児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

送信させる強制わいせつ罪。「リモート強制わいせつ」というそうですが、東京高裁H28.2.19によれば強要罪になります。

 「リモート強制わいせつ」というそうですが、東京高裁H28.2.19によれば強要罪になります。
 東京高裁は、強要罪説。岡山支部1件、金沢支部2件、大阪高裁2件も強要罪説。強制わいせつ罪説は屁理屈として退けられています。
 大阪高裁に、令和になってから、強制わいせつ罪の判例が2件あります。強要罪説が屁理屈扱いされています。
 頭の固い検察官にあたると起訴罪名は強要罪に落ちます。
 わいせつの定義が失われているので、否定も肯定も説明が難しいですが、性的意図で撮影させたという立証が必要になるでしょう。

https://www.yomiuri.co.jp/local/shiga/news/20220916-OYTNT50232/
SNSで知り合った男性にスマホで下半身を見せるよう要求したとして、県警捜査1課などは16日、兵庫県明石市の大学生の男(20)を強制わいせつ未遂容疑で逮捕したと発表した。性的欲求を満たすため、遠隔でわいせつな行為を強要したり、画像を送らせたりするのは「リモート強制わいせつ」と呼ばれ、この件での県警の検挙は初めてとなる。
 発表によると、男は19歳の時、女性になりすましてSNSで知り合った県内の会社員男性(25)から下半身の画像を入手し、5月2~15日に男性のスマホにその画像を送信。「(ネットに)さらしていい?」などと脅し、男性の下半身をビデオ通話で見せるように要求した疑い。容疑を認めているという。
 わいせつな画像などを要求する行為に対し、県警は今回、強要などより罪の重い強制わいせつ容疑の適用に踏み切った。捜査1課は「(リモート強制わいせつについて)携帯などで相手の羞恥心を害する行為を強要したら罪に問われる。SNS上のやりとりは十分に気を付けて」と呼びかけている。


「被害者に対し,その名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して同女を畏怖させ,同女をして,その乳房,性器等を撮影させるという,強制わいせつ罪の構成要件の一部となり得る事実を含むものの,その成立に必要な性的意図は含まれておらず,さらに,撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させるという,それ自体はわいせつな行為に当たらない行為までを含んだものとして構成されており,強要罪に該当する事実とみるほかないものである。」という東京高裁の判例によれば、送信させてしまうとわいせつ行為にはなりません。


裁判年月日 平成28年 2月19日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平27(う)1766号
事件名 強要,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
裁判結果 控訴棄却 上訴等 上告 文献番号 2016WLJPCA02197003

要旨 / 新判例体系
強要罪と平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
裁判経過
第一審 平成27年 8月25日 新潟地裁高田支部 判決 平27(わ)35号
出典
東高刑時報 67巻1頁
判タ 1432号134頁 
参照条文
裁判官
藤井敏明、 福士利博、 山田裕文



理由

 弁護人奥村徹の控訴趣意は,訴訟手続の法令違反,法令適用の誤り及び量刑不当の主張であり,検察官の答弁は,控訴趣意にはいずれも理由がない,というものである。
 1 法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反の主張について
 論旨は,要するに,原判決が強要罪に該当するとして認定した事実は,それだけでも強制わいせつ罪を構成するから,強要罪が成立することはないにもかかわらず,これを強要罪であるとして刑法223条を適用して有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり,また,原判決が平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項の罪(以下「3項製造罪」という。)に該当するとして認定した事実も,実質的には強制わいせつ罪に当たり,以上の実質的に強制わいせつ罪に該当する各事実について,告訴がないまま起訴することは,親告罪の趣旨を潜脱し,違法であるから,公訴棄却とすべきであるのに,実体判断を行った原審には,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある,というものであると解される。
 (1)強要罪が成立しないとの主張について
 記録によれば,原判決は,公訴事実と同旨の事実を認定したが,その要旨は,被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら,同女に対し,要求に応じなければその名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して,乳房,性器等を撮影してその画像データをインターネットアプリケーション「LINE」を使用して送信するよう要求し,畏怖した被害者にその撮影をさせた上,「LINE」を使用して画像データの送信をさせ,被告人使用の携帯電話機でこれを受信・記録し,もって被害者に義務のないことを行わせるとともに,児童ポルノを製造した,というものである。
 すなわち,原判決が認定した事実には,被害者に対し,その名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して同女を畏怖させ,同女をして,その乳房,性器等を撮影させるという,強制わいせつ罪の構成要件の一部となり得る事実を含むものの,その成立に必要な性的意図は含まれておらず,さらに,撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させるという,それ自体はわいせつな行為に当たらない行為までを含んだものとして構成されており,強要罪に該当する事実とみるほかないものである。
 弁護人は,①被害者(女子児童)の裸の写真を撮る場合,わいせつな意図で行われるのが通常であるから,格別に性的意図が記されていなくても,その要件に欠けるところはない,②原判決は,量刑の理由の部分で性的意図を認定している,③被害者をして撮影させた乳房,性器等の画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させる行為もわいせつな行為に当たる,などと主張する。
 しかしながら,①については,本件起訴状に記載された罪名及び罰条の記載が強制わいせつ罪を示すものでないことに加え,公訴事実に性的意図を示す記載もないことからすれば,本件において,強制わいせつ罪に該当する事実が起訴されていないのは明らかであるところ,原審においても,その限りで事実を認定しているのであるから,その認定に係る事実は,性的意図を含むものとはいえない。
 また,②については,量刑の理由は,犯罪事実の認定ではなく,弁護人の主張は失当である。
 そして,③については,画像データを送信させる行為をもって,わいせつな行為とすることはできない。
 以上のとおり,原判決が認定した事実は,強制わいせつ罪の成立要件を欠くものである上,わいせつな行為に当たらず強要行為に該当するとみるほかない行為をも含む事実で構成されており,強制わいせつ罪に包摂されて別途強要罪が成立しないというような関係にはないから,法条競合により強要罪は成立しないとの弁護人の主張は失当である。
 (2)公訴棄却にすべきとの主張について
 以上のとおり,本件は,強要罪に該当するとみるほかない事実につき公訴提起され,そのとおり認定されたもので,強制わいせつ罪に包摂される事実が強要罪として公訴提起され,認定されたものではない。
 また,原判決の認定に係る事実は,前記(1)のとおり,強制わいせつ罪の構成要件を充足しないものである上,被害者撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機で受信・記録するというわいせつな行為に当たらない行為を含んだものとして構成され,これにより3項製造罪の犯罪構成要件を充足しているもので,強制わいせつ罪に包摂されるとはいえないし,実質的に同罪に当たるともいえない。
 以上のとおり,本件は,強要罪および3項製造罪に該当し,親告罪たる強制わいせつ罪には形式的にも実質的にも該当しない事実が起訴され,起訴された事実と同旨の事実が認定されたものであるところ,このような事実の起訴,実体判断に当たって,告訴を必要とすべき理由はなく,本件につき,公訴棄却にすべきであるとの弁護人の主張は,理由がない。
 (3)小括以上の次第で,法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反をいう論旨には,理由がない。
 2 法令適用の誤りの主張について
 論旨は,原判決は,強要罪と3項製造罪を観念的競合であるとした上で,強要罪の犯情が重いとして同罪の刑で処断することとしたが,本件の脅迫は一時的で,害悪もすぐに止んでいるのに対し,3項製造罪は画像の流通の危険やそれに対する不安が長期に継続する悪質なもので,原判決の量刑理由でも,専ら児童ポルノ画像が重視されており,犯情は3項製造罪の方が重いから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかしながら,本件の強要罪に係る脅迫行為の執拗性やその手口の卑劣性などを考慮すれば,3項製造罪に比して強要罪の犯情が重いとした原審の判断に誤りはない。
 法令適用の誤りをいう論旨は,理由がない。
 なお,原判決は,本件において,強要罪と3項製造罪を観念的競合であるとしたが,本件のように被害者を脅迫してその乳房,性器等を撮影させ,その画像データを送信させ,被告人使用の携帯電話機でこれを受信・記録して児童ポルノを製造した場合においては,強要罪に触れる行為と3項製造罪に触れる行為とは,一部重なる点はあるものの,両行為が通常伴う関係にあるとはいえず,両行為の性質等にも鑑みると,両行為は社会的見解上別個のものと評価すべきであるから,これらは併合罪の関係にあるというべきである。したがって,本件においては,3項製造罪につき懲役刑を選択し,強要罪と3項製造罪を刑法45条前段の併合罪として,同法47条本文,10条により犯情の重い強要罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で処断すべきであったところ,原判決には上記のとおり法令の適用に誤りがあるが,この誤りによる処断刑の相違の程度,原判決の量刑が懲役年,執行猶予付きにとどまることを踏まえれば,上記誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかであるとはいえない。

 起訴罪名は強要未遂になりました

https://nordot.app/951069657636421632?c=39546741839462401
ビデオ通話で下半身見せるよう要求 「リモート」強要未遂罪で男子大学生起訴
スマートフォンのビデオ通話機能を使って下半身を写して見せるよう要求したとして、強制わいせつ未遂の疑いで逮捕された兵庫県明石市の男子大学生(20)について、大津地検は7日までに、強要未遂罪に罪名を変更して起訴した。

 起訴状などによると、男子大学生は5月上旬、SNS(交流サイト)で知り合った会社員男性(25)のスマホに、男性の下半身の画像を送り、さらに「(インターネット上に)さらしていい?」などのメッセージを送って、ビデオ通話機能で下半身を写して見せるよう要求した、としている。

「ひそかに」(軽犯罪法1条23号)の意義

 ひそかに製造罪の関係で、窃視罪の定義も調べています

軽犯罪法第一条[軽犯罪]
 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

大塚仁 特別刑法 軽犯罪法p117 法律学全集42 
「ひそかに」とは、のぞき見られる者に知られないようにの意である。第三者に知られると否とを問わない。「のぞき見る」とは、隙間などから、こっそり見ることをいう。遠距離から望遠鏡で見る行為をも含むであろう)。

俵谷 軽犯罪法解説s57 p147
「ひそかに」とは、見られないことについて利益を有する者の承諾ないし推定的承諾なしにという意味である。現に見られないことの利益を有する者又はそれ以外の第三者に知られているかどうかを問わない。例えば、公衆便所の壁の隙聞などからのぞき見すれば、その直前、用便中の者に対して、のぞき見る乙とを予告したとしても、その承諾を得ていない限り本号に該当する。また、不特定多数人の面前で行っても、見られる者の承諾なしに行えば、本号に該当する。例えば、公衆浴場内に入浴客として入り、カメラをタオルで隠して他の入浴客の裸体を撮影すれば、本号にあたると解する。

法務省刑事局 軽犯罪法101問 p156
「ひそかに」とは、見られないことについて利益を有する者の承諾ないし推定的承諾を得ずに、という意味である。見られる者以外の者に知られるか否かは関係なく、不特定多数人の面前で行った場合でもこれに当たる

伊藤栄樹・勝丸充啓 軽犯罪法新装第2版p169
2) 『ひそかに』
「ひそかに」とは,見られないことの利益を有する者に知られないようにすることをいう。見られる者以外の者に知られると否とを問わない。不特定多数の人の面前で、行っても,見られる者に知られないようにすれば,「ひそかに」のぞき見たことになる。見られる者の承諾があれば,「ひそかに」には当たらないことはいうまでもない。

井阪博 実務のための軽犯罪法解説p160
オ「ひそかに」とは,見られないことについて利益を有する者の承諾ないし推定的承諾なしにという意味である。現に見られないことの利益を有する者又はそれ以外の第三者に知られているかどうかを問わない。例えば,公衆便所の壁の隙間などからのぞき見すれば,その直前,用便中の者に対して, のぞき見ることを予告したとしても,その承諾を得ていない限り本号に該当する。また,不特定多数人の面前で行っても,見られる者の承諾なしに行えば,本号に該当する。例えば,公衆浴場内に入浴客として入り, カメラをタオルで隠して他の入浴客の裸体を撮影すれば,本号に当たると解する。なぜなら,公衆浴場に入る以上,他の入浴客から裸体を見られることは当然に承諾していると認められるが,撮影されることまで承諾しているとは認められないからである。

植松正 軽犯罪法講義s23 p137
「ひそかに」とは、その場所の見られないことの利益を有する者に見付からないようにしてこっそりと行うことである

弁当切りの実例


改正刑法が施行されるとこんなことはできません。
https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2022/07/08/221001


 執行猶予が取消されると懲役15月になるところを、慎重に審理してもらって、5月になりました。
 どんな情状弁護をしても、こんなことはできないので、争点作って争いました。
 国選弁護人には断られたようです。


H31.2  懲役10月 執行猶予3年
R3.5. 再犯
R3.7 公判請求
R4.7 懲役5月(実刑

被害児童が眠っていて抵抗できないことにつけ込み,その陰茎を執拗に時間をかけてもてあそぶなどし,更にはその様子を動画で撮影したという行為につき、強制わいせつ罪(176条後段)と、ひそかに製造罪ではなく、姿態をとらせて製造罪を適用した事例(高松地裁r04.3.18)

