児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

元生徒との淫行について真剣交際の主張をした事例(懲戒免職処分取消請求事件熊本地方裁判所令和4年10月19日)

元生徒との淫行について真剣交際の主張をした事例(懲戒免職処分取消請求事件熊本地方裁判所令和4年10月19日)
 青少年は、警察で淫行の事実を供述したり嘆願書を書いたりしていますが、警察の取調に応じなければ捜査はそれで終わったと思います。「私からも真剣交際だって説明するから」といって取調に応じると、淫行の事実関係を聞かれて、交際状況を聞かれないことがよくあります。

熊本地方裁判所
令和3年(行ウ)第2号 懲戒免職処分取消請求事件(以下「第1事件」という。)
令和3年(行ウ)第13号 退職手当支給制限処分取消請求事件(以下「第2事件」という。)
令和4年10月19日民事第2部判決
       主   文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
       事実及び理由

第1 請求の趣旨
1 第1事件
 熊本県教育委員会が、原告に対し、令和元年9月3日付けで行った懲戒免職処分を取り消す。
2 第2事件
 熊本県教育委員会が、原告に対し、令和元年9月3日付けで行った退職手当支給制限処分を取り消す。
第2 事案の概要
 本件は、原告が、教員として熊本県立八代高等学校(以下「本件高校」という。)に勤務していたところ、本件高校に在籍していた女子生徒(以下「本件生徒」という。)と性行為等を行ったことなどを理由として、熊本県教育委員会から、懲戒免職処分(以下「本件処分1」という。)及び退職手当支給制限処分(以下「本件処分2」といい、本件処分1と併せて「本件各処分」という。)を受けたことについて、本件各処分にはいずれも裁量権の逸脱濫用があるなどと主張して、本件処分1の取消し(第1事件)及び本件処分2の取消し(第2事件)をそれぞれ求める取消訴訟である。
1 関係法令、熊本県職員等退職手当支給条例(以下「本件条例」という。)、熊本県教育委員会における懲戒処分の指針(以下「本件指針」という。)及び退職手当の支給制限等の運用(以下「本件運用」という。)について
 別紙2関係法令等の定めのとおり
2 前提事実(当事者間に争いがないか後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)
(1)原告及び本件生徒について
ア 原告は、平成11年4月1日に熊本県の公立学校職員として採用され(争いなし)、平成21年4月から平成31年3月までは本件高校において、平成31年4月から令和元年9月3日までは熊本県立東稜高等学校(以下「東稜高校」という。)において、いずれも教員として勤務しており(弁論の全趣旨)、本件各処分がなされた令和元年9月3日当時の年齢は43歳である(弁論の全趣旨)。原告は、本件高校に勤務して本件生徒との関わり合いが生じた平成30年ないし平成31年当時、妻子を有していたが(争いなし)、令和元年7月4日に離婚した(乙10の2・8頁)。
 なお、現在、原告は、姓を変更し、関東の会社で勤務している(原告本人・20頁)。
イ 本件生徒は、原告が平成30年及び平成31年に本件高校で勤務していた際に、本件高校に在籍していた当時16歳(高校1年生)の女子生徒であり(弁論の全趣旨)、原告の担当していた生物の授業を受講していた(争いなし)。
 なお、本件口頭弁論の終結時において、本件生徒と原告は交際関係を解消しており、別々に暮らしている(原告本人・12、13、19、20頁)。
(2)本件各処分に至るまでの経緯
ア 教職員による申合せ事項及び原告による署名押印
 熊本県教育長は、各県立学校の校長等に対し、教職員による児童生徒に対するわいせつ行為等を防止するため、平成31年3月14日付け教人第1702号通知(以下「1702号通知」という。)を発出した。熊本県教育長は、1702号通知において、児童生徒に対するわいせつ行為等に対する処分の事案のほとんどは、教職員が児童生徒とSNS等でつながり、私的なやり取りを始めたことが発端になっているため、教職員に対し、「児童(生徒)との連絡における教職員の適切な対応に関する申し合わせ事項」と題する別紙様式に従い、〔1〕児童(生徒)との私的なメール等のやり取りを行わないこと、〔2〕業務上、児童(生徒)とメール等を通じて直接的な連絡等が必要な場合は、校長に申請し、保護者の承認を得ることを内容とした申合せ(以下「本件申合せ」という。)を同様式に教職員が署名及び押印をして書面で行うとともに、本件申合せに反する事実等が明らかになった場合には、懲戒処分等による厳正な対処もあり得ることを確認することを求めた。(乙1)
 原告は、本件高校(平成30年度)及び東稜高校(平成31年度)において、本件申合せ所定の様式の書面にそれぞれ署名及び押印をした(乙2、3)。
イ 原告と本件生徒との関わり合いの契機
 原告は、平成30年4月、熊本県八代市内で行われていたイベントの会場に部活動の引率者として部員の生徒に赴いた際、同会場を訪れていた本件生徒と会話をしたことをきっかけとして、本件高校内でも会話をするようになった。本件生徒は、同年の1学期頃、日頃から原告に対して「好き。」、「結婚して。」等の言葉を発しており、肩を叩く、腕を組むといったスキンシップを自ら行っていた。原告は、同年11月頃から、本件生徒に対し、異性としての魅力を感じるようになっていった。(争いなし)
ウ 原告と本件生徒との私的な付き合いの開始
 原告は、緊急連絡先として、担任をしているクラスや部活動の生徒に自身の電話番号を教えていたところ、同年12月頃から、原告の携帯電話に本件生徒からのメールが届くようになり、メールでのやり取りをするようになった。同メールには、キスなどの性的な内容も含まれていた。(争いなし)
 原告は、本件生徒からメールでデートに連れて行くように求められていたところ、同月29日、自家用車で本件生徒と二人で八代宮に出かけ、30分程度話しながら散歩した。その後、原告は、本件生徒を自宅まで送迎したが、本件生徒から「もう終わり?」と言われたため、30分から1時間程度の間、インターネットカフェ・漫画喫茶に二人で滞在した。帰り際、原告は本件生徒に対してキスをしようとしたが、拒否された。(争いなし)
 また、本件生徒は、平成31年1月10日以前から不登校気味であったが、同日、スクールソーシャルワーカーと面談するために登校し、面談後、原告に対して登校したことを報告するために生物準備室を訪れた。その際、原告は、本件生徒に対してキスをしようとしたが、拒否された。(争いなし)
エ 本件高校による原告への厳重注意等
 本件生徒の担任が同月16日に本件生徒宅に家庭訪問をしたところ、本件生徒から「原告と付き合っている。」という趣旨の発言があったため(乙14・4頁)、本件高校の副校長は、原告に対し、同月28日、事実確認を行った。原告は、本件生徒とメール等でやり取りしていたこと、八代宮等に本件生徒と二人で行ったこと、本件生徒にキスをしようとしたが拒否されたことなどを認め、同月30日付けで、本件高校の校長宛てに、顛末書(以下「本件顛末書〔1〕」という。)を提出した(本件顛末書〔1〕については乙12、その余は争いなし)。
 本件高校側は、同年2月7日、事実確認を受けて本件生徒の保護者に対して説明及び謝罪をしたが、その際、本件生徒の保護者が原告の同席を望まなかったため、原告は同席しなかった(争いなし)。
 本件高校の校長は、原告に対し、同月8日、本件生徒の保護者に本件高校側から説明及び謝罪したことを伝え、原告に厳重注意をするとともに、本件生徒とは連絡を取らないように指導した(争いなし)。以後、原告は、同年3月末まで本件生徒からのメール等に返信をしなかったが(争いなし)、本件生徒は今までと変わらず、原告が在室していた生物準備室等に訪れていた(弁論の全趣旨)。
オ 原告と本件生徒とが性的関係をもった経緯
 原告は、定期異動で東稜高校への転勤が決まったところ、同年3月末、上記転勤の事実を知った本件生徒から、原告に対して電話があったため、原告はその電話に応じた。また、原告と本件生徒は、同年4月頃、メール等でのやり取りを再開し、そのやり取りの中で、互いに好きだという気持ちを確認し、将来のことも話すようになった。さらに、原告は、本件生徒と二人で、令和元年5月6日、午後3時頃から2時間程度、インターネットカフェ・漫画喫茶に出かけ、本件生徒に化学を教えるなどした。(争いなし)
 原告は、同月13日、本件生徒と二人で会い、人目を気にしないでいい場所はないかという話になった際に、本件生徒が「ホテルは?」と言ったため、当初は躊躇したものの、本件生徒と二人でホテルへ行き、2時間程度滞在する中で、本件生徒と抱き合ったり、キスをしたりした。また、原告と本件生徒は、翌14日も、午後7時頃からホテルへ二人で向かい、1時間程度滞在し、抱き合ったりキスをしたりした。(争いなし)
 また、原告と本件生徒は、同月19日、二人で会ったところ、本件生徒が原告に対して性行為をしたいと述べたため、原告は、性行為をする目的で本件生徒とホテルに行き、ホテルに入室後、性行為に及んだ。原告と本件生徒は、同ホテルに3時間程度滞在した後、同ホテルの近くにあるゲームセンターに二人で入店し、午後4時頃まで約1時間ゲームをした。(争いなし)
 さらに、原告と本件生徒は、同年6月8日又は9日の午後、性交為をする目的でホテルに行き、同ホテルに3時間滞在し、性行為に及んだ(争いなし)。
カ 所属校による原告への聞き取り〔1〕
 本件生徒の担当教員(担任)は、本件生徒の母親からの相談を受けたため、同月18日、本件生徒との面談を実施したところ、原告と本件生徒が交際していることが発覚し、翌19日には、本件生徒が、本件生徒の担任に対し、原告と性的関係があったことを話した(乙15・1、2頁)。
 本件高校の校長は、本件生徒の担任からの報告を受け、原告の当時の所属校である東稜高校に対して、原告への事実確認の依頼を行ったため、東稜高校の校長、副校長及び教頭は、同月20日、原告に対する聞き取りを実施したところ、原告は、今年度になってから本件生徒とメール等のやり取りはしていないし、会ってもいない旨の申告を行った(原告に対する聞き取りがあったこと及びその際原告が述べた申告内容については争いがなく、その余は乙9・1頁)。
キ 原告が熊本県八代警察署へ出頭した経緯等
 本件生徒の母親は、同月21日、本件生徒の担任らと熊本県八代警察署を訪れて今後の対応について相談、協議をした(乙15・4頁)。原告は、同月25日、本件生徒宅を訪ね、本件生徒の母親に対し、今回の件で大変迷惑をかけていること、財産分与が片付けば妻とは別れる予定であること、本件生徒とは真剣な交際であり、本件生徒が望めば結婚を考えていること、本件生徒が本件高校を卒業するまでは会わないこと、今年度末には教職を辞するつもりであること、本件生徒とは性的な関係はないことを述べた。その後、原告は、自ら、熊本県八代警察署へ赴き、本件の事情を説明したが、本件生徒との性行為は否定した。(争いなし)
ク 所属校による原告への聞き取り〔2〕
 東稜高校の校長及び副校長が、同月26日に原告からの聞き取りを実施したところ、原告は、同月20日の聞き取りで虚偽の報告をしていたことを謝罪し、令和元年度に入ってから本件生徒と連絡を取っていたこと及び本件生徒と会っていたことは認めたが、本件生徒と性行為をしたことは認めなかった(争いなし)。
ケ 所属校による原告への聞き取り〔3〕
 原告は、同年7月12日、東稜高校の校長、副校長及び教頭からの聞き取りを受けた際、本件生徒とそれまでに2回の性行為があったことを認め、同月16日、東稜高校の校長宛てに、顛末書(以下「本件顛末書〔2〕」という。)を提出した(本件顛末書〔2〕については乙13、その余は争いなし)。
コ 処分行政庁の担当者による聞き取り
 原告は、同月30日及び同年8月1日、熊本県庁において、処分行政庁の担当者であるA(以下「証人A」という。)らによる聞き取りを受け、本件における原告の行為について再度確認を受けた(争いなし)。
(3)原告への刑事処分等について
 原告は、同年○月○日、熊本県青少年保護育成条例違反の容疑で逮捕され、かかる事実が、原告の氏名及び所属高校名と共に、B新聞、C新聞及びD新聞で報道されたものの、同月7日付けで本件生徒からの嘆願書が提出されるなどし、同月12日、原告は処分保留で釈放され、同月19日、熊本地方検察庁の検察官は、原告を不起訴処分とした(新聞報道については乙4、嘆願書については甲5、その余は争いなし)。

