児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年にたばこを与えた疑いで逮捕

 淫行等「これらの行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益若しくは便宜を供与した」という疑いだと思われます。
 淫行目的の場合は児童買春罪になると思いますが

沖縄県青少年保護育成条例
(有害行為のための場所提供又は周旋の禁止)
第18条 何人も、次に掲げる行為が青少年に対してなされ、又は青少年がこれらの行為を行うことを知って場所を提供し、又はその周旋をしてはならない。
(1) みだらな性行為又はわいせつな行為
(2) 薬品類等を不健全に使用する行為
(3) 大麻、麻薬又は覚せい剤の使用
(4) とばく、飲酒又は喫煙
(5) 入れ墨を施す行為
(6) 暴行、脅迫又は恐喝


(非行助長行為の禁止)
第18条の2
1 何人も、青少年に対し、前条各号に規定する行為、道路交通法昭和35年法律第105号)第68条(共同危険行為等の禁止)に規定する行為若しくは家出を行うよう勧誘し、あおり、そそのかし、若しくは強制し、又はこれらの行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益若しくは便宜を供与してはならない。

第22条
1第17条の2第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第18条の2第1項の規定に違反した者(第18条第1号、第2号若しくは第3号に規定する行為、道路交通法第68条に規定する行為又は家出に係る違反をした者に限る。)

5 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(6) 第18条の2第1項の規定に違反した者(第18条第4号、第5号又は第6号に規定する行為に係る違反をした者に限る。)

沖縄県青少年保護育成条例逐条解説書 平成29年3月
〔要旨〕
本条は、青少年に非行若しくは共同危険行為、家出を行うことを勧誘したり、非行集団に加入すること等を勧誘、強制する等の非行助長行為を禁止することにより、青少年の保護又は非行集団化することを防止しようとする規定である。
〔解説〕
1 本条は、心身とも未熟で成長途上にある青少年に対する非行助長行為を禁止し、刑法その他の関係法令では規制し得ない反社会的行為から青少年を保護しようとするものである。
2 「何人」の意義については、第9条解説参照
3 「勧誘」とは、青少年に対し自己の欲するとおりのある種の行為を行うように勧めることをいう。
4 「あおり」とは、特定の行為を実行させる目的をもって、文書、図画、又は言動によって青少年に対し、その行為を実行する決意を生ぜしめ、又は既に生じている決意を助長させるように勢いのある刺激を与えることをいう。
5 「そそのかし」とは、青少年をして特定の行為を実行させる目的をもって、おだてたり甘言を用いて同人等にその実行の決意を生ぜしめるに足りる行為を行うことをいい、その実行行為にでる危険性がある限り、現に実行の決意を生じたかどうかを問わない。

未成年の女子生徒にわいせつ、たばこを与えた疑い 27歳男を逮捕 沖縄署
11/10(水) 10:04配信
 沖縄署は9日、本島中部に住む未成年の女子生徒にわいせつな行為をし、たばこを買い与えたとして、県青少年保護育成条例違反(わいせつな行為、非行助長行為)の容疑で南城市佐敷の自称型枠作業員の男(27)を逮捕した。同署によると、男は容疑を一部否認している。
琉球新報社

9歳だった女子児童に裸の画像を撮影させて送信させる行為はわいせつ行為(刑法176後段)か?

9歳だった女子児童に裸の画像を撮影させて送信させる行為はわいせつ行為(刑法176後段)か?
 わいせつと評価されるのは「撮影させ」までだそうです。

参考文献
研修(令3.6,第876号)研修の現場から………オンラインで,児童を裸にさせ,動画《撮影させた行為について,強制わいせつ罪で処理した事例
参考判例
 京都地裁r02.2.3
 大阪高裁r3.7.14

9歳女児わいせつ疑い元力士再逮捕 事件当時は「」のしこ名で現役
[2021年11月11日14時47分]
小学4年の9歳だった女子児童に裸の画像を撮影させて送信させたとして、警視庁少年育成課は11日までに、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、元力士の無職容疑者(21)を再逮捕した。事件当時は「」のしこ名で現役の力士だった。
同課によると、容疑者は昨年9月、動画作成アプリを通じ女子児童と知り合った。自身を中学1年の12歳と偽り、LINE(ライン)で裸の画像を送るよう要求したとされる。女子児童は顔が写っていない画像を送ったが「裸の画像を他人に送る。顔が入った画像を送れ」などと脅され、さらに送信したという。
再逮捕容疑は昨年9、10月ごろ、裸の画像を撮影させるなどのわいせつな行為をし、自身のスマートフォンに送信させた疑い。
容疑者は、小学6年の11歳だった別の女子児童に裸の画像を撮影させたなどとして、今年9月に両容疑で逮捕、起訴されている。(共同)

送らせる製造罪の既遂時期について、犯人到達時説

 送らせる製造罪の既遂時期について、犯人到達時説
 今度主張してみる。

星景子「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号に該当する姿態を児童自らに撮影させ、その画像を同児童の携帯メールに添付して・・・」研修720号
3 児童ポルノ製造罪の既遂時期と罪数
(1) 問題の所在
本事例では,被害児童の姿態の画像が視覚により認識可能になる時点として.
1 画像データが被害児童の携帯電話のメモリに記憶された時点
2 プロバイダー会社のサーバーの被告人が使用する領域に画像データが記憶された時点
3 前記サ-バーからダウンロードした画像が被告人のパソコンのハードディスクに記憶された時点
が考えられるところ.法7条3項の児童ポルノ製造罪が既遂に連するのはどの時点であろうか。
既遂時期については事案ごとの証拠関係によっても異なるであろうが.本事例に限って言えば,1の時点では,画像データは被害児童自身の携帯電話のメモリにとどまっている上被告人は被害児童と電話で連絡をとって指示しているだけで.画像データが記憶された携帯電話のメモリがある場所にはいないのであるから・画像データは末だ被告人が視覚で認識可能な状態にはなっておらず,流通する危険が生じたとも言えないので.既遂には至っていないというべきであろう。
しかし,2の時点では,被告人はいつでも画像データを視覚で認識しうるに至っているので・本事例では②の時点で製造罪が既遂に達したととらえるべきである

瀧本京太朗「いわゆる『自画撮り』行為の刑事規制に関する序論的考察(1)―児童ポルノの自画撮りを題材として
第2項 自画撮り規制の早期化に向けた動き
 さらに近時は、自画撮り被害を未然に防ぐための動きも見られる。
 裁判実務上、犯人児童に自画撮りを行わせた後、その画像や動画を犯人のパソコンや携帯電話等に送信させた場合は、犯人には児童ポルノの「姿態をとらせ」製造罪(7条4項)が成立するとされてきた。しかし、同罪には未遂犯処罰規定が存在しないため、実際に犯人の下に画像等が送信されなければ処罰対象とはならない。
そこで、児童の保護を万全なものとするためには、児童に対して自画撮りを行うことを勧誘することをも規制すべきという観点の下で、平成29年2月に開催された第31期東京都青少年問題協議会第1回総会において、東京都知事から「児童ポルノ等被害が深刻化する中での青少年の健全育成について」が諮問された。そこでは、児童ポルノの自画撮り被害が深刻化している現状を踏まえ、自画撮りの悪質な働きかけを条例上規制することなどを検討することが要求されている。そして、数度の専門部会が開催された後、同5月には緊急答申が示され、児童ポルノの自画撮りを一定の態様で勧誘する行為を処罰対象とする、新たな構成要件を設けるべきとの記述が盛り込まれたのである10。

青少年をめぐる課題 総合調査報告書 髙山善裕「SNS の利用に起因する児童の性被害の現状と対策―自画撮」 digidepo_11643611_po_20200305.pdf
(1)現行法上の対応
(ⅰ)児童買春・児童ポルノ
児童買春・児童ポルノ法第7 条では、児童ポルノ(29)やその電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの)の所持(保管)、提供、製造等を禁止している(30)。
このうち、自画撮り被害に関連する規定として同条第4 項(姿態をとらせ製造罪)があり、「児童に第2 条第3 項各号(31)のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者」を罰するとしている。「姿態をとらせ」とは、行為者の言動等により、当該児童が当該姿態をとるに至ったものであり、強制によることは要しない。また、「製造」とは児童ポルノを作成することであり、児童買春・児童ポルノ法の立法関係者は、複製が除外されるとする一方(32)、最高裁判所において、複製(二次製造)されたものも児童ポルノの製造に該当すると判示した事例がある(33)。さらに、裁判実務上、児童に自画撮り(児童自身の裸体を撮影)させた後、その画像や動画を犯人のパソコンや携帯電話等に送信させた場合は、児童買春・児童ポルノ法の姿態をとらせ製造罪が成立するが、犯人に画像等が送信されなければ処罰対象とはならないとされている(34)。