被害児童が眠っていて抵抗できないことにつけ込み,その陰茎を執拗に時間をかけてもてあそぶなどし,更にはその様子を動画で撮影したという行為につき、強制わいせつ罪(176条後段)と、ひそかに製造罪ではなく、姿態をとらせて製造罪を適用した事例(高松地裁r04.3.18)
 「5前二項に規定するもののほか」という法文から、姿態をとらせているときは、ひそかに製造罪ではなく、姿態をとらせて製造罪。
 あからさまにスマホをかざしているので、「ひそかに」と言えないのではないか 

7条
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

 なお「判示第2の行為 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2条3項2号」では、処断刑期が出てこないので、2項も挙げる必要があるという高裁判決がある。

刑事判決起案の手引
294
(8)他の規定をも掲げなければ法定刑が判明しない場合 (310 ないし312参照)
「……判示所為は刑法 158 条 1項, 1 5 5 条 1 項に該当する…」
「……判示所為は刑法 238 条, 2 3 6 条 1項に該当する……」

310
(6) 他の規定をも掲げなければ法定刑が判明しない場合には,当該他の規定をも記載しなければならない(もっとも,いわゆる 2項強盗 2項詐欺 2 項恐喝については,それぞれ刑法236 条 2 項, 246 条 2 項,249 条 2 項と記載するだけで,各条の 1 項を示さないのが普通である)。

高松地裁r04.3.18
(罪となるべき事実)
 第1 被告人は,A(当時12歳。氏名は別紙のとおり。)が13歳未満であることを知りながら,Aにわいせつな行為をしようと考え,令和3年●月●日午前8時16分頃から同日午前8時25分頃までの間,a県b市〈以下省略〉の被告人方において,Aのズボンの中に手を入れ,その陰茎を手指でもてあそぶなどし,もって13歳未満の者に対し,わいせつな行為をした。
 第2 被告人は,A(当時12歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同日午前8時25分頃,前記被告人方において,Aに,被告人がAの陰茎を手指でもてあそぶ姿態をとらせ,これを動画撮影機能付き携帯電話機で撮影し,その動画記録1点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録させて保存し,もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
 第3 
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 罰条
 判示第1の行為 刑法176条後段
 判示第2の行為 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2条3項2号
 判示第3の行為 
 刑種の選択 判示第2及び第3の各罪について、いずれも懲役刑を選択
 併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重)
 未決勾留日数の算入 刑法21条
 刑の全部執行猶予 刑法25条1項
 保護観察 刑法25条の2第1項前段
 (量刑の理由)
 本件は,小学校の教師である被告人が元教え子である13歳未満の被害児童に対し,わいせつな行為をするとともに,その様子を動画で撮影して児童ポルノを製造し,更には,拒否している被害児童に対し,連続して電話をかけ,また,メッセージを送信して電話に出ることを要求するなどして,ストーカー行為をした事案である。強制わいせつ及び児童ポルノの製造につき,被害児童は,教師である被告人を信頼して,被告人の自宅に宿泊していたのに,被告人は,その信頼を裏切り,犯行に及んだ。その態様は,被害児童が眠っていて抵抗できないことにつけ込み,その陰茎を執拗に時間をかけてもてあそぶなどし,更にはその様子を動画で撮影したものであり,被害児童の人格を一切無視した卑劣で悪質なものである。
 高松地方裁判所丸亀支部
 (裁判官)

青少年条例の年齢知情条項が主張されたときの反論

「~~の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、~~の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。」という条項については、国法上非使用者に年齢確認義務がないことから、法律違反ではないかと考えています。
 淫行処罰規定についていえば、児童買春罪が故意犯とされたときから、年齢知情条項の合理性が疑わしくなりました。
 各県の青少年条例の解説書を分析しましたが、どういう場合に年齢確認義務が発生するのかも明らかになりませんでした。

 検事の論稿でも、性交類似行為が許される熟女風俗店の遊客がサービスを受けるのに戸籍謄本を確認する義務があるのかという疑問が呈されています(結論としてそれは児童買春罪なので過失は処罰されません)


www.google.com

第1 県条例条は憲法94条に反して無効である。 5
1  5
2 国法上の年齢確認義務 7
(1)刑法の場合 7
(2)児童淫行罪の場合 8
①東京高裁h7.5.31*2 8
②東京高裁s40.1.19*3 8
③大阪高裁S31.2.21*4 8
(3)児童買春罪の場合 9
②東京高裁s40.1.19 10
3 18歳未満への性的行為の規制について、有償・無償を問わず、使用者には年齢確認義務を負わせ、非使用者には年齢確認義務を負わせないというのが国法である。 11
4 児童買春罪と青少年条例の関係についての検察官の論稿 14
①山川景逸「いわゆる児童買春等処罰法と青少年保護育成条例の関係について」研修635号*5 14
②栗原雄一「児童買春の罪と青少年育成条例の関係について」研修644号*6 14
③島戸純「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」 研修652号**7 15
④藤宗和香(東京地方検察庁検事(当時))「青少年保護 16
5 まとめ 19
第2 県条例は過失がないことの立証責任を被告人に負わせるものであって、第一項に故意犯を規定しながら、第二項で年齢を知らなかったとしても処罰を免れず、過失がなかったことを行為者が証明して、はじめて処罰を免れるとしているのであるが、法律によらずに挙証責任を転換する点は、憲法31条、94条に反する。 20
1 検察官の「無過失の挙証責任が、行為者にあると主張する」という主張 20
2 立証責任が転換されるのか、挙証責任が転換されるのかは法文からは出てこない。 21
山口県青少年健全育成条例の解説 令和元年7月 21
3 各地の青少年条例をみても、挙証責任・立証責任の説明がマチマチであること 22
4 青少年条例違反につき、刑事訴訟法の原則である挙証責任が転換される理由がない 51
①山川景逸「いわゆる児童買春等処罰法と青少年保護育成条例の関係について」研修635号(弁1) 53
②栗原雄一「児童買春の罪と青少年育成条例の関係について」研修644号(弁2) 53
③島戸純「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」 研修652号(弁03) 53
④藤宗和香(東京地方検察庁検事(当時))「青少年保護 55
5 まとめ 56
第3 過失の青少年淫行罪における年齢確認義務の内容・程度と発生する場合が定まらないこと(憲法31条違反) 57
1 はじめに 57
2 各地の青少年条例における年齢確認義務の内容 57
①両親が示した戸籍謄本も疑えとするもの~香川県・埼玉県 57
②戸籍・住民票まで調査すべきとするもの~山形・福島・愛知・愛媛 60
ア 大阪高裁s46を引用して、この程度の年齢確認義務があると説明する~山形・福島・愛知・愛媛 60
イ 大阪高裁s46には言及しないが、戸籍・住民票まで調査する義務があるという自治体~群馬・埼玉・静岡・香川・沖縄 62
ウ その他公信力のある証明書での確認を求めるもの~宮城・茨城千葉・新潟・石川・兵庫・鳥取・鹿児島 66
③必ずしも証明書までは必要なく、干支や生年月日尋ねれば足りるとするもの~北海道・・岩手・秋田・富山・岐阜・滋賀・京都・奈良・和歌山・島根・岡山・広島・愛媛・高知・福岡・宮崎 69
④通常人ならば青少年でないかと疑いを持つようなときに、相手方に年齢を問う程度のものであり、身分証明書運転免許証等による年齢調査義務まで求めたものではないとするもの~山口県 75
山口県青少年健全育成条例の解説 令和元年7月 75
⑤ 過失犯を処罰しないもの(東京都) 76
⑥ 具体的内容が不明のもの~栃木・徳島・佐賀・熊本・大分 76
3 検察官の主張も根拠不足である。 78
(1)保護法益の理解を誤っている 80
最高裁判所判例解説刑事篇昭和60年度201頁福岡県青少年保護育成条例違反被告事件昭和60年10月23日高橋省吾 81
②亀山継夫「児童に淫行をさせる罪(その二)」研修347号P59(弁5) 82
(2)年齢確認義務に関する国法の規定を青少年淫行罪に類推する根拠がないこと 84
3 検事の論稿でも否定的であること 85
①山川景逸「いわゆる児童買春等処罰法と青少年保護育成条例の関係について」研修635号 86
②栗原雄一「児童買春の罪と青少年育成条例の関係について」研修644号 86
③島戸純「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」 研修652号 87
④藤宗和香(東京地方検察庁検事(当時))「青少年保護 88
4 ネット上の性交類似行為・わいせつ行為 89
(1)送信型強制わいせつ罪・非接触型児童淫行罪 89
④札幌地裁h29.11.15*12 チャットによる児童淫行罪 91
(2)児童ポルノ要求罪 91
児童ポルノ要求行為について過失処罰条項を適用しない自治体 91
児童ポルノ要求行為に過失処罰条項を適用する自治体 92
児童ポルノ要求行為の過失処罰条項一覧 92
5 終わりに 118
第4 過失がないこと 120
1 注意義務違反発生の根拠と注意義務の内容が定まらない 120
2 容姿風貌から青少年を疑えという点 120
(1)検察官は容姿・風貌等から、青少年と疑えと主張する。 120
(2)顔貌容姿からの年齢推定はできないこと 123
(3)裸体からの年齢推定 127
宮沢りえ サンタフェ 127
(4)裁判所の実務では、生体の場合は骨・歯牙で判断する 129
3 被告人の職業から重い注意義務を課されているか 130
②東京高裁s40.1.19 131
4 原判決 132
5 まとめ 133
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児童を熟睡・薬物・酒類で抗拒不能にして行う裸体撮影行為・0歳児の裸体撮影行為は、ひそかに製造罪(7条5項)か・姿態をとらせて製造罪(7条4項)か

児童を知的障害・熟睡・薬物・酒類で抗拒不能にして行う裸体撮影行為・0歳児の裸体撮影行為は、ひそかに製造罪(7条5項)か・姿態をとらせて製造罪(7条4項)か

1 説例
 こういう判決

第1 a(当時12歳)が知的障害のため抗拒不能の状態であることに乗じ,Hにわいせつな行為をしようと考え,令和4年8月19日知的障害を有し,抗拒不能となっていたHに対し,その下半身の着衣を脱がせ,その陰部を手指で弄ぶなどし,もってaの抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした。
第2 前記日時場所において,前記aが18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,被告人が同児童の性器等を露出させた上,それを触る行為をビデオカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラ内蔵のハードディスクに記録して保存し,もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し

 児童が熟睡・薬物・酒類で抗拒不能だったり・0歳児だったりした場合。

 模型で説明すると、被告人は手持ちのカメラ・スマホで、被害児童の視野の範囲内で撮影しているので、客観的な行為態様としては、一般人基準では、一見して、撮影していることが明らかである。児童が覚醒すれば、児童も気付く。




 しかし、児童は抗拒不能になっている・0歳児童なので、カメラを認識していない。そこまで考慮すれば「ひそかに」とも言えそうである。

2 「ひそかに」の意義
 坪井検事によれば、「ひそかに」とは,「描写の対象となる児童に知られることのないような態様で」 という意味と解説されている。
 念頭に置かれるのは、浴室・トイレ盗撮であって、「この要件は,児童を描写する行為の客観的態様についての要件であって,児童の承諾の有無を問題とする要件ではなく,また,当該児童が当該描写を認識しているか否かも問わない。」「描写の対象となる児童に知られることのないような態様」に当たるかどうかは,一般人を基準に判断することとなる。」というのであるから、カメラは児童からみて隠されていなければならない。

坪井麻友美「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」(法曹時報66巻11号29頁)
イ要件
(ア) 「ひそかに」「ひそかに」とは,「描写の対象となる児童に知られることのないような態様で」という意味であり,児童が利用する脱衣所に隠しカメラを設置して盗撮するような場合が典型例である。
この要件は,児童を描写する行為の客観的態様についての要件であって,児童の承諾の有無を問題とする要件ではなく,また,当該児童が当該描写を認識しているか否かも問わない。

(注18)
「描写の対象となる児童に知られることのないような態様」に当たるかどうかは,一般人を基準に判断することとなる。客観的にこのような態様に当たる場合,通常,被写体となる児童は描写されていることを認識・承諾していない場合が多いと考えられるが,たまたま児童が隠しカメラの存在に気付き,盗撮されることを内心認容していた場合や,撮られる間際にカメラの存在に気付いた場合なども盗撮製造罪は成立し得る。
(注19) 「ひそかに」の他法令での用例としては,軽犯罪法の窃視の罪(問、法第1条第23号「正当な理由がなくて人の住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」)があるところ,同法上の「ひそかに」は,「見られないことの利益を有する者に知られることなく」という意味であり,見られる者の認識(承諾)を問題とする文言と解されている(注釈特別刑法第7巻,風俗・軽犯罪編111頁)。軽犯罪法の窃視の罪の保護法益はプライパシー権であって被害者の承諾があれば法益侵害がないと考えられるのに対し,児童ポルノの盗撮製造罪の保護法益及び処罰の趣旨は上記のとおりであるから,両法における「ひそかに」の文言の意義は異なるものと解される。

