14歳であって、いわゆる性交同意年齢(16歳)に満たないが、そのことは被告未成年者も同様であって、交際関係にあり、主従関係や優劣関係も認められない性交同意年齢に達しない者同士の性交渉において、単純に一方を加害者、他方を被害者と断ずることもできないというべきである。
 それゆえ、本件行為①につき、被告未成年者が、原告と、避妊具を用いずに複数回にわたり性交渉に及んでいたこと自体をもって、直ちに不法行為に当たるとまでは認め難い。
   ウ 他方で、前記第2の1(2)のとおり、被告未成年者は、令和6年2月19日頃、原告と性交渉をした際、原告の同意なく、原告の膣内に射精をしたものと認められる。
 社会通念に照らしても、性交渉に際し、女性の膣内に射精すれば、受胎の可能性が格段に高まることや、未だ成熟していない13歳の女性が受胎した場合に、その心身や社会的地位等に悪影響が及びかねないことは、容易に認定し得るものである。
 それゆえ、被告未成年者の本件行為①のうち、原告の同意なく、その膣内に射精をしたとの点は、その性的自由及び性的自己決定権を侵害するものといわざるを得ず、不法行為に当たるというべきである。
  (2) 本件行為②について
 本件各データは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項1号及び同項3号の児童ポルノに当たるものというべきである。
 そして、このような児童ポルノの製造及び所持が、被写体となった児童の性的権利を侵害する違法な行為であることは、同法1条等に明記されているとおりである。
 よって、被告未成年者の本件行為②は不法行為に当たるというべきである。
 2 争点2(損害の発生の有無及びその数額)について
  (1) 本件行為①に関して
   ア 前記1(1)ウのとおり、被告未成年者の本件行為①のうち、同所記載の行為については不法行為に当たるところ、証拠(甲13)によれば、これにより、原告は、受胎したのではないかという一定の不安感を覚えたものと認められ、その結果、相応の精神的苦痛を被ったものと認められる。
 もっとも、同イのとおり、原告は、上記行為後も被告未成年者と複数回性交渉を重ねており、その間、上記行為に起因して、通っていた中学校や部活動を欠席した等の事情も認められない。また、前記第2の1(4)のとおり、結果として、原告が受胎した等の事実も認められない。
 以上の事情も併せ鑑みれば、上記行為により原告が被った上記精神的苦痛を慰謝するための慰謝料は、5万円を超えないものというべきである。
   イ また、原告が、本件検査を受けたことも、上記行為と相当因果関係があるというべきであるから、本件検査に係る費用1500円も、上記行為により原告が被った損害として認めるのが相当である。
  (2) 本件行為②に関して
 前記1(2)のとおり、被告未成年者の本件行為②は不法行為に当たるところ、証拠(甲13)によれば、これにより、原告は、本件各データが流出するのではないかという一定の不安感を覚えたものと認められ、その結果、相応の精神的苦痛を被ったものと認められる。
 もっとも、前記第2の1(3)のとおり、令和6年4月16日に画像及び動画が撮影された際には、原告は、自らの携帯電話端末を被告未成年者に貸与し、同端末が使用されて上記撮影が行われており、その後も複数回、同様の撮影が行われている。また、前記(1)アのとおり、その間、原告が、上記行為に起因して通っていた中学校や部活動を欠席した等の事情も認められない。さらに、本件各データの一部が、被告未成年者の携帯電話端末から同人のノートパソコンに送信された事実は被告らも自認するところであるが、それ以外に、本件各データが外部に流出した等の事情を認めるに足りる的確な証拠はない。
 以上の事情を総合的に考慮すれば、被告未成年者の本件行為②により原告が被った上記精神的苦痛を慰謝するための慰謝料は、5万円を超えないものというべきである。
  (3) 弁護士費用について
 本件の事案の性質及び訴訟活動の困難さに鑑みれば、原告が本件訴えを提起し、その訴訟活動をするに当たり、弁護士に委任することはやむを得ないところであり、その弁護士費用も前記1記載の各不法行為と相当因果関係のある損害と認められる。
 そして、その弁護士費用は、前記(1)及び(2)の合計額の約1割に相当する1万円と認めるのが相当である。
 3 争点3(被告父母の責任の有無)について
 前記第2の1(1)のとおり、本件当時、被告未成年者は責任能力を有していたものと認められるところ、仮に未成年者が責任能力を有する場合であっても、監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認め得るときは、監督義務者につき、民法709条に基づく不法行為が成立するものと解するのが相当である(最高裁判所昭和49年3月22日第二小法廷判決・民集28巻2号347頁)。
 しかしながら、本件各証拠に照らしても、被告父母において、被告未成年者が、前記1の各不法行為に及ぶことを具体的に予見し得たといえるような事実関係は何ら認められない。それゆえ、そもそも、被告父母において、被告未成年者が上記各不法行為に及ぶことを予見し、これによる結果を回避するために何らかの措置を講ずべき義務があったとは認め難いから、被告父母に被告未成年者の上記各不法行為に結び付く監督義務違反があったとは認められないというべきである。
 なお、この点に関し、原告はるる主張するものの、いずれも上記判断を覆すに足りるものではなく、採用できない。
 よって、原告の被告父母に対する請求はいずれも認められない。
 4 小括
 以上の次第で、被告未成年者の本件各行為は、前記1の範囲で不法行為に該当し、これにより、原告は、前記2のとおり、合計11万1500円の損害を被ったものと認められるから、原告は、被告未成年者に対し、上記損害額及びこれに対する不法行為の日の後である令和6年6月27日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求めることができるというべきである。
 他方、原告のその余の請求はいずれも理由がないというべきである。
 5 結語
 よって、原告の請求は、前記4の限度で理由があるから、その限度でこれを認容し、その余はいずれも理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
 東京地方裁判所民事第18部
 (裁判官 古賀大督)
 
 
 (別紙)
 当事者目録
 原告 X
 同法定代理人親権者父
 同訴訟代理人弁護士 三上拓馬
 被告 Y1(以下「被告未成年者」という。)
 同法定代理人親権者父
 同法定代理人親権者母
 同
 被告 Y2(以下「被告父」という。)
 同
 被告 Y3(以下「被告母」という。)
 被告ら訴訟代理人弁護士 内藤潤
 以上