(4)本件各処分について
ア 本件処分1
 熊本県教育委員会は、原告に対し、令和元年9月3日、地方公務員法29条1項各号の規定により懲戒処分として免職する処分を行った(本件処分1。甲1)。本件処分1に関する処分事由説明書(以下「本件処分1事由説明書」という。)には、要旨、〔1〕原告が、平成30年12月及び平成31年1月、本件生徒に対しキスをしようとし、また、令和元年5月から同年6月にかけて、本件生徒と二人でホテルに4回行き、うち2回は本件生徒と抱き合ったりキスをしたりし、うち2回は性行為をしたものであり(以下「本件行為〔1〕」という。)、このことは地方公務員法33条に違反する極めて重大な信用失墜行為であったこと、〔2〕また、原告は、本件行為〔1〕を行っていたにもかかわらず、東稜高校管理職に対して本件生徒との関係を否定するなどの虚偽の報告をしたこと(以下「本件行為〔2〕」という。)、〔3〕さらに、本件高校において、同高校の管理職から禁止されていた本件生徒との連絡を継続していたこと(以下「本件行為〔3〕」という。)は、1702号通知における申合せ事項に違反した行為であって、職務命令に背く行為であり、これらのことは、教員に要求される高度の倫理に反し、熊本県教育に対する社会の期待と信頼を著しく裏切ったものであり、全体の奉仕者としてふさわしくない非行であった、との理由が記載されていた。これらのほかに、審査請求及び取消訴訟の教示が記載されている。(甲2)
 令和△年△月△日、本件処分1が行われたことが、B新聞、C新聞、E新聞、D新聞及びF新聞で報道され、これに加えて、C新聞においては原告の氏名及びその所属校名が、D新聞においては原告の氏名がそれぞれ報道された(乙5)。

児童福祉法60条4項の「児童を使用する者」「過失がないとき」

児童福祉法60条4項の「児童を使用する者」「過失がないとき」
 戸籍謄本を確認しろと言ってみたり、戸籍謄本を軽信してはいけないと言ってみたり

児童福祉法第六〇条[禁止行為違反罪]
① 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
②第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
③第三十四条第二項の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
④児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

①東京高裁h7.5.31*1
裁判年月日 平成 7年 5月31日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平7(う)219号
事件名 児童福祉法違反被告事件
上訴等 上告〈上告棄却〉 文献番号 1995WLJPCA05310009
 ところで、児童福祉法六〇条三項の「児童を使用する者」とは、当該児童との間に継続的な雇用関係ないし身分関係にある者に限られず、広く当該児童との間に、社会通念上その年齢確認を義務づけることが相当として是認されるだけの継続的な支配従属関係があると認められる者、いいかえると、その者が当該児童に心理的ないし経済的な影響を及ぼすことにより当該児童の意思決定を左右しうる立場にあると認められるような関係を有する者も含まれると解すべきである。

②東京高裁s40.1.19*2
そして、法が使用者にこのような義務と責任を課したのは、その者が児童と密接な社会的関係にあつて当該児童の健全なる育成を担うに相応しい地位を有するからにほかならない。従つて前記条項にいわゆる「児童を使用する者」とは、これを必らずしも児童と継続的雇傭関係にある者のみに限定すべきではないけれども、少なくとも、児童に前記法禁行為をさせぬよう特にその年令の確認を義務づけることが社会通念上相当と認められる程度の密接な結びつきを当該児童との間に有する者に限定すべきであつて、所論のように、これを広く「児童の行為を利用し得る地位にある者」一般、殊に児童との社会的関係が比較的薄い者にまで拡張することは相当でない。

