児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

熊本地震の避難所(以下「本件避難所」という。)において,当時11歳の女子児童(以下「本件児童」という。)に対し本件児童が18歳未満であることを知りながら,その面前でわいせつな動画を見せたという熊本県少年保護育成条例違反の被疑事実(熊本地裁r3.3.3)

 わいせつな動画を見せるというのは「わいせつ行為」なんですかね?

裁判年月日 令和 3年 3月 3日 裁判所名 熊本地裁 裁判区分 判決
事件番号 令元(ワ)319号
事件名 損害賠償請求事件
文献番号 2021WLJPCA03036003
住所〈省略〉 
原告 
X 
同訴訟代理人弁護士 
松本卓也 
立山晴大 
小松圭介 
熊本市〈以下省略〉 
被告 
熊本県 
同代表者知事 
A 
同訴訟代理人弁護士 
髙島剛一 
同指定代理人 
主文
 1 被告は,原告に対し,16万5000円及びこれに対する平成28年5月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用は,これを40分し,その3を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。
 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
 被告は,原告に対し,220万円及びこれに対する平成28年5月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要等
 1 事案の概要
 本件は,熊本県少年保護育成条例違反の被疑事実により熊本県警察に逮捕・勾留された原告が,その逮捕・勾留中に熊本県警察の警察官が取調べの際に黙秘権を告知しなかったほか,黙秘権侵害となる発言をし,弁護人との接見内容に関する質問を行ったこと等により原告の黙秘権及び弁護人との接見交通権が侵害された旨主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償金220万円及びこれに対する逮捕日である平成28年5月16日から支払済みまで民法(ただし,平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 2 前提事実(争いのない事実並びに各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
  (1) 当事者
   ア 原告は,平成8年生まれの男性であり,平成28年5月の逮捕・勾留当時19歳の会社員であった。(弁論の全趣旨)
   イ 被告は,熊本県警察を所管する地方公共団体である。(争いがない。)
  (2) 本件逮捕・勾留
 原告は,平成28年5月16日,同年4月に発生したいわゆる熊本地震の避難所(以下「本件避難所」という。)において,当時11歳の女子児童(以下「本件児童」という。)に対し本件児童が18歳未満であることを知りながら,その面前でわいせつな動画を見せたとして,熊本県少年保護育成条例違反の被疑事実(以下「本件被疑事実」という。)により通常逮捕され,熊本県警察本部留置施設に留置された。原告は,同月18日に熊本地方裁判の裁判官が行った勾留決定を経て,同月27日の勾留期間満了まで上記留置施設に勾留された。(争いがない。)
  (3) 原告の取調べ
 原告の逮捕・勾留中,原告の取調べは,熊本南警察署のB巡査部長(以下「B巡査部長」という。)が主に担当し,B巡査部長は,同月16日,同月18日,同月21日,同月22日及び同月24日の計5日にわたり,原告に対し本件被疑事実に関する取調べを行った。(争いがない。)
  (4) 原告による弁護人の選任
 原告は,逮捕当日の同月16日に当番弁護士となった松本卓也弁護士(本件訴訟代理人。以下「松本弁護士」という。)と面会し,その後母親を通じて松本弁護士を弁護人として選任した。
 松本弁護士は,同月18日,日本弁護士連合会作成の「被疑者ノート」(弁護人が接見の際に見ながら取調べ状況の説明を受けるとともに,後日返却を受け,弁護活動に役立てることを予定して,被疑者に差し入れ,記録を要請するもの。以下,単に「被疑者ノート」という。)を原告に差し入れた。(甲4,18)
  (5) 原告に対する処分
 原告は,同月27日,勾留期間が満了したことにより釈放され,熊本地方検察庁の検察官は,同日付けで,審判に付すべき事由を熊本県迷惑行為等防止条例違反に変更した上で,原告を熊本家庭裁判所に送致したが,熊本家庭裁判所は,同年10月11日,送致された事実(非行事実)が認められないことを理由として原告を保護処分に付さない旨の決定をした。(甲3)

熊本県少年保護育成条例の解説h31
(みだらな性行為及びわいせつ行為の禁止)
第13条
1何人も、少年に対し、みだらな性行為又はわいせつ行為をしてはならない。
2何人も、少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
ニーニ〔要旨〕
本条は、少年に対してみだらな性行為又はわいせつ行為をすること、又はこれらの行為を故意に教えたり、見せたりすることを禁止するものである。
解説
3第1項関係
(1) 「みだらな性行為」とは、「淫行」と同義語で、一般社会人からみて不純とされる性行為をいい、結婚を前提としない、単なる欲望を満たすためあるいは好奇心からのみ行う性行為がこれにあたり、性交のほか性交類似行為も含まれる。また、不純であるかどうかは、あくまでも社会通念上判断されるべきものである。
なお、17歳の女子高生と分かっていながら性交したとして、愛知県青少年保護育成条
例(淫行の禁止)違反の罪に問われた男性に対する無罪判決(平成19. 5. 23、名古屋簡裁判決)が出ていることから注意が必要である。同裁判は、被告である男性が「単に自己の性的欲望を満たすためだけの目的」で性行為に至ったのかが争われたもので、判決では、
「不倫」「結婚を前提にしない」というだけでは刑事罰の対象とはならず、「加害者と青少年との関係性、行為の手段方法、状況等の外形的なものを捉え、青少年の保護育成上危険があるか、加害者に法的秩序からみて実質的に不当性、違法性があるか等、これらを時代に応じて『社会通念』を基準にして判断すべき」
と述べた上で、

一定期間に映画を見に行くなどのデートを重ねたこと、女子高生も男性に対して好意を抱いており、合意や心的交流があったうえでのセックスだったことなどから、「淫行」に相当するというには相当な疑問が残るとして、男性を無罪としている。
また、同判決では、以下の①~④のような場合は、たとえ合意があっても青少年保護の観点から社会通念上非難に値する行為、つまり「淫行」としている。
①職務上支配関係下で行われる性行為
②家出中の蕾少年を誘った性行為
③一面識もないのに性交渉だけを目的に短時間のうちに青少年に会って性行為すること
④代|賞として金品などの利益提供やその約束のもとに行われる性行為
(2)性交類似行為とは、性交に類似した行為であり、少年にとって精神的又は身体的な観点から性交と同様の影響を及ぼすものを指す。すなわち、男女間の性交を模した、あるいは性交を連想させるような姿態での手淫、口淫行為や同性愛行為等がこれに当たる。(昭和51 . 4. 26大阪高裁判決、平成8. 3. 18長野家裁判決等)
(3) 「わいせつ行為」とは、いたずらに性欲を刺激、興薑させたり、その露骨な表現によって正常な普通一般社会人に、性的しゅうち嫌悪の情をおこさせ善良な性的道義感に反するものをいう。
しかし、現にしゅうち嫌悪の情をおこさせたことを必要としない。このような情をおこさせる性質の行為であればこれに当たる。
例えば、単に陰部に触れる行為、乳房を撫でる行為、接吻行為等がこれに当たる。
(4)本項の規定のうち児菫買舂、児菫ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成1 1年法律第52号)に該当するものについては、同法が適用される。

長野県で青少年淫行+児童ポルノ製造しても製造罪だけが起訴される理由

一般に、長野県・岡山県で、青少年と淫行して撮影すると
2019.11.15 長野県  児童ポルノ製造
2019.12.15 岡山県  児童ポルノ製造+岡山県青少年条例違反
という罪名選択になります

長野県子どもを性被害から守るための条例
(威迫等による性行為等の禁止)
第17条
1 何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて、性行為又はわいせつな行為を行ってはならない。

岡山県青少年健全育成条例
(淫行及びわいせつ行為の禁止)
第20条 何人も,青少年に対し淫行又はわいせつ行為をしてはならない。

 長野県は下記の判例の①のみを処罰することにして、岡山県は①②を処罰することにしているからです。

「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、①青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、
②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。(最大判S60.10.23)

 長野県は①しか処罰していないので②の事例は把握していませんが、児童ポルノ製造罪の検挙事例をみると、②の淫行も行われていることがわかります。

https://news.yahoo.co.jp/articles/60c7048ff19051ec3ae629715bcee5ff8bf913ee
発表によると、容疑者は2019年11月15日、長野県内のホテル客室で、相手が18歳未満と知りながら同県の女子中学生(当時14歳)へのわいせつな行為を写真撮影したほか、同年12月15日には岡山県内のホテル客室で、同様に同県の女子高校生(同17歳)にわいせつな行為をし、写真撮影した疑い。

強制わいせつ致傷無罪判決(千葉地裁r03.7.15)

 わいせつの定義もないのに「わいせつ行為とはいえない」と認定しています。

千葉地方裁判所
令和3年7月15日刑事第1部判決
       判   決
に対する,強制わいせつ致傷(変更後の訴因 同)
各被告事件について,当裁判所は,
検察官 大山輝幸 西山桃子
被告人A弁護人 夏井翔平(主任) 坂口靖
被告人B弁護人 小竹広子(主任) 海渡雄一
被告人C弁護人 竹花俊徳(主任) 大谷悠
各出席の上審理し,次のとおり判決する。
       主   文
被告人3名はいずれも無罪。
       理   由

【秘匿されている被害者関連情報については,別紙秘匿情報一覧のとおり】
第1 本件公訴事実
 本件公訴事実は,「被告人3名は,D(秘匿名,当時21歳)に強いてわいせつな行為をしようと考え,共謀の上,令和2年8月9日午後11時27分頃から同日午後11時36分頃までの間,千葉県茂原市内の同人方敷地内において,同人に対し,被告人Aが背後からDの左脇に左手を通して着衣の上から同人の左胸をなで回し【わいせつ行為〔1〕】,被告人BがDの顔を両手で押さえ付けてキスしようとし【わいせつ行為〔2〕】,更にわいせつな行為をするため,同所から上記D方北東側の隣家先路上までの間,被告人A及び同BがDの腕をそれぞれ抱きかかえて同人を後ろ向きに引きずるなどして移動させるなどし【引きずり行為】,その際,逃げようとしたDを前記路上及び同人方敷地内において転倒させて右手及び両膝等を地面に打ち付けさせ【転倒〔1〕,同〔2〕】,よって同人に全治約10日間を要する右手・右足・左膝擦過傷等の傷害を負わせた。」というものである(【】内は当裁判所の付けた略称である。)。
第2 本件の争点等
 各弁護人は,各わいせつ行為,引きずり行為,各転倒はいずれも存在せず,被告人らがDへの強制わいせつ行為を共謀した事実もないから,被告人3名はいずれも無罪である旨を主張しており,本件の争点は,事件性及び共謀の有無である。
 当裁判所は,D証言によって事件性を認めるには合理的な疑いが残り,共謀の有無を検討するまでもなく,被告人3名はいずれも無罪と判断した。