 これは間違いと言うことで。。

六訂版生活安全関係事件犯罪事実記載例集生活安全事件捜査研究会編

送らせ製造事犯(被疑者の携帯電話機に当該画像データがない場合)
〔罪名及び罰条] 児童買舂,児菫ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児菫の保護等に関する法律違反
第7条第4項第2項,第2条第3項第3号
被疑者は。○○○○(当時15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,令和○年○月○日午後○時○分頃神奈川県内の同児童方において, 同児童にその陰部を露出した姿態をとらせ, これを同児童が使用する撮影機能付き携帯電話機で静止画として撮影させた上, 同静止画像データ1点を同児童の携帯電話機から, アプリケーションソフト「△△△△」を使用し,東京都新宿区新宿○丁目○番○号所在の△△△△株式会社が管理運営する日本国内のいずれかに設置されたサーバコンピュータに送信させ, その頃同所において, 同静止画像データ1点を同サーバコンピュータで受信して記憶・蔵置させ, もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識できる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造したものである。
(注l) サーバコンピュータで受信した時点を捉えて特定
(注2) 被害児童の居宅の記載は,被害者保護の観点から「神奈川県内の」と記載している。

「マスク越しのキス」を「わいせつ行為(刑法176条)」とした事例(岐阜地裁R03.11.4)

「マスク越しのキス」をわいせつ行為とした事例(岐阜地裁R03.11.4)
 こういう微妙な事例は、薄井論文を引用して、わいせつ性を説明させる必要があります。
 そもそも「キス」じゃなく「接吻」だ。

薄井真由子「強制わいせつ罪における「性的意図」~植村立郎「刑事事実認定重要判決50選_上_《第3版》」2020立花書房 
 他方で,口腔については,日常生活上,さまざまな物が入る部位であるから,口腔に手指や異物を挿入するとか,直接触るとかいうことだけでは性的性質が明確ということはできない。挿入は侵襲度の高い行為であるが,口腔への挿入の場合には,何を挿入するかによりその性的性質の有無及び程度が大きく変わるものと解される。例えば,行為者の舌を被害者の口腔に挿入する行為は,挿入するものとの関連で性的性質が強く認められるから,①の場合に当たるといえるのではないだろうか。これに対し,直接の接触の場合(この場合は口腔への接触ではなく唇への接触というのが正確かもしれない)には,挿入よりも侵襲度が下がることから,それだけで①の場合に当たるというのは困難であるように思われる 11)。接触の執拗さ(継続性)も踏まえた上で,①の場合に当たるといえることもあろう。

11) 口腔内への舌の挿入を伴わない接吻については,性的性質が明確とまではいえず,行為が行われた際の具体的状況等を総合考慮して判断するものと考えられる。接吻が刑法176条の「わいせつな行為」に当たるかについては,亀山=河村・前掲注l) 67以下参照。

元県立高教諭に有罪判決 教え子へのわいせつ罪 「事後の犯情悪質」 岐阜地裁
2021.11.05 岐阜新聞
 岐阜地裁は4日、教え子の少女=当時(18)=にマスク越しにキスするなどのわいせつな行為をしたとして、強制わいせつの罪に問われた被告に対し、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。
 笹邉綾子裁判官は判決で「着衣やマスクの上からではあるが、胸に顔をうずめるようにして押し当てた点は、相当な羞恥心、不快感を与え、軽微とは言えない」とし、「被害者が警察に相談したことを知ると、悪質な脅迫で取り下げを迫った。事後の犯情は極めて悪く、被害者が被った精神的被害は非常に大きい」と指摘した。一方で、前科前歴がなく、懲戒免職処分を受けたことなどから執行猶予付き判決とした。
 判決によると、被告は今年4月4日午後8時20分ごろから同50分ごろまでの間に、岐阜市内のコンビニに止めた車内で、少女の両胸に顔を押し当てるなどのわいせつな行為をした。

「亀山=河村 前掲」というのは 大コンメンタール刑法第三版第9巻

コンメンタール刑法第三版第9巻p67
(4) わいせつ行為
(a) 意義本条のわし、せっ行為は, I徒に性欲を興奮または刺激せしめ,且つ,普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道徳、観念に反する」行為をいうものとされており(名古屋高金沢交判昭36・5・2下集3巻5= 6号399頁l,174条, 175条における「わいせつ」とほぼ共通の概念であるが,本条は,被害者の性的自由ないし性的感情の保護をもその法益をとするものであるから,おのずからニュアンスを異にするところがあると説かれる(174条III3 ,団藤・注釈(4)[所]293員,大塚・注解797頁,条解刑法466頁等.
本条は,風俗犯的性格もないわけではないが,本質的には個人の性的自由ないし性的感14情の侵害を主たる罪質とする罪と解されるから,端的に人の性的自由を犯し,性的感情を害する性質の行為を対象とすると解すべきである.前掲判例のように解してみても, 174条, 175条の行為は,公然ないしは不特定多数の人をいわば観客として行われることによって違法性が認められるものであるのに対して,本条の行為は,特定個人に対してその意思に反して行われる侵害行為であるところに本質があるのであるから,前者の定義をそのまま本条に当てはめることができない場合がでてくるのは当然である(東京両判昭40・3・18高検速報1337号参照).
このような見地から,接吻が174条のわいせつ行為に当たらないとしても,本条のわいせっ行為たり得ることは当然である(広烏高松江支判附27・9・24特報20号187頁〔長島敦・研修54号87頁],東京高判日{i32・1・22高集10巻l号10頁〔尚橋幹男・判タ78サ16頁],仙台高判昭32・4・18高集10巻6号491頁,高松高判昭33・2・24裁特日巻2-~}57Yi , 名凸屋高金沢支判昭36 ・5 ・2 -f集3巻5= 6号399頁,東京高判平20・7・9高検速報〔平20) 121頁.ただし,反対説もある柏木・各論312頁,小野ら・註釈416頁参照l.


コンメンタール刑法第三版第9巻p68
20 【接吻】接吻については,前掲諸判例のほか,大阪高裁昭和41年9月7日判決(判タ199号187頁),仙台高裁昭和49年12月10日判決(高検速報(昭49) 9号)及びこの判決に対する上告審決定(最決昭50・6・19裁判集〔刑事J196号653頁),東京地裁昭和56年4月30日判決〔判時1028号145頁) (頬に接吻しようとした事例 
 男性間の接吻につき大阪地裁昭和43年2月6日判決(判タ221号237瓦) (35歳の男が11歳の男の子に強いて接吻したのを強制わいせつと認めた事例)参照.

強制性交罪(177後段)につき、没入が争われた事例(宮崎地裁延岡R03.1.20)

 判示第2で動画の1号ポルノ製造が認定されていますが、そっちは争われてないようです。
 仙台高裁の凹凸判例が参考になるでしょう。
強姦罪の既遂時期につき,陰茎の先端部が数ミリメートル程度陰部に食い込むような状態となっただけでは,未だ姦淫の既遂には至っていないとされた事例(仙台高裁h28.5.24) - 児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

■28291818
宮崎地方裁判所延岡支部
令和03年01月20日
(罪となるべき事実)
 被告人は、
第1 (令和2年6月18日付け起訴状記載の公訴事実)
 ●●●(当時9歳。以下「A」という。)が13歳未満であることを知りながら、Aと性交しようと考え、令和元年12月27日午後0時14分過ぎ頃、●●●において、Aと性交した、
第2 (令和2年7月31日付け起訴状記載の公訴事実第1)
  Aが18歳に満たない児童であることを知りながら、令和元年12月27日午後0時14分頃から同日午後0時26分頃までの間、前記第1の場所において、Aをして被告人と性交する姿態、被告人がAの陰部を舌で舐め、手の指で触る姿態等をとらせ、これを動画撮影機能付き携帯電話機で動画撮影し、その動画データ合計2点を同携帯電話機本体の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態及び他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した、
(証拠の標目)(括弧内の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)
判示全部の事実について
 ・ 被告人の公判供述
判示第1及び第2の事実について
 ・ 被告人の検察官調書(乙9、10)及び警察官調書(乙3、7、8)
 ・ Aの警察官調書(甲10)
 ・ 実況見分調書(甲1)
 ・ 捜査報告書(甲2~6、9)
 ・ 画像処理依頼書謄本(甲7)及び画像処理結果回答書(甲8)
判示第2の事実について
 ・ 被告人の検察官調書(乙19)
 ・ 捜索差押調書(甲28)
 ・ 宮崎地方検察庁延岡支部で保管中の携帯電話機(スマートフォンiPhone6)(同支部令和2年領第139号符号2、甲29)


(事実認定の補足説明)
1 被告人及び弁護人の主張
  被告人は、判示第1につき、Aと性交しておらず、性交の目的もなかったと主張し、弁護人も、強制性交等の罪は成立せず、強制わいせつ罪が問われるべきであると主張する。
2 性交の有無について
  前掲証拠によれば、被告人の陰茎の亀頭部分は、Aの陰部に約8mmから約19mmにわたって没入している(甲8)。そして、9歳女児の小陰唇から膣口までの奥行きは、成人男性の陰茎の亀頭よりも短く、男性の陰茎の亀頭が収まる空間は膣口以外にない(甲6)。そうすると、被告人の陰茎はAの膣口を越えて膣内に挿入されたものというべきであり、性交の事実が優に認められる。
  被告人は、陰茎の先端の感覚からすると、Aの膣内に陰茎が全く入っていない旨供述するが、これを採用することができないことは、前記認定説示のとおりである。また、被告人は、Aの膣口が広がることはないので膣内に入るとは考えられないとも弁解するが、9歳女児であっても、その膣口は軟部組織で十分な伸縮性があり、実際にも、被告人が指で膣口を容易に広げていることからすると(甲4~6)、採用することはできない。
3 強制性交等の故意について
  被告人は、約2分もの間、勃起した陰茎の亀頭部分をAの膣口に押し当て、その膣内に没入させるように繰り返し上下に動かし、Aに対して「痛い?」とか「気持ちいい?」などと申し向けて、陰部の感度を確認している(甲4)。そして、この間、被告人の陰茎の亀頭部分が膣内に挿入されたことは前記認定のとおりである。このような行為態様からすれば、性交の事実についての認識に欠けるところはないのであり、強制性交等の罪の故意を否定すべき事情はない。
  被告人は、Aの陰部の弾力を確かめたいとの思いから陰茎をAの陰部に押し当てたにすぎず、性交の意図はなかったなどと縷々主張するが、故意を否定すべき事情には該当しない。
  以上によれば、被告人にはAに対する強制性交等の故意があったと認められる。
4 結論
  よって、被告人に、判示第1のとおりAに対する強制性交等の罪が成立する。