刑法182条3項2号の「その他の姿態」とは、「要求した映像送信行為が実現した場合に、膣又は肛門に物を挿入する姿態等の列挙された姿態に係る映像送信と同程度に重大な性的自由・性的自己決定権の侵害が生じるような姿態をいうものと解される」(東京高裁r7.7.4)

刑法182条3項2号の「その他の姿態」とは、「要求した映像送信行為が実現した場合に、膣又は肛門に物を挿入する姿態等の列挙された姿態に係る映像送信と同程度に重大な性的自由・性的自己決定権の侵害が生じるような姿態をいうものと解される」(東京高裁r7.7.4)

刑法
(十六歳未満の者に対する面会要求等)
第百八十二条
3十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)を要求した者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。
二前号に掲げるもののほか、
膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入し又は挿入される姿態、
性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下この号において同じ。)を触り又は触られる姿態、
性的な部位を露出した姿態
その他の姿態
をとってその映像を送信すること。

(4)論旨(弁護人)は、さらに、原判決が原判示第2の映像送信要求罪の成立を認めたことに関し、刑法1.82条3項柱書及び2号(以下「本条項」という。)は、3項柱書中の「わいせつ」並びに2号中の「性器」及び「その他の姿態」の各用語が不明確で、刑罰法規としての明確性を欠いていて憲法31条に違反し、表現行為である画像送信要求行為への過度に広汎な規制として憲法21条にも違反するから、無効であるとして、本条項を適用して映像送信要求罪の成立を認めた原判決には、法令適用の誤りがある、という。
しかし、まず、本条項(3項柱書)中の「わいせつなもの」は、刑法176条の不同意わいせつ罪における「わいせつな行為」と同じ意味と解されるところ、同条の「わいせつな行為」の概念は、刑罰法規として必要な明確性を欠くものでなく(最高裁平成28年(あ)第1731号同29年11月29日大法廷判決。刑集71巻9号467頁、最高裁平成30年(あ)第1757号令和2年3月10日第三小法廷判決・刑集74巻3号303頁参照)、そのことは、本条項中の「わいせつなもの」についても同じである。
次に、「性器」について、本条項は、性的姿態撮影処罰法2条1項1号イと同様に、その語を「性的な部位」を定義する中で用いているものであり、明確性が問題となるのは、「性器」それ自体ではなく「性的な部位」であるところ、(1)におけると同様、これが所論のように明確性を欠くとはいえない。
そして、「その他の姿態」については、本条項は、複数の「姿態」の列挙に続けて「その他の姿態」と記し、16歳未満の者に対し、それらの姿態をとってその映像を送信することを要求した者を処罰する旨規定するものである。
そうした法文の記載からすると、「その他の姿態」とは、要求した映像送信行為が実現した場合に、膣又は肛門に物を挿入する姿態等の列挙された姿態に係る映像送信と同程度に重大な性的自由・性的自己決定権の侵害が生じるような姿態をいうものと解され、これが所論のように明確性を欠くとはいえない。
よって、本条項は憲法31条に違反するものではない。
また、本条項に該当する映像送信行為を処罰することが、表現行為に対する過度に広汎な規制であるというべき根拠はなく、憲法21条に違反するものでもない。

「雇用しようとするときは、第十五条第一項のデータベースを活用するものとする。」は、活用義務


 「活用しなければならない」「活用する義務がある」にしておけばよかった。

「ものとする」
 三つ目は、「ものとする」です。この「ものとする」は、まず、①一定の義務付けを、後述する「しなければならない」よりも弱いニュアンスを持たせて規定しようとするとき、とりわけ行政機関に対して義務付けをしようとする場合に用いられます。
そのほか、
②物事の原則を示そうとするとき、
③解釈上の疑義を避けるために、当然のことを念のため規定するものであることを表そうとするとき、更には、
④ある事項に関する規定を他の類似する事項について当てはめる、いわゆる準用規定における読替規定においても用いられます。
法制執務用語研究会条文の読み方2014

教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(令和三年法律第五十七号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000057
(任命権者等の責務)
第七条 教育職員等を任命し、又は雇用する者は、基本理念にのっとり、教育職員等を任命し、又は雇用しようとするときは、第十五条第一項のデータベースを活用するものとする。

(データベースの整備等)
第十五条 国は、特定免許状失効者等の氏名及び特定免許状失効者等に係る免許状の失効又は取上げの事由、その免許状の失効又は取上げの原因となった事実等に関する情報に係るデータベースの整備その他の特定免許状失効者等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるものとする。
2 都道府県の教育委員会は、当該都道府県において教育職員の免許状を有する者が特定免許状失効者等となったときは、前項の情報を同項のデータベースに迅速に記録することその他必要な措置を講ずるものとする。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250708/k10014857121000.html
活用しなかった理由を学校法人に聞き取ったところ、「活用が義務だと知らなかった」とか、「システム自体を知らなかった」などの回答があったということです。
このデータベースは、4年前に成立した「教員による児童生徒性暴力防止法」に基づき運用が開始され、学校法人が教員を採用する際、性暴力などで処分を受けた経歴がないか、確認するなど活用することが義務づけられています

未成年者の飲酒に同席した者の刑事責任


 弁護士ドットコムの回答で、刑事責任が発生しうるという回答がありますが、
未成年者の酒の提供で処罰されるのは、
  親権者 1条2項
  営業者 1条3項
だけです。