第5 D証言の信用性について
1 D証言の外部的事情に関する検討
(1)Dの属性等
 弁護人らが指摘するとおり,Dには,事実ではない話をする傾向が認められる。すなわち,関係者らとのメッセージのやりとりをみると,本件の約2週間前には,Aから保育士として就職したのかと尋ねられ,実際には全く異なる仕事をしているのにこれを肯定し,更に保育園の保護者に見られるのが嫌で自宅から離れた場所の保育園に就職したなどと書き送ったり(弁16-26~41),実際には,アウディ(ドイツ車のブランド名)に乗っていたわけでもないのに,Bに対し,「私のアウディで事故ろう」とメッセージを送ってドライブに誘ったり(弁16-80),本件前には,Aからの通話に応じられない理由として、そのような事実はないのに,精神的に参っている女友達から話を聞いている最中であるかのように振る舞ったり(弁16-140,186~188,222),本件後には,Eに対し,家を出たのは隣人から迷惑だといって呼ばれたからであると事実とは異なる説明をしたり(弁16-271,274)している。これらのメッセージの内容はいずれも,D自身が,事実とは異なることを認めているが,Dは,事実と異なるメッセージを送った理由について問い質されても,特に動揺したり,恥じ入ったりする様子はみられず,分からない,説明が面倒だからなどと,さも当然のごとく答えている。これらの証言態度から,Dが事実と異なる話をすることに関し,心理的抵抗感の少ない人物であることがみてとれる。
 このような属性をDが有していることは,被害内容と直接関係するものではないものの,証言の信用性について,慎重な検討を要する事情があるといわざるを得ない。 
(2)虚偽供述の動機
 検察官は,Dと被告人3名は,元同級生である地元の友人同士として,本件に至るまでは良好な関係を維持していたのであって,そのような関係の相手から性犯罪の被害を受けた事実を申告することは,一般的に大きな心理的負担を伴うから,地元の知人・友人のことを警察に申告するということ自体,その後の地域社会の中での関係を考えれば,ためらうのが普通で,相当な覚悟がなければできない,そのような負担を抱え込んでまで嘘の被害申告をしても何の得にもならない,と主張している。一般的な心理的負担に関しては,そのとおりである。
 しかしながら,Dは若年で社会経験に乏しく,当初EやD母に被害を告げた時点で,被告人3名が逮捕されて裁判員裁判にかけられるといった大事件になることまで予見できていたかは疑問がある。軽い気持ちで被害の話をEや母にしたところ,周囲が騒ぎ出し,引くに引けなくなることはあり得ることである。本件でも,Dは当初,自分から積極的に警察に申告しようとはしたわけではなく,両親やEの勧めにより,母に交番まで同伴されて被害申告している。
 一方で,事件があったとされる時間の前後に,Dは,Eと通話やメッセージのやり取りをしていたが,被告人3名がD宅前に来ていることや外に出て会うことは知らせていなかった。ところが,Fらと出会った際,上半身裸のAに肩を抱かれて歩いている姿をFに目撃され,何をやっているのかと呆れた様子で質問されれば,FがそのことをEに告げるのではないかとDが心配になったことは想像に難くない(Bによれば,D自身も,Bが別の女性と遊んでいるのを見たなどとBの交際相手に告げていたという。Cも似た経験をしている。)。Dが事件直後に,それまで疎遠だったFに急にコンタクトを取っている(弁16-427~)のもそれと符合する。Dは,当時,Eに頼んで交際を了承してもらってから1か月も経っておらず,Eとの信頼関係が盤石とは言い難い状況であったことから,自分が望んでそのような事態になったのではないとEに弁解しておきたいという気持ちが生じたとしても無理はない。本件直後,DがEに対し,「ねえ!怒った!?」「誤解される前にちゃんと自分の口から言いたかった」(弁16-321,322)とメッセージを送っていることは上記見方に符合する。その結果,Dは,そのような事態になったことについて,自分に責任はなく,被害者なのだということを強調したい余り,また,Eから心配されたい,気をひきたいという気持ちから,被告人らからされた行為を脚色して,被害を申告した可能性も否定できない。D証言によっても,DがAから肩を抱き寄せられたことはあるが,抱きしめられた事実はないのに,「泣きそ」「抱きしめられるし死にたい」(弁16-289,290)とのメッセージをDがEに送っていることは,上記見方に符合する。
 さらに,被告人3名の供述どおりだとしても,被告人らが深夜,上半身裸でD方を訪問し,Aは酒に酔った勢いでいきなりDの肩を抱くなどしたというのであって,Dが被告人3名から軽く扱われていると感じて,ショックを受けたり不快に思ったりした可能性もある。Dは,Fから,Cが「Dでてこねえし あいつだりい」とDの悪口を言っていると聞かされ,怒りを感じたことも認めている。これらの事情は,Dの虚偽供述に対する心理的抵抗をかなり下げた可能性がある。
 このようにDには虚偽供述の動機になり得る事情が複数想定されるから,検察官のように,うその被害申告をしても何の得にもならないなどということはできないのであり,Dの証言については,より慎重な検討が必要である。
2 D証言自体に関する検討
(1)証言内容の具体性・一貫性
 Dは,被告人らから受けた暴行及びわいせつ行為や2度の転倒について,その都度相応に具体的な説明をするものの,その内容は証言の中でも一貫しておらず,結局のところ被害態様があいまいであると言わざるを得ない。また,捜査段階でも多くの点で変遷があったことがうかがわれる。
 この点につき,検察官は,暴行やわいせつ行為があったという部分は一貫しており,細部や出来事の順番については記憶の混同,聞き方や表現の差異等によって変遷が生じてもおかしくないのであるから,D証言の核心部分についての信用性は損なわれない旨主張する。しかし,既に述べたように,D証言と被告人3名の各供述の違いが,背中に回した手の位置,顔と顔の距離など微妙なものであるときに,暴行やわいせつ行為があったという以外に明確で一貫している部分がないということは,軽微な問題とはいえない。以下,詳述する。
ア 各わいせつ行為の状況
(ア)被害の場所
 まず,D証言では,各わいせつ行為のタイミングや場所が特定できない。具体的には,検察官からの主尋問の際は,玄関を出た後被告人らとやりとりがあり,敷地外に出る直前に胸を触られるなどした,道路と敷地のぎりぎりの場所だったので,捜査段階では敷地外の路上と説明していた,というものであったのが,裁判所からの補充尋問では,玄関ポーチ上で胸を触られたかのような説明をしたり,胸を触られるなどした場所やタイミングは分からないと言ったりし,結局,検察官からの再々主尋問に対し,場所は混ざっていて分からない,玄関と敷地外のどちらに近いかも分からないと述べるに至った。さらに,Dの捜査段階における供述には,胸を揉まれるなどした場所について,自宅から離れた路上とするものから,自宅敷地内とするものまで混在しているというのであるから,Dの被害を受けた場所に関する記憶が不確かであることが一層うかがわれる。
(イ)被害時の態勢
 また,Dは,胸を触られた態勢について,最初に,D母と共に,交番で被害申告した際は,後ろから覆いかぶさるようにして触られたと述べていたようであるが(D母証言,Dは否認),弁護人から,その後の届出受理報告書で,Aに背後から両脇下から抱きかかえられ,左胸を触られたと述べていたのではないかと問われると,した記憶はないが警察官が勝手に作ったはずはないと答え,公判では,腰の後ろから回された手で左胸を揉まれた,と証言している。そのときにBがどこにいたかの供述もあいまいである。捜査段階では,自身の左側にいて,自分の左腕をつかまれていたと述べ,その旨の再現写真が撮られており,公判でもAの弁護人に対しては,そのように証言したが,その後,裁判所から改めて問われるとBは自分の右斜め前にいて,「大丈夫,こっちおいで」と言われたと述べる。
(ウ)被害態様
 胸の触り方についても,捜査段階では左胸をなで回された,と述べて,公訴事実もそのように記載されていたのに,公判では,最初は,手を動かしながら,揉むという動きがあった,数回揉まれたと証言し,食い違いを指摘されると,揉むも撫でまわすも同じだと,主張した。胸を触られた時間についても,捜査段階では20~30秒と述べていたのに,公判では5~10秒に短縮された。
(エ)まとめ
 結局,D証言は,最も重要なわいせつ行為の詳細について,被害に遭った場所,そのときの態勢や触り方が全く一義的に定まらない。
イ CのA及びBに対する発言を聞いた状況
 Dは,CがA及びBに,「抑えればいける」などと言ったのは,Aから胸を揉まれ,Bからキスされそうになった後,路上を引っ張られていた場面である,それを聞いて本気で抵抗したので転倒したと証言する。しかし,被害申告当初は,CがAとBが抑えればいけると言った後,Aから胸を揉まれ,Bにキスされそうになったと供述していたというのであるから,この点にも変遷が見られる。
ウ 引きずり行為及び転倒〔1〕の状況
 Dは,A及びBに引っぱられて転倒した,両名に両腕を捕まれて起き上がらされた後,短時間後ろ向きに引きずられたと証言するが,どのような体勢を経て後ろ向きになり,その後また前を向くことになったのか,そのとき,A及びBは手を放したのか,手をつかまれたままだったのか等,具体的なイメージを持つことが困難である。しかも,Dは,被害申告当初は,後ろ向きに引っ張られ又は引きずられたとの供述をしていなかったが,検察官による取調べの際には,後ろ向きに引きずられているときにFらと出会ったので,Fの姿は見えなかったと供述していたというのであって,供述の変遷が顕著である。F,H,Gのうち,出会ったときにDが後ろ向きであったと証言している者はいないことに鑑みると,他の証拠との不整合を指摘されて供述内容を変更したのではないかという疑いも払拭できない。
エ 転倒〔2〕の状況
 Dは,転倒〔2〕について,合流後,自宅建物に戻る際に,玄関ポーチ前の階段で転倒した,そのことは実況見分時に警察官に説明していたという。しかし,仮にDが2回転倒しているとなれば,傷害は1回目と2回目のどちらの際にできたものなのか,仮に特定できないとすれば,2回目の転倒時まで犯行が継続していると評価できるのか等,捜査機関としては詰めなければならない問題が多数あるから,Dが2回目の転倒について供述したのに,漫然と聞き流して証拠化しないという対応は考え難い。しかし,検察官が提出した証拠中に,当初からそのような説明をしていたことを裏付けるものはない(捜査段階の供述調書や実況見分調書にはその旨の供述又は説明がない。)。転倒〔2〕に関する証拠が作成されたのは,いずれも令和3年3月以降である。以上からすれば,Dが2回目の転倒について,いつ供述を始めたのか,疑問が残る。
オ まとめ
 以上のとおり,Dの証言は,被害態様や出来事の順序について,あいまいな部分や合理的に説明できない変遷が多く,具体性や一貫性を欠く。被害場所や被害態様も,受けた暴行やわいせつ行為の核心部分を構成し,変遷も著しいものであって,単なる質問の仕方や表現の違いとか,時間経過による記憶の後退に伴う自然な変遷とは質的に異なるものである。このことは,D証言の信用性に大きな疑問を抱かせる。
(2)客観的事実や他の証拠との整合性・自然性
ア Dの行動経過との整合性
 検察官は,D証言について,Fら4名との合流をきっかけにDが自宅建物に戻り,家の中に閉じこもったとの経緯と整合し,これを合理的に説明できる,という。
 確かに,Dの行動経過は,被害の存在とも整合するが,被害がなければ説明できないわけではない。例えば,Dが上半身裸のAからいきなり肩を組まれたことなどの被告人3名の言動に不快感を感じたり,Aの下心を感じ取り,わいせつ行為が目的だったのではないかと感じて,怒ったことが理由であった可能性がある。また,最初は行く気もなかったが,被告人3名が熱心に誘うので,バーベキューにちょっと顔を出そうかとようやく思い始めたところで,Fらが来てバーベキューは終了したことを知り,白けた気持ちになって出かけるのをやめた可能性もある。また,FらにAに肩を抱かれて歩いている様子を見られたことから,被告人らと遊びに行くとEに伝わるのではないかと心配になった可能性や,Fらと出会った頃に,Eから「ごめんね,Dちゃんがなにもかも1番好きだよ」(弁16-264)というメッセージが送られてきたために,Eに黙って被告人らの誘いに応じて出かけたことを後悔して帰宅を決意した可能性も考えられる。このように,Dの行動経過については,被害がなくても,様々な仮説が成り立ちうるのであり,検察官の主張は採用できない。
イ 傷害の存在
 検察官は,Dが実際にけがをした事実と整合しており,被害が真実でなければ,Dがなぜこのときこのようなけがをしたのか説明できないと主張する。
 しかし,D自身,傷害が転倒〔1〕と〔2〕のどちらによるものなのか分からないと述べている。転倒〔2〕はD自らのつまずきによるものであることに鑑みると,傷害の存在自体から被告人らの暴行を推認するには無理がある。
 まず,診断書に記載された傷害のうち,Dの腕,すね,膝付近に擦過傷等があることはDの傷を写した写真(甲37,8月11日撮影)によって,裏付けられており,そのとおりの傷害があったと認められ,これらは,Dの語る負傷状況と整合する。しかし,この程度の傷害は被害がなければ説明できないものとはいえない。
 次に,左膝から内股に伸びる線状の傷(甲37別紙1の1枚目)については,Dが述べる被害態様からはどのようにしてできた傷であるか発生機序が不明であり,動物による引っ掻き傷に見えなくもない。少なくとも路上で転んだ転倒〔1〕とは整合せず,転倒〔2〕で階段の角で擦ったとすれば整合しなくもない程度といえる。
 さらに,診断書上は,右足関節捻挫があるとされているが,写真を見る限り,Dの右足首の辺りには全く腫れが見当たらない。また,被害後に,Dが足を引きずっていたとか,痛そうにしていたとか,歩行に障害がある様子があったと証言している者は皆無である。擦過傷であればともかく,足首を捻挫しながらそのようなことがありうるのか,本当に他覚症状があったのか疑問がないとはいえない。
 このように見ると,Dの傷害内容については,一部は整合しても,一部は受傷機序と傷害が整合するといえるか疑問があるものもあり,D証言と完全に一致しているとはいえないのであり,被害がなければ傷害の存在を説明できないとは言い難い。
ウ Dが自宅建物を出た理由等
 Dは,本件当日,被告人らとともに遊びに行くつもりはなく,自宅建物から出たのはAが隣人に迷惑をかけていることを知って注意するためであり,母にもその旨伝えて家を出たと証言しているが,この点も他の証拠と合致しない。
(ア)隣人からの電話
 Dは,Aに注意をしようとした理由として,当初は,事件前に隣人から迷惑している旨の電話をもらったかのように話していたが,実際には,8月10日の朝に隣人から迷惑を受けたと母への電話があったので,それを同月9日の事件前の出来事と勘違いしていたと証言する。しかし,信用できるD母の証言によれば,Dから被害申告を受けた後,D母の方から,同月10日午後9時半頃に隣人に謝罪の電話をかけたというのであって,同月9日又は同月10日の朝にD又は母が隣人から電話をもらった事実はない。にもかかわらず,Dは,既に事件直後からEに対し,「隣の人に呼ばれたのね」「迷惑ですって」(弁16-271,274)というメッセージを送っており,明らかに事実でない報告をしている。Dがこのとき知っていた情報は,Cから送られた「Aねえさんち間違えて隣の家の車に寄りかかっててお兄さんにDさんちとなりですって言われたらしい笑」(同248)(Aが隣家の車をDの車と勘違いして寄りかかっていたところ,隣家からD宅は隣である旨指摘された)とのメッセージのみである。これをもって,隣人から苦情電話があったから外に出て注意する必要があったというのは,飛躍がある。
(イ)DがA,Cに送ったメッセージ
 Dは,最初からAの誘いは断っていた,電話ではっきりと断っていたのに,Aが来たという。しかし,Dは,8月9日午後10時48分頃から同日午後11時26分頃にかけて,被告人3名から,Dに対し,「もうついてる」(A,弁16-218),「いまそといるよ?」(C,同230),「早く来て笑」(C,同250),「俺ら3人だけ前いるけど来れなそうだったら戻るよ!」(B,同255)などのメッセージを受信すると,Aに対しては,「11時になったら出る」(同217)と,C及びBに対しても,「でます!」(同257)などとメッセージを送信し,反応がないと「きいてんのかよ」(同259)と送信し,Cに「まってるよ!」(同260)と言わせている。これらのメッセージについて,Dは,被告人らが自宅の前に本当にいるのかを確認するためのものだった旨一貫して証言する。しかしながら,被告人らが自宅前にいるかを知りたければ,D宅1階の居間の窓から自宅前の路上を見ることで確認することができる(現に,D母は,8月9日の深夜に上半身裸の男性2名が家の前の路上にいるところを居間の窓から目撃した旨供述している。)のであり,居場所を知るためにこれらを送ったというのは不自然である。どうしてもメッセージを通じて,被告人らが自宅の前にいるかどうか知りたいのであれば,端的に自宅の前にいるかどうかを尋ねるメッセージを送るのが自然である。「11時になったらでる」(同217)というDの説明に整合しないメッセージが,消していないのにいつの間にかDの携帯電話から消えていたというDの説明も不可解である。さらに言えば,仮に被告人3名に帰ってほしいのであれば,その前から電話ではっきりと断っていたというのであるから,家の前に被告人らがいるか確認するまでもなく,メッセージで帰宅を促すことも可能なはずである。
 むしろ,「まって」,「でます!」などというメッセージは,常識的には,まもなく自宅から出るので待っていてほしいという趣旨と解され,実際,Dが,同日午後10時47分頃から同日午後11時25分頃まで,Eと通話していた(弁16-215,258)ことも,Eとの通話が終わり次第,外出するつもりだったことをうかがわせる。
 Dの説明は,いかにも苦しい。
(ウ)外出する際のD母に対する説明
 また,信用できるD母の証言によれば,Dは,友達が来ているので外に行ってくると言って外出したというのであり,この点でもD証言は他の証拠と整合しない。
(エ)腕などを触られた後で再び自宅建物から出たこと
 Dは,最初に外出した直後に被告人らを注意したとも述べているが,仮に注意を終えたのであれば,犬を置いてから再び外出する必要もない。Dの言うとおり,外に出るなり腕などを無理やり触られている状況だとすれば,被告人3名を敷地外に出すために一人で外に出たという説明はいかにも不自然である。
(オ)まとめ
 DがAらを注意し,帰宅を促すために外出したという供述は,客観証拠や他の様々な証拠に合致せず,信用できない。Dの外出目的は,本件被害の有無と直結するものではないが,DがEから「なにをいいたかった!?」(弁16-324)と問われて,「出たのは謝りに行った事と帰ってきた事」(同330~332)と答えるなど,DのEに対する説明の核心部分と推測されることに照らすと,外出中に起きたとされる出来事についてもそれに合わせて話が変えられたのではないかという疑いに通じるものがある。
エ Fら4名と出会ったときの状況
 本件被害があったとされる時間は,被告人3名とDの4名しか居合わせなかったが,その直後にFら4名と合流した状況については,3名の証言が得られており,Dの供述がこれらと整合的なのかは重要である。
 このときの状況について,F,G及びHは,三者三様の証言をしており,そのいずれかが特に他の証言よりも信用できるとはいえないものの,三者の証言が一致している点は信用性が高いと考えられる(例えば,Fのみが,Dが大声で嫌がっていた旨証言したが,Fは後にD及びEと三者で何度も事件の話をしており,記憶が混同している可能性があって採用できない。)。そして,三者が一致しているのは,Fらが被告人3名及びDと出会ったとき,AがDの体に触れていたが,BとCはDに触れていなかったこと,DはFらの方を向いていたこと,そのときDがけがを負っていたとか何か被害に遭っている最中であるといった様子はなかったこと,その後もDが自宅に戻る際に異常を感じた者はいなかったことである。
 Fらと出会った場面に関するD証言は,1回目の転倒の後,両腕をA及びBにつかまれた状態で無理やり引っ張られていたときにFらと出会い,Fから声を掛けられたことでBは手を離したというものであるが,Dが証言する状況を前提とすると,二人がかりでDを引きずっていたというのであるから,Fらの印象に残るはずであり,Fらのうち誰もBがDの腕をつかんでいるところを目撃していないことと符合しない。
オ 被害後の被告人らへの対応
 Dは,被害を受けて自宅に逃げ帰ったという時間帯の後に,Cに対して「マミー怒ってるからまって」(弁16-298)と書き送ったり,Aから出てこないのかと聞かれて「でたよ!?」(同403)と返信したりしている。上記文面は,一般的には相手を引き留める趣旨で送られたものと読める内容であり,被害直後に被害者が加害者に対して送るメッセージ内容としては不自然である。Dは,上記メッセージについて,被告人らがもう帰ったかどうか確認する趣旨だったと説明するが,自宅を出る前のメッセージと同様に,そのような説明も不合理と評価せざるを得ない。
 なお,Dは,翌10日午後1時24分頃になってから,Cに対し,「勝手に私は友達だと思っていたからあの状況で助けてくれると思ったけど普通に『Bが抑えれば大丈夫だよ』とか『抱きかかえればいける』とか言ってるの見て正直なんかもうどうでもよくなって」(弁16-562)などと,AやBから助けず,かえって唆すような言動を取った上,謝罪もないことを責めるメッセージを送り,Cが「迷惑かけてごめん辛い思いさせてごめんなさいでも笑ってたから大丈夫なのかなって思っちゃった自分いた」(同566),「さすがにAのやつはやりすぎてたから」「やりすぎだよって言ったよ」(同567)と返信したが,更に怒りのメッセージを送った(同568,571,573)。これらのやり取りは,一見,被害があったことを前提としたやり取りにも見えるが,被告人らの供述によっても,Aが嫌がるDの肩を抱いたり,BがDの顔を持ち上げるなどの不適切な行動はあったことから,それを前提としたやり取りと解する余地がある。また,これらのメッセージがやり取りされた頃には,DはFからCがDの悪口を言っていたなどと聞き,Cに対する反感を既に持っていた時期である。Dが外出した理由も,「隣の家から電話きて」とDの作った話が前提となっている。よって,被害がなければ説明できないやり取りとはいえない。
3 まとめ
 以上の検討結果を総合すれば、D証言については,その属性や虚偽供述の動機となり得る事情の存在を踏まえ,具体的かつ慎重に信用性を検討する必要があるところ,本件被害における暴行及びわいせつ行為の核心部分について具体性・一貫性を欠き,また,被害前後の出来事に関する部分を含め,客観的事実や他の証拠と整合しない。したがって,D証言と符合する傷害結果が生じているとの検察官が指摘する事情を踏まえて検討しても,公訴事実記載のわいせつ行為の被害を受け,被告人らから後ろ向きに引きずられるなどしたために2度転倒して傷害を負った旨のD証言の信用性には疑問が残るといわざるを得ない。
・・・
第7 被告人らの行為の擬律判断
 以上のとおり,Dの本件公訴事実に係る証言の信用性には疑問があり,一方で被告人3名の弁解は概ね信用することができる。
 そして,信用できる被告人らの供述によれば,〔1〕AがDの肩を抱くなどしたこと,〔2〕BがDの両頬を持った状態で約30~40cmの距離で顔を覗き込んだこと,〔3〕AがDの肩を抱きながら移動し,BもDが歩き出すまで手を引いたという事実が認められる。しかし,Aの〔1〕〔3〕行為は,馴れ馴れしくDの意思を尊重しない不適切な行動ではあるが,強制わいせつ罪のわいせつ行為とはいえない。Bの〔2〕行為も,具体的状況やBの言動に照らし,キスしようとして行った行為であるとは認められず,〔3〕行為も含め,強制わいせつ罪を構成する暴行及びわいせつ行為とはいえない。そして,わいせつ行為や暴行があったとは認められない以上,被告人3名及びDがFら4名と出会った後,Dが自宅に戻った際に,仮にAがDの手を持ったまま同行したとしても,これが強制わいせつ罪を構成する行為とはいえないし,仮にDが玄関先で転倒し,その結果けがをしたとしても,強制わいせつ致傷罪の傷害結果には当たらない。
第8 結論
 よって,本件公訴事実については,犯罪の証明がないことになるから,刑事訴訟法336条により,被告人3名に対し,いずれも無罪の言渡しをする。
(検察官の求刑)被告人3名につき,各懲役3年
令和3年7月20日
千葉地方裁判所刑事第1部
裁判長裁判官 岡部豪 裁判官 宮崎桃子 裁判官 野村詩穂