③大阪高裁S31.2.21*3
裁判年月日 昭和31年 2月21日 裁判所名 大阪高裁 裁判区分 判決
事件番号 昭30(う)1339号
事件名 児童福祉法違反被告事件
文献番号 1956WLJPCA02210009
 児童福祉法第六十条第三項は、児童と特別の身分関係ある者に児童の年齢を知るべき義務を負わせる趣旨であるから、同項にいわゆる「児童を使用する者」というのは、児童と雇傭契約関係にある者に限らず、児童との身分的若しくは組織的関連において児童の行為を利用し得る地位にある者を指称すると解するべきである。しかして、被告人と本件児童との関係は、前記の証拠により、被告人が児童との間の身分的組織的関係において児童の行為を利用し得る地位にあつたと認めるべきであるから、被告人は同項にいわゆる児童を使用する者に当るのである。そして、所論のように、被告人において同女が十八才未満の児童であることを知らなかつたとしても、児童を使用する者は、自ら戸籍謄抄本、住民登録又は米穀配給通帳等の公信力ある書面の参照その他通常可能な調査方法によつて児童の年齢を確認するべき注意義務を負うているにかかわらず、前記の証拠により、被告人が仲介者の言明を軽信して何らの調査をしなかつたことが明らかであるから、被告人は右児童の年齢を知らなかつたことについて過失があると言わなければならない。原判決が被告人に対し児童福祉法第三十四条第一項第六号、第六十条第一項、第三項を適用処断したのは正当であつて、記録を精査しても原判決には所論のような違法はないから、論旨は理由がない。
 よつて、刑事訴訟法第三百九十六条により主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 松本圭三 判事 山崎薫 判事 辻彦一)

児童福祉法
判年月日 昭和34年 5月11日 裁判所名 最高裁第二小法廷 裁判区分 判決
事件番号 昭33(あ)3523号
文献番号 1959WLJPCA05110011
出典
裁判集刑 129号753頁
理  由
 しかし、所論引用の各判例は、児童福祉法六〇条三項但書にいわゆる児童の年齢を知らないことにつき過失がないというためには、単に児童本人の陳述または身体の発育状況等の外観的事情のみによつて年齢が満十八歳以上であると判断しただけでは不十分であつて、その外に客観的資料として、例えば戸籍抄本、食糧通帳もしくは父兄等について正確な調査を講じ以つて児童の年齢を確認する措置を採るべきである旨判示したもので、すなわち、児童雇入れに際し、右のような客観的資料が全然提供されていない場合における雇主の調査義務について判示したものである。
しかるに、本件原判決によれば、被告人は、原判示児童を接客婦として雇入れるに当り、その実家を訪問し、直接、本人およびその両親について調査したのではあるけれども、その際同人等の差し出した実は他人の戸籍抄本を、同人等の陳述のみによつてたやすく児童本人のものであると軽信したというのであつて、そして原判決は、かかる場合においては、児童又はその保護者において、その雇入を希望するの余り、他人の氏名を詐称して年齢を偽ること、殊に近頃のように年齢確認の資料として戸籍抄本が利用されるようになると他人の戸籍抄本を恰も児童本人のものであるかのように使用することも当然ありうることとして容易に想像できるから、このことをも考慮に入れて、先ずその差し出された戸籍抄本が児童本人のものであるか否かを確むべきであり、それが為には、単に児童およびその両親の一方的な陳述だけでたやすく軽信することなく、他の信頼すべき客観的資料に基づいて調査をなすべきであるのに、被告人はこれが調査を怠つているのであるから、いまだ児童福祉法六〇条三項但書にいわゆる年齢を知らないことにつき過失がない場合に該当しないと解するを相当とする趣旨を判示したものであつて、すなわち、原判決は、児童およびその両親が、児童本人の氏名を偽り他人の戸籍抄本を恰も本人のものの如く装つて提示した場合に関して、これを雇い入れんとする雇主の調査義務について判示したものである。従つて、所論引用の各判例と原判決とは、両者その事案を異にし、原判決は引用各判例になんら相反する判断を示していないこと明白であるから、所論判例違反の主張はその前提において失当である。のみならず、所論の実質は、被告人が本件児童の年齢を知らなかつたことにつき過失がないと解すべきに拘らず、過失があると解した原判決は、児童福祉法六〇条三項但書の解釈適用を誤つた違法があるとする単なる法令違反の主張(この点に関する原判決の判断は正当と認める。)に帰し、上告適法の理由に当らない。
 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)


大阪高等裁判所判決昭和46年11月16日
風俗営業等取締法七条三項但書に規定する年齢不知に関する過失の程度
刑事裁判資料229号413頁
       理   由
 年令に制限のある接客婦などを雇入れる場合において、その言葉や、前歴、容姿、態度あるいは紹介者の言葉だけでは人の正確な年令を知り得ないことはいうをまたないところであるうえ、接客婦として、雇傭されることを希望する者はその希望を遂げようとしてその紹介者は固より本人自身も恰も満一八歳以上であるかのように装い、その年令を偽り、雇主を欺くことの事例の多いことは証人Aの証言からも十分うかがわれるところであり、したがって、単に紹介者および本人の言葉や、容姿、態度、前歴等の外観的事情によってその者が満一八歳以上であると信じただけでは足らず、さらに客観的な資料として本人の戸籍謄・抄本あるいは住民票等について正確な調査をして、その者の年令を確認すべき注意義務があるのであって、右の確認措置を採らないかぎり、その者の年令を知らなかったことについて過失がなかったとはいえないものと解すべきが相当である。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e74558963089a3383c999c45eaeed8571736f6da
「Aさんは採用面接の際、20歳の友人から借りた健康保険証を提示したそうです。顔写真はついていませんでした。容疑者は『年齢確認を怠った責任は自分にある』と話す一方で、『(Aさんが)17歳の子どもだとは把握していなかった』と犯行を一部否認しています」(同前)

強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を観念的競合とする裁判例 令和5年4月12日現在

相変わらず観念的競合の判決が出ています。


1 名古屋 地裁 一宮 H17.10.13
2 東京 地裁 H18.3.24
3 東京 地裁 H19.2.1
4 東京 地裁 H19.6.21
5 横浜 地裁 H19.8.3
6 長野 地裁 H19.10.30
7 札幌 地裁 H19.11.7
8 東京 地裁 H19.12.3
9 高松 地裁 H19.12.10
10 山口 地裁 H20.1.22
11 福島 地裁 白河 H20.10.15
12 那覇 地裁 H20.10.27
13 金沢 地裁 H20.12.12
14 金沢 地裁 H21.1.20
15 那覇 地裁 H21.1.28
16 山口 地裁 H21.2.4
17 佐賀 地裁 唐津 H21.2.12
18 仙台 高裁 H21.3.3
19 那覇 地裁 沖縄 H21.5.20
20 千葉 地裁 H21.9.9
21 札幌 地裁 H21.9.18
22 名古屋 高裁 H22.3.4
23 松山 地裁 H22.3.30
24 那覇 地裁 沖縄 H22.5.13
25 さいたま 地裁 川越 H22.5.31
26 横浜 地裁 H22.7.30
27 福岡 地裁 飯塚 H22.8.5
28 高松 高裁 H22.9.7
29 高知 地裁 H22.9.14
30 水戸 地裁 H22.10.6
31 さいたま 地裁 越谷 H22.11.24
32 松山 地裁 大洲 H22.11.26
33 名古屋 地裁 H23.1.7
34 広島 地裁 H23.1.19
35 広島 高裁 H23.5.26
36 高松 地裁 H23.7.11
37 広島 高裁 H23.12.21
38 秋田 地裁 H23.12.26
39 横浜 地裁 川崎 H24.1.19
40 福岡 地裁 H24.3.2
41 横浜 地裁 H24.7.23
42 福岡 地裁 H24.11.9
43 松山 地裁 H25.3.6
44 横浜 地裁 H25.4.30
45 大阪 高裁 H25.6.21
46 横浜 地裁 H25.6.27
47 福島 地裁 いわき H26.1.15
48 松山 地裁 H26.1.22
49 福岡 地裁 H26.5.12
50 神戸 地裁 尼崎 H26.7.29
51 神戸 地裁 尼崎 H26.7.30
52 横浜 地裁 H26.9.1
53 津 地裁 H26.10.14
54 名古屋 地裁 H27.2.3
55 岡山 地裁 H27.2.16
56 長野 地裁 飯田 H27.6.19
57 横浜 地裁 H27.7.15
58 広島 地裁 福山 H27.10.14
59 千葉 地裁 松戸 H28.1.13
60 高松 地裁 H28.6.2
61 横浜 地裁 H28.7.20
62 名古屋 地裁 岡崎 H28.12.20
63 東京 地裁 H29.7.14
64 名古屋 地裁 一宮 H29.12.5
65 東京 高裁 H30.1.30
66 高松 高裁 H30.6.7
67 広島 地裁 H30.7.19
68 広島 地裁 H30.8.10
69 福岡 地裁 R2.3.3
70 京都 地裁 R3.2.3
71 福岡 地裁 R3.5.19
72 千葉 地裁 R3.5.28
73 神戸 地裁 尼崎 R3.7.5
74 大阪 高裁 R3.7.14
75 大阪 高裁 R4.1.20
76 東京 地裁 R4.8.30
77 札幌 地裁 R4.9.14
78 札幌 高裁 R5.1.19
79 大分 地裁 R5.2.20
80 奈良 地裁 葛城 R5.3.13
81 さいたま 地裁 川越 R5.3.20
82 東京 高裁 R5.3.30