「営利目的の児童ポルノ罪を重く処罰する法律がない」という弁護士のコメントについて

「営利目的の児童ポルノ罪を重く処罰する法律がない」「対価を没収していない」という弁護士のコメントについて

クローズアップ現代+「追跡・SNS性犯罪▽ネットで子どもを狙う卑劣な手口とは」
11/4(木) 午後10:00-午後10:30
配信期限 :11/11(木) 午後10:30 まで
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2021110426546?playlist_id=c62990e7-250f-4817-b8ed-8c3366df4c87

で、7条6項の提供罪について、弁護士の「営利目的であることに着目して特に重く処罰する法律が必要だと思っています。」というコメントが流れました。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第7条
6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

 という法文も、刑法に比べると重いですよね。

参考
刑法第一七五条(わいせつ物頒布等)
 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

 立法者・法務省はわいせつ図画罪(刑法175条)と同様に包括一罪と考えていたと思いますが、判例で修正されていて、提供罪+提供目的所持罪の場合も、数回の提供罪の場合も併合罪加重されます。

判例番号】 L06410056
       児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,わいせつ図画販売,わいせつ図画販売目的所持,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件

【事件番号】 最高裁判所第2小法廷決定/平成20年(あ)第1703号
【判決日付】 平成21年7月7日
【判決要旨】 1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。
       2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した場合,わいせつ物販売と同販売目的所持が包括して一罪を構成すると認められるときには,全体が一罪となる。
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集63巻6号507頁
       裁判所時報1487号194頁
       判例タイムズ1311号87頁
       判例時報2062号160頁
       LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 論究ジュリスト3号225頁
       ジュリスト1404号122頁
       判例時報2130号165頁
       法曹時報64巻7号1928頁
       刑事法ジャーナル22号107頁

判例番号】 L07220307
       児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件

【事件番号】 東京高等裁判所判決/平成28年(う)第872号
【判決日付】 平成29年1月24日
【判決要旨】 1 児童の写真を素材にしたコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)画像等における描写が,写真の被写体である児童を描写したといえる程度に,被写体と同一であると認められるときは,全く同一の姿態,ポーズがとられなくても,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号の「児童の姿態」に該当する。
       2 児童の写真を素材にしたCG画像等の被写体である児童が,CG画像等の製造の時点及び児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行の時点において,18歳以上になっていたとしても,児童ポルノ製造罪は成立する。
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集74巻1号234頁
       高等裁判所刑事判例集70巻1号1頁
       高等裁判所刑事裁判速報集平成29年73頁
       東京高等裁判所判決時報刑事68巻1~12号28頁
       判例タイムズ1446号185頁
       判例時報2363号110頁
       LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 ジュリスト1518号169頁
       小樽商科大学商学討究70巻1号143頁
       法学新報125巻1~2号173頁
       立命館法学372号545頁
       刑事法ジャーナル56号149頁
  (3) 本件3画像の提供罪を一罪とした点
   (ア) 所論は,①被告人が「E」をアップロードした時期と,「E2」をアップロードした時期とでは,1年2か月が経過しており,含まれる画像も素材画像の写真の被写体も全く異なっている上,②3名の購入者のダウンロードの時期も1年ほど離れているのであるから,児童ポルノ提供罪については,「E」及び「E2」の各CG集ごと,及び,各購入者ごとに,それぞれ児童ポルノ提供罪が成立し,それらは全て併合罪の関係になるはずである,しかるに,原判決はこれを一罪と評価した上,①原判決が全てのCGについて児童ポルノに該当すると認めなかった「E」の提供については,無罪を言い渡すべきであるのに,これを言い渡さなかった点で,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,②購入者を追加する内容の訴因変更は,併合罪の関係にある以上,許可すべきでないのに,これを許可した原審の訴訟手続には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるという。
   (イ) まず,1名に対する児童ポルノの提供を3名に対する提供へと変更する訴因変更を許可した点について検討すると,そもそも,本件における児童ポルノ提供罪は,その構成要件上,不特定又は多数の者に提供することが予定されているから,購入者の追加は,公訴事実の同一性の範囲内であることが明らかであって,この点について訴因変更を許可した原審の訴訟手続に何ら法令違反はない。
   (ウ) 次に,提供罪の罪数について検討すると,記録によれば,被告人は,平成20年8月頃,CG集である「E」を完成させたこと,被告人は,Dに,同CG集の販売を委託し,そのデータを同社に送信して,同月28日以降,同CG集がインターネット上で販売されたこと,被告人は,「E」をアップロードした後,これを見たインターネットサイトの利用者から,他のモデルの画像のリクエストが多数寄せられたことなどから,その要望に応じて,平成21年11月頃,「E」と同様のCG集である「E2」を完成させたこと,被告人は,同CG集についても,「E」と同様に,Dに販売を委託したこと,同月27日以降,「E2」がインターネット上で販売されたことが認められる。
     これによれば,被告人は,「E」をアップロードした後,新たに犯意を生じて,上記アップロードの約1年3か月後に,「E2」をアップロードしたといえるから,前者の提供行為と後者の提供行為とは,別個の犯意に基づく,社会通念上別個の行為とみるべきであって,併合罪の関係に立つとみるのが相当である。そうすると,両者の関係が一罪に当たるとの前提に立ち,前者の提供行為について,児童ポルノに該当するものがなく,その提供に当たらないとしながら,主文で無罪を言い渡さなかった原判決には,法令の適用に誤りがあり,これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。
     論旨は理由がある。
     よって,量刑不当の論旨について判断するまでもなく,原判決は破棄を免れない。

 その結果、数回の提供行為は併合罪なので、
   懲役刑の上限は、懲役7年6月
   併科罰金刑の上限は、500万円×提供回数
となります。
 例えば、10回提供すると、
   懲役刑の上限は、懲役7年6月
   併科罰金刑の上限は、5000万円
 例えば、20回提供すると、
   懲役刑の上限は、懲役7年6月
   併科罰金刑の上限は、1億円
になります。
 わいせつ図画罪なら、10回頒布しても20回頒布しても科刑上一罪なので
   懲役刑の上限は、懲役2年
   併科罰金刑の上限は、250万円
になります。


対価没収については、刑法19条1項で没収可能ですが、

刑法第一九条(没収)
 次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
四 前号に掲げる物の対価として得た物

 ダウンロード販売は、何百・何千回売っているので、売上も多額になりますが
 児童ポルノ提供罪は併合罪なので、1件有罪にして、1本の対価(1000円くらいか)没収、ということで、2件起訴しても2000円しか没収されません。

福祉犯の罰金30万円が払えないので正式裁判請求して18ヶ月確定を延ばした事例

福祉犯の罰金30万円が払えないので正式裁判請求して18ヶ月確定を延ばした事例
 仮納付命令が付いているので略式命令直後から検察庁からの請求が来ますが、正式裁判請求した時点で、検察庁からの取り立てが止みます。確定後に検察庁からの請求が再開します。
 その間に積み立てていけば無理なく払えるでしょう。

簡裁R02.5.15 略式命令30万円 仮納付命令付き
地裁R02.10.29 正式裁判罰金30万円 仮納付命令なし
高裁R03.04.02 控訴棄却仮納付命令なし
最高裁R03.12.1 上告棄却決定 仮納付命令なし

法医学の医師が「本件DVDの映像は,モザイク等がなく性器が鮮明に写されたものである。本件女性は,流行のシャギーカット,ほっぺたがポッチャリしており,足は中くらいの太さであるが棒状であること,ませた顔でニキビがないこと,小陰唇が発達し,外陰部の色素沈着が認められること,胸はAカップかBカップくらいである程度あるが平坦であり,乳首は小さめであることなどから,15歳から17歳程度と認められる。」とした画像につき、児童ポルノ性を否定した高裁判例(東京高裁r02.11.12)

法医学の医師が「本件DVDの映像は,モザイク等がなく性器が鮮明に写されたものである。本件女性は,流行のシャギーカット,ほっぺたがポッチャリしており,足は中くらいの太さであるが棒状であること,ませた顔でニキビがないこと,小陰唇が発達し,外陰部の色素沈着が認められること,胸はAカップかBカップくらいである程度あるが平坦であり,乳首は小さめであることなどから,15歳から17歳程度と認められる。」とした画像につき、児童ポルノ性を否定した高裁判例(東京高裁r02.11.12)