岸野康隆横浜家庭裁判所判事「ネット利用型性非行の法律的問題点と調査・審判における工夫・留意点」

 個人的法益重視になってきたな。

【事例1 】:少年Aは, 18歳に満たない児童である少年Bに対し, 同人の陰部や胸部が写った写真を撮影した上, その画像データをAに送信するよう依頼した。
Bは, これに応じ,服を脱いで全裸になり, その陰部や胸部が写った写真を自分のスマートフオンで撮影し, その画像データをSNSのメッセージ機能を使ってAに送信した。

【事例2】 : 18歳に満たない児童である少年Cは, SNS上の同人のアカウントのフォロワーを増やしたり, 「いいね」を多くもらったりしたいと考え, 同人の裸の写真を撮影した上これを同人のアカウントに掲載した。

3 【事例1 】について
(1) 実行行為の内容【事例1 】における実行行為の内容は,通常,①Aが, Bに陰部等を露出した姿態をとらせ→②Bが, その写真を自分のスマートフオンで撮影し→③Bが, SNSのメッセージ機能を使って画像データをAに送信する, という流れをたどることとなる。
なお, スマートフォンの設定状況等にもよるが,③の時点では,画像データはAのスマートフオンではなく, SNSを運営する会社が管理するサーバに蔵置されていることが多い。
その場合, Aが製造した児童ポルノは,そのサーバ上に蔵置された画像データということになる。
そこで, Aのスマートフォンに蔵置するために。
④Aにおいて,送信されてきた画像データを自分のスマートフォンに保存する作業を行うことも少なくない。
その場合, Aのスマートフォンに蔵置された画像データを製造された児童ポルノとしてとらえるのであれば,①から④までが実行行為となる。
(2) Aの単純製造罪の成否まず, Aについて単純製造罪の成否を検討すると, 一連の実行行為のうち, 主要な部分を行っているのはBであるから, これをAに帰責してよいのか,帰責する場合にはどのような理由によるのかが問題となる。
これを考える上では, AとBの関係性,両者の年齢,犯行に至る経緯等を踏まえて,具体的事例ごとに判断すべきである。
例えば, Aが脅迫を用いてBに無理やり自画撮り等を行わせたケースであれば, Aには間接正犯として単純製造罪の成立が認められることになろう)一方, Bが任意に自画撮り等を行ったケースについてみると,単純製造罪は, たとえ被写体児童が児童ポルノの製造に同意していたとしても成立するとされている)ここで問題となるのは, Bが自らの意思に基づいて自画撮り等を行っている以上, もはや間接正犯は成り立たず, AとBとの共同正犯を考えるべきなのではないかという点である(その反面Bの被害者としての立場を強調するとBを共同正犯とすることについても違和感がある。)。
間接正犯の成立をどの範囲で認めるのかという問題であり,具体的事例ごとの判断となると考えるが, Bが精神的に未熟で判断能力が十分とはいえず, AがこのようなBの精神的未熟さを認識した上で, Bに依頼して自画撮り等を行わせているような場合には, Aを間接正犯と評価すべき場合が多いのではないだろうかと
(3) Bの単純製造罪の成否
次に, Bについて検討する。
被写体児童であるBは,基本的には単純製造罪における被害者の立場にあるものであるが.例外的に,被写体児童が他者に対して執拗,積極的に自分の児童ポルノを作成させるよう働きかけたような場合には, Bに共犯が成立することは理論上考えられるとされている。
しかし, Bにおいて,執拗つ積極的に働きかけたようなことがあったとしても, それがBの精神的未熟さによるものである場合には,やはりBは被害者として扱うべきであろう。
また, Bを共同正犯と評価すべき場合が仮にあったとしても, それは, Bが自らの法益を処分する行為であるから,個人的法益に対する侵害は認めることができないそして,単純製造罪の保護法益に関する上記私見に基づく場合,個人的法益に対する侵害がない場合には単純製造罪は成立しないこととなるからBに単純製造罪は成立しないと考える
・・・
4 【事例2】について
Cについても. Bと同様自らの法益を処分する行為を行っており,個人的法益に対する侵害は認められない。しかし,上述した私見に基づく場合,公然陳列罪は,社会的法益に対する侵害があれば成立することとなるので, Cには公然陳列罪が成立すると考える。