「10代後半の少女に児童ポルノを要求して製造した」場合には、要求罪(青少年条例違反)は成立しないだろう。

 立法趣旨は共通で、製造罪が成立する場合には要求罪は吸収されてしまうでしょう。

富山県青少年健全育成条例
(児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第15条の3 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第18条の4において同じ。)その他の記録をいう。第24条第3項第11号において同じ。)の提供を行うように求めてはならない。

(平31条例11・追加)
第24条 
3 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(11) 第15条の3の規定に違反して、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めた者であつて、次のいずれかに該当するもの

ア 当該青少年に拒まれたにもかかわらず、当該提供を行うように求めた者

イ 当該青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は当該青少年に対し、対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該提供を行うように求めた者



【解説】
本条は、スマートフォンなどの急激な普及や、インターネット利用の低年齢化が進み、判断能力の未成熟な青少年が多くネット上で活動し始めたことを背景に、SNSに代表されるコミュニティサイトなどを通じて知り合った相手に、青少年自身の裸や下着姿を撮影させられた上、メールなどで送らされる被害、いわゆる「自画撮り被害」が社会問題視したことから、すべての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ又はその情報を記録した電磁的記録その他の記録の提供を求める行為を禁止するものである。これは、恋愛関係にある場合や冗談などであっても、児童ポルノなどのやりとりにより、インターネット上への画像の流出やリベンジポルノに繋がり、青少年を将来に渡って苦しめる要因となる危険性を否定できないためである。
また、本条の規定に違反して、青少年に対し、不当な方法により当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うよう求めた者は、30円万以下の罰金に処せられる。(→第24条
(罰則)第3項第11号参照)
これは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条の規定により、児童ポルノの電磁的記録の所持、保管、提供、製造などが禁止されており、自画撮り被害が生じた場合、加害者には製造罪が適用されるケースが多いが、未遂罪の規定がなく、自画撮り被害につながる働きかけ行為自体を処罰する規定がないことや、自画撮り被害につながる働きかけ行為自体が刑法第222条(脅迫罪)や、第223条(強要罪)の未遂に該当すれば罰せられるが、加害者が青少年の判断能力の未熟さにつけこむ方法で働きかけを行う場合、働きかけ行為自体がこれらに該当しないことが多いことから、その自画撮り被害につながる働きかけ行為自体を罰することで、青少年の画像提供の未然防止などを図るものである。
1 適用範囲
本規定は、刑法の属地主義により、構成要件該当事実の一部が富山県内で発生した場合に適用される。すなわち、要求を行う者又は要求を受ける者(青少年)のいずれかが富山県内に所在する場合に適用される。(関係判例参照)

https://www3.nhk.or.jp/lnews/k/nagano/20230411/1010026192.html
男性巡査が児童買春・ポルノ禁止法違反などの容疑で書類送検

長野県警の男性巡査が10代後半の少女の児童ポルノを製造したなどとして児童買春・ポルノ禁止法違反などの疑いで書類送検されていたことがわかりました。
この巡査は減給の懲戒処分を受け、依願退職しました。

警察によりますと、県内の警察署に勤務していた20代の男性巡査は、去年5月ごろから8月ごろまでの間に、18歳未満と知りながら10代後半の少女に児童ポルノを要求して製造したとして先月23日に児童買春・ポルノ禁止法違反と富山県青少年健全育成条例違反の疑いで書類送検されました。
巡査は書類送検された日に減給10パーセント、3か月の懲戒処分を受け、その日に依願退職したということです。

故意の青少年淫行罪で起訴されて、予備的に過失の青少年淫行罪を追加して無罪になった原判決が、検察官控訴されて、故意の青少年淫行罪を認定された事例

故意の青少年淫行罪で起訴されて、予備的に過失の青少年淫行罪を追加して無罪になった原判決が、検察官控訴されて、故意の青少年淫行罪を認定された事例

 過失処罰規定の問題点を挙げて論破できたと思ったんだけどな

《書 誌》
提供 TKC
【文献番号】 25594585
【文献種別】 判決/青森地方裁判所八戸支部(第一審)
【裁判年月日】 令和 4年 2月 2日
【事件番号】 令和3年(わ)第25号
【事件名】 青森県青少年健全育成条例違反(予備的訴因青森県青少年健全育成条例違反)被告事件
【審級関係】 控訴審 25594586
仙台高等裁判所 令和4年(う)第40号
令和 4年12月15日 判決
【裁判結果】 無罪
【上訴等】 控訴
【裁判官】 細包寛敏
【全文容量】 約7Kバイト(A4印刷:約5枚)

提供 TKC
【文献番号】 25594586
【文献種別】 判決/仙台高等裁判所控訴審
【裁判年月日】 令和 4年12月15日
【事件番号】 令和4年(う)第40号
【事件名】 青森県青少年健全育成条例違反(予備的訴因青森県青少年健全育成条例違反)被告事件
【審級関係】 第一審 25594585
青森地方裁判所八戸支部 令和3年(わ)第25号
令和 4年 2月 2日 判決
【裁判結果】 原判決破棄、有罪
【裁判官】 深沢茂之 梶直穂 鏡味薫
【全文容量】 約16Kバイト(A4印刷:約9枚)

不同意わいせつ罪等(解説が来れば補充予定)

https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00198.html
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律
(刑法の一部改正)
第一条刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
目次中「強制性交等」を「不同意性交等」に改める。
第三条第五号中「第百七十六条」の下に「、第百七十七条及び第百七十九条」を加え、「強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等」を「不同意わいせつ、不同意性交等」に、「強制わいせつ等致死傷)及び」を「不同意わいせつ等致死傷)並びに」に改め、同条第十四号中「強盗・強制性交等」を「強盗・不同意性交等」に改める。
第三条の二第一号中「第百七十六条」の下に「、第百七十七条及び第百七十九条」を加え、「強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等」を「不同意わいせつ、不同意性交等」に、「強制わいせつ等致死傷」を「不同意わいせつ等致死傷」に改め、同条第六号中「強盗・強制性交等」を「強盗・不同意性交等」に改める。
第二編第二十二章の章名中「強制性交等」を「不同意性交等」に改める。
第百七十六条から第百七十八条までを次のように改める。
(不同意わいせつ)
第百七十六条
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚が愕くさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。(不同意性交等)
第百七十七条前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、こ肛う門性交、口く腔う性交又はち膣つ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。第百七十八条削除
第百七十九条第一項中「第百七十六条」を「第百七十六条第一項」に改め、同条第二項中「第百七十七条」を「第百七十七条第一項」に改める。
第百八十条中「から前条まで」を「、第百七十七条及び前条」に改める。
第百八十一条の見出しを「(不同意わいせつ等致死傷)」に改め、同条第一項中「、第百七十八条第一項」を削り、同条第二項中「、第百七十八条第二項」を削る。第百八十三条を削り、第百八十二条を第百八十三条とし、第百八十一条の次に次の一条を加える。(十六歳未満の者に対する面会要求等)
第百八十二条わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。
二拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。
三金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。
2前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該十六歳未満の者と面会をした者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
3十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)を要求した者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。
二前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入し又は挿入される姿態、性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下この号において同じ。)を触り又は触られる姿態、性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信すること。
第二百四十一条の見出し中「強盗・強制性交等」を「強盗・不同意性交等」に改め、同条第一項中「強制性交等の罪(第百七十九条第二項の罪を除く。以下この項において同じ。)」を「第百七十七条の罪」に、「又は強制性交等」を「又は同条」に改める。