法務省刑事局付坪井麻友美「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律jについて
第7条第5項の「ひそかに」とは,どのような意昧ですか。
「ひそかに」とは,「描写の対象となる児童に知られることのないような態様で」という意味であり,児童が利用する脱衣所に隠しカメラを設置して盗撮するような場合が典型例です。
この要件は,児童を描写する行為の客観的態様についての要件であって,児童の承諾の有無を問題とする要件ではなく,また,当該児童が当該描写を認識しているか否かも問いません(たまたま児童が隠しカメラの存在に気付き,盗撮されることを内心認容していた場合や,撮られる間際にカメラの存在に気付いた場合等も,盗撮製造罪は成立し得ます。)。
本項の児童ポルノの製造罪の趣旨は, Q11で述べたとおり,かかる行為が児童の尊厳を害し,児童を性的行為の対象とする風潮が助長され,抽象的一般的な児童の人格権を害するなどの点にあり,その保護法益が児童のプライパシー権そのものではない上,本項が,児童ポルノを製造する行為のうち,盗撮によるものを特に処罰することとした理由が,盗撮が行為態様の点において違法性が高いと考えられたことによるものであるため,盗撮製造罪は,児童の承諾の有無にかかわらず成立するのです。
月刊警察2014. 10 No.373

 月刊警察には児童側の内心は考慮しないって書いてある。


3 本件製造行為の態様
 これでは児童が熟睡等でカメラを認識していなかったとしても、坪井検事によれば、「この要件は,児童を描写する行為の客観的態様についての要件であって,児童の承諾の有無を問題とする要件ではなく,また,当該児童が当該描写を認識しているか否かも問わない。」のであれば、結局、児童の内心とか心理状態は考慮されず、熟睡等でカメラを見てなかったとしても、そういう児童の認識があるか否かを問わないのであるから、「描写の対象となる児童に知られることのないような態様」にあたらない。

 こういう態様





4 酒・薬物・熟睡で抗拒不能となった準強制わいせつ罪・準強姦罪・準強制性交罪の機会に児童ポルノが製造された場合は、ひそかに製造罪では処理されていないこと。
 児童が気付いていない撮影行為の典型例である、酒・薬物・熟睡で抗拒不能に乗じて姦淫・わいせつ行為をして、明らかにカメラを構えてその場面を撮影する行為は、被害者が気付いていなくても、姿態をとらせて製造罪である。ひそかに製造罪とされた裁判例はない。

 これもこういう撮影態様。




※準強制わいせつ罪・準強姦の場合
福岡地裁H24.3.2
さいたま地裁H22.8.5
釧路地裁帯広H24.3.19
鹿児島地裁川内H23.1.19
大分地裁H28.1.8
名古屋地裁一宮H25.10.30
横浜地裁H26.9.30
高松地裁H28.2.24
広島地裁福山H28.5.25
奈良地裁H29.11.27
神戸地裁尼崎H29.2.27
福岡地裁R3.5.19
静岡地裁沼津R3.6.14
千葉地裁松戸H28.1.13
大阪地裁R3.2.16

判例DBにあるのを紹介しておく

静岡地裁沼津R3.6.14
lex/db
【文献番号】25590381
7 被告人が勤務していたデイサービス施設の利用者であるBが知的障害のため心神喪失の状態であることに乗じ,同人を誘拐してわいせつな行為をしようと考え,同年6月25日午後3時15分頃,前記静岡県立b特別支援学校において,同校教員に対し,わいせつ目的を隠して,前記デイサービス施設まで送迎するかのように装い,その旨誤信した前記教員から前記B(当時13歳)の引渡しを受け,同人を前記学校敷地内に駐車中の自動車に乗車させて同車を発進させ,同人を同県富士市β△△△△番地の△△所在のd公園トイレまで連れ去るなどして同人を自己の支配下に置き,もってわいせつ目的で同人を誘拐した上,同日午後3時19分頃から同日午後3時21分頃までの間,同トイレ内において,同人に対し,同人の衣服を脱がせ,胸部等を露出させ,その胸部を手で触るなどし,もって人の心神喪失に乗じてわいせつな行為をし
第8 前記Bが18歳に満たない児童であることを知りながら,同日午後3時19分頃,前記第7記載のトイレ内において,同人に対し,被告人の両腕に前記Bの両足を乗せ,同人の股間を開かせて陰部を露出させるなどの姿態をとらせ,これを動画撮影機能付きデジタルカメラを使用して動画撮影し,その動画データ1点を同デジタルカメラに装着されたSDカードに記録して保存し,もって衣服の全部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識できる方法により描写した児童ポルノを製造し"

千葉地裁松戸H28.1.13
lex/db
【文献番号】25542107
第29 前記同様に考え,同年9月13日午後9時頃から同日午後9時30分頃までの間,前記当時の被告人方において,前記同様に応募してきた■(当時16歳)に対し,血圧測定のために必要だと嘘を言って睡眠改善薬及びアルコール飲料を飲用させ,その薬理作用等により同人を眠らせて抗拒不能の状態にさせた上,その頃から同月14日午前11時頃までの間,同所において,眠っていた同人の着衣をめくって露出させた乳首をなめ,同人のショーツを脱がせて陰部をなめるなどし,その様子をビデオカメラで撮影し,もって同人を抗拒不能にさせてわいせつな行為をし,
第30 前記同様に考え,同月18日午後5時頃から同日午後7時頃までの間,前記当時の被告人方において,前記同様に応募してきた■(当時16歳)に対し,血圧測定のために必要だと嘘を言って睡眠導入剤及びアルコール飲料を飲用させ,その薬理作用等により同人を眠らせて抗拒不能の状態に陥らせたところ,同状態に乗じて同人を姦淫しようという気を起こし,その頃から同月19日午前6時頃までの間,同所において,同人と性交し,もって同人の抗拒不能に乗じて姦淫し,
第31 前記同様に考え,同月18日午後5時頃から同日午後9時頃までの間,前記当時の被告人方において,前記同様に応募してきた■(当時16歳)に対し,血圧測定のために必要だと嘘を言って睡眠導入剤及びアルコール飲料を飲用させ,その薬理作用等により同人を眠らせて抗拒不能の状態にさせた上,同人が18歳に満たない児童であることを知りながら,その頃から同月19日午前6時頃までの間,前記当時の被告人方において,布団上で眠っていた同人の着衣をずらして乳房を露出させる姿態をとらせた上,乳房を手指でもみ,その様子を持っていた撮影機能付き携帯電話機で撮影し,その動画データ1点を同携帯電話機本体の内蔵記録装置に記録させて保存し,もって同人を抗拒不能にさせてわいせつな行為をするとともに,衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し,

大阪 地裁 R3.2.16
westlaw
文献番号 2021WLJPCA02166006"
第4【令和3年2月5日付訴因変更請求書による変更後の平成30年1月30日付け起訴状記載の公訴事実第1】 出会い系アプリで知り合ったA3(当時14歳)を姦淫しようと考え,仕事を紹介するための面接をするとして,同人を大阪府泉佐野市〈以下省略〉所在のホテル「c」208号室に同行させ,同所において同人に飲酒させた後,平成27年8月28日午前4時54分頃から同日午前5時50分頃までの間,同所において,飲酒の影響でベッドに横たわっている同人に対し,同人が被告人から仕事の紹介を受け得るものと誤信しているのをいいこととして,「受かりたいんやろ」「もうちょっとやん」「50稼げんねんで」等と言い,被告人との性交を拒否すれば仕事を得ることができないものと誤信させ,さらに,その身体の上に覆い被さり,その足をつかみ,「怒ってんねん,俺は」「うっさいな,こらあぁぁ」「きれんでマジで」「俺がなんぼ削る思てんねん」等と言い,手のひらでその身体を叩くなどしてA3を畏怖させ,同人を抗拒不能に陥らせて同人を姦淫し,さらに,同日午前6時27分頃から同日午前8時33分頃までの間,飲酒の影響で同人が飲酒酩酊し睡眠中のため抗拒不能であるのに乗じ,更に同人を姦淫し,
第5【平成30年1月30日付け起訴状記載の公訴事実第2】 平成27年8月28日午前5時12分頃から同日午後0時36分頃までの間,前記第4記載の場所において,A3(当時14歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同人にその陰部等を露出させ,その陰部等を被告人が触り,被告人を相手とする性交等に係る各姿態をとらせ,撮影機能付きスマートフォン1台及びデジタルカメラ1台で撮影し,その静止画データ2点を上記スマートフォン内蔵の電磁的記録媒体に,その動画データ7点及び静止画データ28点を上記デジタルカメラに装着した電磁的記録媒体であるSDカードに,それぞれ記録させて保存し,もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの並びに衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録媒体に描写した児童ポルノを製造し,"

※0歳児の場合
横浜地裁H28.7.20
 控訴審で、ひそかに製造罪の誤りじゃないかって主張しとけばよかったかな。東京高裁で「法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。」「法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。」って判示してもらえば解決できたかも。

westlaw
文献番号 2016WLJPCA07206016
横浜地裁H28.7.20
第9 被告人は,G(以下「G」という。)が13歳未満の女子であることを知りながら,平成25年8月25日頃,東京都内又はその周辺において,G(当時1歳)に対し,全裸の状態で両脚を開かせて陰部を露出させるなどの姿態をとらせ,その姿態をデジタルカメラで撮影し,その静止画データ10点を同デジタルカメラに装着した電磁的記録媒体であるSDカード(平成28年押第40号符号4)に記録して保存し,もって13歳未満の女子にわいせつな行為をするとともに,衣服の全部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。【平成26年5月20日付け追起訴第2の関係】
 第10 被告人は,H(以下「H」という。)が13歳未満の男子であることを知りながら,平成25年10月23日頃,埼玉県内,神奈川県内又はその周辺において,H(当時生後4か月)に対し,下半身裸の状態で陰茎を露出させる姿態をとらせ,その姿態をスマートフォン付属のカメラで撮影し,その頃,埼玉県内,神奈川県内又はその周辺において,その静止画データ6点を同スマートフォンに装着した電磁的記録媒体であるマイクロSDカード(平成28年押第40号符号2)に記録して保存し,もって13歳未満の男子にわいせつな行為をするとともに,衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。【平成26年10月24日付け追起訴第1の関係】"

5 隠しカメラ設置して、わいせつ行為して、撮影した場合は姿態をとらせて製造罪。
 机の下にカメラを設置して、強制わいせつ罪(176条後段)した事案があって、
 当初の訴因はひそかに製造罪

第1  強制わいせつ罪(176条後段)
第2 前記日時場所において,前記aが18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,被告人が同児童の性器等を露出させた上,それを触る行為をビデオカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラ内蔵のハードディスクに記録して保存し,もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し

 裁判所が気付いて、姿態をとらせて製造罪に訴因変更させて、姿態をとらせて製造罪で有罪判決。
 起訴検察官の見解を借りて、被告人控訴でひそかに製造罪が正解じゃないかという控訴理由を入れておいたが、屁理屈扱いされた。

阪高裁H28.10.26
強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
判決
検察官北英知
弁護人(主任),奥村徹(いずれも私選)
第10,第12及び第13の各2の事実における法令適用の誤りの主張について。
論旨は,第10,第12及び第13の各2の製造行為は,いずれも盗撮によるものであるから,法7条4項の製造罪ではなく,同条5項の製造罪が成立するのに,同条4項を適用した原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
しかしながら,法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。
所論は,法7条5項に「前2項に規定するもののほか」と規定されたのは立法のミスであってこの文言に特段の意味はないとした上で,法7条5項の罪と他の児童ポルノ製造の罪との関係は前者が後者の特別法の関係だと主張する。
しかし,法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。
いずれも法7条4項の罪が成立しているとした原判決の法令適用に誤りはない。

 これが現時点の判例

児童ポルノ公然陳列罪が来たら、包括一罪を主張する。

植村判決に遠慮してるけど高裁レベルでは併合罪になりつつあるかな。
 

(2)高裁判例
①東京高裁h16.6.23*1植村判決(一審 横浜地裁h15.12.15*2)
 数名の児童の姿態であって、数回の陳列行為がある事件である。1審は、児童ごとに1罪とした。

横浜地裁h15.12.15
(法令の適用)
1 罰条  被害者ごと(画像が複数ある被害者については,その複数は包括して)に,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条1項
2 科刑上一罪の処理  刑法54条1項前段,10条(一罪として,犯情の最も重い別紙一覧表番号1の被害者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反罪の刑で処断)

 控訴審(植村立郎裁判長)は、犯意も行為も複数あるにもかかわらず、被害児童1名1罪とした原判決を修正して、「被告人は,22画像分の児童ポルノを記憶・蔵置させた本件ディスクアレイ1つを陳列しているから,全体として本罪1罪が成立するにすぎない」と明確に判示している。

東京高裁h16.6.23
2所論は,要するに,原判決は,被害児童ごとに法7条1項に違反する罪(児童ポルノ公然陳列罪)が成立し,結局これらは観念的競合の関係にあるとして,その罪数処理を行っているが,本罪については,被害児童の数にかかわらず一つの罪が成立するというのが従来の判例であるから,原判決には,判決に影響を及ばすことの明らかな法令適用の誤りがある,と主張する(控訴理由第16)。
 そこで,本件に即して検討すると,法7条1項は,児童ポルノを公然と陳列することを犯罪としているから,同罪の罪数も,陳列行為の数によって決せられるものと解するのが相当である。確かに,所論もいうように,児童個人の保護を図ることも法の立法趣旨に含まれているが,そうであるからといって,本罪が,児童個人に着目し,児童ごとに限定した形で児童ポルノの公然陳列行為を規制しているものと解すべき根拠は見当たらず,被害児童の数によって,犯罪の個数が異なってくると解するのは相当でない。
 そして,本件では,被告人は,22画像分の児童ポルノを記憶・蔵置させた本件ディスクアレイ1つを陳列しているから,全体として本罪1罪が成立するにすぎないものと解される。したがって,この点に関する所論は正当であって,被害児童ごとに本罪が成立するとした原判決の法令解釈は誤りである。