幼児の裸画像は幼稚園サイトなら児童ポルノでなくて、エロサイトなら児童ポルノになるのか?~「千葉県内の幼稚園ホームページに上半身裸姿の女児の写真 児童ポルノに悪用?別サイトに転載される」

 東京新聞の記事も、児童ポルノ被害対策などに取り組む一般社団法人「インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)」の説明も間違っていて、法2条3項3号に該当する画像はどこにあっても3号児童ポルノですし、サイトに上げれば、幼稚園サイトでも児童ポルノ公然陳列罪ですね。

 まず、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」は一般人を基準に判定されて、一般人の中にはそういう画像に敏感な人も含むので、裸だったらまず、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」になります。大阪高裁h24.7.12

阪高裁平成24年7月12日
2 控訴趣意中,その余の法令適用の誤りの主張について
 論旨は,(1)本件各画像は,児童の裸が撮影されているが,一般人を基準とすると「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ではないから,児童ポルノ法7条2項の製造罪(以下「2項製造罪」という。)は成立しないのに,原判決は原判示罪となるべき事実に同法7条2項,1項,2条3項3号を適用しており,~~,原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というものである。
 そこで検討するに,(1)の点は,本件各画像が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といえるかどうかについては一般人を基準として判断すべきものであることはそのとおりである。しかし,その判断の基準とすべき「一般人」という概念は幅が広いものと考えられる。すなわち,「一般人」の中には,本件のような児童の画像で性的興奮や刺激を感じる人もいれば,感じない人もいるものと考えられる。本件は,公衆浴場の男湯に入浴中の女児の裸の画像が対象になっており,そこには大人の男性が多数入浴しており,その多くの男性は違和感なく共に入浴している。そのことからすると,一般人の中の比較的多くの人がそれらの画像では性的興奮や刺激を特に感じないということもできる。しかし,その一方で被告人のようにその女児の裸の画像を他の者から分からないように隠し撮りし,これを大切に保存し,これを密かに見るなどしている者もおり,その者らはこれら画像で性的興奮や刺激を感じるからこそ,これら画像を撮影し,保存するなどしているのである。そして,これらの人も一般人の中にいて,社会生活を送っているのである。ところで,児童ポルノ法が規制をしようとしているのはこれらの人々を対象にしているのであって,これらの人々が「一般人」の中にいることを前提に違法であるか否かを考える必要があると思われる。他人に提供する目的で本件のような低年齢の女児を対象とする3号ポルノを製造する場合は,提供を予定されている人は一般人の中でそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人達が対象として想定されているものであり,そのような人に提供する目的での3号ポルノの製造も処罰しなければ,2項製造罪の規定の意味がそのような3号ポルノの範囲では没却されるものである。したがって,比較的低年齢の女児の裸の画像では性的興奮や刺激を感じない人が一般人の中では比較的多数であるとしても,普通に社会生活を営んでいるいわゆる一般の人達の中にそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人がいれば,それらの画像は,一般人を基準としても,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であると解するのが相当である。
 したがって,原判決が原判示各事実に児童ポルノ法7条2項,1項,2条3項3号を適用したのは正当である。

 児童ポルノ性は絵面で決まるので、親が撮っても児童ポルノになって、正当目的であれば犯罪阻却されると説明されています。
「保護者が陰茎をつまんで撮影した写真は,児童ポルノに該当するが,その製造,所持の目的が,子供の成長の記録のためであるなどして,性的好奇心を満たす目的等に欠ける場合には,犯罪を構成しないと評価されるだけである。」東京高裁h30.1.30

東京高裁平成30年 1月30日
保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ(変更後の訴因わいせつ誘拐、強制わいせつ)、殺人、強制わいせつ致傷被告事件
 (2) 論旨は,また,原判決が児童ポルノと認めた画像の中には,一般人の性欲を興奮又は刺激させないものが含まれているとして,具体的には,トイレに座る画像,一部着衣してあどけなく座る画像,児童を拘束している画像,上半身裸の男児の目や口をガムテープで塞ぎ両手を緊縛した画像で性器が映っていないもの,児童が突っ立っている画像を挙げ,これらの画像を撮影した行為について児童ポルノ製造罪を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかし,原判決は,公訴事実に含まれる各画像を個別に検討し,一部の画像を性欲を興奮させ又は刺激するものに該当しないとするなど,児童ポルノの該当性を慎重に判断しており,所論指摘の画像の撮影行為をいずれも児童ポルノに該当するとした原判決の判断は不合理ではない。トイレに座る画像,一部着衣してあどけなく座る画像,児童が突っ立っている画像であって,児童に殊更扇情的な姿態をとらせたものではなくても,性器を殊更露出させたものであれば,一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものといえる。また,全裸で両手を縛った画像や性器をひもで緊縛するなどして児童を拘束している画像や,上半身裸の男児の目,口をガムテープで塞ぎ両手を緊縛した画像も,一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものといえる。所論は,少年アイドルの上半身裸の写真や小学生の水泳の写真と同視でき,児童ポルノに該当しないとも主張するが,それらは,画像から読み取れる姿態,場面,周囲の状況,構図等を総合的に考慮して判断するならば,一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものとはいえないと評価されるにすぎない。なお,保護者が陰茎をつまんで撮影した写真は,児童ポルノに該当するが,その製造,所持の目的が,子供の成長の記録のためであるなどして,性的好奇心を満たす目的等に欠ける場合には,犯罪を構成しないと評価されるだけである。

 というわけで、幼稚園サイトでも、児童の裸画像を掲載すると、児童ポルノ公然陳列罪になって、正当目的であれば犯罪阻却されるということになります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第七条(児童ポルノ所持、提供等)
6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第二条(定義)
3この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

https://www.tokyo-np.co.jp/article/134523
千葉県内の幼稚園ホームページに上半身裸姿の女児の写真 児童ポルノに悪用?別サイトに転載される
2021年10月2日 22時30分
 千葉県内の私立幼稚園のホームページブログに、上半身裸姿で水遊びなどをする園児の写真が掲載され、インターネット上で転載されていたことが、地元自治体などへの取材で分かった。園は先月上旬、自治体などの指摘で記事を削除した。写真などのデータをネット上から完全に削除するのは困難で、専門家は「子どもの将来に影響を及ぼしかねない」と重大性を指摘し、投稿時の注意を呼び掛ける。(加藤豊大)
 園がある自治体などによると、写真は2017年6、7月と18年6月の日付の5つの同園のブログ記事で掲載。顔が分かる状態のおむつ姿で上半身裸の男児と女児の写真が複数あった。パスワード設定はなく、誰でも閲覧できる状態だった。
 8月4日に匿名の情報提供を受けた自治体が園側に削除を求め、記事へのリンクは消された。だがその後も記事自体はネット上に残り、URLを直接入力すれば見ることができた。9月10日に再度自治体から指摘を受けて完全に削除されたという。
 これらの画像は何者かによってコピーされ、別サイトに転載されていた。「¥345」などと商品のように価格が示され、幼稚園の名称も書かれていた。10月2日時点でサイトは閲覧できなくなっている。
 児童ポルノ被害対策などに取り組む一般社団法人「インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)」事務局の桃沢隼人はやとさん(42)によると、今回転載が確認されたサイトは、通販サイトに見せかけて個人情報を抜き取る「フィッシングサイト」の可能性が高いという。
 園は取材に対し「掲載が不適切だったとは考えておらず、園児の日々の様子を保護者らに知ってもらうためだった。園の意図とは異なる形で利用されたのは誠に遺憾」「現在まで保護者や閲覧者からの問題の指摘は受けていない」などと書面で回答した。
◆親の投稿による被害も ICSA「掲載は自分の身に置き換えて判断を」
 ICSAによると、幼稚園や保育園による写真投稿がきっかけの児童ポルノ被害は全国的に後を絶たず、親の投稿がきっかけになるケースもあるという。
 桃沢さんは「幼稚園などスタッフらは、子どもらのほのぼのとした写真が一部の人から性的に見られてしまうとは想像もしていないだろう」と指摘する。
 一方、親が幼い娘の姿を撮影した際、たまたま服の隙間から胸が見える写真を成長記録としてネット掲載したところ、性的な画像が集まる掲示板に転載された例もあったという。
 桃沢さんは「際どい写真は撮らないという徹底した姿勢が被害を防ぐ上で重要だ。『大人が撮られて恥ずかしくないか』という基準でじっくり考えてから投稿して」と呼び掛ける。
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愛知県内において淫行する際には戸籍・住民票で年齢確認する義務がある~14歳の少女にみだらな行為の疑いで逮捕「18歳と思っていた」と容疑を否認

愛知県内において淫行する際には戸籍・住民票で年齢確認する義務がある~14歳の少女にみだらな行為の疑いで逮捕「18歳と思っていた」と容疑を否認
「「過失がないとき」とは、具合的事実ごとに提出された客観的資料の種類、その提出の際の状況及びその確認方法の有無、難易度を総合的に検討して、相会通念に照し、通常可能な調査が適切に尽くされているか否かによって決められることになる(大阪高裁46. 11)」「客観的な資料として本人の戸籍謄・抄本あるいは住民票等について正確な調査をして、その者の年令を確認すべき注意義務がある」という高裁判例を引っ張ってきていますが、風営法の業者の場合の判例なので、1回性の淫行の年齢確認義務の説明には使えないと思います。淫行するのに戸籍・住民票取ってますか?
 児童買春罪ではこういう規定はありません。
 青少年条例の児童ポルノ要求行為では知情条項を適用しない自治体も多くなっています。

小学校教師(23)が14歳の少女にみだらな行為の疑いで逮捕「18歳と思っていた」と容疑を否認
 警察によりますと男は、今年7月と8月、当時14歳の少女に対して、18歳未満であることを知りながら、瀬戸市内のホテルでみだらな行為をした疑いがもたれています。
 男は「18歳と思っていた」と容疑を否認しているということです。

愛知県青少年保護育成条例の解説H27
第14条
1何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない
2 何人も、青少年に対して、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
追加〔昭和52年条例8号〕
第29条
1第14条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役文は100万円以下の罰金に処する。
8 ~~第14条~~の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項~~の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことにつき過失がないときは、この限りでない。
解説
「過失がないとき」とは、具合的事実ごとに提出された客観的資料の種類、その提出の際の状況及びその確認方法の有無、難易度を総合的に検討して、相会通念に照し、通常可能な調査が適切に尽くされているか否かによって決められることになる(大阪高裁46. 11)。

大阪高等裁判所判決昭和46年11月16日
風俗営業等取締法七条三項但書に規定する年齢不知に関する過失の程度
刑事裁判資料229号413頁
       理   由
 年令に制限のある接客婦などを雇入れる場合において、その言葉や、前歴、容姿、態度あるいは紹介者の言葉だけでは人の正確な年令を知り得ないことはいうをまたないところであるうえ、接客婦として、雇傭されることを希望する者はその希望を遂げようとしてその紹介者は固より本人自身も恰も満一八歳以上であるかのように装い、その年令を偽り、雇主を欺くことの事例の多いことは証人Aの証言からも十分うかがわれるところであり、したがって、単に紹介者および本人の言葉や、容姿、態度、前歴等の外観的事情によってその者が満一八歳以上であると信じただけでは足らず、さらに客観的な資料として本人の戸籍謄・抄本あるいは住民票等について正確な調査をして、その者の年令を確認すべき注意義務があるのであって、右の確認措置を採らないかぎり、その者の年令を知らなかったことについて過失がなかったとはいえないものと解すべきが相当である。

ツイッターやインスタグラム等で児童から裸の画像を購入した場合の罪名

 捜索差押が入ったが、容疑が単純所持罪ではなく、製造罪だったという相談が相次ぎました。

① 出来合の画像を買った場合
 児童ポルノ単純所持罪~逮捕されない 破棄しておけば立件されない
 児童ポルノ要求行為(青少年条例)~逮捕事例がある 過失処罰されることがある
 