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律

https://www.moj.go.jp/content/001392302.pdf

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
目次
第一章総則(第一条)
第二章性的な姿態を撮影する行為等の処罰(第二条第七条)
第三章性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収(第八条)
第四章押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等
第一節通則(第九条)
第二節消去等の措置(第十条・第十一条)
第三節消去等の手続(第十二条第二十一条)
第四節消去等の実施等(第二十二条第二十五条)第五節不服申立て等(第二十六条第三十四条)第六節消去等に係る裁判手続の特例(第三十五条第三十八条)
第七節雑則(第三十九条第四十二条)
第八節罰則(第四十三条第四十五条)
附則
第一章総則
第一条この法律は、性的な姿態を撮影する行為、これにより生成された記録を提供する行為等を処罰するとともに、性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収を可能とし、あわせて、押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等の措置をすることによって、性的な姿態を撮影する行為等による被害の発生及び拡大を防止することを目的とする。
第二章性的な姿態を撮影する行為等の処罰
(性的姿態等撮影)
第二条次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為イ人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分ロイに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2前項の罪の未遂は、罰する。
3前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。
(性的影像記録提供等)
第三条性的影像記録(前条第一項各号に掲げる行為若しくは第六条第一項の行為により生成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録又は当該記録の全部若しくは一部(対象性的姿態等(前条第一項第四号に掲げる行為により生成された電磁的記録その他の記録又は第五条第一項第四号に掲げる行為により同項第一号に規定する影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録その他の記録にあっては、性的姿態等)の影像が記録された部分に限る。)を複写したものをいう。以下同じ。)を提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(性的影像記録保管)
第四条前条の行為をする目的で、性的影像記録を保管した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。
(性的姿態等影像送信)
第五条不特定又は多数の者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。次号及び第三号において同じ。)の影像送信(電気通信回線を通じて、影像を送ることをいう。以下同じ。)をする行為
二刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
三行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは不特定若しくは多数の者に送信されないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
四正当な理由がないのに、十三歳未満の者の性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。以下この号において同じ。)の影像送信をし、又は十三歳以上十六歳未満の者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、当該十三歳以上十六歳未満の者の性的姿態等の影像の影像送信をする行為-
2情を知って、不特定又は多数の者に対し、前項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影-像の影像送信をした者も、同項と同様とする。
3前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。
(性的姿態等影像記録)
第六条情を知って、前条第一項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像を記録した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2前項の罪の未遂は、罰する。
(国外犯)
第七条第二条から前条までの罪は、刑法第三条の例に従う。

第三章性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収
第八条次に掲げる物は、没収することができる。
一第二条第一項又は第六条第一項の罪の犯罪行為により生じた物を複写した物
二私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(平成二十六年法律第百二十六号)第三条第一項から第三項までの罪の犯罪行為を組成し、若しくは当該犯罪行為の用に供した私事性的画像記録(同法第二条第一項に規定する私事性的画像記録をいう。次条第一項第二号及び第十条第一項第一号ロにおいて同じ。)が記録されている物若しくはこれを複写した物又は当該犯罪行為を組成し、若しくは当該犯罪行為の用に供した私事性的画像記録物(同法第二条第二項に規定する私事性的画像記録物をいう。第十条第一項第一号ロにおいて同じ。)を複写した物
2前項の規定による没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。ただし、犯人
以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って保有するに至ったものであるときは、これを没収することができる。

自己性的目的所持罪・単純所持罪(7条1項)の取締方針

自己性的目的所持罪・単純所持罪(7条1項)の取締方針
 児ポ対ニュースなどから。

自己の性的好奇心を満たす目的による児童ポルノ所持罪の取締り方針
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第79号。以下「改正法j という。)により新設された「自己の性的好奇心を満たす目的」による児童ポルノ所持罪(第7条第1項)(以下「自己性的目的所持罪」 という。) の罰則が、本年7月15日から適用開始となります。
自己性的目的所持罪については、改正法案を審議した参議院法務委員会において、「児童を性的搾取及び性的虐待から守るという法律の趣旨を踏まえた運用を行うこと」、「第7条第1項の罪の適用に当たっては、同項には捜査権の濫用を防止する趣旨も含まれていることを十分に踏まえて対応すること」に政府は格段の配慮をすべきとの附帯決議がなされたことから、以下の方針に基づく適正な取締り及び関係部署への指示を徹底願います

1 基本方針
自己性的目的所持罪の取締りは、以下の基本方針に基づき行うこととする。
○児童を性的搾取・性的虐待から守るという法律の趣旨を踏まえた運用
 児童ポルノ禁止法第3条(適用上の注意)は、「この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」と規定している。また、参議院法務委員会でも、この規定と同趣旨の附帯決議がなされていることから、この基本原則に則り自己性的目的所持罪の罰則の適用に当たること。
○製造・提供罪等、より重い罰則の適用
児童ポルノの製造、提供、公然陳列等の事案については、自己性的目的所持罪ではなく、より重い本来の罰則を適用することを原則とする。

○客観的・外形的証拠に基づいた適正な取締りの徹底
自己性的目的所持罪は、「自己の性的好奇心を満たす目的」及び「自己の意思に基づき所持するに至った」ことを、できるだけ客観的・外形的証拠により立証することが必要とされていることから、被疑者の供述を裏付ける客観的・外形的証拠(所持態様・分量・内容、通信ログ・内容等)を確保すること。

警察庁少年課に対する事前協議の徹底
既述のとおり、自己性的目的所持罪については、参議院法務委員会において、捜査権の濫用を防止することについて格段の配慮をすべきとの附帯決議がなされるなど、本罪の適用は慎重に行わなければならない。こうしたことから、警察として全国的に斉一な取締りが実施されるよう、全ての事案について、平成26年6月25日付け少年課長通達「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に基づく取締りの報告について」に基づき、確実に警察庁少年課(福祉犯第三係)に事前報告を行い、協議すること

2 重点検挙対象事犯
児童を性的搾取・性的虐待から守るとしづ児童ポルノ禁止法の目的及び参議院法務委員会附帯決議を踏まえ、「児童に対する新たな性的搾取文は性的虐待の防止」又は「供給者側の犯行の抑止」に繋がる以下の事案を「重点検挙対象事犯」とする。
なお、以下に示す重点検挙対象事犯は、重点となる対象を示したものであり、重点対象であることの立証(を求めるものではない。また、重点検挙対象事犯に該当しない事案であっても、悪質なものについては、検挙対象となり得る(下記{自己性的目的所持罪取締り方針概念図】参照)。



※児童に対する新たな性的搾取又は性的虐待の防止
○年齢児童ポルノ愛好者の検挙
低年齢児童ポルノ愛好者による所持事犯
児童ポルノの製造を助長させる悪質な需要者の検挙
他人を煽るなどして,他人をして,新たに児童ポルノを製造させ,入手した事犯

※供給者側の犯行(複製・提供等)の抑止抑止
○常習的な児童ポルノ所持者の検挙
改正児童ポルノ禁止法施行日(H26.7.15)以降反復して有償で児童ポルノを入手している事犯