 CG事件の地裁・高裁判決の影響です。
「原判決の前記判断は,原審証拠及び論理則,経験則等に照らして不合理であって是認できない。すなわち,所論が指摘するとおり,本件医師が挙げる前記2①から⑥までの根拠は,いずれも本件女性が18歳以上かそれ未満かを区別するに足りるものではない。同①から⑥までの根拠のうち,多少なりとも意味がありそうなものは⑤及び⑥の性器や乳房の状態をいうものであるが,そこで指摘されていることは18歳以上の女性にも妥当し得る状態と思われるのに,それがなぜ18歳未満の女性と判断できるのかその根拠は説明されていない。本件医師は,前記警察官調書謄本において,女子乳房の発育段階の区分や外陰の発達度等も参考にしているとも供述しているが,同⑤及び⑥の根拠に関し,その観点からの説明はない(なお,前記警察官調書謄本についての原審弁護人の証拠意見は,「不同意。ただし信用性を争う。」というものであったが,本件医師に対する証人尋問は行われていない。)。本件医師が述べるとおり,子どもの成長には個人差が大きく,外見による年齢判断は困難であるというのであるから,本件女性が15歳から17歳程度と考えた合理的根拠を挙げる必要があるが,それはない。原判決は,本件医師の供述は18歳に達している可能性を排斥していると説示するが,合理的な根拠を示さなければ専門家の意見が正当であるかどうかは判断できない」


判例番号】 L07520565
       強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件

【事件番号】 東京高等裁判所判決
【判決日付】 令和2年11月12日
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載

第5 原判示第2(児童ポルノ所持)のうちDVD1枚に関する事実誤認ないし法令適用の誤りの論旨について
 1 論旨
 論旨は,原判示第2のDVD14枚のうちの1枚である本件DVDについて,写っている本件女性が18歳未満の児童ではない疑いがあるのに,本件DVDに児童ポルノ該当性を認定した原判決には事実誤認ないし法令適用の誤りがある,という。
 2 原判決の判断の概要
 原判決の判断の概要は,次のとおりである。
 本件DVDを含む複数のDVDに写っている女性の年齢判断をした本件医師は,警察官調書謄本(原審甲53)において,本件女性は,①流行のシャギーカット,②ほっぺたがポッチャリしており,③足は中くらいの太さであるが棒状で,④ませた顔でニキビがなく,⑤小陰唇が発達し,外陰部の色素沈着が認められ,⑥胸はAカップかBカップくらいある程度であるが平坦であり,乳首は小さめであることなどから,15歳から17歳程度であると供述する。本件医師は,豊富な実務経験を有する専門家の立場から,具体的な事情を根拠に挙げて,同じく経験豊富な教授と共に総合的に判断したものであり,その正確性について十分信用できる。本件医師は,18歳未満とは完全に言い切れない者を除外して18歳未満であると判断しているので,上記供述は18歳に達している可能性を排斥していると考えられる。したがって,本件女性の年齢は18歳未満であると認められ,他の証拠も併せ考慮すると,本件DVDは「児童ポルノ」に該当する。
 3 当裁判所の判断
 原判決の前記判断は,原審証拠及び論理則,経験則等に照らして不合理であって是認できない。すなわち,所論が指摘するとおり,本件医師が挙げる前記2①から⑥までの根拠は,いずれも本件女性が18歳以上かそれ未満かを区別するに足りるものではない。同①から⑥までの根拠のうち,多少なりとも意味がありそうなものは⑤及び⑥の性器や乳房の状態をいうものであるが,そこで指摘されていることは18歳以上の女性にも妥当し得る状態と思われるのに,それがなぜ18歳未満の女性と判断できるのかその根拠は説明されていない。本件医師は,前記警察官調書謄本において,女子乳房の発育段階の区分や外陰の発達度等も参考にしているとも供述しているが,同⑤及び⑥の根拠に関し,その観点からの説明はない(なお,前記警察官調書謄本についての原審弁護人の証拠意見は,「不同意。ただし信用性を争う。」というものであったが,本件医師に対する証人尋問は行われていない。)。本件医師が述べるとおり,子どもの成長には個人差が大きく,外見による年齢判断は困難であるというのであるから,本件女性が15歳から17歳程度と考えた合理的根拠を挙げる必要があるが,それはない。原判決は,本件医師の供述は18歳に達している可能性を排斥していると説示するが,合理的な根拠を示さなければ専門家の意見が正当であるかどうかは判断できない。
 そうすると,原判決には,本件医師の上記供述に関する信用性判断を誤った結果,本件女性が18歳未満であると認定して児童ポルノ該当性を肯定した事実誤認がある。
 もっとも,原判決が認定した原判示第2の事実は児童ポルノであるDVD14枚を所持したというものであり,この行為は包括一罪に当たるとしているところ,そのうちの本件DVD1枚の児童ポルノ該当性に誤認があるにすぎないから,この誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかとはいえず,結局,論旨は理由がない。


第6 原判示第2に関する事実誤認の論旨について
 1 論旨
 論旨は,被告人が各DVD(ただし,原判示第2のDVD14枚のうち本件DVD1枚を除いたものを指す。)を視聴していたのは平成18年頃までであって,原判示第2の平成30年7月18日当時は各DVDへの関心を失っていたから,児童ポルノ法7条1項にいう「自己の性的好奇心を満たす目的」はなかったのに,これがあるとした原判決の判断には事実誤認がある,というものである。
 2 原判決の判断の概要
 原判決は,概要,次のとおり説示して被告人に自己の性的好奇心を満たす目的があると認定した。
 被告人は,児童ポルノに該当する各DVDを同目的をもって入手したのであるから,特段の事情のない限り,その後の所持についても同目的があると推認するのが合理的である。被告人が10年以上各DVDを視聴していなかった可能性は否定できないが,各DVDは被告人方の書斎の本棚に保管されており,女子児童に性的興味を有していた被告人がその興味を満たすために各DVDを視聴しようと思えばいつでも視聴できたものである。そうすると,上記推認を妨げる事情は見当たらず,被告人は,平成30年7月当時,同目的で各DVDを所持していたと認められる。
 3 当裁判所の判断
 原判決の前記認定,判断は,原審証拠及び論理則,経験則等に照らして不合理なところはなく,当裁判所としても是認できる。
 所論は,平成26年に児童ポルノ法が改正されて児童ポルノの単純所持が処罰対象とされたが,その際の衆議院法務委員会の議論を踏まえると,被告人のように処罰対象ではなかった時期から児童ポルノを所持していた場合に,改正された児童ポルノ法が適用されるには,改めて積極的な利用の意思に基づいて新たな所持,保管が開始されたと認定できることが必要である,という。
 しかし,各DVDが平成26年の児童ポルノ法改正以前に購入されたものであっても,各DVDは正に被告人の性的好奇心を満たす目的で入手,所持したものであるという経緯に加え,前記のとおり,原判示第2の当時,被告人は,低学年の女子児童に対する性的興味を持っており,そうした性的興味を満たすような女子児童の性交場面等が記録された各DVD(13枚)をいつでも視聴できる自分の書斎の中の本棚にこれを継続して置いていたというのであるから,被告人が各DVDを保管していたのは自己の性的好奇心を満たす目的であると認められ,これと同旨の原判決の認定に誤りはない。所論の示す考え方は,上記改正より相当以前に購入した児童ポルノがどこに保管されているか分からなくなったが,上記改正後の引っ越し等の際にそれが出てきてそのまま保管していた場合などには,自己の性的好奇心を満たす目的が否定されることがあり得るという意味で処罰対象を適切に画しようとするものにすぎず,原判決の結論と矛盾するものではない。
 4 原判示第2に関する事実誤認の論旨は,理由がない。
第7 結論
 よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。
  令和2年11月17日
    東京高等裁判所第6刑事部
        裁判長裁判官  大熊一之
           裁判官  浅香竜太
           裁判官  小野寺健

判例番号】 L07550315
強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
【事件番号】 静岡地方裁判所浜松支部判決
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載
       理   由