② 注文後撮影された画像を買った場合
 児童ポルノ製造罪~逮捕されることが多い 破棄しても立件される
 児童ポルノ要求行為(青少年条例)~逮捕事例がある 過失処罰されることがある
 青少年条例違反(わいせつ行為)~逮捕事例がある。過失処罰されることがある
 13歳未満の場合強制わいせつ罪(176条後段)~逮捕されることが多い。

 ①のつもりで②となっている場合は、弁護士に相談するなどして、必死に①と思っていたと弁解する。
 13歳未満であった場合は自首して逮捕を勘弁してもらい、送信型強制わいせつ罪の裁判例を参考にして、強制わいせつ罪の適用を避ける。

※「求める」について
3 「提供を求める」とは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、具体的には、有体物としての児童ポルノを交付するように求めたり、電磁的記録を電子メールで送信するよう求める行為がこれに当たる。
また、「求める」とは、青少年に対して、要求するのみならず、勧誘するなども含めた広い概念である。




 児童がサンプル示して裸体画像を販売しているのに、応じて注文して買ったつもりだったところ、実は児童は注文後に撮影して送信した行為については、姿態を取らせたという認識がないのに、姿態をとらせて製造罪の捜査を受け、たいていの場合は自白するので、製造罪で罰金になると思われます。弁護人を選任して「姿態を取らせていない」「製造させていない」と要領良く弁解すれば製造罪については起訴されないと思われます。単純所持罪(7条1項)も難しいでしょう。

国法レベルでは
児童 提供目的製造罪(7条7項)、提供目的所持罪(7項)、提供罪(6項)、わいせつ電磁的記録有償頒布目的所持罪、わいせつ電磁的記録頒布罪
買主 製造罪(4項)、単純所持罪(7条1項)
と重い罪名が並ぶ。
 注文前の時点で、
児童 提供目的製造罪(7条7項)、提供目的所持罪(7項)、わいせつ電磁的記録有償頒布目的所持罪
となっている。
 児童から購入の場合、一見すると、青少年条例の「対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により児童ポルノの提供を行うように求める行為」に該当するように見えますが、「自画撮り被害に繋がる働きかけ行為自体を処罰する規定はなかった。」という趣旨からは、児童自身の準備行為がすでに国法上の犯罪(提供目的製造罪(7条7項)、提供目的所持罪(7項)、わいせつ電磁的記録有償頒布目的所持罪)として禁止されている場合には条例による規制は不要である。

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 令和元年8月
(青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第18条の7
何人も、青少年に対し、次に掲げる行為を行ってはならない。
一青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成1 1年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ(以下単に「児童ポルノ」という。)又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。次号において同じ。)の提供を行うように求めること。
二青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
~第2条例(規則)の解説
東京都青少年の健全な育成に関する条例及び同施行規則の解説【要旨】本条は、すべての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ又はその情報を記録した電磁的記録その他の記録の提供を、当該青少年に不当に求める行為を禁止した規定である。
【解説】
本条は、近年のスマートフォンの急激な普及や、インターネット利用の低年齢化が進み、判断能力の未成熟な青少年が多くネット上で活動し始めたことを背景に、脅されたり、だまされたりするなどして、青少年が自分の裸体等をスマートフォン等で撮影させられた上、メール等で送らされる被害、いわゆる「自画撮り被害」が社会問題化したことから、平成29年の条例改正において、不当に求める行為に限り罰則をもって禁止することとしたものである。
青少年の自画撮り被害の防止に関する現行法令は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、単に「児童ポルノ禁止法」とする。
)第7条において、児童ポルノの電磁的記録の所持、保管、提供、製造等を禁止している。
しかし、自画撮り被害が生じた場合、加害者には製造罪が適用されるケースが多いが、未遂罪の規定はなく、自画撮り被害に繋がる働きかけ行為自体を処罰する規定はなかった。
また、自画撮り被害に繋がる働きかけ行為自体が刑法第222条(脅迫罪)や、第223条(強要罪)の未遂に該当すれば罰せられるが、加害者が青少年の判断能力の未成熟さに付け込む方法で働きかけを行う場合、働きかけ行為自体がこれらに該当しないことが多く、現行法令による自画撮り被害の未然防止は十分ではなかった。
このため、本条例において提供を求める行為について処罰対象とし、自画撮り被害に繋がる働きかけ行為自体を罰することで、加害者による「青少年に対する画像提供の働きかけ行為」の抑止や防止、「青少年の画像提供の未然防止」等を図る目的で改正を行ったものである。
本規定は、刑法の属地主義の原則により、構成要件該当事実の一部が東京都内で発生した場合に適用される。
すなわち、要求を行う者又は要求を受ける者(青少年)のいずれかが東京都内に所在する場合などに適用される。
また、判例によれば、要求を行う者において『要求を受ける者(青少年)が東京都に所在すること』の認識は原則として必要ない。
ただし、青少年が都外にいるという積極的な認識がある場合には、慎重に判断すべきである。
(参考判例:高松高判昭和61年12月2日高裁判例集第39巻4号507頁(条例の罰則が当該地方公共団体の区域外にある者に対して適用された事例))本規定は、年齢の知惰性がなくとも処罰可能とする条例第28条の対象外である。
すなわち、要求を行う者に、要求の相手が青少年だという認識がなかったと認められる場合は、処罰できないこととなる。
また、本規定は、「当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること」を禁止するものであり、相手方が青少年であると認識できるような事実が全くない場合には適用できない。
これは、「自画撮り被害」が相手を直接確認できないインターネット上のやりとりの中で行われることが想定され、やりとりの相手が青少年だと認識していない者にまで本規定を適用することは過剰な規制と考えられるためである。
「何人も」とは、国籍、住所、年齢、性別を問わず、全ての人(自然人)を指すことから、青少年が本条に定める行為を行った場合は、本条の違反が成立する。
ただし、この条例の本旨は、罪を犯した青少年を罰することを目的としたものではなく、青少年の健全な育成を図るため、青少年を好ましくない社会環境から守る義務を青少年以外の者に負わせたものである。
そのため、この条例に違反した者が青少年であるときは、条例第30条(青少年についての免責)により、罰則は適用しない。
「当該青少年に係る児童ポルノ等」とは、求める相手方である青少年自身の姿態が描写された児童ポルノ等ということである。
したがって、他の青少年の姿態が描写された児童ポルノ等を求めた場合については、該当しない。
どのような表現が「児童ポルノ」に該当するかについては、要求文言とその前後のやりとりを総合的に判断し、該当性の判断を行うこととなるが、その要求に青少年が応じてしまった場合、児童ポルノ禁止法第2条第3項に該当する児童ポルノが提供されることが社会通念上明らかに認められることが必要であると考える。
「提供を行うように求める」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、具体的には、有体物としての児童ポルノを交付するよう求めたり、電磁的記録を電子メールで送信するよう求める行為がこれに当たる。
また、「求める」とは、青少年に対して、要求するのみならず、勧誘するなども含めた広い概念である。
「拒まれたにもかかわらず」とは、青少年に対して当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めた被疑者が、それを拒否されたと認識しているにもかかわらずということになる。
したがって、やりとりの記録などから拒否されたと認識していることが明らかである場合のほか、社会通念上、青少年の意思表示が拒否したと認められるものであり、かつ、それが被疑者に到達していることが明らかである場合には、拒否されたと認識していたということができる。
「威迫」とは、他人に対して言語挙動をもって気勢を示し、不安の感を生じさせることをいう。
「脅迫」と異なり、他人に恐怖心を生じさせる程度のものであることを要しないが、単に「威勢を示す」(軽犯罪法第1条第13号) というよりは強度のものを指す。
暴力行為等処罰に関する法律第2条、公職選挙法第225条第3号に用例がある。
なお、「威力」との差異に関し、公職選挙法第225条第1号の「威力」とは「人の意思を制圧するに足りる勢力」、同3号の「威迫」とは「人の不安を抱かせるに足りる行為」をいい、両者の違いは、人の意思を制圧するに足りる程度の行為であるかどうかにあるものと解すべき」であると判示している(昭和42. 2.4最高裁第2小法廷判決)。
「欺く」とは、他人を錯誤に陥れ、虚偽の事実を真実と誤認させることである。
真実でないことを真実であるとして表示する行為で、虚偽の事実を摘示する場合と真実の事実を隠ぺいする場合とが含まれる。
軽犯罪法第1条第34号、売春防止法第7条第1項に用例がある。
「困惑させる」とは、困り戸惑わせることをいい、暴行脅迫に至らない程度の心理的威圧を加え、又は自由意思を拘束することによって精神的に自由な判断ができないようにすることをいう。
相手方に威力を示す場合、義理人情の機微につけ込む場合、恩顧愛執の情義その他相手方を心理的に拘束し得るような問題を持ち込む場合などが考えられるが、いずれにしても、相手方に対する言動のほか、相手方の年齢・知能・性格、置かれた環境、前後の事情などを総合して判定する。
特定商取引法第6条第3項、売春防止法第7条第1項に用例がある。
「対償を供与し、若しくはその供与の約束をする」とは、児童ポルノ等の提供に対する反対給付としての経済的な利益を供与、又はその約束をすることをいう。
「対償」は、現金のみならず、物品、債務の免除も含まれ、金額の多寡は問わない。

鳥取県青少年条例による、児童ポルノ要求行為の正当事由は「犯罪捜査、弁護活動相談・救済機関の相談業務、医療行為、学術研究等の正当な業務のために児童ポルノに該当するものの提供を求める場合など」

 他の県は威迫困惑という手段の限定になってますが、鳥取県は手段は何でもよくて正当事由ないものがアウトという規定です。

鳥取県青少年健全育成条例の解説r0210
児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第18条の2何人も、正当な理由がなく、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。)の提供を求めてはならない。
【関係条文】
第26条略
2~4略
5次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1)~(3) 略
(4) 第18条の2の規定に違反した者
6~9略
【要旨】
本条は、すべての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ等の提供を求めることを禁止する規定です。
【解説】
青少年が脅されたり、だまされたりして、自分の裸体をメール等で送らされる「自画撮り被害」が全国的に拡大しており、スマートフォンの所有率の高さ、SNS等インターネット上のコミュニケーションの普及などにより、青少年がこうした要求行為にさらされる危険|生がさらに高まることが懸念されるところ、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号) 」では、児童ポルノ等の要求行為自体を禁じていないことから、「自画撮り被害」の未然防止のため、児童ポルノ等の要求行為を禁止したものです。
1 「何人も」とは、第15条の解釈と同じく、県民はもとより旅行者、滞在者などの全ての自然人を指し、国籍、性別、年齢を問いません。
なお、条例の効力は、原則として当該地方公共団体の地域において属地的に生ずると解され、電話や手紙、インターネットを通じて要求行為が行われた場合、行為者が要求行為を行った場所のみならず、被害者となる青少年が要求行為を受けた場所である結果発生地も犯罪地と認められるのであり、直接的かつ現実的に本県に関わりを持った行為者にも本条は適用されますbよって、県外から県内の青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為、県内から県外の青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為についても規制の対象となります

2 「正当な理由がなく」とは、社会通念上正当な理由があるとは認められない場合をいいます。
この要件が置かれた意義は、処罰範囲を合理的に限定するところにあり、本条の場合、この要件があることによって、例えば、犯罪捜査、弁護活動相談・救済機関の相談業務、医療行為、学術研究等の正当な業務のために児童ポルノに該当するものの提供を求める場合などは、第18条の2の構成要件に該当しないこととなります。
3 「当該青少年に係る児童ポルノ等」とは、求める相手方である青少年自身の姿態が描写された児童ポルノ等をいいます。したがって、他の青少年の姿態が描写された児童ポルノ等を求めた場合については、本条に該当しません。自画撮り、自撮り、セルフィー等と呼ばれる自分自身を被写体としてスマートフォンデジタルカメラ等で撮影したデジタル写真画像が典型的な例ですが、画像だけでなく、動画、アナログ写真等も含みます。
なお、「児童ポルノ」とは、児童ポルノ禁止法第2条第3項で規定されているとおり、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他であって、第1号、第2号又は第3号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいいます。
4 「提供を求める」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得るべき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、有償・無償を問いません。
具体的には、有体物としての児童ポルノを交付するよう求めたり、無体物としての電磁的記録を電子メールで送信するように求める行為がこれに当たります。
また、「求める」とは、青少年に対して、直裁的な表現で要求するのみならず、勧誘する、
提供するよう暗に仕向けるなども含めた広い概念です.
なお、どのような表現が「児童ポルノ等の提供を求める」に該当するかについては、要求文書とその前後のやり取りを総合的に判断し、該当性の判断を行うこととなりますが、その要求に青少年が応じてしまった場合、児童ポルノ禁止法第2条第3項に該当する児童ポルノ等が提供されることが社会通念上明らかに認められることが必要です。
5本条に違反した者は、条例第26条第5項第4号により罰則(30万円以下の罰金)が適用されます。
6本条は、不当な手段を用いた要求行為のみを禁止しているものではなく、恋愛関係にある場合や、遊び半分であっても、児童ポルノ等のやり取りにより、インターネット上への画像等の流出やリベンジボルノに繋がるおそれがあることから、青少年に対して児童ポルノ等の提供を求める行為を、いかなる態様であっても禁止するものです。
7年齢の知情|生については、本条例は、第26条第9項で、条例上の特定の罰則規定については、その行為をした者が青少年の年齢を知らなかった(その点について故意がなかった)場合でも、知らないことについて過失があれば、処罰可能とする規定を置いていますが、本規定はその対象外としています。
児童ポルノ禁止法では、第7条第2項から第8項の各罪について、児童を使用する者については、当該児童が18歳未満の者であることの認識がなくとも、認識がないことに過失があれば処罰することとしていますbまた、同条第1項に規定する児童ポルノの単純所持は年齢を知らないことをもって処罰を免れない規定が適用されません。このため、本条例で規制する児童ポルノの製造や所持の前閏浩である要求行為について、行為者に、相手が青少年であることを認識できない場合にまで処罰することは過剰であるためです。