犯意が異なろうが、被害者が異なろうが、サーバーが一個であれば、一罪だというのが従前の高裁判例である。

②大阪高裁h15.9.18*3 (一審 奈良地裁h14.11.26*4)
 3回のダウンロード販売を「販売罪」とした原判決を破棄して「公然陳列罪」にした際、包括一罪とした。

阪高裁h15.9.18
(法令の適用)
第1の所為 児童買春児童ポルノ禁止法4条
第2の所為 包括して同法7条1項
児童買春児童ポルノ禁止法2条3項の各号に重複して該当する画像データがあることは所論指摘のとおりであるものの,検察官においてそれらの重複するものについてはより法益侵害の程度の強い先順位の号数に該当する児童ポルノとして公訴事実に掲げていることは明らかであって,包括一罪とされる本件において,それぞれの画像データが上記各号の児童ポルノのいずれに該当するかを個々的に特定する必要もない

名古屋高裁h23.8.3*5(一審 津地裁h23.3.23*6)
 被害者数名の場合でも、包括一罪と判示されている。

名古屋高裁h23.8.3
4 控訴理由④について
 論旨は,本件各画像の被写体となっている児童は3名であるから,本件は児童ポルノ公然陳列罪3罪の併合罪とされるべきであるにもかかわらず,これらを混然と1罪とした本件起訴状は訴因の特定を欠くものであって,この不備を補正させることなく,また公訴を棄却せずに実体判決をした原審の訴訟手続には法令違反があり,さらに,本件を1罪とした原判決には法令適用の誤りがある,というのである。
 しかしながら,本件犯行は,児童3名が1名ずつ撮影された本件各画像(4点の画像のうち2点は同一の児童が撮影されたものと認められる。)のデータを,約5分間の間に,インターネットのサーバコンピュータに記憶,蔵置させた上,本件各画像の所在を特定する識別番号(URL)をインターネットの掲示板内に掲示して児童ポルノを公然と陳列したというものであり,本件各画像が上記掲示板内の「・ロリ画像①」と題する同一カテゴリ内に掲示されているなど,各陳列行為の間に密接な関係が認められることからすれば,各児童に係る児童ポルノ公然陳列罪の包括一罪であると解するのが相当である。
したがって,本件起訴状は訴因の特定を欠くものではないから,原審の訴訟手続の法令違反をいう論旨は理由がない。なお,原判決は本件を単純―罪と判断したものと解されるが,処断刑期の範囲が包括一罪と同一であるから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りはないというべきである。

上告理由第2 法令違反・判例違反~公然陳列罪の罪数 5
1審判決 5
原判決 5
2 提供罪においては児童ポルノ罪の保護法益や行為の反復性から包括一罪となる。 7
鳥取地裁H13.8.28*3(販売罪) 7
大阪地裁H13.2.21*4(販売罪) 7
福岡高裁那覇支部h17.3.1*5(提供罪) 8
阪高裁R2.10.27*7(提供罪) 8
3 わいせつ・児童ポルノ公然陳列罪の高裁判例・裁判例(包括一罪) 9
(1)最高裁H13.7.16(わいせつ) 9
(2)高裁判例 11
①東京高裁h16.6.23*8(一審 横浜地裁h15.12.15*9) 11
②大阪高裁h15.9.18*10 (一審 奈良地裁h14.11.26*11) 13
名古屋高裁h23.8.3*12(一審 津地裁h23.3.23*13) 13
(3)地裁裁判例 14
東京地裁h151023*14 14
⑤大阪地裁h210116*15 14
奈良地裁葛城支部h261112*16 14
横浜地裁h290516*17 14
⑧立川支部H280315*18 14
4 併合罪説 15
5 法令違反 18
6 包括一罪の判例違反 19
東京高裁h16.6.23(一審 横浜地裁h15.12.15) 20
阪高裁h15.9.18 21
名古屋高裁h23.8.3 21

乱交パーティー形式の児童ポルノ・児童買春事件

 個々のパーティーごとに検挙されてる感じです。
 参加者の有害支配罪は疑問です。
 参加者からの、児童とは知らなかったという相談が幾つかきています。

 児童買春罪の年齢不知の主張については、
福岡高裁那覇支部h31.11.14(無罪)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/345210
の弁護人の主張を参考にしてください。

      児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
【事件番号】 福岡高等裁判所那覇支部判決/平成30年(う)第44号
【判決日付】 平成30年11月14日
【判示事項】 被告人が、出会い系サイトで知り合った被害児童(当時16歳。以下「被害児童」という。)が18歳未満であることを知りながら、同児童に金銭供与の約束をして性交し、児童買春をしたという公訴事実につき、被告人は被害児童が18歳未満である可能性を認識していたとして罰金50万円に処した原判決の事実認定には、論理則、経験則等に違反する事実誤認があるとして原判決が破棄され、無罪が言い渡された事例
【参照条文】 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4
       児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2-2
       刑事訴訟法397-1
       刑事訴訟法382
       刑事訴訟法336
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載

       主   文

 原判決を破棄する。
 被告人は無罪。

https://news.yahoo.co.jp/articles/de4b3679097b8302ad9a4d1d039e02d757ae7433
医師や僧侶が“乱交パーティー”ホテルで女子高生にわいせつ行為
8/9(火) 21:47配信
34歳の医師の男が、いわゆる乱交パーティーに参加して女子高校生にわいせつな行為をしたとして逮捕されました。また、同じパーティーに参加していた僧侶など7人も書類送検されました。
児童買春や児童福祉法違反などの疑いで逮捕された容疑者、34歳。2020年に東京・千代田区のホテルで、当時17歳の女子高校生にわいせつな行為をした疑いがもたれています。
都内の病院で医師として働く容疑者が参加したのは、いわゆる“乱交パーティー”です。主催者とされるのが、ことし5月に逮捕されている容疑者、31歳です。
多くの人を集めて犯行に及んだその手口とは…
警察によりますと、容疑者は容疑者がSNSに書き込んだ「複数人でのわいせつ行為」、「女子高校生参加」などをにおわせるパーティーの参加募集に応募。現金2万5000円を支払いパーティーに参加し、わいせつな行為に及んだといいます。
パーティーには他にも足利市に住む37歳の僧侶ら7人も参加していました。
容疑者と7人は共謀して行為の様子を携帯電話のカメラで撮影し、その動画は後日、容疑者が見ていたといいます。
容疑者は調べに対し、「18歳未満と知っていたらパーティーに参加していない」と容疑を否認。参加した僧侶ら7人は容疑を認めているということです。
一方で、主催者の容疑者は女子高校生に報酬を渡さず、集めた参加費のほとんどをホテル代にあてていたとみられています。
容疑者の主催した“乱交パーティー”では、これまでに20人以上が検挙されていて、警察は詳しい経緯を調べています。

強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を観念的競合だとした大阪高裁R4.1.20の控訴理由

 また主張するので、継ぎ足し継ぎ足しでこれに書き足して行きます。処断刑期が変わることがあります。

 これくらい書くと観念的競合になります。
 送信させる型強制わいせつ罪の大阪高裁R3.7.14も観念的競合になっています。
 送信させる型の場合、強制わいせつ罪になるのは、撮影までだとしても(東京高裁h28.2.10)、やっぱり、犯人が画像を見てないのにわいせつ行為と言いづらいので、製造罪を観念的競合でくっつけて、同一の行為内で犯人が画像を受け取ったことも認定しておきたということなんでしょうなあ。

控訴理由第○ 法令適用の誤り~判示第1と第2の行為は観念的競合 104
1 はじめに 104
2 刑法54条1項の「一個の行為」の意味 105
3 罪数判断は、訴因の比較により、訴因外の事実は考慮されない。 114
4 児童ポルノ製造罪が立件されない場合の撮影行為の法的評価=わいせつ行為 115
東京高裁H22.3.1 116
仙台高裁H21.3.3 裁判例59 117
阪高裁h28.10.27 裁判例60 117
5 わいせつ罪に加え児童ポルノ製造罪を立件した場合の罪数処理 118
千葉地裁R03.5.28 裁判例69 119
①仙台高裁H21.3.3(裁判例59) 119
名古屋高裁h22.3.4(裁判例60) 121
③高松高裁h22.9.7(裁判例62) 122
④広島高裁h23.5.26(裁判例61) 122
⑤大阪高裁H23.12.21(原判決 神戸地裁H23.3.18)裁判例63 123
⑥大阪高裁h25.6.21(裁判例65) 123
⑦東京高裁h30.1.30(横浜地裁H28.7.20)(裁判例66) 124
⑧高松高裁h30.6.7(高松地裁h30.6.7)(裁判例67) 126
⑨大阪高裁r3.7.14(裁判例50) 128
6 撮影送信させる型の強制わいせつ罪と製造罪を観念的競合にする裁判例 130
7 媒体への記録行為の評価~1個の行為を書き分けても1個である 130
仙台高裁H21.3.3 裁判例59 133
7 最決h21.10.21(裁判例68 児童淫行罪と児童ポルノ製造罪)の射程について 133
8 犯意について~撮影送信させ記録する行為と撮影させる犯意は1個であること 135
9 保護法益の差について 135
10 「一事不再理効の範囲が広くなる」とかいう否定説の理由について 135
11 「わいせつ行為に通常撮影は伴わない」とかいう否定説の理由について 137
12 まとめ 138

「ひそかに,前記児童が被告人と性交する姿態,被告人が同児童の性器等を触る行為に係る同児童の姿態及び同児童が陰部等を露出した姿態を同所に設置した小型カメラで動画撮影し,」というひそかに製造罪(7条5項)の公訴事実・罪となるべき事実(東京地裁)

 公開されているDBでもみうけられます。
 被告人が児童と性交して、性交する姿態を取らせていることが明らかです。

裁判年月日 令和 2年 3月 2日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 令元(特わ)2383号 ・ 令元(特わ)2501号 ・ 令元(特わ)2825号 ・ 令元(特わ)3104号
事件名 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,児童福祉法違反被告事件
裁判結果 有罪 文献番号 2020WLJPCA03026004

 (罪となるべき事実)
 被告人は,●●●が運営する女子サッカーチーム●●●のコーチとして同チームに在籍する児童らに対してサッカーの指導等をしていたものであるが,
第1(令和元年10月4日付け追起訴状記載の公訴事実第1関係)
 B(当時14歳ないし15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童が同チームに在籍していた当時はサッカーの指導等をし,同児童が同チームを退団した後も引き続き同児童の進路,学習等について助言をするなどしていた立場を利用して,
 1 平成30年4月7日午前10時頃から同日午後0時頃までの間に,東京都●●●事務所(以下「本件事務所」という。)内において,同児童に被告人を相手に性交させ,
 2 同年5月5日午後1時頃から同日午後4時頃までの間に,本件事務所内において,同児童に被告人を相手に性交させ,
 もって児童に淫行をさせる行為をし,
第2(令和元年10月4日付け追起訴状記載の公訴事実第2関係)
 前記第1の1及び2の日時場所において,2回にわたり,ひそかに,前記児童が被告人と性交する姿態,被告人が同児童の性器等を触る行為に係る同児童の姿態及び同児童が陰部等を露出した姿態を同所に設置した小型カメラで動画撮影し,撮影した動画データを自己が使用するパーソナルコンピュータに接続したUSBメモリ1個(令和元年東地領第4006号符号1)に記録して編集した上で保存し,もってひそかに児童を相手方とする性交に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより児童ポルノを製造し,

某地裁判決
第1 A(3)が13歳に満たない児童であることを知りながら、同人にわいせつな行為をしようと考え、令和4年7月16日午前3時36分頃、■■■■■■■■■■■■■■■■において、就寝中の同人に対し、下着をずらした上、直接その陰茎を手指で触り、もって13歳未満の児童に対し、わいせつな行為をし
第2 前記第1記載の日時場所において、同人が18歳に満たない児童であることを知りながら、同人に対し、ひそかに、被告人が前記Aの陰茎を露出させる姿態、被告人が前記Aの陰茎を手指で触る姿態を被告人の動画撮影機能付き携帯電話機で動画として撮影し、その動画データ3点を同機の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって他人が児童の性器等を触る行為であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを、それぞれ視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した

 何回も言いますけど、5項製造罪の法文は「5前二項に規定するもののほか、ひそかに~」となっているので、姿態とらせていると、5項ではなく4項の製造罪になります。
 「前記児童が被告人と性交する姿態,被告人が同児童の性器等を触る行為に係る同児童の姿態」という点で、判示第2の公訴事実・罪となるべき事実自体から(判示第1の事実でも姿態とらせていることが明らかです)、被告人が1号・2号の姿態を取らせていることがわかりますので、5項製造罪は成立しません。理由齟齬・法令適用の誤りで破棄されます。控訴後の未決勾留日数(数ヶ月)が刑期に算入されると思われます。