 【罪となるべき事実】
第2 被告人は,自己の性的好奇心を満たす目的で,平成30年7月18日,浜松市浜北区(以下略)所在の被告人方において,児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データを記録した児童ポルノであるDVD14枚を所持した。
 3 ②判示第2の事実における(ア)DVD1枚の児童ポルノ該当性について
   弁護人は,判示第2の事実における各DVD(以下,単に「各DVD」という。)のうち,「△△」と印字されたラベルが貼られたケースに入っているもの(以下「本件DVD」という。)については,写っている女性(以下「本件女性」という。)が18歳未満ではない疑いがあるとして,児童ポルノ該当性を争うため,以下検討する。
  (1)本件DVDを含む複数のDVDに写っている女性の年齢判断をした,当時国立大学法人I大学の法医学講座の助教授であったG医師(以下「本件医師」という。)の供述の概要は,次のとおりである。
    私は,約13年間の法医実務経験を有しており,その間,法医解剖数約605件,行政解剖数約53件,検案数約281件を経験し,幼児から第二次性徴期である8歳くらいから18歳くらいまでの少女の解剖,検案も多数担当している。これらの経験や医学文献に基づき,女子の陰毛,乳房及び外陰の発育度並びに骨盤の増大度等を総合考慮し,約27年間の法医実務経験を有する同講座の教授と共に判断する。18歳未満の可能性が高いが,18歳未満とは完全に言い切れない者を除外し,ほぼ18歳未満として間違いない者について,18歳未満と判断する。
    本件DVDの映像は,モザイク等がなく性器が鮮明に写されたものである。本件女性は,流行のシャギーカット,ほっぺたがポッチャリしており,足は中くらいの太さであるが棒状であること,ませた顔でニキビがないこと,小陰唇が発達し,外陰部の色素沈着が認められること,胸はAカップかBカップくらいである程度あるが平坦であり,乳首は小さめであることなどから,15歳から17歳程度と認められる。
  (2)以上の本件医師の供述は,豊富な実務経験を有する専門的な立場からの合理的なものとして信用できる。
    この点,弁護人は,本件医師の前記供述の信用性に関し,本件医師は,子供の成長には個人差が大きく,外見を観ての年齢判断は困難であり,まして,映像を観ての判断で正確性は劣らざるを得ないとの留保を付しており,年齢判断の正確性には限界があるほか,本件医師が本件女性の年齢判断の根拠とする事情は,いずれも,女性の成長度合いや体型に関する個人差として常識的に考えられる幅を考慮すれば,成人女性についても該当する可能性のあるものであると主張する。
    しかし,本件医師は,弁護人が指摘する留保を付しつつも,自身の経験等に基づいて判断するとしているのであって,この留保をもって,直ちに本件医師の年齢判断の正確性が否定されることにはならない。本件医師は,本件DVDの映像は性器が鮮明に写されたものであるとした上で,具体的な事情を根拠にあげて,本件女性の年齢判断をしているものである。確かに,本件医師が本件女性の年齢判断の根拠とする事情は,個別にみれば,いずれも成人女性についても該当する可能性のあるものではあるが,本件医師は,これらを総合考慮の上,自身の豊富な経験や文献に基づき,同じく豊富な経験を有する教授と共に,本件女性の年齢を15歳から17歳程度と判断しているのであって,その正確性については十分信用できる。
    したがって,弁護人の前記各主張は,本件医師の前記供述の信用性を揺るがすものとはいえない。
  (3)以上のとおり,信用できる本件医師の前記供述によれば,本件女性の年齢は,15歳から17歳程度と認められるとされている。この点について,弁護人は,15歳から17歳程度との表現からすれば,本件女性が18歳に達している可能性を排斥していない旨主張するが,本件医師は,18歳未満の可能性が高いが,18歳未満とは完全に言い切れない者を除外し,ほぼ18歳未満として間違いない者について,18歳未満と判断するとしているのであって,15歳から17歳程度との供述は,18歳に達している可能性を排斥しているものと考えるべきである。
  (4)したがって,本件女性の年齢は18歳未満であると認められ,他の証拠もあわせ鑑みれば,本件DVDは,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)2条3項にいう「児童ポルノ」に当たるといえる。
 4 ②判示第2の事実における(イ)自己の性的好奇心を満たす目的の有無について
   弁護人は,判示第2の行為日である平成30年7月18日時点において,被告人は,各DVDへの興味・関心を失っていたとして,各DVDの所持につき,児童ポルノ法7条1項にいう「自己の性的好奇心を満たす目的」を争うため,以下検討する。
  (1)関係証拠によれば,各DVDは,本件DVDを含め,児童ポルノ法2条3項にいう「児童ポルノ」に当たるといえ,また,被告人は,自己の性的好奇心を満たす目的で,各DVDを入手したことが認められる。このように,自己の性的好奇心を満たす目的でポルノの所持を開始した場合,特段の事情がない限り,その後の所持についても,自己の性的好奇心を満たす目的であると推認するのが合理的である。
  (2)本件において,被告人が,平成30年7月18日を基準として,10年以上,各DVDを視聴していなかった可能性は否定されない。もっとも,各DVDは,被告人方の書斎の本棚に保管されていたのであり,被告人が視聴しようと思えばいつでも視聴できたものである。同書斎には,明らかに不要なものも保管されており,廃棄されていないからといって,直ちに被告人が各DVDへの興味・関心を有していたことにはならないものの,少なくとも,各DVDは,一見してポルノと分かる外観ではなく,廃棄することが困難であったといった事情は見当たらない。各DVDは,同日時点で存在する他のポルノに比べれば,画質等が劣るものであるが,性的好奇心が向けられるには十分なものである。そして,前記2で説示したとおり,被告人は,同日頃において,女子児童に性的興味を有していたと認められるところである。
    以上のとおり,被告人は,各DVDを視聴しようと思えば容易に視聴でき,かつ,それによって,自己の性的好奇心を満たすことができたものといえるのであって,前記特段の事情は認められない。結局,同日時点において被告人は各DVDへの興味・関心を失っていたとの弁護人の前記主張は,単に被告人が各DVDへの具体的な興味を失っていたとの主張に過ぎず,児童ポルノ法7条1項にいう「自己の性的好奇心を満たす目的」を否定するものではない。
  (3)したがって,被告人は,判示第2の行為日である平成30年7月18日時点において,自己の性的好奇心を満たす目的で,各DVDを所持していたと認められる。
 【法令の適用】
罰条
 判示第1の各行為 いずれも刑法176条後段
 判示第2の行為  包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条1項前段,2条3項1号,2号,3号
刑種の選択
 判示第2の罪   懲役刑を選択
併合罪の処理    刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情が最も重い判示第1の1の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
刑の執行猶予    刑法25条1項
 【量刑の理由】
  令和2年2月21日
    静岡地方裁判所浜松支部刑事部
        裁判長裁判官  山田直之
           裁判官  横江麻里子
           裁判官  宮田裕平

単に自己の性的欲望を満足させるため性交罪(大阪府青少年健全育成条例違反)の否認事件(大阪地裁r03.6.1)

 「単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性行為」という構成要件なので、少しでも他の目的があれば、外れるんでしょうね。

大阪府青少年健全育成条例
(淫らな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第三十九条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 
二 青少年に対し、威迫し、欺き、若しくは困惑させることその他の当該青少年の未成熟に乗じた不当な手段を用い、又は当該青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性行為又はわいせつな行為を行うこと。

児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,大阪府青少年健全育成条例違反被告事件
大阪地方裁判所判決令和3年6月1日
       理   由
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 
第2 A(当時16歳)が18歳に満たない青少年であることを知りながら,令和3年3月21日午前9時25分頃から同日午後6時49分頃までの間に,大阪市中央区(以下略)にあるホテル「△△」402号室において,単に自己の性的欲望を満足させるためAと性交し,もって当該青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性行為を行った。
(証拠の標目)
 なお,被告人は,判示第2の事実について,Aと性交したのは「自己の性的欲望を満足させるためだけではなかつた」などと供述するが,本件当時,Aは16歳の高校生であったのに対して,被告人は41歳の成人男性で,Aに対しては,自己の年齢を28歳と偽るなどしていたこと,被告人は,AとはLINEでやり取りしていたところ,初めて会った日にラブホテルに連れて行って性交していること,被告人は,Aの他に2名の女性と交際して肉体関係を持っていたことなどからすると,被告人は,単に自己の性的欲望を満足させるためAと性交したものと認められる。
(法令の適用)
 罰条
  判示第1の所為   児童ポルノ法7条4項,2項,2条3項3号
  判示第2の所為   大阪府青少年健全育成条例52条,39条2号
 刑種の選択
  判示各罪      いずれも懲役刑を選択
 併合罪の処理     刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑に法定の加重)
 未決勾留日数の算入  刑法21条(30日)
 訴訟費用       刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)
(量刑の理由)
(求刑 懲役1年6月)
  令和3年6月3日
    大阪地方裁判所第15刑事部
           裁判官  松田道別

自己性的好奇心目的所持罪における児童ポルノの特定

法文そのままでは、具体性に欠けると思います。

 

 最高裁判所第1小法廷判決昭和24年2月10日
 旧刑訴第三六〇条第一項に依れば、所論のごとく、有罪の言渡を為すには、判決書において罪となるべき事実を判示することを要する。蓋し、その趣旨とするところは、法令を適用する事実上の根拠を明白ならしめるためである。
 そして罪となるべき事実とは、刑罰法令各本条における犯罪の構成要件に該当する具体的事実をいうものであるから、該事実を判決書に判示するには、その各本条の構成要件に該当すべき具体的事実を該構成要件に該当するか否かを判定するに足る程度に具体的に明白にし、かくしてその各本条を適用する事実上の根拠を確認し得られるようにするを以て足るものというべく、必ずしもそれ以上更にその構成要件の内容を一層精密に説示しなければならぬものではないといわねばならぬ。

 

 