青少年条例の「わいせつ」概念~鎮目征樹「児童に対する性犯罪処罰規定の現状と課題について」刑事法ジャーナル69号

 高松高裁r03(上告中)によれば、議論されることもなく、既に強制わいせつ罪の定義(大法廷h29.11.29)と同じと解されて、性的意図不要になっています。

https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2021/02/28/000000
高松高裁R03.3.2
③原判決は,本件行為中に「単に自己の性的欲望を満たす目的で」と認定して,本条例16条1項の「猥せつ」の定義に性的意図を盛り込んでおり,性犯罪につき性的意図を不要とする最高裁判例に反していて法令の解釈を誤っている点,において,原判決には,それぞれ判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというのである。
 4 論旨③について
 原判決の説示をみても,原判決が,一般的に性犯罪について行為者の性的意図が必要であると説示しているとは解されないから,論旨は前提を誤るものであって理由がない。

最高裁でも追認されたので、青少年条例の「わいせつ」についても、必ずしも性的意図不要になったようです。

最決R03.11.1
弁護人奥村徹の上告趣意のうち,県青少年保護育成条例16条1項にいう「猥せつ」の概念が過度に広範であり,不明確であるとして憲法31条違反をいう点は, その概念が所論のように過度に広範であるとも,不明確であるともいえないから,前提を欠き, その余は,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であり,弁護人sの上告趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって, いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。
よって, 同法414条, 386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

鎮目征樹「児童に対する性犯罪処罰規定の現状と課題について」刑事法ジャーナル69号
第2に、性行為の内容によって、被害児童が受ける精神的被害や健全育成に対する悪影響が相当程度異なるのであれば、(地方自治法所定の上限があるため致し方がないこととはいえ)条例が淫行とわいせつ行為を全く同じ法定刑で同様に処罰する現状について、それが適切といえるかにつき検討の余地がある。
また、この点に関連して、わいせつ行為の意義・外延が問題となるが、条例のわいせつ行為の意義について、裁判例の一つ(前掲注(而・大阪高判平成23・12・21 [A43])は、これを刑法の風俗犯と同様に「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的蓋恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」と定義する。
刑法上の性犯罪におけるわいせつ概念については、近時、判例の新たな展開を受け、再検討の必要性が指摘されており、条例におけるわいせつ概念についても、議論の深化が期待される。

児童ポルノ要求行為と過失処罰規定

 だいたいネット経由で要求すると思われるんですが、年齢を知らない場合、処罰される県があるんです。
 鳥取県警からは「児童ポルノ規制法違反は、原則、故意犯を罰則対象にしていることから、本条例の改正部分を罰則規定の年齢知情の特則に含めることは、妥当でないと考えます。」という意見が出ています。

北海道の資料の後追いです。

https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060401/files/2020120300109/file_2020123413191_1.pdf

  禁止条項 罰則 知情
群馬 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第三十五条の二 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第五十七条第九号において同じ。)の提供を求めてはならない。
第五十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
九 第三十五条の二の規定に違反して、青少年に対し、次に掲げる行為を行った者
イ 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
ロ 青少年を威迫し、欺き、又は困惑させる方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
ハ 青少年に対し対償を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
適用あり

 第六十条 第十三条第五項、第十四条第四項、第十六条第四項、第三十条第二項、第三十一条第一項、第三十二条から第三十九条まで、第四十三条又は第四十四条の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第五十三条から前条までの規定による処罰を免れることはできない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことについて過失がないときは、この限りでない。
一部改正〔令和三年条例一二号〕
山梨 (児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第十二条の三 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第十六条第五項第十二号において同じ。)の提供を求めてはならない。
(令二条例一八・追加)
第十六条 
5 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
十二 次に掲げる行為により、第十二条の三の規定に違反した者
イ 青少年に当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を拒まれたにもかかわらず、提供を求める行為
ロ 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求める行為
適用あり

第十六条の二 第五条第七項、第五条の三第五項、第六条第六項、第八条、第九条、第十条、第十条の二、第十条の三、第十条の四、第十一条第二項、第十一条の二第一項、第十二条、第十二条の二、第十二条の三又は第十三条の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、前条の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことについて過失のないときは、この限りでない。

(平一八条例七〇・追加、令二条例一八・一部改正)
岐阜 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第二十三条の二 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第五十一条第二号において同じ。)の提供を求めてはならない。
追加〔令和二年条例五六号〕
第五十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
二 第二十三条の二の規定に違反した者で次のいずれかに該当するもの(青少年を除く。)
イ 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
ロ 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

五十五条 第十九条の二、第十九条の三、第二十三条又は第二十三条の二の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として第四十八条、第五十条第三号又は第五十一条第一号若しくは第二号の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
追加〔平成七年条例三四号〕、一部改正〔平成一三年条例四七号・一七年七二号・令和二年五六号〕
静岡 (児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第14条の5 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
(追加〔令和2年条例30号〕
(罰則)
第21条  。
4 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(12)  第14条の5の規定に違反した者であつて、次のいずれかに該当するもの
ア 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
イ 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し、対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

8  第14条の2から 第15条までに規定する行為をした者は、青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第2項及び第4項第10号から第13号までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
(一部改正〔昭和41年条例48号・52年26号・53年20号・56年18号・59年31号・平成4年29号・5年22号・8年39号・13年63号・18年56号・21年18号・22年56号・令和2年30号〕)
三重 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第二十三条の二 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等( 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第四十条第五項において同じ。)の提供を行うよう求めてはならない。
追加〔令和二年条例二五号〕
(罰則)
第四十条
5  次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一  第二十条の二又は第二十条の三の規定に違反した者
二  第二十三条の二の規定に違反して、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うよう求めた者であつて、次のいずれかに該当するもの
イ  当該青少年に拒まれたにもかかわらず、当該提供を行うよう求めた者
ロ  威迫し、欺き、又は困惑させる方法により、当該提供を行うよう求めた者
ハ  対償を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をする方法により、当該提供を行うよう求めた者
適用あり

9  第十八条の二、第十九条の二第一項、第二十条の二、第二十条の三、第二十一条から第二十四条まで又は第二十四条の二第三項から第五項までの規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として第一項から第七項までの規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことにつき過失のないときは、この限りでない。
一部改正〔昭和五二年条例一〇号・五七年二五号・五九年七号・平成三年三二号・七年一七号・八年三一号・一〇年一七号・一三年七五号・一八年二七号・令和二年二五号〕
兵庫 児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第21条の3
何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
第30条
5 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。

(12)第21条の3の規定に違反して、次に掲げる方法により、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
ア青少年を欺き、威迫し又は困惑させる方法
イ青少年に対し、財産上の利益を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をする方法
適用あり

「過失のないとき」とは、単に青少年に年齢、生年月日等を確認しただけ、又は身体の外観的発育状況等から判断しただけでは足りず、学生証運転免許証等の公信力のある書面、又は当該青少年の父兄に直接問い合わせるなど、その状況に応じて通常可能とされる
あらゆる方法を用いて青少年の年齢を確認している場合をいう。
和歌山 (児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第26条の2 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第33条第4項第5号において同じ。)の提供を求めてはならない。

(平30条例59・追加)
(罰則)
第33条 
4 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(5) 第26条の2の規定に違反して、青少年に対し、次に掲げる行為を行った者
ア 拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
イ 欺き、威迫し、又は困惑させる方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
ウ 対償を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること
適用あり

8 第14条第1項、第15条第1項、第16条第1項、第20条第1項、第21条の3、第22条第2項又は第23条から第29条までの規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項から第4項までの規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
山口 (児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第十二条の五 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等( 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
( 令元条例七・追加)
第二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
イ 青少年に当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を拒まれたにもかかわらず、提供を求める行為
ロ 青少年に対し金品その他の財産上の利益を供与し、若しくは役務を提供し、又はこれらの供与若しくは提供を約束して当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求める行為
ハ 青少年を欺き、若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求める行為
( 平一四条例二四・全改、 平一八条例五四・ 令元条例七・一部改正)
適用あり

第二十条の二  第十二条第一項、 第十二条の二又は前条第三号に規定する行為をした者は、過失によりこれらの行為の相手方が青少年であることを知らない場合においても、 第十九条の三、 第十九条の四又は同号の規定による処罰を免れることができない。
( 令元条例七・追加)
愛媛 児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第9条の3 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
追加〔平成30年条例55号〕
第18条 
4 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(2)の2 第9条の3の規定に違反した者であつて、次のいずれかに該当するもの
ア 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
イ 青少年を欺き、威迫し、若しくは困惑させて、又は青少年に対し、金品その他の財産上の利益を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

18条
7 第9条の2から第9条の4まで又は第11条の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第3項又は第4項の処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
高知 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第18条の2 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同法第7条第2項後段の同法第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した同項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第31条第3項第3号において同じ。)の提供を求めてはならない。
追加〔令和3年条例13号〕
(罰則)
第31条。
3 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(3) 第18条の2の規定に違反した者であって、次のいずれかに該当するもの
ア 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
イ 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し、対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

31条
5 第11条第3項、第12条第2項、第14条第3項、第18条、第18条の2、第19条第2項若しくは第3項、第20条第1項若しくは第2項、第21条第1項、第22条第1項若しくは第2項又は第23条第1項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、前各項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失のないときは、この限りでない。
福岡 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第31条の2 何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。次号において同じ。)の提供を行うように求めること。
(2) 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
第38条
4 第31条の2の規定に違反した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
適用あり

38条
8 第26条第1項、第31条、第32条から第33条まで又は第34条第2項の規定に違反した者は、青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第2項及び第5項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときはこの限りではない。
沖縄 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第17条の4 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等( 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。第22条第5項第4号において同じ。)の提供を求めてはならない。
追加〔平成31年条例10号〕
(罰則)
第22条 
5  次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(4)  第17条の4の規定に違反して、青少年に拒まれたにもかかわらず、又は青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、若しくは青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

8  第9条第2項、第10条第3項、第11条第1項、第12条第4項、第13条第3項又は第15条から第18条の4までの規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として前各項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失のないときは、この限りでない。
一部改正〔昭和53年条例9号・54年28号・58年30号・平成4年14号・18年14号・22年13号・43号・28年17号・30年52号・31年10号〕

児童ポルノ要求行為は、岡山県では、非行助長行為(岡山県青少年健全育成条例19条1項)として禁止している。

児童ポルノ要求行為は、岡山県では、非行助長行為として禁止している。
 担当者に電話で聞きました。
 自撮りはわいせつ行為として「著しい非行」として扱われます。


岡山県青少年健全育成条例
制 定 昭和52年6月16日 岡山県条例第29号
最終改正 平成30年3月23日 岡山県条例第10号
第4章 青少年に対する不健全行為の禁止
(非行助長行為の禁止)
第19条
1 何人も,青少年に対し,暴行,傷害,恐喝,窃盗,違法運転,淫行,わいせつ行為若しくは有害薬品類等の不健全使用(次項において「著しい非行」という。)若しくは家出を行うよう勧誘し,あおり,そそのかし,若しくは強制し,又はこれらの行為を行わせる目的をもつて金品その他の財産上の利益又は職務を供与してはならない。

(罰則)
第35条
3 次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第19条又は第23条の規定に違反した者

7 第10条第5項,第12条第3項,第13条第1項,第14条第1項,第15条第3項,第16条第1項,第16条の4第1項,第17条第2項,第19条,第20条,第21条第1項,第22条第2項又は第23条から第24条までの規定に違反した者は,当該青少年の年令を知らないことを理由として,第1項から第5項までの規定による処罰を免れることができない。ただし,当該青少年の年令を知らないことに過失がないときは,この限りでない。
(平4条例2・平5条例31・平8条例27・平13条例72・平18条例16・一部改正)