二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(大正十一年法律第二十号
第一条 二十歳未満ノ者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
② 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者若ハ親権者ニ代リテ之ヲ監督スル者未成年者ノ飲酒ヲ知リタルトキハ之ヲ制止スヘシ
③ 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ二十歳未満ノ者ノ飲用ニ供スルコトヲ知リテ酒類ヲ販売又ハ供与スルコトヲ得ス
④ 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第二条 二十歳未満ノ者カ其ノ飲用ニ供スル目的ヲ以テ所有又ハ所持スル酒類及其ノ器具ハ行政ノ処分ヲ以テ之ヲ没収シ又ハ廃棄其ノ他ノ必要ナル処置ヲ為サシムルコトヲ得
第三条 第一条第三項ノ規定ニ違反シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
② 第一条第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ科料ニ処ス

https://bbs.bengo4.com/questions/1448517/?_gl=1*1w8uwur*_ga*MjA5MjIyOTA5LjE3MjkyMjM0MzE.*_ga_YDWBQV5G0V*czE3NTE5MzcwNzckbzY4MSRnMSR0MTc1MTk0MTEzMiRqNDkkbDAkaDA.
お困りかと思いますので、お答えいたします。
【質問1】
お聞きしたいのはそうした場で仮に未成年が飲酒をする事態になった時、同席していた成人が実際に罰則を受けることはあるのでしょうか。私自身は成人した大学生で、未成年にお酒を勧めたりすることは絶対にありません
→そのような状況であれば、その場にいるだけで罰則をうけることは考えにくいように思います。


【質問2】
しかし、お恥ずかしいことではありますが、他の人が勧めていたり、本人が進んで飲酒をしている時に注意する勇気はないと思います。

【質問3】
このような状況で罰則を受けて前科がついて、今後の人生に影響がでることはあるのでしょうか。とても良い職場でみんなと仲良くなるきっかけだと思うのでできれば参加したいのですが、この点が少し気になっています

→上記と同様、積極的に関与していなければ、その可能性は低いとは思います。


一般的なお答えとなり恐縮ですが、ご参考に頂ければと思います。

リモートで自慰行為画像を送らせた行為につき不同意性交罪としたとも読める事例・しかも映像送信要求罪と、牽連犯(千葉地裁r7.5.21)

 対面関係なので、判示第3の「要求し、その頃、同所において、cに対し、その膣に手指を挿入して性交等をし、」というのが被害者の手指を被害者の膣に挿入したものかどうかがよくわかりません。

第3 同月23日午前0時20分頃から同日午前1時13分頃までの間、前記当時の被告人方において、児童であるcから、被告人に陰部等を触らせて自慰行為をする動画以外に撮影すべき動画があるか問われたのに対し、前記「X」のダイレクトメッセージ機能を利用して「別におな撮るなら他は次でも良いけど。」「自分のスマホでもいつもみたく撮ってね。」などと記載したメッセージを送信し、その頃、同所において、cにこれを閲覧させ、もって性的な部位を触る姿態、性的な部位を露出した姿態等をとってそれらの映像を送信することを要求し、その頃、同所において、cに対し、その膣に手指を挿入して性交等をし、さらに、その頃、同所において、被告人がその手指をcの膣内に挿入する姿態及び同人に乳房や陰部を露出して自慰行為をする姿態をとらせ、これを同人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影させた上、その動画データ3点を同携帯電話機から前記「X」のダイレクトメッセージ機能を利用して被告人が使用するアカウント宛てに送信させ、その頃、前記「X」が管理するサーバコンピュータ内に記録、保存させ、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した[訴因変更後の令和6年11月6日付け起訴状記載公訴事実第1別表1番号5及び同第4]。
法令適用
判示第3の所為のうち
不同意性交等の点 刑法177条3項、1項、令和5年法律第66号附則3条
映像送信要求の点 刑法182条3項2号、令和5年法律第66号附則3条
児童ポルノ製造の点 包括して児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項1号、3号

第百七十七条 
1前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

判示第3の所為のうち
不同意性交等の点 刑法177条3項、1項、令和5年法律第66号附則3条
映像送信要求の点 刑法182条3項2号、令和5年法律第66号附則3条
児童ポルノ製造の点 包括して児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項1号、3号
科刑上一罪の処理
判示第3について 刑法54条1項後段、10条(映像送信要求と不同意性交等及び児童ポルノ製造との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので、結局以上を1罪として最も重い不同意性交等罪の刑で処断)