3 任意廃棄を含む注意警告の措置めるべき事案
○自己の性的好奇心を満たす目的が,所持の態様分量,所持している対象の内容等の客観的状況から推認できない場合は, 自己性的目的所持罪で検挙することなく,任意廃棄を含む注意・警告の措置に留める。
○どのような事案を警告等の措置に留めるべきかは,事案ごとに少年育成課と警察庁少年課との協議において判断する。


4自己性的目的所持罪での現行犯逮捕
自己性的目的所持罪は,客観的・外形的証拠により立証することが必要とされているため,現行犯逮捕できる場合は極めて限定的である。
ただし,逮捕時に以下の全ての要件を満たしている場合には, 例外的に現行犯逮捕も可能と解される。
なお,現行犯逮捕した場合は,少年育成課に速報すること。
①被疑者が自己性的目的所持罪を犯したことが明白
○「児童ポルノ該当性」が明白一児童ポルノ画像の被写体が特定され,又は医師の鑑定により児童と認定されている(警察官による予備年齢鑑定は行わない)。
○「自己の性的好奇心を満たす目的」が明白ー自己の性的好奇心を満たす目的が,客観的証拠(児童ポルノの内容,所持量、所持態様、閲覧履歴等)により明白
○「自ら所持するに至った者」であることが明白一自ら所持するに至った者であることが,客観的証拠により明白(ダウンロード・購入履歴等から,入手先・時期が特定されている。所持態様から,自ら所持する意思が明らか。)
②証拠隠滅・逃亡のおそれがある
被疑者が現に証拠隠滅や逃亡の素振りを見せたり,他の共犯者と通謀したり,犯行を否認している場合など,直ちに逮捕しなければ,証拠隠滅・逃亡のおそれがある。

着エロの児童ポルノ提供事件で、神奈川県警は提供犯を2022.5に逮捕して、2022.6には購入者約200人を特定して、購入者2名を単純所持で送検して、その後「昨年9~12月」に捜索して所持を現認した16人を送検したらしい。

 着エロの児童ポルノ提供事件で、神奈川県警は提供犯を2022.5に逮捕して、2022.6には購入者約200人を特定して、購入者2名を単純所持で送検して、その後「昨年9~12月」に捜索して所持を現認した16人を送検したらしい。
 なんか捜索されて「横須賀警察署に呼ばれた」という相談が多かったよ。
 捜索の時点で所持していなければ普通送検されないし、刑事処分にならない。
 

児童ポルノ販売、容疑者3人逮捕 1人は否認 /神奈川県
2022.05.12 朝日新聞
少年捜査課によると、3人は昨年7~9月、DVD販売サイトから購入を申し込んだ男性会社員(37)ら6人に、児童ポルノのDVD4枚などを1枚200~300円で販売した疑いがある。7年間で12万種類のDVDを販売し、約1億5千万円を売り上げたという。
 児童ポルノは2015~16年に県警が摘発したポルノ製造会社が販売していたもの。3人はどこからか入手し、大阪市西成区のマンションで複製を繰り返したという。昨年春、県警に情報提供があり、同10月に家宅捜索をして5万枚のDVDを押収。県警は購入者からも事情を聴いている。

児童ポルノを所持した疑い 男2人書類送検 /神奈川県
2022.06.03 朝日新聞
 小中学生の少女のわいせつな動画を所持したとして、県警は2日、横浜市磯子区の会社員(45)と東京都葛飾区の会社員(54)の男2人を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(所持)容疑で書類送検し、発表した。2人は容疑を認めているという。
 県警は大阪の児童ポルノ販売業者を同法違反(提供)容疑で摘発。捜査の過程で購入者約200人の住所と名前が書かれたリストを押収。今後、所持容疑で順次調べるという。
 少年捜査課によると、2人の送検容疑は昨年8月と11月、それぞれの自宅で、9~10歳児の小学生が極小の水着をつけてブリッジをしたり、12歳の中学1年生が両足を開脚したりするDVDを1枚ずつ所持したというもの。ネットで申し込み、1枚300円で購入。郵送で受けとったという。(土居恭子、村上潤治)

児童ポルノ所持、16人を書類送検 容疑、全員が認める 横須賀署 /神奈川県
2023.03.10 朝日新聞
 児童ポルノ動画を所持したとして横須賀署は9日までに栃木県の地方公務員(27)ら16人の男を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(自己性的目的所持)容疑で書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。製造業者は度々摘発されるが違法販売は後を絶たず、県警は全国の購入者を立件することで児童ポルノ愛好家らに警鐘を鳴らした形だ。
 書類送検されたのは秋田、埼玉、福岡など10都府県の27~60歳の会社員ら。2015~16年製造の極端に小さな布を着けた少女の映像を昨年9~12月に所持した疑いがある。全員容疑を認めているという。
 DVDは「着エロ」と呼ばれるセミヌードで、内容を知らされず出演させられた少女もいた。県警は大阪市で21年に複製・販売した男3人を昨年、同法違反(提供)容疑などで逮捕し、購入者を特定した。

単純所持罪容疑で捜索差押を受けて、単純所持罪+準強制わいせつ罪・準強制性交で起訴された事例

単純所持罪容疑で捜索差押を受けて、単純所持罪+準強制わいせつ罪・準強制性交で起訴された事例
というより、R2.9ころのわいせつ事件が疑われたので、r4.6.1に単純所持罪容疑で捜索したんだろうなあ。画像がないと立証難しい。

準強制わいせつ、準強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
津地方裁判所
令和4年12月15日刑事部判決
       理   由
【罪となるべき事実】
 被告人は、
第1 障害者福祉施設に勤務していたものであるが、同施設の利用者であるA及びB(各氏名は別紙記載のとおり。以下同じ。)が知的障害のため心神喪失の状態であることに乗じて
1 Aにわいせつな行為をしようと考え、令和2年9月10日頃、京都府内又はその周辺において、A(当時29歳)に対し、その下半身の着衣を脱がせた上、Aの陰部を手で触るなどし、もってAの心神喪失状態に乗じて、わいせつな行為をし
2 Bと口腔性交をしようと考え、別表記載のとおり、同年9月19日頃から令和3年6月5日頃までの間、5回にわたり、同府内のグループホーム(名称及び場所は別紙記載のとおり。以下同じ。)ほか2か所において、B(当時17歳ないし18歳)に自己の陰茎を口淫させ、もってBの心神喪失状態に乗じて口腔性交をし
第2 自己の性的好奇心を満たす目的で、令和4年6月1日、京都府京田辺市α××番地の×被告人方において、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ1点を記録した児童ポルノである携帯電話機1台及びハードディスク2台を所持した。
【法令の適用】
罰条
判示第1の1の行為 刑法178条1項、176条前段
判示第1の2の別表1ないし5の各行為
いずれも刑法178条2項、177条前段
判示第2の行為 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条1項前段、2条3項3号
刑種の選択 判示第2の罪につき、懲役刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(最も重い判示第1の2の準強制性交等罪の刑(判示第1の2の別表記載の各犯行に犯情の軽重の差は認められないので特定しない)に法定の加重)
未決勾留日数算入 刑法21条
訴訟費用の処理 刑事訴訟法181条1項ただし書(負担させない)
 なお、弁護人は、準強制わいせつ及び準強制性交等の各犯行について、被告人に自首が成立すると主張している。
 しかしながら、被告人の取調べを担当した捜査官は、「児童ポルノ所持の嫌疑で被告人方の捜索差押えを行った際、被告人の携帯電話機から女性の裸の写真を発見し、被告人に確認したところ、被告人はその女性はAであると述べた。任意同行の上、児童ポルノ所持の嫌疑で取調べ中、別の捜査官が同携帯電話機に口腔性交の画像等があることを発見したため、被告人に確認したところ、被告人は、Bに口腔性交をさせたことは認めたが、Bの同意があると思っていたと弁解した。Bに対する準強制性交等の嫌疑で被告人を逮捕した後、携帯電話機のデータからAに対する判示第1の1のわいせつ行為の画像を発見し、被告人に確認したところ、被告人は覚えていないなどと述べた。」旨証言しているところ、同証言内容は、本件発覚の経緯として自然で、その内容に不合理な点は見当たらないし、被告人の捜査段階における供述経過とも整合しており、十分信用することができる。 
 他方、被告人は、警察署に任意同行された後、児童ポルノ所持の嫌疑で取調べを受けている途中で、Aの裸の画像を撮ったり、Bに口腔性交させてそれを撮影したりしたことを警察官に申告したなどと供述している。しかし、被告人の供述する申告経緯はいささか唐突の感を免れない上、逮捕当初、Bに対する準強制性交等の罪責を否認する趣旨の供述をしていたこと(乙16)も踏まえると、Bに対する口腔性交を自ら申告したという被告人供述は信用できない。
 そして、信用できる上記捜査官供述によれば、上記いずれの犯行についても、捜査機関に発覚する前に犯罪事実を自ら申告したとは認められず、弁護人の上記主張は採用できない。
【量刑の理由】
 本件は、障害者福祉施設に勤務していた被告人が、同施設の女性利用者2名に対し、同利用者らが知的障害のため心神喪失状態であることに乗じて、利用者1名に対しては合計5回にわたり口腔性交をし、もう1名の利用者に対しては、わいせつな行為をしたという準強制性交等及び準強制わいせつと、児童ポルノ所持からなる事案である。
令和4年12月15日
津地方裁判所刑事部
裁判長裁判官 畑山靖 裁判官 大嶋真理子 裁判官 中野彩華