岡山県青少年健全育成条例の解説 h18.12月
[解説]
1 本条は、財産上の利益の提供等による非行助長行為の禁止及び非行集団の結成、指導、加入勧誘等の禁止等について定めたものである。
2 第1項の規定は、青少年に著しい非行を行うよう勧誘し、あおり、そそのかし、強制し、又は青少年に著しい非行を行わせるため、財産上の利益等を供与することを禁止するものである。
「暴行」とは、刑法第208条の暴行を、「傷害」とは、刑法第204条の傷害を、「恐喝」とは、刑法第249条の恐喝を、「窃盗」 とは、刑法第235条の窃盗をいう。
「違法運転」とは、道路交通法(昭和35年法律第105号)、道路運送車両法(昭和26年
法律第185号)等の法令に違反して自動車、原動機付自転車等を運転することをいう。淫行及びわいせつ行為については、次条の解説を参照のこと。
「有害薬品類等の不健全使用」とは、条例第2条第12号に定める有害薬品類等を本来の使用目的である治療、予防、又は溶剤、接着剤、塗料、充てん料としての用途に反してみだりに摂取し、又は吸入することをいう。第16条においては、第2条第12号の有害薬品類等のうち知事が別に定めるものとして、「トルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー(塗料の粘度を減少させるために使用される有機溶剤をいう。)、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料」を対象としているが、本条ではこれらに限定されず、広く睡眠薬覚せい剤、麻薬、解熱剤、鎮痛剤、有機溶剤等で催眠、めいてい、興奮、幻覚、麻酔等の作用を有するものの使用はすべて該当する。(第21条、第30条において同じ。)
「家出」とは、保護者の同意を得ないで、あるいは、保護者の監督から免れる目的で、帰宅する意思がなく保護者のもとを離れている状態をいう。
「勧誘」 とは、他人に対し、自己の欲するとおりにある行為をするよう勧めることをいう。
「あおり」とは、特定の行為を実行させる目的をもって文書若しくは図書又は言動等により、人に対し、その行為を実行する決意を生ぜしめ又はすでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいう。
「そそのかし」とは、他ふもレてある行為を実行させる目的をもって、同人等にその実行の決意を新た生ぜしめるに足る懲愚行為(傍らから誘い勧めること)を行うことをいい、その慫慂行為が客観的に相手方に実行の決意を生じさせることができ、相手方が実行行為に及ぶ危険性がある限り、実際に相手方が新たに実行の決意を生じたかどうか、すでに生じている決意を助長させたかどうかは問わない。(刑法第61条の教唆と同義であるが、単にそそのかすだけで足り、そそのかした結果が現実に犯罪等の成立をみなくても該当する点が刑法と異なる。)
1 0 「強制」とは、物理的、心理的な圧迫を加えることによって実行の意思なき者に対してその
意に反して実行を求め、又は実行せしめようとすることをいう。
1 1 「金品その他の財産上の利益」とは、人の需要又は欲望を満足させるべき利益のうち金銭をもって換算しうるものをいい、通貨、有価証券、物品等の有形物に限らず、債権譲渡、債務の免除等無形物も含まれる。
「職務」とは、人が社会生活上の地位に基づいて行う役務(サービス)のことをいい、その提供にあたって報酬の有無は問わない。
「これらの行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益又は職務を提供し」とは、著しい非行又は家出を行わせ、助長し、又はそれらに利便を与えるために金銭、仕事、役務、宿舎等を提供する場合がこれに当たる。(暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)参照のこと)

鳥取県青少年健全育成条例の児童ポルノ要求行為禁止規定は「正当な理由がある場合」とされているだけで手段が限定されていないので、県警本部から「解説により、明記する必要がある」と指摘されている。

鳥取県青少年健全育成条例児童ポルノ要求行為禁止規定は「正当な理由がある場合」とされているだけで手段が限定されていないので、県警本部から「解説により、明記する必要がある」と指摘されている。
 大阪府民にも適用されるのに、解説書が入手できません。

鳥取県子育て・人材局子育て王国課長様
   鳥取県警察本部生活安全部少年人身安全対策課長

l 児童ポルノ等の提供の求めの禁止案について
○ 「正当な理由のある場合を除き青少年に対し、当該青少年にかかる児童ポルノ等の提供を求める行為」を処罰対象とする変更案については、異論はありません。
○解説により、「正当な理由がある場合」を明記する必要があると考えます。
○本条例改正での規制対象として想定されるSNS等を通じての「児童ポルノの要求」の場合、県外者が当県の青少年に対し犯行することも想定されますので、条例が及ぶ範囲について解説により明記する必要があると考えます。
例~本規定は、刑法の属地主義の原則により、構成要件該当事実の一部が鳥取県内で発生した場合に適用される。すなわち、要求を行う者又は要求を受ける者(青少年)のいずれかが鳥取県内に所在する場合などに適用される。
~ ※参考~昭和61年12月2日高松高裁判決
2罰則案について
○ 「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」と懲役刑を設ける変更案については、異論はありません。‘
O児童ポルノ規制法違反は、原則、故意犯を罰則対象にしていることから、本条例の改正部分を罰則規定の年齢知情の特則に含めることは、妥当でないと考えます。

鳥取県青少年健全育成条例
(児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第18条の2 何人も、正当な理由がなく、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。)の提供を求めてはならない。
(令2条例56・追加)

第6章 罰則
第26条 
5 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(4) 第18条の2の規定に違反した者

被害児童1名に対するわいせつ略取,身の代金略取,拐取者身の代金要求,逮捕監禁,強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件につき、製造罪だけを併合罪としたもの(横浜地裁r03.03.17)

被害児童1名に対するわいせつ略取,身の代金略取,拐取者身の代金要求,逮捕監禁,強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件につき、製造罪だけを併合罪としたもの(横浜地裁r03.03.17)

撮影もわいせつ行為ですから、「本件は,被告人が,身の代金を獲得するとともに,強いてわいせつな行為をする目的で,女子高校生である被害児童を略取し,自動車内やホテルで逮捕監禁した上,その両親に2000万円の身の代金を要求し,ホテル内で被害児童にSM行為を中心とするわいせつ行為に及び(判示第1),さらにその姿態を写真及び動画として撮影して保存した(同第2)という身の代金略取,わいせつ略取,逮捕監禁,拐取者身の代金要求,強制わいせつ,児童ポルノ製造の事案である。」とまとめるのであれば、わいせつ略取と製造罪も牽連犯になるんじゃないでしょうか。裁判例(山口地裁等)があります。


      

わいせつ略取,身の代金略取,拐取者身の代金要求,逮捕監禁,強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
横浜地方裁判所判決令和3年3月17日
※ 以下,AからCまでは,それぞれ別紙の(1)記載の氏名の者を表す。
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 A(当時16歳)を略取し,監禁して,その安否を憂慮する近親者からその憂慮に乗じて金銭を交付させるとともに,強いてわいせつな行為をしようと考え,
 1 令和元年6月24日午後6時頃,神奈川県藤沢市内の駐車場先歩道上(詳細は別紙の(2)記載のとおり)において,徒歩で通行中のAに対し,いきなり背後からその身体に腕を回し,「おとなしくしないと,殺すぞ。」などと言って脅迫し,同人を,上記駐車場に停車中の自動車まで引きずった上,同車の後部座席に押し込み,同車内において,その両手に後ろ手で手錠を掛け,その両足等をロープで緊縛するなどし,もって上記の目的で同人を略取した上,その頃から同日午後9時27分頃までの間,同所から同県厚木市内のホテル(詳細は別紙の(3)記載のとおり)まで,Aを前同様に緊縛するなどした状態のまま,同車を疾走させるなどして,同車内から脱出することを著しく困難にし,さらにその頃,同所において,同人を同所に駐車した同車内から同ホテル客室内に連行し,その頃から同月25日午前10時5分頃までの間,同客室内において,同人を監視下に置いて同客室内から脱出することを著しく困難にし,もって同人を不法に逮捕監禁し,
 2 その間の同月24日午後6時40分頃,同県藤沢市内の路上(詳細は別紙の(4)記載のとおり)に停車中の上記車内において,Aに,その実母であるB(当時39歳)に対し,電話で,「知らないおじさんに連れ去られた。2000万円用意してください。」などと言わせ,被告人が,Aの実父であるC(当時41歳)に対し,電話で,「デカにもサツにも言わずになあ。2000万円用意せえ。」などと言って身の代金の支払を要求し,もってAの近親者であるBらの憂慮に乗じて財物を要求する行為をし,
 3 上記1の間の同日午後9時27分頃から同月25日午前10時5分頃までの間に,上記客室内において,Aの陰部に手指を挿入するなどし,もって強いてわいせつな行為をした,
第2 Aが18歳に満たない児童であると認識しながら,同月24日午後9時27分頃から同月25日午前10時5分頃までの間に,上記客室内において,同人に,被告人がAの陰部等を手指で触る姿態及び同人の陰部等を露出させる姿態等をとらせ,これを被告人が使用するデジタルカメラで動画及び静止画として撮影し,その頃,同所において,上記動画データ1点及び上記静止画データ87点を被告人が使用するパーソナルコンピュータ内蔵の電磁的記録媒体である記録装置に記録して保存し,もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
(証拠の標目)
(事実認定の補足説明)
第1 争点
 公判審理を経た上での本件の争点は,判示第1について,被告人が略取時にAに対して「殺すぞ。」と言って脅迫したかどうかであり,これに関連して,被告人が略取後にもAに対してその生命,身体を直接脅かすような脅迫をしたかどうかも争われた。また,判示第2について,被告人が,本件児童ポルノに係る動画(以下「本件動画」という。)を故意に撮影したかどうかも争われた(ただし,弁護人は,被告人が児童ポルノに当たる動画と分かって記録媒体に保存している以上,児童ポルノ製造罪が成立すること自体は争わないとした。)。
 そこで,以下,これらの点に関する当裁判所の判断を詳述する。
・・・・・
第3 判示第2の争点について
 1 本件動画が児童ポルノに該当すること,被告人が,そのことを認識しつつ,本件動画データをそれが保存されていた判示のデジタルカメラ(以下単に「カメラ」という。)の記録媒体から判示のパソコン内蔵の記録媒体に保存したことにも争いはないが,被告人は,当公判廷において,本件動画は,意図して撮影したものではなく,カメラの誤操作によって撮影された旨述べた。この供述は,児童ポルノ製造罪の「記録媒体・・・に描写する」という要件,すなわち,児童ポルノの製造過程における故意の一部を争ったものとも解されるので,検討する。
 2 まず,本件動画の映像を見ると,胸や陰部等が露出された状態で寝ているAを,顔付近から陰部付近までゆっくり往復するように撮影されており,Aが画角から外れたり,映像が特段乱れたりはしていない。また,本件動画には,被告人の頭,手,手に持ったカメラ等の影が映り込んでおり,その影からは,被告人が,両手でカメラを持って水平方向に移動させ,途中からは,カメラ右下に付いているストラップと思しきものを,画角に入らないようにするかのように,左手でつかんで持ち,右手のみでカメラを持って動かし続けた様子が認められる。また,本件動画の撮影時間は約36秒であり,被告人が最終的にカメラを操作して撮影を止めたものと認められる。なお,カメラによる動画撮影は,静止画を撮影する際のシャッターではなく,カメラを構えた際の撮影者側の面の右上部にあるボタン(以下「動画ボタン」ともいう。)を押すと開始し,もう一度押すと終了する。同ボタンの左斜め上に小さなビデオ撮影のマークが付いている。
 3 上記のような本件動画が,仮に被告人が意図しないのに撮影されたものであるとすると,想定し得るのは,写真の構図を決めようとしてカメラを移動させている際に何らかの理由により誤って動画ボタンを押したため,動画撮影が開始されていたという経過くらいしか考えられない。しかし,そうならば,被告人が動画の撮影に気付いて撮影を止める際に,慌てて止めようとして映像が乱れるはずであるが,本件動画にはそのような映像の乱れは見受けられず,最後まで大きくぶれることなくAが画角に入り続けている。また,被告人が写真の構図を決めようとしていたならば,途中でカメラを静止させることがあってしかるべきであるが,そのような様子も見受けられないし,ストラップが画面に入って邪魔に思っても,一旦カメラを持つ手を下げて持ち直せばよいのに,被告人は,ストラップを左手でつかんで画面に入らないようにしつつ,右手のみで持ったカメラを移動させ続けている。これらの事情に照らすと,本件動画の撮影がどのような経緯で開始されたかはともかく,本件動画の相当部分は,被告人が動画を撮影していることを認識し,故意に撮影を継続したものとしか考えられない。なお,被告人は,Aの写真を多数枚撮影して保存する一方,動画は1点しか撮影,保存していないが,それには種々の理由が想定できるから,そのことが被告人が本件動画を終始意図せずに撮影したとの合理的な疑いを抱かせるとまではいえない。
 4 改めて,この点に関する被告人の供述について検討すると,被告人は,当公判廷において,カメラの動画ボタンを意図的に押したことはなく,動画が撮影されていることに気が付いたところで,撮影を止めようとしてボタンをいろいろ押した,動画は止まったが,カメラを振り回したりもしたので,映像は乱れていると思う旨供述した。被告人は,これまでカメラで動画を撮影したことは一度もないとも述べており,被告人のパソコンに保存された性的内容のファイルにも動画のものが見当たらないことも考えると,確かに,被告人が動画撮影のために意図的に動画ボタンを押したと断ずるには疑問の余地がある。しかし,一方で,被告人の上記供述内容は,既に認定した本件動画の内容と整合しておらず,その点で信用性は大きく損なわれており,上述のとおり被告人の性格傾向等による影響がうかがわれることなども踏まえると,少なくとも動画撮影を止める寸前まで撮影していることに気付かなかった旨の被告人の供述は,信用できない。
 5 以上によれば,少なくとも本件動画の相当部分は,被告人が動画が撮影されていることを認識しつつ撮影したものといえるから,被告人は,本件動画を故意に撮影したものと認めるのを妨げず,もとより児童ポルノ製造に係る上記要件を満たすことにも疑問の余地はない。
(法令の適用)
 被告人の判示第1の所為のうち,1のわいせつ略取の点は刑法225条に,同身の代金略取の点は同法225条の2第1項に,同逮捕監禁の点は包括して同法220条に,2の拐取者身の代金要求の点は同法225条の2第2項,1項に,3の強制わいせつの点は同法176条前段に,判示第2の所為は包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条4項,2項,2条3項2号,3号にそれぞれ該当するが,判示第1のわいせつ略取と身の代金略取と逮捕監禁は1個の行為が3個の罪名に触れる場合であり,わいせつ略取と強制わいせつとの間及び身の代金略取と拐取者身の代金要求との間には,それぞれ手段結果の関係があるので,刑法54条1項前段,後段,10条により結局以上を1罪として刑及び犯情の最も重い拐取者身の代金要求罪の刑で処断し,各所定刑中判示第1の罪については有期懲役刑を,判示第2の罪については懲役刑をそれぞれ選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で,被告人を懲役13年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中380日をその刑に算入し,訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。