《書 誌》
提供 TKC
【文献番号】 25622913
【文献種別】 判決/千葉地方裁判所(第一審)
【裁判年月日】 令和 7年 5月21日
【事件番号】 令和6年(わ)第1319号
令和6年(わ)第1790号
【事件名】 不同意性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反(変更後の訴因:不同意性交等、性的姿態等撮影、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反)、不同意わいせつ、16歳未満の者に対する映像送信要求、性的姿態等撮影被告事件
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 鎌倉正和 椙山葉子 中村大樹
       判   決
       理   由
(罪となるべき事実)
 被告人は、c(当時14歳ないし15歳)が16歳未満の者であり、かつ、自らがcの生まれた日より5年以上前の日に生まれた者であることを知りながら
第1
1 別表1記載のとおり、令和5年10月2日午前1時21分頃から令和6年2月22日午前1時22分頃までの間、7回にわたり、dの当時の被告人方において、cと口腔性交して性交等をした[訴因変更後の令和6年8月15日付け起訴状記載の公訴事実第1及び訴因変更後の同年11月6日付け起訴状記載の公訴事実第1別表1番号1ないし4]。
2 正当な理由がないのに、別表2記載のとおり、令和5年10月2日午前1時21分頃から令和6年2月22日午前1時22分頃までの間、7回にわたり、前記当時の被告人方において、児童であるcに、被告人の陰茎を口淫する姿態をとらせ、これを被告人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影した上、その動画データ合計11点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって13歳以上16歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影する行為をするとともに、児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した[訴因変更後の令和6年8月15日付け起訴状記載の公訴事実第2及び訴因変更後の同年11月6日付け起訴状記載の公訴事実第3]。
第2 別表3記載のとおり、同年3月19日午前0時2分頃から同年6月20日午後11時43分頃までの間、11回にわたり、前記当時の被告人方において、児童であるcに対し、ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」という。)「X」のダイレクトメッセージ機能を利用して、「なら水曜まで待とうか。待つかわりにオナの動画、顔写る様に撮って。」「なら昼間(明るい時間帯)にフェラ撮って。」「それとさっき言ってたオナ動画で。」などと記載したメッセージを送信し、その頃、同所において、同人にこれを閲覧させ、もって性的な部位を触る姿態、性的な部位を露出した姿態又は口腔性交をする姿態をとってそれらの映像を送信することを要求し、その頃、同所において、同人に乳房や陰部を露出して自慰行為をする姿態をとらせ、これを同人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影させ、もって16歳未満の者に対し、わいせつな行為をするとともに、その動画データ合計34点を同携帯電話機から前記「X」のダイレクトメッセージ機能を利用して被告人が使用するアカウント宛てに送信させ、その頃、前記「X」が管理するサーバコンピュータ内に記録、保存させ、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した[訴因変更後の令和6年11月6日付け起訴状記載の公訴事実第2別表2番号1ないし11]。
第3 同月23日午前0時20分頃から同日午前1時13分頃までの間、前記当時の被告人方において、児童であるcから、被告人に陰部等を触らせて自慰行為をする動画以外に撮影すべき動画があるか問われたのに対し、前記「X」のダイレクトメッセージ機能を利用して「別におな撮るなら他は次でも良いけど。」「自分のスマホでもいつもみたく撮ってね。」などと記載したメッセージを送信し、その頃、同所において、cにこれを閲覧させ、もって性的な部位を触る姿態、性的な部位を露出した姿態等をとってそれらの映像を送信することを要求し、その頃、同所において、cに対し、その膣に手指を挿入して性交等をし、さらに、その頃、同所において、被告人がその手指をcの膣内に挿入する姿態及び同人に乳房や陰部を露出して自慰行為をする姿態をとらせ、これを同人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影させた上、その動画データ3点を同携帯電話機から前記「X」のダイレクトメッセージ機能を利用して被告人が使用するアカウント宛てに送信させ、その頃、前記「X」が管理するサーバコンピュータ内に記録、保存させ、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した[訴因変更後の令和6年11月6日付け起訴状記載公訴事実第1別表1番号5及び同第4]。
第4 別表4記載のとおり、同月30日午後8時55分頃から同年7月22日午後10時25分頃までの間、3回にわたり、前記当時の被告人方において、児童であるcに対し、前記「X」のダイレクトメッセージ機能を利用して、「ならオナで良いよ。フェらは平日撮って。」などと記載したメッセージを送信し、その頃、同所において、同人にこれを閲覧させ、もって性的な部位を触る姿態、性的な部位を露出した姿態又は口腔性交をする姿態をとってそれらの映像を送信することを要求し、その頃、同所において、同人に乳房や陰部を露出して自慰行為をする姿態をとらせ、これを同人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影させ、もって16歳未満の者に対し、わいせつな行為をするとともに、その動画データ合計10点を同携帯電話機から前記「X」のダイレクトメッセージ機能を利用して被告人が使用するアカウント宛てに送信させ、その頃、前記「X」が管理するサーバコンピュータ内に記録、保存させ、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した[訴因変更後の令和6年11月6日付け起訴状記載の公訴事実第2別表2番号12ないし14]。
(弁護人の主張に対する判断)
 弁護人は、訴因変更後の令和6年11月6日付け起訴状記載の公訴事実第2別表2(令和7年4月15日付け訴因等変更請求書の別表3)番号3の「メッセージの内容」欄には、「撮れるなら撮って」と記載されているのみで、このメッセージには、性的な部位を触る姿態、性的な部位を露出した姿態をとってその映像を送信することを要求する文言が含まれていないから、刑法182条3項2号の構成要件を充足しておらず、仮にこれを充足するとしても、その犯罪の証明を欠くとして、上記番号3のうち16歳未満の者に対する映像送信要求罪については、公訴棄却ないし無罪の判決をすべきであるなどと主張する。
 確かに、弁護人が指摘するとおり、上記メッセージは直接的な要求文言を含んでいないが、これらは、前記「X」において、被告人からcに対して送信されたメッセージの一部であり、関係証拠によって認められる、それ以前に被告人とcとの間で交わされたやり取りも含めてみれば、性的な部位を触る姿態、性的な部位を露出した姿態をとってその映像を送信することを要求するものと解することができる。よって、上記メッセージの送信は刑法182条3項2号の構成要件を充足するとともに、その犯罪の証明に欠けるところもないから、弁護人の主張は採用できない。なお、メッセージの意味をより明確にするために、判示第2別表3番号3、7及び8並びに判示第3については、訴因変更後の令和6年11月6日付け起訴状記載の公訴事実第2別表2番号3、7及び8並びに第4のメッセージに、関係証拠から認められる、それ以前のやり取りを付記することとした。
(証拠の標目)
(法令の適用)
罰条
判示第1の1別表1番号1ないし7の各所為 いずれも刑法177条3項、1項、令和5年法律第66号附則3条
判示第1の2別表2番号1ないし7の各所為のうち
性的姿態等撮影の点(番号3、5、6の各所為は番号毎にそれぞれ包括して) いずれも性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項4号、同法附則2条
児童ポルノ製造の点(番号3、5、6の各所為は番号毎にそれぞれ包括して) いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項、2条3項1号
判示第2別表3番号1ないし11及び同第4別表4番号1ないし3の各所為のうち
不同意わいせつの点 いずれも刑法176条3項、1項、令和5年法律第66号附則3条
映像送信要求の点
別表3番号1、2、5ないし7、11及び別表4番号1(番号毎にそれぞれ包括して) いずれも刑法182条3項1号、2号、令和5年法律第66号附則3条
別表3番号3、4、8ないし10及び別表4番号2、3 いずれも刑法182条3項2号、令和5年法律第66号附則3条
児童ポルノ製造の点(番号毎にそれぞれ包括して) いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項3号
判示第3の所為のうち
不同意性交等の点 刑法177条3項、1項、令和5年法律第66号附則3条
映像送信要求の点 刑法182条3項2号、令和5年法律第66号附則3条
児童ポルノ製造の点 包括して児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項1号、3号
科刑上一罪の処理
判示第1の2別表2番号1ないし7について いずれも刑法54条1項前段、10条(1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから、1罪として犯情の重い各児童ポルノ製造罪の刑で処断)
判示第2別表3番号1ないし11及び同第4別表4番号1ないし3について いずれも刑法54条1項後段、10条(各映像送信要求と各不同意わいせつ及び各児童ポルノ製造との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので、結局以上を1罪として最も重い各不同意わいせつ罪の刑で処断)
判示第3について 刑法54条1項後段、10条(映像送信要求と不同意性交等及び児童ポルノ製造との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので、結局以上を1罪として最も重い不同意性交等罪の刑で処断)
刑種の選択
判示第1の2別表2番号1ないし7の各罪 いずれも懲役刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(刑及び犯情の最も重い判示第3の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
訴訟費用の不負担 刑訴法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 本件は、被告人が、実の娘である被害者(当時14歳ないし15歳)に対して行った不同意性交等8件(うち口腔性交7件〔判示第1の1〕、手指挿入1件〔判示第3〕)、口腔性交の際に行った性的姿態等撮影・児童ポルノ製造7件(判示第1の2)、被害者に自慰行為の動画を撮影・送信させた不同意わいせつ・映像送信要求・児童ポルノ製造14件(判示第2及び同第4)、手指挿入に関し行った映像送信要求・児童ポルノ製造1件(判示第3)からなる事案である。