「女子中学生の裸をSNSのビデオ通話機能を使ってタブレットに表示し、ひそかに保存する行為」をひそかに製造罪で罰金(鳥取簡裁r5.3.2)にしたような報道

「女子中学生の裸をSNSのビデオ通話機能を使ってタブレットに表示し、ひそかに保存する行為」をひそかに製造罪で罰金(鳥取簡裁r5.3.2)にしたような報道
 
 逮捕罪名はひそかに製造罪でしたが、姿態をとらせて製造罪しか成立しません。
 

https://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/20230302/4040014445.html
この教諭はおととし11月と12月、ビデオ通話を使って連絡を取った女子中学生に服を脱がせ、その様子を撮影し、画像や動画を保存したとして、児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されました。
この教諭は2日、鳥取区検察庁から児童ポルノ禁止法違反の罪で略式起訴され、鳥取簡易裁判所から罰金50万円の略式命令を受けました。

小学校教諭を児童ポルノ製造疑いで再逮捕、容疑否認 /鳥取県
2022.12.09 朝日新聞
 署によると、容疑者は昨年11月14日、18歳未満と知りながら、女子中学生の裸をSNSのビデオ通話機能を使ってタブレットに表示し、ひそかに保存するなどした疑いがある。中学生とは面識があったという。
・・・・
小学教諭を再逮捕 児童ポルノ製造容疑=鳥取
2022.12.08  読売新聞
 琴浦大山署は7日、容疑者を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで再逮捕した。
 発表では、容疑者は昨年11月、SNSのビデオ通話機能を利用して、女子中学生に裸体を露出した姿にさせ、ひそかにタブレット端末の画像データを保存し、同年12月にもSNSを通じて同じ女子中学生に裸体を露出した姿にさせ、ひそかに画面を携帯電話で動画撮影した疑い。
・・・・
小学校の教諭 鑑定留置終了 わいせつ疑いなど=鳥取
2023.02.25  読売新聞
地検は24日、女子中学生の体を触るわいせつな行為をしたなどとして、強制わいせつ容疑と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)容疑で送検された容疑者の鑑定留置が同日終了したと明らかにした。
鑑定結果を踏まえ、勾留期限の3月2日までに刑事処分を判断する。

被告人が児童に性器接触等して姿態を取らせて撮影した行為を、ひそかに製造罪とした事例(奈良地裁R4.10.20)

被告人が児童に性器接触等して姿態を取らせて撮影した行為を、ひそかに製造罪とした事例(奈良地裁R4.10.20)
 確定したのを確認しています。
 犯人が姿態をとらせた場合はひそかに製造罪は適用されないという大阪高裁R5.1.24(奈良地裁r04.7.14)を前提にすると、ひそかに製造罪は全滅(法令適用の誤り+訴訟手続の法令違反)と思われます。
 大阪高裁R5の控訴趣意書はr4.10.1に提出されていて、それがこの問題を公式に指摘した最初の書面になります。奈良の検察官は訴因変更で修正する機会がありました。

阪高裁r05.1.24
同法7条5項の規定する児童ポルノのひそかに製造行為とは、隠しカメラの設置など描写の対象となる児童に知られることがないような態様による盗撮の手段で児童ポルノを製造する行為を指すと解されるが、同項が「前2項に規定するもののほか」と規定していることや同条項の改正経緯に照らせば、児童が就寝中等の事情により撮影の事実を認識していなくても、行為者が姿態をとらせた場合には、姿態をとらせ製造罪(同条4項)が成立し、ひそかに製造罪(同条5項)は適用されないと解される。

判例番号】 L07751098
       準強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
【事件番号】 奈良地方裁判所判決/令和4年(わ)第9号、令和4年(わ)第42号、令和4年(わ)第95号、令和4年(わ)第134号、令和4年(わ)第166号
【判決日付】 令和4年10月20日
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載

       主   文

 被告人を懲役2年8月に処する。
 未決勾留日数中190日をその刑に算入する。

       理   由

 【罪となるべき事実】
 被告人は、
第1 A(当時13歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、令和2年3月6日、奈良市(住所省略)被告人方において、ひそかに、スマートフォンを用いて同児童の陰部等を露出した姿態及び被告人が同児童の陰部を直接手で触る姿態を動画として撮影し、同日頃、前記被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録して保存し、もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
第2 B(当時17歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、令和2年3月12日、前記被告人方において、ひそかに、スマートフォンを用いて同児童の陰部等を露出した姿態及び被告人が同児童の陰部を直接手で触る姿態を動画として撮影し、同日頃、前記被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録して保存し、もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
第3 C(当時15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、令和2年3月31日、前記被告人方において、ひそかに、同児童の陰部等を露出した姿態及び被告人が同児童の陰部を直接手で触る姿態を、被告人がスマートフォンで動画撮影し、同日頃、前記被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録・保存し、もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
第4 D(当時14歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、令和2年8月18日、前記被告人方において、ひそかに、スマートフォンを用いて同児童の陰部等を露出した姿態及び被告人が同児童の陰部を直接手で触る姿態を動画として撮影し、同日頃、前記被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録して保存し、もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
第5 E(当時15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、令和3年4月4日、前記被告人方において、ひそかに、スマートフォンを用いて同児童の陰部等を露出した姿態を動画として撮影し、同日頃、前記被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録して保存し、もってひそかに衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
第6 F(当時15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、令和3年4月29日、前記被告人方において、ひそかに、スマートフォンを用いて同児童の陰部等を露出した姿態及び被告人が同児童の陰部を直接手で触る姿態を動画として撮影し、同日頃、前記被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録して保存し、もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
第7 G(当時14歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、令和3年7月29日、前記被告人方において、ひそかに、スマートフォンを用いて同児童の陰部等を露出した姿態及び被告人が同児童の陰部を直接手で触る姿態を動画として撮影し、同日頃、前記被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録して保存し、もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
第8 H(当時17歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、令和3年11月14日、前記被告人方において、ひそかに、同児童の陰部等を露出した姿態及び被告人が同児童の陰部を直接手で触る姿態を、被告人がスマートフォンで動画撮影し、同日頃、前記被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録・保存し、もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
第9 スイミングスクールの元教え子であるI(当時17歳)に対し、アロママッサージを装ってわいせつな行為をしようと考え、令和3年12月29日午後2時3分頃から同日午後3時38分頃までの間、前記被告人方において、前記Iがアロママッサージを受けるものと誤信して抗拒不能にあるのに乗じ、パンツの上からその陰茎を触るなどした上、さらに、被告人からわいせつな行為をされたことに気付き困惑、狼狽等により引き続き抗拒不能に陥っていた前記Iに対し、パンツをずらして露出させた同人の陰茎を手指で触るなどし、もってわいせつな行為をした
第10 前記I(当時17歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、令和3年12月29日、前記被告人方において、ひそかに、同児童の陰部等を露出した姿態及び被告人が同児童の陰部を直接手で触る姿態を、被告人がスマートフォンで動画撮影し、同日頃、前記被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録・保存し、もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
ものである。
 【量刑の理由】
(求刑 懲役4年)
  令和4年10月20日
    奈良地方裁判所刑事部
           裁判官  石川理紗