刑事判決書起案の手引き
第2 事実摘示の方法・程度一般
153 1 罪となるべき事実は,それがいかなる構成要件に該当するかが,一読して分かるように,明確にこれを記載しなければならない。そのためには,当言葉犯罪の構成要件要素に当たる事実のすべてを漏れなく記載しなければならない。そのほか,事案に応じいわゆる犯情の軽重を示す事実をも記載する方がよい。
154 他方,他の犯罪をも認定したのではないかと疑わせるおそれのある表現は,できる限り避けなければならない(例えば,屋内での強盗被告事件において,住居侵入の点については有罪の認定をしない事案で.「A方に押し入り」などの言葉を用いることは,たとえ情状を明らかにするつもりであっても,むしろこれを避けるべきである。)。
155 2「( 罪となるべき事実)」の見出しの下に摘示される事実は,それが本来の罪となるべき事実に当たるときはもとより,そうでない事実であっても,証拠によって認定されたものでなければならない。「(犯行に至る経緯)」等の見出しの下に摘示される事実についても同様である。
156 3 罪となるべき事実は,できる限り具体的に,かっ,他の事実と区別できる程度に特定して,これを摘示しなければならない。そのためには,犯罪の日待・場所はもとより,犯罪の手段・方法・結果等についてもできる限り具体的にこれを記載しなければならない。このことは既判力の及ぶ範囲や訴因との同一性を明確にするためにも必要である。
157 4 包括ー罪においては,犯罪の日時・場所・手段等について包括的な判示が許される。
158 5 事実はできる限り明確に摘示しなりればならない。したがって,日時・場所・数量等が証拠によって明らかに認められるのに「ころ」「付近」「等」「くらい」などの言葉を用いることは慎むべきである。
6 被害者の年齢については,それが構成要件に関する事実(刑176後等)である場合を除き,必ずしも檎示の必要はないが,犯罪の成否(脅迫・恐喝・強盗罪等)及び犯情(殺人・傷害罪等)に影響を与えるような場合には,これを摘示するのが通例である。
その方法としては, 「A (当時00歳)」とするのが通例である。 「B(当00年)」, 「C (平成O年O月O日生)」とする例もないではないが, 「当」は,犯罪時の年齢か判決時のそれかが必ずしも明確ではない。
7 犯行に用いた凶器等を罪となるべき事実の中に判示する場合,それが主文で没収を言い渡した物であるときは,河一性を明示するため,裁判所の押収番号(96参照)を記載することが望ましい(168参照)。没収を言い渡さなかった物であるときでも,証拠の標目中に掲げた証拠物との同一性を明示するため,その押収番号を記載する例が多い。
8 事実の摘示は,冗漫にならないように留意しなければならない。
9 事実摘示の末尾に,認定した事実に対する裁判所の法律的評価を明らかにする趣旨で,例えば, 「もって,自己の職務に関し賄賂を収受し」「もって横領し」等の言葉を記載する事例が多いが,この場合, 「自己の職務に関し賄賂を収受し」,「横領し」等の言葉は法律的評価を示すものにすぎないのであって,それ自体犯罪行為の事実的表現ではないことに留意すべきである。
10 併合罪の場合には,各個の犯罪事実ごとに,第1,第2というように番号を付け,かつ,行を改め,科刑上のー罪の場合には,そのようにせずに各事実を続けて摘示するのが通例である(なお, 214, 319参照)。
11 事実を摘示するに当たっては,起訴状等に記載された事実を引用することが許される(規218)。しかし,起訴状等の記載は裁判所の最終的な判断に必ずしも完全に一致するとは限らないから,漫然とこれを引用することがないように留意しなければならない。

 

 






大阪地裁 R2.12.16 第3 Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,自己の性的好奇心を満たす目的で,同年9月17日,大阪市〈以下省略〉所在の被告人方において,同児童に自己の陰茎を口淫させる姿態及び同児童の乳房及び陰部を露出させる姿態をとらせた画像及び映像データ9点を記録した電磁的記録媒体を内蔵するパーソナルコンピュータ1台(大阪地方検察庁令和元年領第10850号符号5)を所持し,もって児童を相手方とする性交及び性交類似行為に係る児童の姿態並びに衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを所持した。
大阪地裁 R3.2.16 第19【平成30年3月28日付け訴因等変更請求書による変更後の平成29年12月27日付け起訴状記載の公訴事実第2の3】 自己の性的好奇心を満たす目的で,平成29年4月14日,前記被告人方において,別表1記載のとおり,児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの並びに衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録媒体に描写した児童ポルノである静止画データ83点及び動画データ42点を記録したハードディスク1台(大阪地方検察庁平成29年領第3202号符号25)を所持し,
高松地裁 R2.9.17 第4(令和2年6月26日付け起訴状記載の公訴事実第2)
 自己の性的好奇心を満たす目的で,令和2年3月24日,高松市〈以下省略〉の駐車場に駐車中の自動車内において,児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ4点及び静止画データ69点を記録した児童ポルノであるハードディスク1台を所持し
 たものである。
千葉地裁 R2.4.24 第3
2 自己の性的好奇心を満たす目的で,平成30年6月16日,東京都江戸川区〈以下省略〉所在の被告人方において,Cの左乳房が露出された姿態が撮影された動画データ1点が記録・保存されたハードディスク1台を所持し,もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを所持した。
静岡地裁浜松 R2.2.21 第2 被告人は,自己の性的好奇心を満たす目的で,平成30年7月18日,浜松市〈以下省略〉所在の被告人方において,児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データを記録した児童ポルノであるDVD14枚を所持した。
東京高裁 R2.11.12  
静岡地裁 H31.3.28 【罪となるべき事実】
 被告人は,自己の性的好奇心を満たす目的で,平成30年1月25日,静岡県●●●静岡県●●●警察署において,児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した動画データ3点を記録した児童ポルノである携帯電話機1台を所持したものである(平成30年5月7日付け起訴状記載の公訴事実)。
山形地裁 H31.3.12 第27【平成30年11月13日付け起訴状記載の公訴事実関係】
 自己の性的好奇心を満たす目的で,平成30年5月8日,山形市〈以下省略〉所在の当時の本件会社の事務所兼被告人方において,児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの並びに衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである動画データ7点(いずれもAに対する前記第1又は第2の事実の際に撮影されたもの)を記録した外付けハードディスク1台(山形地方検察庁平成30年領第252号符号4)を所持した。
大阪地裁堺支部 H30.3.19  第2 自己の性的好奇心を満たす目的で,平成29年9月29日,堺市a区の被告人方において,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものであって,いずれも視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである動画データ4点を記録及び蔵置した外付けハードディスク1台を所持した。
鹿児島地裁 H30.1.24 第2 自己の性的好奇心を満たす目的で,平成29年11月12日,鹿児島市〈以下省略〉鹿児島中央警察署において,衣服の全部又は一部をつけない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである動画データ3点を記録したマイクロSDカード1枚を所持した。
大阪地裁 H3.2.17 第3 自己の性的好奇心を満たす目的で,令和2年2月9日,大阪府寝屋川市(以下略)Gにおいて,児童による性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ1点を記録した児童ポルノであるハードディスク1台を所持した。
高松地裁 R2.10.28 第2 自己の性的好奇心を満たす目的で,同月27日,■■■の当時の被告人方において,児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである動画データ3点を記録した携帯電話機1台を所持した。
仙台地裁 H30.9.7 第5 自己の性的好奇心を満たす目的で,平成30年5月17日,前記第2記載の被告人方において,児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データを記録した児童ポルノであるDVD4枚を所持したものである。

「その首を両手で絞め,「脱げ」と語気鋭く申し向けるなどして,同人を全裸にさせた上,同人の後頭部を手で押さえつけながら,その口腔内に自己の陰茎を入れるなどし,さらに,同人の胸や陰部を直接手指で触ったり,その陰部に自己の陰茎を押し当てるなど」という強制性交の罪となるべき事実(那覇地裁r03.5.24)

「その首を両手で絞め,「脱げ」と語気鋭く申し向けるなどして,同人を全裸にさせた上,同人の後頭部を手で押さえつけながら,その口腔内に自己の陰茎を入れるなどし,さらに,同人の胸や陰部を直接手指で触ったり,その陰部に自己の陰茎を押し当てるなど」という強制性交の罪となるべき事実(那覇地裁r03.5.24)

「全体を包括して刑法177条1罪が成立すると判断した。」というのですが、起訴罪名は強制性交とわいせつ誘拐罪だけだから[同人の胸や陰部を直接手指で触ったり,]の部分は強制わいせつ罪で起訴されていない。 不告不理を検討した方がいい。
 強制性交未遂の場合、姦淫目的で手を引っ張っただけの未遂と、脱がせて裸にして陰茎押しつけて未遂とで量刑が大きく違うので、わいせつ行為が記載されるのですが、実は起訴されていない。

事件番号 令3(わ)73号
事件名 わいせつ略取誘拐,強制性交等被告事件
文献番号 2021WLJPCA05246002
 上記の者に対するわいせつ略取誘拐,強制性交等被告事件について,当裁判所は,検察官井川貴文及び国選弁護人伊東幸太朗各出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
理由