性的虐待の父親、懲役16年 実の娘に、千葉地裁
2025.05.21 共同通信
 14~15歳だった実の娘に性的虐待をしたとして、不同意性交や映像送信要求の罪に問われた父親に、千葉地裁は21日、懲役16年(求刑懲役20年)の判決を言い渡した。
 判決理由で鎌倉正和裁判長は、被告が交流サイト(SNS)で身分を隠して娘に接触し、約9カ月にわたり、不利な情報を拡散すると脅迫して性的な行為をし、その様子を撮影させたと指摘。娘は自殺まで考えたとして「被害者の性的自由や自己決定権を踏みにじり、極めて卑劣かつ執拗だ」と非難した。

r5の刑法改正をまたいで13歳未満の者に裸体を送信させた行為(強制わいせつ罪(176条後段)・不同意わいせつ罪(176条3項)+児童ポルノ製造)について罪数処理も変化させた裁判例(某支部R6.6.4)

r5の刑法改正をまたいで13歳未満の者に裸体を送信させた行為(強制わいせつ罪(176条後段)・不同意わいせつ罪(176条3項)+児童ポルノ製造)について罪数処理も変化させた裁判例(某支部R6.6.4)
 令和5(2023)年7月13日施行でしたかね。
 映像送信要求罪と他の罪が牽連犯になって科刑上一罪になるのかな
 迷ったら併合罪にしとけ

R5.7.3の行為(A7歳)
第1 強制わいせつ罪(176条後段)
第2 児童ポルノ製造罪(7条4項


R5.9.18の行為(B8歳)
第1 16歳未満の者に対する映像送信要求罪・不同意わいせつ罪(176条3項)
第2 児童ポルノ製造罪(7条4項


R5.8.3の行為(c13歳)
16歳未満の者に対する映像送信要求罪・不同意わいせつ罪(176条3項)・児童ポルノ製造罪(7条4項


R5.8.4の行為(c13歳)
16歳未満の者に対する映像送信要求罪・不同意わいせつ罪(176条3項)・児童ポルノ製造罪(7条4項

法令の適用
刑法176後段
児童ポルノ・児童買春7条4項 2条3項3号 刑法182条3項2号 176条3項 1項
刑法54条1項後段 10条
刑法45条前段 47条 10条
刑法25条1項

着替え盗撮は、被害者100人くらいでも執行猶予になっている。

着替え盗撮は、被害者100人くらいでも執行猶予になっている。
 文献・裁判例がそうなっています。

(ひそかに製造罪創設前の児童ポルノ法について)
「盗撮された児童は、盗撮の事実に気付かず何ら特別の性的行為を強いられ、あるいは促されるわけではないから、直ちに性的虐待を受けたものとはいえないし、提供目的を欠く場合、盗撮の結果が児童の心身に悪影響を及ばす危険が具体化しているともいえない」(島戸純「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律」について(警察学論集57巻08号P97))

判例タイムズ1432号53頁
特別法を巡る諸問題[大阪刑事実務研究会]
児童ポルノ法(製造罪, 罪数)
武田正大阪地方裁判所判事
池田知史大阪地方裁判所判事
57)なお,平成26年改正により犯罪化された, ひそかに児童の姿態を描写する行為(盗撮による製造)においては,被害児童ごとの法益侵害を観念できるが,被害児童に対する直接の働きかけはないほか,衣服をつけない場所に来る不特定の被害児童を描写することも多いと予想される。この点,街頭募金詐欺について包括一罪と解することができるとした事例では,不特定多数人に対して一括して,適宜の日,場所で,連日のように, 同一内容の定型的な働きかけをする態様で,かつ, l個の意思,企図に基づき継続的に行ったこと,被害者は名前も告げないし,現金は直ちに混和して特定性を失うことから包括評価が是認できるとされ(最決平成22年3月17日刑集64巻2号lll頁), その補足意見において,被害者及び被害法益の特定性が希薄であるときに無理に特定して別々に扱うべきではないとしており,多数の被害者に対する一括性(没個性性)や匿名性,被害者及び法益侵害の特定性の希薄さを考慮要素に挙げていることが参考となろう。

 これは法令適用にも現れていて、横浜地裁r05では、1名1名特定する必要があるという主張が排斥されて、1回の製造罪が(被害者数を考慮せず)単純一罪とされています

横浜地裁r05.12.6
2〔1〕判示第1の1~5について
(1)〔ア〕訴因不特定との主張について
 弁護人は、児童ポルノ製造罪は個人法益に関する罪であり、個人の実在性、年齢、児童ポルノ該当性が訴因において特定されなければならず、判示第1の1~5において「18歳に満たない」「女子生徒71名」等としか記載されていないのは、訴因が特定されておらず刑訴法256条3項に反すると主張する。
 しかし、判示第1の1~5はいずれも、被告人が勤務する小学校内で行われた同校の女子児童に対する盗撮であることを示し、健康診断、着替えなどと撮影の状況も付した上で、犯行時刻、犯行場所を特定していることなどからすれば、審判対象は明確であり、被告人の防御に支障を生じさせるおそれもないから、訴因は特定されているといえる。
(法令の適用)
罰条
第1の1ないし5
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)7条5項、同条2項、2条3項3号