 ひそかに・姿態とらせて製造した場合、ひそかに製造罪で起訴する検察官の訴追裁量があるのかというと、証拠上、姿態とらせてが弱い場合はひそかに製造罪を選択する裁量もあるでしょうが、公訴事実に堂々と「前記児童が被告人と性交する姿態,被告人が同児童の性器等を触る行為に係る同児童の姿態」と姿態とらせた事実を記載して、姿態を取らせたことを立証してしまうと、「5前二項に規定するもの」という構成要件に該当してしまうので、5項製造罪は適用できません。
 5項は盗撮行為についての特別規定だという主張も考えられますが、「法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。」として大阪高裁ではねられました。

阪高平成28年10月26日
第10,第12及び第13の各2の事実における法令適用の誤りの主張について。
論旨は,第10,第12及び第13の各2の製造行為は,いずれも盗撮によるものであるから,法7条4項の製造罪ではなく,同条5項の製造罪が成立するのに,同条4項を適用した原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
しかしながら,法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。
所論は,法7条5項に「前2項に規定するもののほか」と規定されたのは立法のミスであってこの文言に特段の意味はないとした上で,法7条5項の罪と他の児童ポルノ製造の罪との関係は前者が後者の特別法の関係だと主張する。
しかし,法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。
いずれも法7条4項の罪が成立しているとした原判決の法令適用に誤りはない。
平成28年10月31日
大阪高等裁判所第2刑事部
裁判長裁判官後藤眞理子
裁判官 杉田友宏

 大阪高裁h28の原審では、裁判官が罪名間違いに気付いて訴因変更が行われています。裁判所が気付かなければならない。

当初訴因
第2 前記日時場所において,前記児童が18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,被告人が同児童の性器等を露出させた上,それを触る行為をビデオカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラ内蔵のハードディスクに記録して保存し,もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し

訴因変更請求
公訴事実第2中,「ひそかに,被告人が同児童の性器等を露出させた上,それを触る行為を」とあるのを,いずれも「同児童の性器等を露出させる姿態及び被告人が同性器等を触る行為に係る姿態をとらせ,これらを」に改め,「ひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び」とあるのを,いずれも削除し,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の後に, いずれも「及び他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であっで性欲を興奮させ又は刺激するもの」を加える。

 神戸地裁r01.6.28は、判例dbに姿態をとらせて製造罪の裁判例として紹介されていますが、当初訴因は性交・性交類似行為のひそかに製造罪で、論告求刑の後の弁論で「姿態をとらせているから、ひそかに製造罪は成立しない。無罪」と弁護人に指摘されるまで裁判所も気付きませんでした。後日訴因変更がありました。

被告人は
A(当時15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら
第1 令和4年7月16日午後5時28分頃から同日午後6時34分頃までの間大阪市北区西天満ホテル201号室において,同児童に対し,現金1万円の対償を供与する約束をして,同児童に自己の陰茎を口淫させるなどの性交類似行為をし,もって児童買春をし
第2 前記日時,場所において,ひそかに,前記児童が被告人と性交する姿態及び被告人の陰茎を口淫する姿態等をスマートフォンで撮影し,その動画データを同スマートフォン内の電磁的記録媒体に記録して保存し,もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した

 わいせつ行為はしているが、撮影目的で姿態を取らせたわけではないという屁理屈も封じられています。カメラの前で性交等すれば、性交等の姿態を取らせたという評価になります。

札幌高裁H19.3.8(最決H21.10.21の控訴審判決)
児童ポルノ法7条3項の「姿態をとらせ」とは,行為者の言動等により,当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいい,強制を要しないと解されるところ,関係証拠によれば,被告人は,児童と性交等を行っているが,これらの行為は通常当事者双方の言動により行為に至るものであって,本件においても,被告人が警察官に対し,「(ビデオに撮影した)これらの場面はセックスの一連の行為の一場面であります」と述べているように,被告人は,自ら積極的に児童に性交等の行為を行い,あるいは,児童の性交等の行為に応じる言動をしているのであって,この被告人の言動等により児童は性交等の姿態をとるに至ったと認められる。被告人が児童に「姿態をとらせ」たことは明らかである。
なお,所論は,姿態をとらせる行為は,児童ポルノ製造に向けられた行為であるから,その時点において児童ポルノ製造の目的を要するが,被告人には,その時点において児童ポルノ製造の目的がない,という。しかし,被告人は,児童に性交等の姿態をとらせ,それを録画しているのであるから,正に,児童ポルノ製造行為に向けて姿態をとらせたというべきである。所論は採用できない。

七条(児童ポルノ所持、提供等)
2児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。





検察官の訴追裁量・訴因選択権を理由に許容しようとしても、
「ひそかに、被告人がA(3)の陰茎を露出させる姿態、被告人が前記Aの陰茎を手指で触る姿態を」というのは、「陰茎を露出させる姿態、被告人が前記Aの陰茎を手指で触る姿態をとらせた」という事実も記載されていて、立証もされているので、4項製造罪が成立することも明らかです。裁判所は、「5前二項に規定するもののほか、」という法文がある以上、5項は適用できず、5項製造罪は不成立として、訴因変更させて4項製造罪を認めるしかないでしょう。検察官の訴追裁量を重視するなら、5項製造罪で無罪にするしかないと思われます。
阪高平成28年10月26日
法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。

東京都内では「年齢確認をした際、当該青少年が他人の身分証明書や年齢を詐称した定期券を提示した場合等で、誰が見ても見誤る可能性が十分あり、見誤ったことに過失がないと認められるような状況にあった場合は、あえて責任を負わせない。」

東京都内では「年齢確認をした際、当該青少年が他人の身分証明書や年齢を詐称した定期券を提示した場合等で、誰が見ても見誤る可能性が十分あり、見誤ったことに過失がないと認められるような状況にあった場合は、あえて責任を負わせない。」
 緩い方です。
 淫行・わいせつ行為には適用されません。

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 令和元年8月
第28条
第9条第1項、第10条第1項、第1 1条、第13条第1項、第13条の2第1項、第15条第1項若しくは第2項、第15条の2第1項若しくは第2項、第15条の3,第15条の4第2項又は第16条第1項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第24条の4,第25条又は第26条第1号、第2号若しくは第4号から第6号までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
【解説】
本条は、第9条第1項の指定図書類の販売等の制限、第10条第1項の指定映画の観覧の制限、第11条の指定演劇等の観覧の制限、第13条第1項の指定がん具類の販売等の制限、第13条の2第1項の指定刃物の販売等の制限、第15条第1項又は第2項の質受け又は古物買受けの制限、第15条の2第1項又は第2項の着用済み下着等の買受け等の禁止、第15条の3の青少年への勧誘行為の禁止、第15条の4第2項の深夜の青少年の連れ出し等の禁止、第16条第1項の深夜における興行場等への立入りの制限等の規定に違反した場合に、違反者は、その相手方の年齢が18歳に満たない者であることを知らなかったとしても、それを理由として処罰を免れることができないことを規定したものである。
本条でいう「過失」とは、注意すれば相手が青少年であるという事実を認識することができたのに不注意で認識しなかったことをいい、「この限りでない。」とは、過失がないと認められる場合は、消極的に本条の罰則適用を打ち消すとの意味である。
すなわち、年齢確認をした際、当該青少年が他人の身分証明書や年齢を詐称した定期券を提示した場合等で、誰が見ても見誤る可能性が十分あり、見誤ったことに過失がないと認められるような状況にあった場合は、あえて責任を負わせないとしたものである。

 最判s34.5.11を引き合いに出している埼玉・静岡・香川が最も厳しい注意義務を課していると思われます。

埼玉県青少年健全育成条例の解説R3
用語の 説明
「過失がないとき」とは、単に青少年に年齢や生年月日を確認しただけ、又は身体の外部的発育状況等から判断しただけでは足り ず、学生証、運転免許証等の公信力のある書面、又は当該青少年の保護者 に直接問い合わせるなど、その状況に応じて通常可能とされるあらゆる方法を講じて青少年の年齢を確認している場合をいう。
関係する判例( 「過失がないとき」
○ 昭和 34 年5月 11 日最高栽判決(児童福祉法違反)児童又はその両親が児童本人の氏名を偽り、他人の戸籍抄本をあたかも本人のごとく装って提出した場合、他人の戸籍抄本をあたかも児童本人のものであるかの使用することも職業の特殊性から当然あり得ることが容易に想像できるから、一方的な陳述だけで たやすく軽信することなく、他の信頼すべき客観的資料に基づいて調査をなすべきである。この調査を怠っている
場合、児童福祉法第 60 条第3項但し書きにいう年齢を知らないことにつき過失がない場合に該当しない。

昭和 38 年4月 13 日東京家裁判決(風適法違反)
風俗営業者は、 全て の場合に戸籍謄本等を提出させたり、戸籍の照会をなすべき義務まで負うものではないが、応募者全員に対し住民票その他氏名、年齢等を通常明らかにし得る資料の提出を求めるか、 全て の場合に、単にその氏名、年齢等を述べさせ若しくは記載させ、又はその容姿を 観察するだけでなく、進んでその出生地、いわゆる「えと」年、その他、親兄弟や学校関係等について適宜の質問を発して事実の有無を確かめるとかの方法を講ずべきであり、すくなくとも本人の言うところ等に多少でも疑問があれば、右のような方法の外、進んで戸籍の照会を行う等客観的に通常可能な方法をとって事実を確かめ、その年齢を確認すべき法的な注意義務を有するものと解する。"

単に青少年に年齢や生年月日を確認しただけ、又は身体の外部的発育状況等から判断しただけでは足り ず、学生証、運転免許証等の公信力のある書面、又は当該青少年の保護者 に直接問い合わせるなど、その状況に応じて通常可能とされるあらゆる方法を講じて青少年の年齢を確認している場合

静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の解説r04
8 第8項関係
本項は、第14条の2(淫行及びわいせつ行為の禁止)、第14条の3(入れ墨の禁止)、第14条の4(着用済み下着等の譲受け等の禁止)、第14条の5(児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)、第15条(場所の提供及び周旋の禁止)の各規定に違反する行為を行った者は、青少年の年齢を知らなかったことを理由として処罰を免れることができない旨を定めた規定である。
これらの行為は特に悪質な行為であり、このような行為が年齢の不知をもって処罰を免れることは、本条例の目的である青少年の健全育成に反するため、青少年の年齢を知らなかったことに過失のないときを除き、処罰の対象とするものである。
(1) 「過失のない」とは、通常可能な調査が尽くされていると言えるか否かによって判断される。具体的には、青少年に対して、年齢、生年月日を尋ねたり、本人の容姿、体格等の身体的発育状況によって満18歳以上であると信じたというだけでは足りず、戸籍謄本、運転免許証等の客観的な資料に基づいて、通常可能な調査方法を講じ、更には父兄に直接問い合わせる等、年齢確認に万全を期したものと認められない限り、過失がないとはいえない。
(2) 無過失であることの挙証責任は、違反する行為を行った者にあると解される。
。具体的には、青少年に対して、年齢、生年月日を尋ねたり、本人の容姿、体格等の身体的発育状況によって満18歳以上であると信じたというだけでは足りず、戸籍謄本、運転免許証等の客観的な資料に基づいて、通常可能な調査方法を講じ、更には父兄に直接問い合わせる等、年齢確認に万全を期したものと認められない限り、過失がないとはいえない。

香川県青少年保護育成条例の解説R2
「過失がないとき」とは、社会通念上、通常可能な年齢確認が適切に行われているか否かで判断され、例えば、相手方となる青少年に年齢や生年月日、干支等を聞いたり、身分証明書の提出を求める等客観的に妥当な確認措置がとられたにもかかわらず、その青少年が年齢を偽ったり、虚偽の証明耆を提出する等行為者に過失がないと認められる場合をいう。

例えば、相手方となる青少年に年齢や生年月日、干支等を聞いたり、身分証明書の提出を求める等客観的に妥当な確認措置がとられたにもかかわらず、その青少年が年齢を偽ったり、虚偽の証明耆を提出する等行為者に過失がないと認められる場合

【参考判例】(昭和34年5月11日最高裁判決、要旨)
児童を接客婦として雇い入れる雇主は、児童、「両親がその実家で差し出した他人の戸籍抄本が児菫本人のものか否かを確かめるべきであり、そのために、単に児童、両親の一方的陳述だけで軽信することなく、他の客観的資料に基づいて調査をなすべきである。"

青少年に対する淫行勧誘行為を、非行助長行為の禁止(青少年条例)として処罰した事例(某地裁)

 刑法の淫行勧誘ではカバーできないということかな。
 対価を示す児童買春罪の予備未遂とかも行けそうですね。

刑法第一八二条(淫行勧誘)
 営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦かん淫させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

罪となるべき事実
令和4年7月11日
■■■■■■において、
A(15)が
18歳に満たない青少年であることを知りながら
Aに対して 3回
LINEで
 セックスさせて
 セックスしたい
 でないと動画回す
などとのメッセージを送信して Aに閲読させて 
もって、青少年に対して みだらな性行為を行うように勧誘した
法令適用
県青少年条例違反 22条3項1号 18条の2第1項 18条1号

県青少年保護育成条例の解説
(有害行為のための場所提供又は周旋の禁止)
第18条何人も、次に掲げる行為が青少年に対してなされ、又は青少年がこれらの行為を行うことを知って場所を提供し、又はその周旋をしてはならない。
⑴ みだらな性行為又はわいせつな行為
⑵ 薬品類等を不健全に使用する行為
大麻、麻薬又は覚せい剤の使用
⑷ とばく、飲酒又は喫煙
⑸ 入れ墨を施す行為
⑹ 暴行、脅迫又は恐喝