 (罪となるべき事実)
 被告人は,被害者(その氏名は別紙記載1のとおり。当時9歳)を略取誘拐して強制性交等をしようと考え,令和2年7月21日午後5時28分頃から同日午後5時46分頃までの間に,沖縄県内の路上(その所在地は別紙記載2のとおり)において,徒歩で通行中の同人に対し,道案内の依頼を装って声をかけ,同人にその旨誤信させ,その背後から同人が背負っていたランドセルを手で押し,同人を同所付近路上に駐車させた被告人使用の乗用車まで連行して同車後部座席に乗車させるとともに,被告人も同後部座席に乗り込んでドアを閉めて被害者を自己の支配下に置き,同人が13歳未満であることを知りながら,同車内において,その首を両手で絞め,「脱げ」と語気鋭く申し向けるなどして,同人を全裸にさせた上,同人の後頭部を手で押さえつけながら,その口腔内に自己の陰茎を入れるなどし,さらに,同人の胸や陰部を直接手指で触ったり,その陰部に自己の陰茎を押し当てるなどし,もってわいせつ目的で同人を略取誘拐した上,13歳未満の者に対し,口腔性交をした。
 (法令の適用)
 罰条
 判示所為中
 わいせつ略取誘拐の点 刑法225条
 強制性交等の点 包括して刑法177条
 (被告人は,13歳未満の被害者に対し,暴行脅迫を用いて口腔性交するという刑法177条に該当する行為をし,引き続き被害者の胸や陰部を直接手指で触ったり,その陰部に自己の陰茎を押し当てるなどの強制わいせつに該当する行為に及んでいるが,これらの行為は,前記刑法177条該当行為と接着した機会に同一犯意に基づいてされたと認められることなどから,全体を包括して刑法177条1罪が成立すると判断した。)
 科刑上一罪の処理 刑法54条1項後段,10条(わいせつ略取誘拐と強制性交等との間には手段結果の関係があるので,1罪として重い強制性交等罪の刑で処断)
 未決勾留日数算入 刑法21条
 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
 (量刑の理由)
 被告人は,被害者に虚言を弄しつつ,自らも被害者のランドセルを押すなどしてほぼ強制的に被害者を自動車内に連れ込んで逃げることの困難な状況下に置いた上,数秒間にわたって首を絞めるという相当程度強度の暴行を加えることで被害者の抵抗を封じ,全裸にさせた上で口腔性交等の行為に及んだ。
 (検察官の求刑・懲役7年)
 令和3年5月25日
 那覇地方裁判所刑事第1部
 (裁判長裁判官 大橋弘治 裁判官 君島直之 裁判官 山本隼人)

強制性交(177後段)2件で執行猶予(佐賀地裁R3.5.27)

 公務員。示談200万
 量刑DBの「部類」で量刑されますから、軽い部類の裁判例を集めて、軽い部類になるような情状立証をすることになりますね。

裁判年月日 令和 3年 5月27日 
裁判所名 佐賀地裁 裁判区分 判決
事件名 強制性交等被告事件
文献番号 2021WLJPCA05276008
主文
 被告人を懲役3年に処する。
 未決勾留日数中40日をその刑に算入する。
 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,別紙記載の者(以下「A」という。)が13歳未満の者であることを知りながら,Aと性交しようと考え,以下の行為に及んだ。
 第1 令和3年1月5日午後10時2分頃から同月6日午前1時44分頃までの間,福岡県久留米市〈以下省略〉「aホテル」405号室において,Aと口腔性交及び性交した。
 第2 同月6日午後7時36分頃から同月7日午前9時56分頃までの間,福岡市〈以下省略〉bホテル501号室において,Aと口腔性交及び性交した。
 (証拠の標目)(括弧内の番号は検察官請求の証拠番号を示す。)
 判示事実全部について
 ・ 被告人の公判供述
 ・ 聴取結果報告書抄本(甲1)
 ・ 捜査報告書(甲2)
 判示第1の事実について
 ・ 被告人の警察官調書(乙3)
 ・ 捜査報告書(甲5)
 判示第2の事実について
 ・ 被告人の警察官調書(乙4)
 ・ 捜査報告書(甲4)
 (法令の適用)
 罰条
 判示各行為について いずれも刑法177条後段
 併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の重い判示第1の罪の刑に法定の加重)
 酌量減軽 刑法66条,71条,68条3号
 未決勾留日数の算入 刑法21条
 刑の執行猶予 刑法25条1項
 訴訟費用 刑訴法181条1項ただし書(不負担)
 (量刑の理由)
 被告人は,SNSを通じて当時小学6年生のAと知り合い,Aから一方的に好意を告げられて交際を開始した上,Aから積極的に性行為に誘われて,判示の性行為に及んだ。被告人は,当時刑務官として矯正教育に携わる立場にあったのに,Aの年齢や精神的未熟さを顧みることなく,誘われるまま,安易に性行為に及んだもので,結局は自己の性欲を満たすために犯行に及んだといわざるを得ず,そのいきさつに酌むべき事情は乏しい。犯行態様に粗暴な点は見られないものの,被告人は犯行に際し避妊をしておらず,Aの身体に妊娠等の重大な影響を与える危険性があった。本件がAの将来の健全な成長に悪影響を及ぼす可能性は高い。以上によれば,被告人の刑事責任は軽いものではないが,同種事案の中で重い部類に属するとまではいえない。
 その上で,被告人は,Aの母に対し200万円を支払って,示談を成立させている。これに加え,被告人に前科前歴がないこと,公判廷に至ってもAの精神的未熟さに対する認識が乏しい面がうかがえるものの,当初から事実を素直に認め,Aには二度と会わない旨述べて被告人なりに反省の態度を示していること,父が被告人を監督する旨誓約していることなどを考慮すると,被告人に対しては,酌量減軽をした上で,今回に限りその刑の執行を猶予するのが相当と判断した。
 (求刑・懲役5年)
 佐賀地方裁判所刑事部
 (裁判長裁判官 今泉裕登 裁判官 西村彩子 裁判官 神尾元樹)

単純所持罪(7条1項)について「2衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ1点」という罪となるべき事実の記載方法


 判示第1の2の3郷ポルノの事実摘示は「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」という法2条3項3号の法文を丸写ししただけで、具体的な事実が記載されていないので理由不備ですよね。
 3号ポルノの児童は全裸か半裸ですから具体的には「乳房を露出する姿態」とか「陰部を露出する姿態」となるはずで、「衣服の全部又は一部を着けない」という記載になるはずがありません。

刑事判決書起案の手引き
第2 事実摘示の方法・程度一般
153 1 罪となるべき事実は,それがいかなる構成要件に該当するかが,一読して分かるように,明確にこれを記載しなければならない。そのためには,当言葉犯罪の構成要件要素に当たる事実のすべてを漏れなく記載しなければならない。そのほか,事案に応じいわゆる犯情の軽重を示す事実をも記載する方がよい。
154 他方,他の犯罪をも認定したのではないかと疑わせるおそれのある表現は,できる限り避けなければならない(例えば,屋内での強盗被告事件において,住居侵入の点については有罪の認定をしない事案で.「A方に押し入り」などの言葉を用いることは,たとえ情状を明らかにするつもりであっても,むしろこれを避けるべきである。)。
155 2「( 罪となるべき事実)」の見出しの下に摘示される事実は,それが本来の罪となるべき事実に当たるときはもとより,そうでない事実であっても,証拠によって認定されたものでなければならない。「(犯行に至る経緯)」等の見出しの下に摘示される事実についても同様である。
156 3 罪となるべき事実は,できる限り具体的に,かっ,他の事実と区別できる程度に特定して,これを摘示しなければならない。そのためには,犯罪の日待・場所はもとより,犯罪の手段・方法・結果等についてもできる限り具体的にこれを記載しなければならない。このことは既判力の及ぶ範囲や訴因との同一性を明確にするためにも必要である。
157 4 包括ー罪においては,犯罪の日時・場所・手段等について包括的な判示が許される。
158 5 事実はできる限り明確に摘示しなりればならない。したがって,日時・場所・数量等が証拠によって明らかに認められるのに「ころ」「付近」「等」「くらい」などの言葉を用いることは慎むべきである。
6 被害者の年齢については,それが構成要件に関する事実(刑176後等)である場合を除き,必ずしも檎示の必要はないが,犯罪の成否(脅迫・恐喝・強盗罪等)及び犯情(殺人・傷害罪等)に影響を与えるような場合には,これを摘示するのが通例である。
その方法としては, 「A (当時00歳)」とするのが通例である。 「B(当00年)」, 「C (平成O年O月O日生)」とする例もないではないが, 「当」は,犯罪時の年齢か判決時のそれかが必ずしも明確ではない。
7 犯行に用いた凶器等を罪となるべき事実の中に判示する場合,それが主文で没収を言い渡した物であるときは,河一性を明示するため,裁判所の押収番号(96参照)を記載することが望ましい(168参照)。没収を言い渡さなかった物であるときでも,証拠の標目中に掲げた証拠物との同一性を明示するため,その押収番号を記載する例が多い。
8 事実の摘示は,冗漫にならないように留意しなければならない。
9 事実摘示の末尾に,認定した事実に対する裁判所の法律的評価を明らかにする趣旨で,例えば, 「もって,自己の職務に関し賄賂を収受し」「もって横領し」等の言葉を記載する事例が多いが,この場合, 「自己の職務に関し賄賂を収受し」,「横領し」等の言葉は法律的評価を示すものにすぎないのであって,それ自体犯罪行為の事実的表現ではないことに留意すべきである。
10 併合罪の場合には,各個の犯罪事実ごとに,第1,第2というように番号を付け,かつ,行を改め,科刑上のー罪の場合には,そのようにせずに各事実を続けて摘示するのが通例である(なお, 214, 319参照)。
11 事実を摘示するに当たっては,起訴状等に記載された事実を引用することが許される(規218)。しかし,起訴状等の記載は裁判所の最終的な判断に必ずしも完全に一致するとは限らないから,漫然とこれを引用することがないように留意しなければならない。