被害者176人の事案

さいたま地方裁判所H28.10.25宣告
事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反
被告人を懲役2年に処する。
この判決が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。
(量刑の理由))
本件は、3回にわたる、いずれも中学校内において女子生徒らの検診ないし着替えを動画で盗撮し、児童ポルノを製造した事案である、被告人は上記学校に勤務する立場を悪用してその機会を狙って小型カメラを仕掛け、多数の児童を盗撮したものであって、その犯行態様は計画的で相当に悪質なものである。

被害者150人くらい

提供 TKC
【文献番号】 25596585
【文献種別】 判決/横浜地方裁判所(第一審)
【裁判年月日】 令和 5年12月 6日
【事件名】 強制わいせつ、建造物侵入、栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、窃盗被告事件
【事案の概要】 小学校教師であった被告人が、勤務先の小学校の女子児童に対して行った、強制わいせつ1件、窃盗1件並びに盗撮による児童ポルノ製造5件及び建造物侵入、迷惑防止条例違反1件の各犯行につき、懲役4年を求刑された事案において、被告人の責任は重いといわざるを得ないが、被告人が反省の弁を述べ、既に児童に関わる仕事からは離れていること、前科のないこと、被告人の罹患するADHDの本件各犯行への影響について否定まではできず、被告人が治療を受け続けると述べていることなどを考慮し、懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年間を言い渡した事例。
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 小泉満理子
【全文容量】 約12Kバイト(A4印刷:約8枚)
【文献番号】25596585
 上記の者に対する強制わいせつ、建造物侵入、栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、窃盗被告事件について、当裁判所は、検察官地引彩乃並びに弁護人小松圭介(主任)、奥村徹及び彦坂幸伸出席の上審理し、次のとおり判決する。
       主   文
被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中120日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
その猶予の期間中保護観察に付する。
訴訟費用は被告人の負担とする。

「「情を知って」、盗撮された画像や動画をダウンロードしていた場合、撮影罪(6条)が成立します。法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。」という弁護士の解説

「「情を知って」、盗撮された画像や動画をダウンロードしていた場合、撮影罪(6条)が成立します。法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。」という弁護士の解説

https://news.yahoo.co.jp/articles/bd5ea5c1ef4923df92760bbf2d1541df5587105d
─グループチャットに参加している人は罪に問われないのでしょうか?
もしも「情を知って」、盗撮された画像や動画をダウンロードしていた場合、撮影罪(6条)が成立します。法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

情を知ってというのは6条1項のことだと思われますが、これは
「性的姿態等影像送信」といって、生中継を録画した場合の罪です。今回は、生中継事案ではないので、間違っています。

(性的姿態等影像記録)
第六条
1 情を知って、前条第一項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像を記録した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
・・・
法務省逐条説明
第5条(性的姿態等影像送信)
【説明】
1 趣旨
本条は、性的な姿態の影像の影像送信行為(例えば、インターネット上のライブストリーミングによる配信行為)が不特定又は多数の者に対してなされた場合には、性的な姿態が不特定又は多数の者に見られるという重大な事態を生じさせる危険が現実化し、不特定又は多数の者に対する性的影像記録の提供行為や公然陳列行為と同様の法益侵害を生じることからこれを処罰するものである注1
また、影像送信の対象となった影像を更に不特定又は多数の者に対して転送する行為がなされた場合にも、同様の法益侵害が生じることから、情を知って、不特定又は多数の者に対して、本条第1項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像を影像送信する行為も処罰することとしている

○第6条(性的姿態等影像記録)
【説明】
1 趣旨
本条は、影像送信行為によって影像送信をされた影像を記録する行為がなされれば、視覚的情報が記録されて固定化され、性的姿態等撮影罪と同様に、自己の性的な姿態が他の機会に他人に見られる危険が生じ、ひいては、不特定又は多数の者に見られるという重大な事態が生じる危険があることから、これを処罰するものである(注1 。)
また、性的姿態等撮影罪と同様、性的姿態等影像記録罪についても、その未遂を処罰することとしている(注2 。)
2 法定刑
性的姿態等影像記録罪の法定刑については、
○記録行為は、影像送信をされた影像を記録して固定化し、新たに被害者の性的な姿態の影像の記録を生じさせるものであり、その法益侵害の程度は、性的姿態等撮影罪と同等のものと考えられること
○影像送信行為の被害者が児童である場合には、当該影像送信行為の対象となった影像を記録する行為について、ひそかに児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する罪(児童買春等処罰法第7条第5項)が成立し得るところ、その法定刑が「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」であることとのバランスを考える必要があることから、性的姿態等撮影罪と同じ「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」としている。


一旦撮影された画像については「性的影像記録」といって、取得行為は、4条で「提供・陳列」目的を持って保管した場合のみが処罰されていて「情を知って」いただけでは処罰されない。盗撮画像を情を知って所持していても処罰されない。

(性的影像記録提供等)
第三条 性的影像記録(前条第一項各号に掲げる行為若しくは第六条第一項の行為により生成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録又は当該記録の全部若しくは一部(対象性的姿態等(前条第一項第四号に掲げる行為により生成された電磁的記録その他の記録又は第五条第一項第四号に掲げる行為により同項第一号に規定する影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録その他の記録にあっては、性的姿態等)の影像が記録された部分に限る。)を複写したものをいう。以下同じ。)を提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2 性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(性的影像記録保管)
第四条 前条の行為をする目的で、性的影像記録を保管した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。

・・・
法務省逐条説明
第4条(性的影像記録保管)
【説明】
1 趣旨
本条は、提供又は公然陳列の目的で性的影像記録を保管する行為は、将来的に提供又は公然陳列を行う意図の下に、性的影像記録を保管するものであり、保護法益を侵害することから、これを処罰するものである。
2 法定刑
性的影像記録保管罪は、性的影像記録の提供や公然陳列の前段階の行為を処罰対象とするものであり、それらの行為と比較すると法益侵害の程度が小さいと考えられることから、その法定刑は、特定かつ少数の者に対する性的影像記録提供罪よりやや低いものとして「2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金」と、している

2025/06/29 20:23
修正されましたが、
ダウンロードは犯罪という記載になっています。
児童の下着姿ということなので、後日児童が特定された時点で、児童ポルノ罪(提供目的製造罪等)が適用されて、参加者は単純所持罪(7条1項)等で検挙される可能性があります。

●画像をダウンロードしていたら罪に問われる
──今回の事件で盗撮した画像を共有していた人はどんな罪に問われますか?