(量刑の理由)
1 本件は,被告人が,身の代金を獲得するとともに,強いてわいせつな行為をする目的で,女子高校生である被害児童を略取し,自動車内やホテルで逮捕監禁した上,その両親に2000万円の身の代金を要求し,ホテル内で被害児童にSM行為を中心とするわいせつ行為に及び(判示第1),さらにその姿態を写真及び動画として撮影して保存した(同第2)という身の代金略取,わいせつ略取,逮捕監禁,拐取者身の代金要求,強制わいせつ,児童ポルノ製造の事案である。

 令和3年3月26日
    横浜地方裁判所第3刑事部
        裁判長裁判官  景山太郎
           裁判官  渡邉史朗
           裁判官  鈴木新星

過失による児童ポルノ要求行為は処罰しない鳥取県青少年健全育成条例

過失による児童ポルノ要求行為は処罰しない鳥取県青少年健全育成条例
 過失処罰する地域と、過失処罰しない地域の条例が競合したときは、どっちを適用するのでしょうか
 要求行為を処罰する条例が30くらいになりましたので、集計してみようと思います。

鳥取県青少年健全育成条例の解説r0210
児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第18条の2何人も、正当な理由がなく、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。)の提供を求めてはならない。
【関係条文】
第26条略
2~4略
5次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1)~(3) 略
(4) 第18条の2の規定に違反した者
6~9略
【要旨】
本条は、すべての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ等の提供を求めることを禁止する規定です。
【解説】
青少年が脅されたり、だまされたりして、自分の裸体をメール等で送らされる「自画撮り被害」が全国的に拡大しており、スマートフォンの所有率の高さ、SNS等インターネット上のコミュニケーションの普及などにより、青少年がこうした要求行為にさらされる危険性がさらに高まることが懸念されるところ、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号) 」では、児童ポルノ等の要求行為自体を禁じていないことから、「自画撮り被害」の未然防止のため、児童ポルノ等の要求行為を禁止したものです。
1 「何人も」とは、第15条の解釈と同じく、県民はもとより旅行者、滞在者などの全ての自然人を指し、国籍、性別、年齢を問いません。
なお、条例の効力は、原則として当該地方公共団体の地域において属地的に生ずると解され、電話や手紙、インターネットを通じて要求行為が行われた場合、行為者が要求行為を行った場所のみならず、被害者となる青少年が要求行為を受けた場所である結果発生地も犯罪地と認められるのであり、直接的かつ現実的に本県に関わりを持った行為者にも本条は適用されます
よって、県外から県内の青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為、県内から県外の青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為についても規制の対象となります
【参考裁判例
: 昭和61年12月2日高松高裁判決(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和38年香川県条例第釦号)違反事件)
2 「正当な理由がなく」とは、社会通念上正当な理由があるとは認められない場合をいいます。
この要件が置かれた意義は、処罰範囲を合理的に限定するところにあり、本条の場合、この要件があることによって、例えば、犯罪捜査、弁護活動相談・救済機関の相談業務、医療行為、学術研究等の正当な業務のために児童ポルノに該当するものの提供を求める場合などは、第18条の2の構成要件に該当しないこととなります。
3 「当該青少年に係る児童ポルノ等」とは、求める相手方である青少年自身の姿態が描写された児童ポルノ等をいいます。したがって、他の青少年の姿態が描写された児童ポルノ等を求めた場合については、本条に該当しません。自画撮り、自撮り、セルフィー等と呼ばれる自分自身を被写体としてスマートフォンデジタルカメラ等で撮影したデジタル写真画像が典型的な例ですが、画像だけでなく、動画、アナログ写真等も含みます。
なお、「児童ポルノ」とは、児童ポルノ禁止法第2条第3項で規定されているとおり、写
真、電磁的記録に係る記録媒体その他であって、第1号、第2号又は第3号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいいます。
4 「提供を求める」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得るべき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、有償・無償を問いません。
具体的には、有体物としての児童ポルノを交付するよう求めたり、無体物としての電磁的記録を電子メールで送信するように求める行為がこれに当たります。
また、「求める」とは、青少年に対して、直裁的な表現で要求するのみならず、勧誘する、提供するよう暗に仕向けるなども含めた広い概念です.
なお、どのような表現が「児童ポルノ等の提供を求める」に該当するかについては、要求文書とその前後のやり取りを総合的に判断し、該当性の判断を行うこととなりますが、その要求に青少年が応じてしまった場合、児童ポルノ禁止法第2条第3項に該当する児童ポルノ等が提供されることが社会通念上明らかに認められることが必要です。
5本条に違反した者は、条例第26条第5項第4号により罰則(30万円以下の罰金)が適用されます。
6本条は、不当な手段を用いた要求行為のみを禁止しているものではなく、恋愛関係にある場合や、遊び半分であっても、児童ポルノ等のやり取りにより、インターネット上への画像等の流出やリベンジボルノに繋がるおそれがあることから、青少年に対して児童ポルノ等の提供を求める行為を、いかなる態様であっても禁止するものです。
7年齢の知情性については、本条例は、第26条第9項で、条例上の特定の罰則規定については、その行為をした者が青少年の年齢を知らなかった(その点について故意がなかった)場合でも、知らないことについて過失があれば、処罰可能とする規定を置いていますが、本規定はその対象外としています。
児童ポルノ禁止法では、第7条第2項から第8項の各罪について、児童を使用する者については、当該児童が18歳未満の者であることの認識がなくとも、認識がないことに過失があれば処罰することとしています。
また、同条第1項に規定する児童ポルノの単純所持は年齢を知らないことをもって処罰を免れない規定が適用されません。このため、本条例で規制する児童ポルノの製造や所持の前閏浩である要求行為について、行為者に、相手が青少年であることを認識できない場合にまで処罰することは過剰であるためです。

第26条
9 第17条の7第1項若しくは第2項、第18条又は第21条の2第1項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第5項又は第6項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
解説
4第9項は、いわゆる年齢知情特則です.青少年を保護するという条例の実効性をより高
めるため、平成8年の改正で新たに追加されました。
「当該青少年の年齢を知らないことに過失がないとき」とは、社会通念に照らして通常可能な調査が適切に尽くされていると言えるか否かで判断されることとなります。
「過失がないとき」とは、単に青少年に年齢、生年月日等を尋ねただけ、又は身体の外観的発達状況等から判断しただけでは足りず、学生証、運転免許証等の公信じ力のある耆面、又は当該青少年の保護者に直接問い合わせるなど、その状況に応じて通常可能とされるあらゆる方法を用いて青少年の年齢を確認している場合などがあたります。この場合、過失がないことの証明は、違反者自身が行うことが必要です。

前最高裁判所調査官村田一広「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの) 2条3項にいう「児童ポルノ」の意義 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの) 7条5項の児童ポルノ製造罪の成立と児童ポルノに描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることの要否」ジュリスト1563号

最高裁判所調査官村田一広「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの) 2条3項にいう「児童ポルノ」の意義 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの) 7条5項の児童ポルノ製造罪の成立と児童ポルノに描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることの要否」ジュリスト1563号

 併合罪の主張をして軽くなった。
 主文で「無罪」というのを欲しかった。

被告人は控訴し, 法令適用の誤り,事実誤認,量刑不当を主張したところ, 原判決(東京高判平成29.1.24判時2363号110頁)は,本件18点の提供罪と本件16点の提供罪とは併合罪の関係に立つとみるべきであり,第1審判決の罪数に関する判断には法令適用の誤りがあるとして, 第1審判決を破棄し,被告人を罰金30万円(労役場留置1日換算5000円)に処した上,本件18点に係る児童ポルノの提供について無罪を言い渡した

 実務的には被害者不詳の場合、タナー2度くらいまでしか立件できなくなりました。

Ⅳ、本決定について
1 本決定は,児童ポルノ法2条3項にいう「児童ポルノ」の意義について, 判旨Iのとおり,写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって, 同項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい,実在しない児童の姿態を描写したものは含まない旨を判示した。
本件の事案は,被告人が本件各写真を素材として画像編集ソフトを使用して本件各CGを作成するなどした点に特徴があるところ,最高裁第一小法廷は,本件事案及び上告趣意に鑑みて, 児童ポルノの意義を確認した上で,本件各CGが児童の姿態を描写したものであるとの原審の認定判断を是認したものと解される。
2本決定は, 判旨Ⅱのとおり, 児童ポルノ法7条5項の児童ポルノ製造罪が成立するためには, 同条4項に掲げる行為の目的で, 同法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した物を製造すれば足り, 当該物に描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることを要しない旨を判示した。
本決定は,児童ポルノ製造罪における保護法益について明示的に説示してはいないが,児童ポルノに描写されている人物が児童ポルノの製造時点で18歳以上になったからといって,児童ポルノ製造罪における保護法益の侵害が否定されるわけではないとの理解を前提としていることは明らかである。
児童ポルノは実在する被写体児童の性的姿態を記録化したものであり,児童の性的姿態を記録化すること自体が性的搾取として,その個人的法益を侵害するものであるところ,児童ポルノを複製・加工したり,第三者に提供したりする行為は, そのような性的姿態の記録を更に拡散する行為であって, その個人的法益を侵害することに変わりはないものと考えられる。
児童は,時間の経過にかかわらず, 自己の性的姿態(児童ポルノ) を拡散されることのない法的利益を有しており, そのような法的利益は, 当該児童が18歳以上となったことによって消滅する性質のものではないものと考えられる。
山口厚裁判官の補足意見は, このような観点から法廷意見を補足して説明したものと解される。
被告人の上告趣旨は,児童ポルノ製造罪の保護法益につき,個人的法益(被写体児童)説を前提として,本件各CGに描写された「児童」が本件行為の時点で成人したならば「児童の権利」の侵害はない旨をいうものであるが,仮に個人的法益(被写体児童)説を前提としても,本件行為は本件各CGに描写された人物の個人的権利を侵害するものであったと解される。
ただし,本決定は,児童ポルノ製造罪の保護法益について,最高裁としての見解を明確にしたわけでないことには留意する必要がある(なお,山口裁判官の補足意見によれば,社会的法益説を前提としていないことは明らかであるように思われる)。
3本件は, CGを作成するなどした行為が児童ポルノ製造罪に当たるか否かが問題となった初めての事案であり,本決定は,児童ポルノ製造罪に関する法令解釈を示したものとして実務上重要な意義を有するものと解される