判例番号】 L07451418
       児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,わいせつ略取,強制わいせつ致死,殺人,死体遺棄,死体損壊,電汽車往来危険被告事件

【事件番号】 新潟地方裁判所判決
【判決日付】 令和元年12月4日
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載
       主   文

 被告人を無期懲役に処する。
 未決勾留日数中370日をその刑に算入する。

       理   由

(罪となるべき事実)
第1 被告人は,自分の性的好奇心を満たす目的で,平成29年11月27日,新潟県上越市(以下略)所在の新潟県上越警察署において,以下の各動画データを記録した児童ポルノである記録媒体を内蔵した携帯電話機1台を所持した。
 1 他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ1点
 2 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ1点
第2 被告人は,下校中の■■■(当時7歳。以下「A」という。)に対して強いてわいせつな行為をしようと考え,平成30年5月7日午後3時20分頃,新潟市西区(以下略)付近路上(以下「略取現場」という。)において,その場所を歩行中のAの背後から軽自動車を運転して接近し,車の右前部をAに衝突させ,転倒したAを抱きかかえて車の後部座席に乗せ,その首を手で絞め付けてAを気絶させ,車をその場所から発進させてAを連れ去り,もってわいせつの目的でAを略取するとともにAの反抗を抑圧した。そして,その日の午後3時28分頃からその日の午後3時59分頃までの間に,同区(以下略)所在の「□□広場」(以下「広場」という。)駐車場に駐車中の車内において,Aが13歳未満であることを知りながら,Aのズボンとパンツを脱がせて,その膣内に手指を挿入するなどし,もって強いてわいせつな行為をした。さらに,その頃,その場所において,Aが意識を取り戻して声を上げたことから,Aを気絶させるため,Aが死ぬかもしれないと認識しながら,Aの首を手で絞め付けて圧迫し,よって,その頃,その場所において,Aを頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害した。
第3 被告人は,その日の午後10時25分頃,同区(以下略)付近のB株式会社新潟支社△△線内において,Aの死体を同線軌道上に置いて放置し,その日の午後10時30分頃,同社○×駅方面から同社×○駅方面に向けて走行してきた電車にAの死体を轢過させて,その頸部を離断させるなどし,もって死体を遺棄,損壊するとともに,電車の往来の危険を生じさせた。

長崎県少年保護育成条例16条2項の「少年に拒まれたにもかかわらず提供を行うように求める」行為=嫌だ、あげない、無理→該当する 何に使うの?、おかしいよ、ばかじやない→該当しない

長崎県少年保護育成条例16条2項の「少年に拒まれたにもかかわらず提供を行うように求める」行為=嫌だ、あげない、無理→該当する 何に使うの?、おかしいよ、ばかじやない→該当しない
 方言も混じるとわかりませんよね。
 なお、「送らないと会話の内容をバラす、どうなるかわからないぞ」というのは脅迫ですので威迫になりません。

「威迫」とは、脅迫に至らない程度の人に不安を生ぜしめるような行為をいう。 
例:送らないと会話の内容をバラす、どうなるかわからないぞ

長崎県少年保護育成条例の解説h31
児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第16条の2何人も、少年に対し、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1)少年に拒まれたにもかかわらず、当該少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を行うように求めること。
(2)少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
[要旨]
本条は、少年の健全な育成を阻害するおそれのある、いわゆる児童ポルノの自画撮り勧誘行為を禁止したものである。
解説]
1 この条は、スマートフオン等の普及に伴い、SNSに代表されるコミュニティサイト等を通じて知り合った相手に、少年が自身の裸や下着姿を撮影させられたうえ、メール等で送らされる事案が後を絶たないことを受け、平成31年の改正により新設されたものである。
2 「何人も」とは、第1条の2の解説と同様であるが、インターネットを利用して勧誘行為をする場合、他県居住者等も含まれるものと解される。
3勧誘行為は、インターネット等を通じて行われることがほとんどであるが、インターネットを通じて犯行が行われた場合、行為者が勧誘を行った場所のみならず、被害者となる少年が勧誘行為を受けた場所である結果発生地も犯罪地となる。
よって、コミュニティサイトやメールなどを利用して県外から県内の少年に提供を求める行為、県内から県外の少年に提供を求める行為についても規制の対象となる。
4 「当該少年に係る児童ポルノ等」とは、いわゆる「自画撮り画像」をいう。
児童ポルノ等」には、写真や電磁的記録に係る記録媒体のほか、メール等に添付する画像データも含まれる。
5本条の規定に違反して、当該少年に対し、不当な手段(「拒まれたにもかかわらず」、「欺き、威迫し又は困惑させる方法」及び「対償を供与し、又はその供与の約束をする方法」)により、当該少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた場合は、30万円以下の罰金に処せられる。
「拒まれたにもかかわらず」とは、児童ポルノ等の提供を拒絶していることをいう。
例:
嫌だ、あげない、無理→該当する
何に使うの?、おかしいよ、ばかじやない→該当しない

「欺く」とは、事実及び評価についての人の判断に誤りを生じさせる行為をいう。
例:
(同性や医師になりすまして)体の悩みの相談にのるから画像を送って
「威迫」とは、脅迫に至らない程度の人に不安を生ぜしめるような行為をいう。
例:
送らないと会話の内容をバラす、どうなるかわからないぞ
「困惑させる」とは、相手方を困らせて戸惑わせる(不安にさせる)ことをいう。
例:送ってくれないと死ぬ、好きなら送れると思うけど
「対償を供与し」とは、児童ポルノ等を提供することに対する反対給付としての経済的利益をいい、現金に限らず物品であってもよく、金銭の貸付や返済の猶予又は免除等も含まれ、金額の多寡も問わない。,
例:
画像をくれたらお金をあげる、ギフトカードのパスワードを送付する
6本条は、不当な手段を用いた要求行為を禁止していることから、恋愛関係にある場合のやり取りや冗談等による要求行為については、本条の規定を適用しない。
また、本条の規定に違反した者が少年である場合、罰則は適用しない。
罰則
本条違反: 30万円以下の罰金
本規定の対象は、インターネットによるやり取りが主となり、通常、被疑者と被害者が対面することがないため、第23条の規定の適用はない。

わいせつ電磁的記録有償頒布目的罪1罪の「懲役2年6月執行猶予5年罰金50万円」の判決は、懲役1年6月執行猶予4年罰金80万円)で確定


東京地裁r0301028 懲役2年6月、執行猶予5年、罰金50万円(井下田英樹裁判官)
東京高裁高裁r030609 懲役1年6月 執行猶予4年罰金80万円(藤井敏明裁判長)
最高裁決定r031011 上告棄却 
という経緯になります。
 懲役刑は執行猶予期間を自重自戒して過ごして貰えば執行猶予期間が短縮されても影響ないんですが、併科の罰金刑は実刑ですので、確定後すぐ検察官から取り立てられます。そこが増額になったのは、不利益変更の疑いがあります。

第一七五条(わいせつ物頒布等)
1 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

求刑も判決も、間違って法定刑超え 是正のため高裁に控訴 東京地検・地裁
2021.02.10 朝日新聞
地検公判部によると、担当検事は法定刑の範囲内の求刑をすることで上
司の決裁を得ていたが、法廷で読み上げる資料を作成する際に書き間違えた。判決後の確認作業で別の職員が誤りに気づいたという。地検は「深く反省し、より一層の点検確認を行い、再発防止に努めたい」、確認を怠ってそのまま判決を出した東京地裁の後藤博所長は「このような事態が生じたことは遺憾である」とコメントした。

法定超え1審判決 破棄=東京
2021.06.11 読売新聞
 わいせつDVDを販売目的で所持した罪に問われ、1審・東京地裁で法定刑を超える違法な判決を受けた被告2人の控訴審判決が9日、東京高裁であった。藤井敏明裁判長は1審判決を破棄し、いずれも懲役1年6月、執行猶予4年などとする判決を言い渡した。

法定超え1審破棄 2審判決が確定へ=東京
2021.10.13 読売新聞
  わいせつDVDを販売目的で所持した罪に問われ、1審・東京地裁で法定刑を超える違法な判決を受けた男(70)について、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は11日付の決定で被告側の上告を棄却した。懲役1年6月、執行猶予4年、罰金80万円とした2審・東京高裁判決が確定する。
 男は、わいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持罪で起訴された。1審で検察側が同罪の法定刑(2年以下の懲役など)を超える懲役2年6月などを誤って求刑。東京地裁もミスに気づかず、今年1月に、懲役2年6月、執行猶予5年、罰金50万円の判決を言い渡した。検察側、被告側の双方が控訴し、東京高裁が6月に1審判決を破棄していた。

追記 2022/01/18
主文を閲覧してきました。
裁判官名・検察官名は秘匿されました。

東京地裁r3.1.28
被告人aを懲役2年6月及び罰金80万円に、
被告人bを懲役2年6月及び罰金50万円に、それぞれ処する
この裁判確定の日から、被告人aに対して4年間 被告人bに対し5年間それぞれその懲役刑の執行を猶予する

東京高裁R3.6.9
原判決を破棄する
被告人両名をそれぞれ懲役1年6月及び罰金80万円に処する、
この裁判確定の日から、被告人両名に対して4年間 それぞれその懲役刑の執行を猶予する