撮影罪だけでなく、送信罪にも該当する可能性があります。撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、送信罪は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科です

ちなみに単にグループチャットに参加していただけの人は、今回の事件において撮影罪に該当しないと思われますが、確実に捜査対象になり、場合によっては関係先として家宅捜索の可能性もありえるところです。

映像送信要求・不同意わいせつ罪・児童ポルノ製造・性的姿態撮影罪は観念的競合(神戸地裁r7.1.15)

 判示20
 映像送信要求罪は要求時点で既遂。性的姿態撮影罪も撮影時点で既遂というピンポイントの罪と、不同意わいせつ・児童ポルノ製造というある程度の継続性がある行為とで、観念的競合になるのかな
 これだと、「要求→撮影させ→送信させ」までが要求行為・性的姿態撮影罪・わいせつ行為になっていることになる。性的姿態撮影罪は撮影させまでなのでおかしい。

第20<令和6年7月29日付け> 
Lが16歳未満の者であり、かつ、自らがLの生まれた日より5年以上前の日に生まれた者であることを知りながら、わいせつの目的で、別表10-1記載のとおり、令和6年5月26日午後7時25分頃から同日午後8時44分頃までの間、兵庫県内において、Lに対し、自己のスマートフォンを使用してアプリケーションソフト「H」のメッセージ機能を利用して別表10-1記載の各メッセージを送信し、いずれもその頃、Lにこれらを閲読させ、性的な部位を露出した姿態をとってその映像を送信することを要求し、
別表10-2記載のとおり、同日午後8時2分頃から同日午後8時46分頃までの間、〈12〉の場所に所在するL方において、Lに、自己の性器等を露出した姿態をとらせ、これをLの撮影機能付きスマートフォンで撮影させた上、同日午後8時41分頃から同日午後8時46分頃までの間、それらの静止画データ3点を前記「H」を使用して、Lのスマートフォンから前記被告人のスマートフォンに送信させ、もって16歳未満の者に対し、性的な部位を露出した姿態をとってその映像を送信することを要求し、わいせつな行為をするとともに性的姿態等を撮影する行為をし、
さらに、その頃、日本国内において、前記静止画データ3点を前記被告人のスマートフォンの内蔵記録装置に記録して保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。

 判示15の3号ポルノ製造については、性器等を露出したという具体的記載がないので理由不備。「全裸で被告人と性交する姿態」とか書かないと3号の要件を満たさない。1号2号+3号という起訴の場合は要チェック。

第15<令和6年1月30日付け第4> Fが、18歳に満たない児童であることを知りながら、別表7記載のとおり、令和4年9月25日午後2時18分頃から同日午後5時46分頃までの間、〈9〉の場所において、
Fに、被告人と性交する姿態、被告人の陰茎を口淫及び手淫する姿態をとらせ、
これらを被告人のスマートフォンで動画又は静止画で撮影し、それらの動画又は静止画の各データ20点を同スマートフォン本体の内蔵記録装置に記録して保存し、
もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
を視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。

判例ID】
28331819
【裁判年月日等】
令和7年1月15日/神戸地方裁判所/第4刑事部/判決/令和5年(わ)1080号/令和5年(わ)1156号/令和6年(わ)43号/令和6年(わ)59号/令和6年(わ)152号/令和6年(わ)311号/令和6年(わ)577号/令和6年(わ)729号/令和6年(わ)847号
【事件名】
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、青少年愛護条例(昭和38年兵庫県条例第17号)違反、16歳未満の者に対する映像送信要求、不同意性交等、不同意わいせつ、性的姿態等撮影、強制性交等被告事件
【裁判結果】
有罪
【裁判官】
丸田顕 酒井英臣 加藤明日美
【出典】
D1-Law.com判例体系

罪となるべき事実

第15<令和6年1月30日付け第4> Fが、18歳に満たない児童であることを知りながら、別表7記載のとおり、令和4年9月25日午後2時18分頃から同日午後5時46分頃までの間、〈9〉の場所において、Fに、被告人と性交する姿態、被告人の陰茎を口淫及び手淫する姿態をとらせ、これらを被告人のスマートフォンで動画又は静止画で撮影し、それらの動画又は静止画の各データ20点を同スマートフォン本体の内蔵記録装置に記録して保存し、もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。


第20<令和6年7月29日付け> Lが16歳未満の者であり、かつ、自らがLの生まれた日より5年以上前の日に生まれた者であることを知りながら、わいせつの目的で、別表10-1記載のとおり、令和6年5月26日午後7時25分頃から同日午後8時44分頃までの間、兵庫県内において、Lに対し、自己のスマートフォンを使用してアプリケーションソフト「H」のメッセージ機能を利用して別表10-1記載の各メッセージを送信し、いずれもその頃、Lにこれらを閲読させ、性的な部位を露出した姿態をとってその映像を送信することを要求し、別表10-2記載のとおり、同日午後8時2分頃から同日午後8時46分頃までの間、〈12〉の場所に所在するL方において、Lに、自己の性器等を露出した姿態をとらせ、これをLの撮影機能付きスマートフォンで撮影させた上、同日午後8時41分頃から同日午後8時46分頃までの間、それらの静止画データ3点を前記「H」を使用して、Lのスマートフォンから前記被告人のスマートフォンに送信させ、もって16歳未満の者に対し、性的な部位を露出した姿態をとってその映像を送信することを要求し、わいせつな行為をするとともに性的姿態等を撮影する行為をし、さらに、その頃、日本国内において、前記静止画データ3点を前記被告人のスマートフォンの内蔵記録装置に記録して保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。