(非行助長行為の禁止)
第18条の2 何人も、青少年に対し、前条各号に規定する行為、道路交通法昭和35年法律第1 0 5号) 第6 8条( 共同危険行為等の禁止) に規定する行為若しくは家出を行うよう勧誘し、あおり、そそのかし、若しくは強制し、又はこれらの行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益若しくは便宜を供与してはならない。

〔要旨〕
本条は、青少年に非行若しくは共同危険行為、家出を行うことを勧誘したり、非行集団に加入すること等を勧誘、強制する等の非行助長行為を禁止することにより、青少年の保護又は非行集団化することを防止しようとする規定である。
〔解説〕
本条は、心身とも未熟で成長途上にある青少年に対する非行助長行為を禁止し、刑法その他の関係法令では規制し得ない反社会的行為から青少年を保護しようとするものである。
第1項
1 「何人」の意義については、第9条解説参照
2 「勧誘」とは、青少年に対し自己の欲するとおりのある種の行為を行うように勧めることをいう。
3 「あおり」とは、特定の行為を実行させる目的をもって、文書、図画、又は言動によって青少年に対し、その行為を実行する決意を生ぜしめ、又は既に生じている決意を助長させるように勢いのある刺激を与えることをいう。
4 「そそのかし」とは、青少年をして特定の行為を実行させる目的をもって、おだてたり甘言を用いて同人等にその実行の決意を生ぜしめるに足りる行為を行うことをいい、その実行行為にでる危険性がある限り、現に実行の決意を生じたかどうかを問わない。

師弟関係の児童淫行罪につき「同種事案の量刑傾向を参照すると、学校の教諭による教え子1名に対する同様の犯罪行為について、刑の執行が猶予されているものが複数見受けられる」という量刑理由(福岡地裁R4.1.31)

 どちらかといえば実刑の方が多い。
 児童淫行罪って売春・風俗関係が9割で、それが執行猶予になるので、師弟関係が6割実刑・親族関係が9割実刑になるのが知られていない。

児童福祉法違反被告事件福岡地判令和4年1月31日D1-Law.com判例体系〔28300572〕
被告人を懲役2年6月に処する。
この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、合同会社Bの代表社員で、同社が経営する指定障害児通所支援事業所である放課後等デイサービス「C」において、自らも障害児の療育に携わっていたものであるが、同施設に通所していたA(その氏名は別紙記載のとおり)が18歳に満たない児童であることを知りながら、自己の立場を利用し、令和元年8月15日午後6時頃から同月16日午前11時頃までの間に、福岡県(以下略)の被告人方において、同児童(当時13歳)に自己を相手に性交させ、もって児童に淫行をさせる行為をしたものである。
(証拠の標目)
・被告人の公判供述、検察官調書(証拠等関係カード(乙)番号2)
・検証調書(証拠等関係カード(甲)番号1)、被害児童使用スマートフォンにかかる写真撮影報告書(写真フォルダ内画像)(同2)、捜査関係事項照会回答書(同3)、Aの検察官調書(同5。ただし、同意部分に限る。)
(法令の適用)
罰条 児童福祉法60条1項、34条1項6号
刑種の選択 懲役刑を選択
刑の全部の執行猶予 刑法25条1項
(量刑の理由)
 判示施設は、児童福祉法に基づき、県知事の指定を受け、障害のある児童を通所させて支援していた。被告人は判示施設の実質的経営者であった。被害児童は、小学5年生の時から判示施設に通い、被告人に宿題を見てもらうなどしていた。被告人は、被害児童が中学1年生の時に、被害児童に迫ってキスをした上、遅くとも被害児童が中学2年生になった春頃から、被害児童と性交をするようになり、その年の夏に本件犯行に及んだ。被告人は、何年もの間、被害児童から「先生」と呼ばれる立場にあったことを利用し、妻子がいるにもかかわらず、「好きだ」「愛している」などと甘言を用いて働きかけ、被害児童をその気にさせ、被告人との性交を重ねさせる中で本件犯行に及んだものであって、法律的にも道義的にも厳しい非難を免れない。被害児童は、心を深く傷付けられ、今も苦しんでおり、被告人に対する厳重処罰を希望している。本件は、児童福祉法の理念をないがしろにするものであって、実刑を求める検察官の論告にも理由がないわけではない。
 しかしながら、同種事案の量刑傾向を参照すると、学校の教諭による教え子1名に対する同様の犯罪行為について、刑の執行が猶予されているものが複数見受けられる。そこで、これを踏まえて本件における実刑選択の適否を判断するに当たり、その他の事情を見ると、被告人が事実を認めて反省の態度を示したこと、受領を拒絶されたとはいえ、150万円の被害弁償の申し出をしており、私選弁護人が弁論で今後も示談に向けた話し合いを継続する旨述べたこと、被告人に前科はなく、被告人の妻がこれからも被告人を支える旨述べたこと、犯行後起訴前に判示施設の経営から退いたことなどの事情があり、本件が同種事案の中で特に悪質性が高いものとまでは認められない。
 以上によれば、被告人に対しては、主文の懲役刑を科して、被害児童の心身の健やかな成長及び発達を大きく損なった責任の所在を明らかにするとともに、その刑の執行を5年間猶予し、社会内において反省と被害弁償の努力を伴う更生の機会を与えるのが相当である。
 よって、主文のとおり判決する。
(求刑 懲役2年6月の実刑
(弁護人の意見 執行猶予付き判決)
第1刑事部
 (裁判官 柴田寿宏)

刑法改正によって弁当切りはできなくなります。

 執行猶予中に別件を犯して公判を受けることになった場合、公判を慎重にすすめて執行猶予を経過させるという手法(弁当切り)がありましたが、新設された刑法27条2項によって、執行猶予が切れなくなりましたので、そういう手法は使えなくなります。

改正前
第二七条(刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果)
1 刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。

R4改正後(施行日は公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日。)

第二七条(刑の全部の執行猶予の猶予期間経過の効果)
1 刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
2 前項の規定にかかわらず、刑の全部の執行猶予の期間内に更に犯した罪(罰金以上の刑に当たるものに限る。)について公訴の提起がされているときは、同項の刑の言渡しは、当該期間が経過した日から第四項又は第五項の規定によりこの項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しが取り消されることがなくなるまでの間(以下この項及び次項において「効力継続期間」という。)、引き続きその効力を有するものとする。この場合においては、当該刑については、当該効力継続期間はその全部の執行猶予の言渡しがされているものとみなす。
3 前項前段の規定にかかわらず、効力継続期間における次に掲げる規定の適用については、同項の刑の言渡しは、効力を失っているものとみなす。
一 第二十五条、第二十六条、第二十六条の二、次条第一項及び第三項、第二十七条の四(第三号に係る部分に限る。)並びに第三十四条の二の規定
二 人の資格に関する法令の規定
4 第二項前段の場合において、当該罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないときは、同項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、当該罪が同項前段の猶予の期間の経過後に犯した罪と併合罪として処断された場合において、犯情その他の情状を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
5 第二項前段の場合において、当該罪について罰金に処せられたときは、同項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
6 前二項の規定により刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消したときは、執行猶予中の他の拘禁刑についても、その猶予の言渡しを取り消さなければならない。

弁当切りが封じられる理由は「執行猶予制度の趣旨は、執行猶予の言渡しの取消しによる心理的強制により改善更生、再犯防止を図ることにあるところ、犯罪の発生から判決が確定するまでに一定の期間を要することに照らすと、猶予の期間の満了が近づくにつれて、再犯に及んでも執行猶予の言渡しを取り消されない可能性が高まることとなり、執行猶予の趣旨、機能が全うできないことになりかねないところでございます。そもそも、先ほど申し上げた執行猶予制度の趣旨に鑑みれば、猶予されていた当初の刑を執行すべきかどうかを判断する上で重要なのは、再犯についての有罪判決が猶予の期間内に確定したことではなく、猶予の期間内に再犯に及んだことであると考えられます。そこで、今回の法改正では、刑の執行猶予期間の経過後にもその刑の執行ができるようにするものでありまして、これにより、猶予の全期間を通じて執行猶予の言渡しの取消しによる心理的強制により改善更生、再犯防止を図るという執行猶予制度の機能が十全に発揮されることになるものと期待しております。」と説明されています

https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120815206X01720220610/248
248 東徹
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○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 先ほどの刑法の一部を改正する法律案、これは成立いたしましたけれども、実はちょっと確認したいことがまだ何点かありまして、三点ちょっと確認をさせていただきたいと思いますので、お願いをいたします。
 再度の執行猶予についてお伺いをさせていただきます。
 今回の法改正で、保護観察付きの執行猶予中に再び罪を犯した場合でもまた執行猶予を付けることが可能となりました。保護観察付きの執行猶予中の再犯者の割合、これは令和二年で二三・六%でありまして、保護観察が付いていない執行猶予を受けている者よりも再犯率が高いということなんですね。
 今回の改正によって再犯率の高い者に更に執行猶予を付けられるようにすれば、また新たな犯罪が生まれてしまうのではないかというふうな思いもありますが、この点はどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
249 川原隆司
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○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 現行法上、保護観察付執行猶予中の再犯につきましては、再度の執行猶予を言い渡すことができず、いわゆる実刑に処さなければならないこととされております。その理由といたしましては、保護観察付執行猶予の仕組みが設けられた当時、裁判所の認定により、再犯のおそれがあり、適当な指導監督、補導援護を加える必要があるということで保護観察に付された者に、再び犯罪を犯した場合には重ねて執行猶予はできないこととするなどと説明されていたものと承知をしております。
 しかしながら、保護観察付執行猶予中に再犯に及ぶ事案には様々なものがございまして、再犯に及んだというだけで社会内処遇によることがおよそ不適当であるとは言えず、実刑に処するよりも改めて保護観察付執行猶予を言い渡して社会内処遇を継続する方が罪を犯した者の改善更生、再犯防止に資する場合もあると考えられるところでございます。
 そこで、今回の法改正におきましては、実刑に処するよりも社会内処遇を継続する方が改善更生、再犯防止に資するという場合に限って、裁判所の判断により再度の保護観察付執行猶予を言い渡す余地を残す趣旨で、保護観察付執行猶予中の再犯についても再度の保護観察付執行猶予を言い渡すことができるようにするものでございます。
 その上で、今回の法改正におきましては、再度の保護観察付執行猶予を言い渡された者に対する保護観察につきましては、再犯に結び付いた要因の的確な把握に留意して実施しなければならず、保護観察所の長は、保護観察の開始に際し、再犯に結び付いた要因を的確に把握するため、少年鑑別所の長に対し、再保護観察付執行猶予者の鑑別を求めることとするなどの特則を設け、その改善更生、再犯防止に万全を期することとしているものでございます。
 したがいまして、保護観察付執行猶予中の再犯につき、再度の保護観察付執行猶予を言い渡すことができるようにしたからといって、実際に再度の保護観察付執行猶予を言い渡された者が再犯に及ぶおそれが更に増大するものとは考えていないところでございます。
250 東徹
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○東徹君 次、現在の仕組みでなんですけれども、単純な執行猶予中に再び罪を犯した場合に、更にこれ執行猶予が付けることができますね。二度目の執行猶予の際にまた罪を犯してしまった人の割合、これ法務省は何か把握していないというふうに聞いておるんです。二度目の執行猶予の制度が新たな犯罪を生んでいないのかどうか、これ検証するためにはこの数字というのは把握しておく必要があるんではないかと思いますが、いかがですか。
251 宮田祐良
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○政府参考人(宮田祐良君) お答え申し上げます。
 現在、保護観察付全部執行猶予者の成り行きを見るということで、再処分率、保護観察を終えた者の中で刑事処分に付された者、起訴猶予の処分も含みますけれども、そういった者の占める比率を再処分率ということで把握しておりまして、毎年把握しておりますものを毎年公表しているところでございます。
 今回新たな制度になりますと、保護観察付全部執行猶予中の者の再犯によって再度の保護観察付執行猶予も付されると、保護観察付全部執行猶予が二つ持つような新たなケースも生まれるということもございますので、施策の有効性を確認する観点から、どのようなデータを把握するかも含めまして、効果検証の在り方についてはしっかり検討していきたいと思います。
252 東徹
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○東徹君 そこは必要なんじゃないですかねというふうに思うんですね。
 単純な執行猶予中に再び罪を犯した場合にこれ執行猶予を付けることができる。二度目の執行猶予の際にまたこれ罪を犯してしまった人の割合、僕はやっぱりここもきちっとデータとして把握しておかないと、今回のことも含めてやっぱり議論しづらいなと、こう思ったので、これを聞かせていただいたということです。
 もう一点、法務省から事前にこれ確認したところでは、例えば窃盗などで保護観察付きの執行猶予中の者が自動車の運転中、過って人をはねてけがをさせてしまった場合、これ業務上過失傷害罪に問われる可能性がありますが、過失犯なのに執行猶予を付けられないのはどうしたものかと。まあ、判断があるというふうに聞いております。であるならば、過失犯だけに限定して二回目の執行猶予を付けるようにしたらどうなのかなと思うんですけれども、その点についてはいかがだったんでしょうか。
253 川原隆司
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○政府参考人(川原隆司君) 委員御指摘の改正は、保護観察付執行猶予中の再犯については実刑に処すべきものとされてきたことを踏まえた上で、保護観察付執行猶予中に再犯に及ぶ事案には様々なものがあり、実刑に処するよりも保護観察付執行猶予を言い渡して社会内処遇を継続する方が罪を犯した者の改善更生、再犯防止に資する場合があることから、こうした場合に限り裁判所の判断により再度の保護観察付執行猶予を言い渡す余地を残そうとするものでございます。このような趣旨は、再犯が過失犯である場合だけでなく、故意犯である場合にも妥当し得ると考えられるところでございます。
 もとより、個別の事案ごとの裁判所の判断によることとなるところでございますが、例えば法制審議会の部会における議論では、故意犯である薬物使用の罪で保護観察付執行猶予中の者が薬物再乱用防止プログラムを熱心に受講し、薬物の使用を絶っていたものの、プログラム修了前に衝動的に薬物を使用してしまい、その直後に真摯に反省して自首した事案が挙げられているところ、このような事案において、保護観察付執行猶予を言い渡して社会内処遇を継続する方が罪を犯した者の改善更生、再犯防止に資すると判断される場合には裁判所が再度の保護観察付執行猶予を言い渡すことを可能にすることが必要であると考えられるところでございます。そのため、本制度の対象犯罪を過失犯に限定することとはしていないところでございます。