追記 2023/03/02
 刑事確定訴訟記録法で閲覧して法令適用を確認しました。
 7条2項を挙げないと、法定刑が決まりません。

(証拠の標目)
 省略
(法令の適用)
罰条
 判示第1ないし第4、第6ないし第8、第10の行為、いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項2号、3号 (※7条2項が欠けている)
判示第5の行為 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項3号(※7条2項が欠けている)
刑種の選択
 判示第1ないし第8、第10の行為、いずれも懲役刑
併合罪加重 刑法45条前段、47条本文、10条(最も重い判示第9の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数算入 刑法21条
訴訟費用の不負担 刑訴法181条1項但し書き

性犯罪・福祉犯罪について一部執行猶予とした事例

 常習事案で見かけるようになりました。
量刑理由は

なお、本件事案の性質、被告人の同種事案の犯罪性向、被告人の現時点での更正意欲に関する言動などに照らすと、施設内処遇の終了後、社会内においても相当程度の期間公的な機関の指導監督の下で生活することが再犯防止に資するものと考えられ、被告人に対しては、施設内処遇に引き続き社会内処遇を行うことが必要かつ相当であると認められるから、保護観察に付した上で刑の一部の執行を猶予することが相当であると判断した

になりますので、これにみあう情状立証が必要になります。


裁判所 審級 支部 判決日 罪名
静岡 地裁 沼津 H28.10.19 強制わいせつ罪
神戸 地裁 H29.11.2 児童淫行罪・児童ポルノ製造罪
福岡 地裁 H29.11.24 児童ポルノ・公然わいせつ
名古屋 地裁 H30.5.29 強制わいせつ罪
宇都宮 地裁 H30.6.27 迷惑条例違反・児童ポルノ
名古屋 地裁 H30.12.25 準強制わいせつ罪・窃視罪
仙台 地裁 古川 H31.3.20 青少年条例違反・児童ポルノ製造
静岡 地裁 沼津 H31.4.16 強制わいせつ罪・児童ポルノ製造罪・窃盗罪
前橋 地裁 高崎 R1.5.29 強制わいせつ罪・器物損壊
福島 地裁 R1.8.15 強制わいせつ罪
山形 地裁 R1.10.21 準強制わいせつ罪・窃視罪
東京 地裁 R2.7.13 強制わいせつ罪
福岡 地裁 小倉 R2.8.27 児童買春罪・児童ポルノ製造罪
東京 地裁 R2.11.30 準強制わいせつ罪・窃視罪
静岡 地裁 浜松 R2.12.17 強制わいせつ罪
東京 地裁 R3.3.11 強制わいせつ罪

1/2のわいせつ目的誘拐で1/24に逮捕して、1/上旬の青少年条例違反(淫行・わいせつ)+児童ポルノ製造で2/13に再逮捕した事例(静岡県警)

1/2のわいせつ目的誘拐で1/24に逮捕して、1/上旬の青少年条例違反(淫行・わいせつ)+児童ポルノ製造で2/13に再逮捕した事例(静岡県警)
 わいせつ目的誘拐の「わいせつ」というのは、青少年淫行罪・わいせつ罪だと思われますが、

  わいせつ誘拐と青少年条例違反は牽連犯
  わいせつ誘拐と製造罪は牽連犯
  青少年条例違反と製造罪は観念的競合
という裁判例があるから、科刑上一罪の再逮捕になりますね。




https://news.yahoo.co.jp/articles/d253bd845bc4958dc2c948ffb3ecefc5fd27c991
SNSで知り合った女子中学生を静岡県から愛媛県まで連れ去ったか わいせつ目的誘拐の疑いで25歳男を逮捕 静岡県
1/25(水) 10:32配信
静岡朝日テレビ
 静岡県東部地区に住む女子中学生を、わいせつ目的で愛媛県内まで誘拐したとして、25歳の男が逮捕されました。
 わいせつ目的誘拐の疑いで逮捕された愛媛県八幡浜市の25歳の会社員の男は1月2日から3日にかけて、静岡県東部地区に住む女子中学生をわいせつ目的で誘拐し、愛媛県内まで車で連れ去った疑いが持たれています。
 2日、女子中学生の家族から「子どもが帰ってこない」と警察に相談があり、事件が発覚しました。その後、女子中学生は警察に保護されました。
 警察によりますと、2人はSNSで知り合い、会うのはこの日が初めてだったということです。
 警察は、男の認否を明らかにせず、動機などを調べています。

わいせつ目的で女子中学生を誘拐したとして逮捕した愛媛県の男・みだらな行為をしたうえスマホで撮影したとして再逮捕 静岡・富士警察署
https://news.yahoo.co.jp/articles/359829e34835d9e6f95aa1fefc73ce6db3a19c37

静岡県東部地区に住む女子中学生をわいせつ目的で誘拐したとして逮捕された愛媛県の25歳の男が、みだらな行為をしたなどとして再逮捕されました。

 静岡県青少年環境整備条例違反と児童ポルノ禁止法違反の疑いで再逮捕されたのは、愛媛県八幡浜市の会社員の男(25)です。

 男は1月上旬、静岡市内で県東部の女子中学生に対し18歳未満と知りながらみだらな行為をしたうえ、スマートフォンで撮影した疑いが持たれています。

 警察によりますと1月2日、女子中学生の家族から「子どもが帰って来ない」と警察に相談があり、事件が発覚。

 男は女子中学生をわいせつ目的で誘拐し、愛媛県まで車で連れ去ったとして逮捕されていました。

 警察は男が容疑を認めているかどうか明らかにしていませんが、2人はSNSで知り合ったということで、警察が詳しい経緯を調べています。

弟による実姉に対する強制わいせつ(那覇地裁R04.10.14)

量刑としては普通。

那覇地方裁判所令和04年10月14日
検察官 和田采女
主文
被告人を懲役1年6月に処する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予し、被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。

罪となるべき事実の要旨
  起訴状に記載された公訴事実と同一であるから、これを引用する。
適用した罰条
  刑法176条前段、25条1項、25条の2第1項前段、刑事訴訟法181条1項ただし書
量刑の理由
  被告人は、実家の風呂場で、帰省中の実妹の抵抗を排してその陰部を触ったものであり、性的自由の侵害の程度が大きい。しかも、被告人が認めるところを前提にしても、本件は一回きりの過ちとは到底いえず、実妹に対する根深い性的関心が顕れた事案といわざるを得ない。被告人は、以上のような犯情に見合った処罰を免れない。
  その上で、その他の情状について検討すると、被告人は公訴事実を認めて同人なりに反省の弁を述べており、母も助力を誓約している。また、犯罪歴も見当たらない。これらの事情を考慮して、刑の執行を猶予する。なお、対人関係に安定性を欠き、性犯罪被害者の心情理解が不十分である被告人については、性犯罪防止プログラムを含む専門家指導が必要かつ相当と考えられるため、猶予の期間中、被告人を保護観察に付する。
(求刑 懲役1月6月)
刑事第1部
 (裁判官 小野裕信)
令和4年検第11133号
  起訴状
  令和4年8月15日
 那覇地方裁判所 殿
  那覇地方検察庁
  検察官検事 和田采女
 下記被告事件につき公訴を提起する。
   記
 本籍 ●●●
 住居 ●●●
 職業 会社員
  勾留中求令状 ●●●
  平成5年(以下略)生
  公訴事実
 被告人は、実妹である●●●に強いてわいせつな行為をしようと考え、令和4年7月25日午前8時3分頃、●●●被告人方風呂場において、同女(当時22歳)に対し、その両腕を両手でつかんで揉み合いの末転倒させる暴行を加えた上、左手で同女の陰部を直接触り、もって強いてわいせつな行為をしたものである。
  罪名及び罰条
  強制わいせつ 刑法第176条前段