 罰条
  犯罪事実第20
  16歳未満の者に対する映像送信要求の点
  刑法182条3項2号、令和5年法律第66号附則3条
  不同意わいせつの点 刑法176条3項、1項、令和5年法律第66号附則3条
  性的姿態等撮影の点 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項4号、1号イ、附則2条
  児童ポルノ製造の点 児童ポルノ等規制法7条4項、2項、2条3項3号

 科刑上一罪の処理 刑法54条1項前段、10条(犯罪事実第20につき1罪として最も重い不同意わいせつ罪の刑で処断)

盗撮事件が発生した学校の、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律上の義務

盗撮事件が発生した学校の、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律上の義務
 施行されたら、前科者も居ないし、初犯対策も取られるので安全だというのです。

 事件があった学校はこういう措置を講じる義務がある。

(児童対象性暴力等が疑われる場合等に講ずべき措置)
第七条 学校設置者等は、教員等による児童対象性暴力等が行われた疑いがあると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、その事実の有無及び内容について調査を行わなければならない。
2 学校設置者等は、児童等が教員等による児童対象性暴力等を受けたと認めるときは、内閣府令で定めるところにより、当該児童等の保護及び支援のための措置を講じなければならない。

 初犯の予防策は5条1項なんだが、「児童等との面談その他」を実施すると初犯は予防できる。

(児童対象性暴力等を把握するための措置)
第五条 学校設置者等は、児童等との面談その他の教員等による児童対象性暴力等が行われるおそれがないかどうかを早期に把握するための措置として内閣府令で定めるものを実施しなければならない。

学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律
(学校設置者等及び民間教育保育等事業者の責務等)
第三条 学校設置者等及び民間教育保育等事業者は、児童等に対して教育、保育等の役務を提供する事業を行う立場にあるものであり、児童等に対して当該役務を提供する業務を行う教員等及び教育保育等従事者による児童対象性暴力等の防止に努め、仮に児童対象性暴力等が行われた場合には児童等を適切に保護する責務を有する。
2 国は、学校設置者等及び民間教育保育等事業者が前項に定める責務を確実に果たすことができるようにするため、必要な情報の提供、制度の整備その他の施策を実施しなければならない。
第二章 学校設置者等が講ずべき措置等
(犯罪事実確認義務等)
第四条 学校設置者等は、教員等としてその本来の業務に従事させようとする者(施行時現職者(この法律の施行の際現に存在し又は行われている学校等又は児童福祉事業についてこの法律の施行の際現に教員等としてその本来の業務に従事させている者及びこの法律の施行の日(以下この項及び第三項において「施行日」という。)の前日までに当該業務に従事させることを決定していた者であって施行日後に当該業務に従事させるものをいう。同項において同じ。)を除く。次項において同じ。)について、当該業務を行わせるまでに、第三十三条第一項に規定する犯罪事実確認書(以下この章及び次章において「犯罪事実確認書」という。)による特定性犯罪事実該当者であるか否かの確認(以下「犯罪事実確認」という。)を行わなければならない。
2 学校設置者等は、教員等に急な欠員を生じた場合その他のやむを得ない事情として内閣府令で定めるものにより、教員等としてその本来の業務に従事させようとする者について当該業務を行わせるまでに犯罪事実確認を行ういとまがない場合であって、直ちにその者に当該業務を行わせなければ学校等又は児童福祉事業の運営に著しい支障が生ずるときは、前項の規定にかかわらず、その者の犯罪事実確認は、その者を当該業務に従事させた日から六月以内で政令で定める期間内に行うことができる。ただし、学校設置者等は、犯罪事実確認を行うまでの間は、その者を特定性犯罪事実該当者とみなして必要な措置を講じなければならない。
3 学校設置者等は、施行時現職者については、施行日から起算して三年以内で政令で定める期間を経過する日までに、その全ての者(施行日から当該政令で定める期間を経過する日までの間に当該業務に従事しなくなった者を除く。)について、犯罪事実確認を行わなければならない。
4 学校設置者等は、この条の規定による犯罪事実確認を行った教員等をその者の直近の犯罪事実確認書に記載された確認日(第三十四条第二項に規定する確認日をいう。)の翌日から起算して五年を経過する日の属する年度の末日を超えて引き続き教員等としてその本来の業務に従事させるときは、当該年度の初日から末日までの間に、改めて、その者について、犯罪事実確認を行わなければならない。
(児童対象性暴力等を把握するための措置)
第五条 学校設置者等は、児童等との面談その他の教員等による児童対象性暴力等が行われるおそれがないかどうかを早期に把握するための措置として内閣府令で定めるものを実施しなければならない。
2 学校設置者等は、教員等による児童対象性暴力等に関して児童等が容易に相談を行うことができるようにするために必要な措置として内閣府令で定めるものを実施しなければならない。
(犯罪事実確認の結果等を踏まえて講ずべき措置)
第六条 学校設置者等は、第四条の規定による犯罪事実確認に係る者について、その犯罪事実確認の結果、前条第一項の措置により把握した状況、同条第二項の児童等からの相談の内容その他の事情を踏まえ、その者による児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めるときは、その者を教員等としてその本来の業務に従事させないことその他の児童対象性暴力等を防止するために必要な措置を講じなければならない。
(児童対象性暴力等が疑われる場合等に講ずべき措置)
第七条 学校設置者等は、教員等による児童対象性暴力等が行われた疑いがあると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、その事実の有無及び内容について調査を行わなければならない。
2 学校設置者等は、児童等が教員等による児童対象性暴力等を受けたと認めるときは、内閣府令で定めるところにより、当該児童等の保護及び支援のための措置を講じなければならない。
(研修の実施)
第八条 学校設置者等は、児童対象性暴力等の防止に対する関心を高めるとともに、そのために取り組むべき事項に関する理解を深めるための研修を教員等に受講させなければならない。
附 則 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第四条及び第五条の規定は、公布の日から施行する。