https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120815206X01620220607/47
047 安江伸夫
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○安江伸夫君 大変参考になる御意見、ありがとうございました。
 済みません、今井参考人にもう一問御質問させていただきたいと思いますが、今回、再度の執行猶予についての適用範囲が長くなります。一年から二年にということであります。これは、例えば三年までという検討もあったかというふうに思いますけれども、今回二年という枠に落ち着いたその背景について御意見を賜ればと思います。
048 今井猛嘉
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参考人(今井猛嘉君) そこは、恐らく現状認識によるのだろうと思います。
 一年、二年、三年、そういう選択肢は紙の上ではできるのでございますけれども、再度の執行猶予というのはなかなか例外的なものでありますし、その際に、初度の執行猶予が守れなかった人々に対する対処としては、執行猶予の効果を期待してはいますけれども、そう簡単に認められるものなのかなという現状認識もあったところで二年になったのではないかと思います。
 ですから、これも広い意味ではデータベースの考慮の働いた結果だと理解しております。

https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120815206X01520220602/18
018 清水真人
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○清水真人君 一番の目的は、しっかりと矯正処遇に生かしていくということでありますし、受刑者の立ち直りにつなげていくということであると思いますから、どのような形がベストなのかということについては速やかに判断をして検討を進めていただきたいということを要望したいと思います。
 続いて、執行猶予の拡充についてお伺いをいたします。
 ちょっと一点飛ばしまして、現行法上、執行猶予期間中に再犯を犯した場合について、その執行猶予期間中に罰金以上の有罪確定しなければ刑の言渡しの効力が失われるわけでありますが、改正案では、再犯した罪の有罪が確定するまでに先に犯した罪の執行猶予期間が終わっても、執行猶予期間中に公訴がされていれば、なされていれば効力継続期間となり、刑の言渡しについて効力が続くこととされているところでありますが、この改正によりどのような効果が生まれると期待をしているのか、お伺いいたします。
019 川原隆司
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○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 現行法上、執行猶予の期間内に再犯に及んだことに基づいて執行猶予の言渡しを取り消すためには、猶予の期間内に有罪判決が確定することが必要とされております。
 もっとも、執行猶予制度の趣旨は、執行猶予の言渡しの取消しによる心理的強制により改善更生、再犯防止を図ることにあるところ、犯罪の発生から判決が確定するまでに一定の期間を要することに照らすと、猶予の期間の満了が近づくにつれて、再犯に及んでも執行猶予の言渡しを取り消されない可能性が高まることとなり、執行猶予の趣旨、機能が全うできないことになりかねないところでございます。
 そもそも、先ほど申し上げた執行猶予制度の趣旨に鑑みれば、猶予されていた当初の刑を執行すべきかどうかを判断する上で重要なのは、再犯についての有罪判決が猶予の期間内に確定したことではなく、猶予の期間内に再犯に及んだことであると考えられます。
 そこで、今回の法改正では、刑の執行猶予期間の経過後にもその刑の執行ができるようにするものでありまして、これにより、猶予の全期間を通じて執行猶予の言渡しの取消しによる心理的強制により改善更生、再犯防止を図るという執行猶予制度の機能が十全に発揮されることになるものと期待しております。




法制審議会の議論も少年法と並行して行われたので注目されませんでしたね

法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者 処遇関係)部会第1分科会第1回会議配布資料
https://www.moj.go.jp/content/001236213.pdf
執行猶予期間中の再犯について,執行猶予期間経過後であっても一定の
条件の下で取り消し得るものとすること


https://www.moj.go.jp/content/001243803.txt
法制審議会
少年法・刑事法
(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会
第1分科会第3回会議 議事録
○橋爪幹事 意見要旨4番の点について,若干思うところを申し上げたいと存じます。
  以前から何度も申し上げておりますけれども,執行猶予の取消しの問題につきましては,執行猶予期間中に再犯を犯したという事実が決定的でありまして,判決の確定の時期それ自体は,あまり意味があることではないと思います。具体的には執行猶予期間中に再犯を犯し,かつその事実について執行猶予期間中に公訴提起が行われた場合については,判決確定が執行猶予期間経過後であっても,執行猶予を取り消し得るような制度を設ける可能性については検討する必要があると考えております。
  もっとも,公訴提起が行われましても,判決確定までは無罪推定原則が及んでおりますので,無罪推定原則との関係で,公訴提起を要求する点については理論的な検討が必要であると個人的には考えておりまして,第1回の分科会でもその旨申し上げたところでございます。
  その点について,私なりに改めて考えてみたのですけれども,次のような理解からは,正当化が可能であるように思われますので,若干思うところを申し述べたいと存じます。
  飽くまでも執行猶予の取消しにおきましては,執行猶予期間中に再犯を犯したという事実,そして,その事実が執行猶予期間の経過の前後を問わず,刑事裁判において認定され,確定したという事実が決定的に重要であるように思われます。
  したがいまして,理論的には,執行猶予期間中に公訴の提起があったことは,本来要件とする必要がないはずです。しかしながら,この要件を外しますと,執行猶予期間中の再犯については,公訴時効が完成しない限り,いつになっても執行猶予が事後的に取り消される可能性が残ることになりますので,対象者の法的地位が極めて不安定になります。
  そこで,言わば政策的な観点から,時間的な限定を設定すべく,執行猶予期間中に公訴の提起があったことを要件とするという理解が考えられるように思われます。つまり,本来必要でないところを,政策的な観点,あえて申しますと,対象者に対する恩恵的な観点から要件を科すと考えますと,無罪推定原則との関係で抵触は生じないと考える余地があるように思います。








「刑の全部の執行猶予制度の在り方」についての意見要旨
https://www.moj.go.jp/content/001240191.pdf
4 執行猶予期間経過後の執行猶予の取消し
○ 執行猶予中の再犯について,再犯事件の判決確定が執行猶予期間経過後であっても,一定の条件の下で取り消し得るものとするべきではないか。
○ 執行猶予期間経過後に執行猶予を取り消し得るものとすることについて,理論面からの検討が必要。
○ 保護観察付き執行猶予を執行猶予期間経過後に取り消した場合には,経過した執行猶予期間分を考慮して早期に仮釈放を認める仕組みとするべきではないか。




法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会第1分科会第4回会議配布資料
https://www.moj.go.jp/content/001246043.pdf
第4 猶予期間経過後の執行猶予の取消し
考えられる制度の概要
刑の全部の執行猶予の期間内に更に罪を犯した場合について,猶予期間経過後であっても,執行猶予の言渡しを取り消して刑を執行することができるものとする。
【検討課題】
○ 必要性
○ 要件
・ 他の罪について有罪判決が確定したこと
・ 猶予の期間内に公訴が提起されたこと
・ その他
○ 猶予期間経過の効果(刑法第27条)との関係
○ 執行猶予の取消しの在り方
・ 必要的取消しとするか裁量的取消しとするか
○ 併せて以下の仕組みを設けるか否か
・ 刑の一部の執行猶予(刑法第27条の2),仮釈放(刑法第28条)の期間内に更に罪を犯した場合,期間経過後であっても同様に刑を執行することができる仕組み
・ 猶予期間経過後に執行猶予を取り消した場合には,(経過した)猶予期間分を考慮して早期に仮釈放を行う仕組み


https://www.moj.go.jp/content/001251519.txt
法制審議会
少年法・刑事法
(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会
第1分科会第4回会議 議事録
 それでは次へいきまして,「第4 猶予期間経過後の執行猶予の取消し」について意見交換を行いたいと思います。
  この制度については,検討課題の項目数が多いので,まずは「必要性」と「要件」,「執行猶予期間経過後の効果との関係」について意見交換を行い,その後に残りの検討課題について意見交換を行いたいと思います。では,「必要性」と「要件」,「猶予期間経過の効果との関係」について御意見がある方は挙手をお願いいたします。
○加藤幹事 第4の検討課題のうち,「必要性」と「要件」の点について申し上げたいと思います。
  まず,考えられる制度の概要に書いてあるような仕組みの必要性としては,端的に執行猶予の期間内に罪を犯した場合に,裁判の確定時期によっては執行猶予が取り消せなくなるという事態を解消する必要があると考えられることによると思っています。
  また,次の要件については,これまでの分科会において御意見が述べられていましたように,再犯を理由とする執行猶予の取消しにおいて実質的に重要なのは,執行猶予の期間内に罪を犯したという事実であり,かつ,そのことが裁判において認定確定されたことなので,その有罪判決の確定が執行猶予期間経過後であっても執行猶予を取り消すものとすることが考えられることになろうと思われます。
  もっとも,執行猶予が取り消され得る状態が余りに長期にわたることによって執行猶予者の地位が著しく不安定となることは防止しなければなりませんので,政策的に執行猶予を取り消すための時的限界を画する条件を設ける必要があろうと思われます。
  そして,その再犯について猶予の期間内に公訴提起がなされることを要するものとすれば,そういった要請を満たすこともできると考えられますので,そのような要件を設けるのが相当ではないかと考えます。
○今井委員 ただいまの加藤幹事とほぼ同じ意見でございますが,「必要性」については重なりますので割愛させていただきまして,「要件」の点で,少し意見を申し上げたいと思います。
  今御指摘もありましたように,このような制度を作ることは必要だと思いますけれども,他方で対象となる方を,いつか執行猶予の言渡しが取り消されるのだろうかという不安定な状態に長期間置いておくことは相当ではないと思います。
  そこで考えられますのが,裁判所あるいは検察官の主導によりまして,このような結果を導くという制度なのであります。例えば裁判所が執行猶予を取り消すことができるという期間を制限するということは,理屈の上では考えられるわけですけれども,先ほど福島幹事からも一般的なお話があり,私も,執行猶予の当否等を考えるのは極めて個別の事案に即した判断であろうと思いますので,裁判所が執行猶予を取り消すことができる期間を一律に制限してしまうということは適切ではないと思われます。
  そもそも執行猶予の取消しは,裁判所の職権判断によるものではなく,検察官の請求に基づいて行われているものですから,検察官がそのような請求をできる期間を一定のものに限定することによって,対象者の方をいつまでも不安定な状態に置くことを回避するのが,現行法を踏まえた上での考えられる制度ではないかと思います。そのような形で検討されてはどうかと思うところでございます。
○橋爪幹事 私の方からは3点目ですが,猶予期間経過の効果の関係で1点申し上げたいと存じます。
  刑法第27条との関係が重要な問題になってくるかと存じます。刑法第27条によれば,執行猶予期間の経過によって,刑の言渡しは効力を失うことになっておりますので,猶予期間中に公訴が提起されても,有罪判決の確定に至らない場合については,猶予期間の経過をもって刑法第27条が適用されまして,刑の言渡しは効力を失います。このように,刑の言渡しが一旦効力を失ったにもかかわらず,その後,有罪判決の確定によって執行猶予を取り消すことが理論的に可能かということが問題になると思われます。
  この点につきましては,既に本分科会の第1回の会議で,改正刑法草案に係る法制審議会刑事法特別部会の議論におきまして二つの方向の議論があったことの御紹介があったかと存じます。すなわち,第1に執行猶予期間の満了によって,一旦刑の言渡しの効果は消滅するが,執行猶予の取消しによって,これが復活するという考え方。第2に,公訴提起によって執行猶予期間が延長されるという考え方でございました。この点につきまして,私なりに更に考えたことを申し上げたいと存じます。
  まず,後者の理解でございます。公訴提起によって猶予期間が延長するという理解でございますが,やはり公訴提起の段階においては,無罪推定が及ぶ以上,公訴提起を根拠として執行猶予期間の延長という不利益処分を科すことを正当化することは困難であると考えます。
  では,前者のように執行猶予期間経過後であっても,執行猶予の取消しによって刑の言渡しの効力が復活するという理解が可能でしょうか。これについては,一旦効力を失ったものが事後的に復活するという説明に若干の違和感はありますが,刑法第27条は執行猶予期間中に公訴提起された事件について,有罪判決が確定しないことを前提とした,言わば条件付き,留保付きの規定であると考えた上で,かつその旨の明文の規定を置くのであれば,一旦効力を失った刑が事後的に復活するという説明も可能であるようにも思います。もっとも個人的には次のような説明も可能であるように思いますので,問題提起としてこの機会に申し上げたいと存じます。
  言わば,刑法第27条の趣旨を限定する解釈です。すなわち刑法第27条は,刑の言渡しに伴う不利益の解消に向けられた規定,具体的には刑法第25条第1項第1号の該当性を否定し,また資格制限の効果を否定するための規定であって,有罪判決に基づく刑の執行可能性それ自体を全面的に排除する規定ではないという理解です。
  このような理解によれば,執行猶予期間が満了したとしても,それは執行猶予の取消しがない限りにおいては,刑が執行されることがないことを意味するにすぎないことから,事後的に有罪判決が確定した場合については,刑法第27条の規定にかかわらず執行猶予を取り消し,刑を執行することが可能になると思われます。すなわち,刑の執行を受けることがないという法的効果は,執行猶予期間の経過だけではなく,執行猶予の取消しがあり得ないという事態が確定した場合に,初めて生ずるという理解です。
  やや技巧的な印象もございますけれども,理論的にはこういった説明も十分に可能であると考える次第です。
  ただ,この場合には,刑法第27条の規定形式,内容について修正が必要ではないかという点も問題になるようにも思われますので,一つの考え方として,この機会にあえて申し上げる次第です。
○佐伯分科会長 「必要性」,「要件」,それから「猶予期間経過の効果との関係」について,ほかにはいかがでしょうか。
  それでは,今の三つの項目以外の検討課題について御意見がある方は挙手をお願いいたします。
○青木委員 そもそも,このような必要性がないとは言いませんけれども,こういう制度がいいのかどうかということに関しては,それこそかつての議論でもいろいろ問題があったところだろうと思いますので,それの良し悪しはちょっと置いておいての話なのですけれども,必要的取消しか裁量的取消しかという点に関してですけれども,そもそも再犯の場合に必要的取消しである必要があるのかというのも,本来は考えるべきところなのだろうと思います。平野先生が書かれている本などを読みましたところ,必ずしも猶予されていた刑の執行をしない法制もあるということが書かれておりまして,これでいいますと執行猶予中の再犯は刑務所,施設収容になるとしても,執行猶予は取り消さずにその部分に関して,例えば猶予期間が残っていた場合には,猶予の残期間がその刑期より長いときには出所後に施設外処遇をすることもできるのではないかというようなことを,平野先生が述べられているのです。
  それをそのままとることはどうなのかなと,理屈の上でもどうなのかなと思いますけれども,必ずしも必要的取消しと,そもそも期間経過後に限らず再犯の場合に必要的取消しとしないで,先ほどの申し上げたこととも絡むのですけれども,仮に取り消したとしても,全部実刑にして,その期間全部服役しなければならないという制度ではなくて,例えばその一部を免除するとか,あるいはその一部について執行猶予にするとか,それは今の一部執行猶予のように,施設収容の後に執行猶予するという意味ですけれども,そういう制度もこの際考えたらどうかということを,ちょっと平野先生の書かれたものを読んで思いました。
  と申しますのは,先ほども申し上げたのですけれども,そもそもの執行猶予制度というのは,施設収容による弊害をなくすという側面ももちろんあったわけで,ただそれがうまくいかないから施設に収容するということなのでしょうけれども,その収容期間が非常に長くなってしまうと,ますます社会復帰しにくくなるという側面があるわけです。
  そういうことを考えますと,再犯防止という観点で考えたとして,全部について実刑にして,取り消した上でもう一回刑務所に入れ直すと言うと変ですけれども,特に猶予期間経過後に確定するような件は,一定程度その猶予期間が経過しているのでしょうから,その上でさらにその実刑の刑期を務めさせて,なおかつその再犯についての刑期も務めるということになると,ある程度長期になってしまうということ。それと,先ほど申し上げました保護観察付き執行猶予だった場合には,実質的に不利益を受けているということなども考えて,早期に仮釈放を行うという以上に,一部免除するなり,先ほど申し上げましたように,一部執行猶予にするなりというような形で,それを理屈付けると,そういう形で取り消した後の効果をそういう形にするというようなことを考える必要もあるのではないかと思いました。
  そういうこととセットで,この猶予期間経過後の取消しもすると,取消しもできるという制度というのは検討する必要があるのではないかと思いました。
○今井委員 今の青木委員の御発言,大変興味深く伺ったのですが,私も平野先生の御趣旨を,全部理解しているわけではないのですが,現在は,当時と比べて,施設内処遇における処遇方法の科学性や客観性,つまり諸科学を使った処遇の方法がかなり違ってきていることを踏まえる必要があろうかと思います。青木委員の言われることは,理屈としては分かるのですけれども,仮に必要的取消しをして施設内処遇に戻したとしても,そこからまたそのような経緯を経た人であることを踏まえて個別な指導がなされるので,必ずしもそのような御説だけが妥当するのではないのでは,と思います。
  その上で,現行法の枠組みを踏まえますと,私はどうも必要的取消しの方が筋が合うのではないかと思います。どういうことかと申しますと,現行法では今青木委員からもお話がありましたように,猶予期間内に禁錮以上の刑に処せられた場合には,執行猶予が必要的に取り消されます。そして再犯を理由とする執行猶予の取消しにおいて,実質的に重要なのは,これまでも何度も議論されておりますし,合意があると思いますけれども,猶予期間内に罪を犯したという事実であるということを踏まえますと,再犯については有罪裁判の確定時期が猶予期間経過の前後いずれかによって,結論を異にするというのは合理的ではないように思います。
  実質的にも,先ほどその要件のところで議論がありましたけれども,猶予期間内の公訴提起を要件とする限りは,その後有罪判決が確定するまで長期間を要するわけではないと思われますので,執行猶予の取消しまでに執行猶予者を苛酷なあるいは不安定な状況に置くことは回避できるのではないかと思います。また,様々な刑事政策的な考慮を踏まえて裁量的取消しをするという制度を考えた場合ですけれども,執行猶予が取り消されるか否か,あらかじめ明らかではありませんし,猶予の期間内の再犯について,量刑を行う裁判所としても執行猶予が取り消されるかどうか,いずれを想定して量刑を行ってよいか,判断を迷われるのではないかなとも思われるところであります。
  そこで,私としては猶予期間満了間際に罪を犯した者については,裁判所が再犯の量刑を決める際の情状として考慮するということにして,他は現行の制度に合わせるのがよいのではないかと思うところです。
○青木委員 先ほどちょっと二つのことを一度に申し上げてしまったので,必要的取消しか裁量的取消しかというのは,今のお話はそれで分かりました。一方で,取り消したとした場合に例えばその刑を一部免除するとか,そういうことについては,また一方で今の話とは別に検討したらいいのではないかと思います。一部免除というのは完全にその部分がなくなってしまうわけですけれども,場合によったら,その後の議論に絡みますけれども,社会内処遇,ソフトランディングのために社会内処遇が必要だというようなことも考えますと,その部分,免除してしまうのではなくて,むしろ一部執行猶予にして,社会内処遇として付するというようなこともあり得るのではないかと思っております。
○加藤幹事 まず,今青木委員が補足してというか,付け加えておっしゃった点で,恐らく青木委員は最初に御発言になったときに,執行猶予の取消しの問題については,執行猶予期間経過後の問題だけではなくて,本来執行猶予を取り消す場合にどういう制度であるべきかというお考えからの御発言になったものだと受け取ったのではありますが,一方で第4のテーマとの関係で,執行猶予期間経過後に執行猶予を取り消すことになる場合と,執行猶予期間中に,その執行猶予を取り消すことになる場合で,その二つの間に執行猶予を取り消した場合の効果に違いを設ける必要があるかという観点で見ますと,そこを区別する合理性はないのではないか。恐らく今井委員も同趣旨のことをおっしゃっていたと思われますが,それはそのように考えるべきではないかと思われます。
  むしろ,執行猶予の期間を経過したことによって,同じく執行猶予期間中に再犯を犯しているにもかかわらず,取り消されるか取り消されないか,あるいはその取り消した後の効果に相違を設けるかどうかという点に,差を設ける合理性はないのではないかと考えるところでございます。
  それからもう一つ,検討課題の「○」の四つ目,「併せて以下の仕組みを設けるか否か」というところの最初の「・」ですが,再犯を理由とする執行猶予の取消しにおいて,実質的に重要なのは,その執行猶予の期間内に罪を犯して,かつ,そのことが裁判によって確定認定されたという事実であるということだということが,繰り返し指摘されています。実はそのことは,刑の全部の執行猶予であっても,刑の一部の執行猶予であっても同様なのではないかと考えられるところであります。
  また,再犯を理由とする仮釈放の取消しについても,実質的に重要なのは,仮釈放の期間内に罪を犯して,かつそのことが裁判によって認定確定されたということではないかと考えられます。
  そのように考えていきますと,一部執行猶予あるいは仮釈放についても,今ここで刑の全部執行猶予について議論されているのと同じ問題が生ずるのではないか。すなわち,その期間内について,さらに罪を犯した場合に全部執行猶予の場合と同様に,期間経過後であっても刑を執行することができる仕組みを設けるかどうかということについて,全部執行猶予の場合との共通点,相違点を踏まえて,どのように整理するのが合理的かということを今後議論する必要があるのではないかと考えます。
  今のところどうしたらよいかという結論めいたものについて意見が申し上げられる状態にないのでありますが,議論は必要なのではないかと考えている次第です。
○青木委員 また,補足なのですけれども,前に猶予期間経過後の執行猶予の取消しに関して全て経過した後だということになると,二重処罰というのがより言いやすくなる,言われやすくなるというような趣旨の発言をしたかと思いますけれども,それはそれであると思うのですが,先ほど申し上げました取り消した場合に,全てその部分を実刑として科すかどうかという問題に関しては,確かに猶予期間経過後の取消しなのか,どうなのかによって変わる必要もない話だと思いますので,検討できるとすれば,ある程度猶予期間を経過した後に取り消された場合に,その猶予期間をどう見るかとか,あるいは実刑期間が長くなってしまうことによる社会復帰が困難になるというようなことをどういうふうに見るかとか,そういう観点で,その取り消した場合に全部実刑しかあり得ないという制度の見直しというのは,執行猶予期間経過後の取消しに限らず検討した方がよい課題だと思っております。
○橋爪幹事 ただいまの青木委員の御指摘でございますけれども,確かに猶予期間のほとんどの期間を無事に過ごしていながら,最後の最後になって初めて再犯を犯したというケースにつきましては,本人が更生に向けて頑張ったことをある程度有利にしんしゃくする必要はあると思うのです。ただ,それは論点第1,第2で既に検討しましたように,再度の執行猶予を付するべきかという観点から検討が可能であるような印象を持ちました。
  さらに,先ほど今井委員の方から御指摘がございましたように,執行猶予期間中の再犯について実刑を科す場合については,執行猶予期間中の本人の改善更生に向けられた努力を,一定の限度では,量刑判断として有利にしんしゃくすることは十分に可能であるような気がいたしますので,特別な措置,仕組みを設けることにつきましては,いささか屋上屋を重ねるような感覚がございまして,やや消極的な印象を持ってございます。
○佐伯分科会長 ほかにはいかがでしょうか。






https://www.moj.go.jp/content/001246043.pdf
法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者 処遇関係)部会第1分科会第4回会議配布資料
第4 猶予期間経過後の執行猶予の取消し
考えられる制度の概要
刑の全部の執行猶予の期間内に更に罪を犯した場合について,猶予期間経過
後であっても,執行猶予の言渡しを取り消して刑を執行することができるもの
とする。
【検討課題】
○ 必要性
○ 要件
・ 他の罪について有罪判決が確定したこと
・ 猶予の期間内に公訴が提起されたこと
・ その他
○ 猶予期間経過の効果(刑法第27条)との関係
○ 執行猶予の取消しの在り方
・ 必要的取消しとするか裁量的取消しとするか
○ 併せて以下の仕組みを設けるか否か
・ 刑の一部の執行猶予(刑法第27条の2),仮釈放(刑法第28条)の期
間内に更に罪を犯した場合,期間経過後であっても同様に刑を執行すること
ができる仕組み
・ 猶予期間経過後に執行猶予を取り消した場合には,(経過した)猶予期間
分を考慮して早期に仮釈放を行う仕組み

薬物利用の準強制わいせつ罪の量刑相場について(高裁某支部)

 原審の執行猶予判決が検察官控訴で実刑になっています。

罪となるべき事実
被告人は、Aに対して睡眠作用を有する薬物を飲用させ抗拒不能に乗じてわいせつ行為しようと企て
被害者方において、 薬品名を含有する薬物混入した飲料のませて抗拒不能に乗じて 両乳房もんだ(準強制わいせつ罪)

高裁支部
薬物利用は意識を完全に喪失させる点で、わいせつ行為が実現される危険性が極めて高く 準強制わいせつ罪の中でも特に悪質性が高い類型である
行為は~~という点で性的自由を侵害する程度も相応に重い
執行猶予に相当する相応の事情が無い限り実刑にすべき事案
薬物利用の準強制わいせつ罪はh20~h30で18件あって明確な量刑傾向は見いだせないし、9件は実刑であった